【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
119 信仰との戦い─スクルズ
「俺を主人と認めて、どうか性奴隷にしてくれと大きな声で叫んで、自分で股を開く。どうして、こんな簡単なことができないんですか、巫女様?」
ロウという男が告げる声が、薄暗い地下室に響いた。
石積みの壁は湿り気を帯び、しみ出す水で床は冷たく、灯火の油煙が空気を重くしている。
スクルズは、身体の疼きに耐えて静かに首を振る。
ここがどこなのか、スクルズにはわからなかった。
国軍の将校に化けて神殿に現れたロウに連れ去られ、移動中は袋に詰められて馬車の荷台に押し込まれていた。気がつけば、もうこの部屋にいたのだ。
ロウはここを「地下室の調教室」と呼んだが、外の様子は一切知らされていない。
そして、その調教室で、スクルズは正座の姿勢のまま床に押しつけられていた。
背後には細い金属棒が横に渡され、手首ごと縛りつけられている。その両端から鎖が伸び、天井へと繋がっていた。だから、まるで鳥籠の横木に吊られた人形のように、腕を横に広げたまま崩せない。
さらに足首にも枷がはめられ、床の小さな穴へ鎖が垂れている。
鎖の端はまだ緩んでいるが、正座を崩して脚を横に流せば、その鎖が自ら股を開いた証とされ、即座に犯される──そう言われていた。
だから、彼女は恐ろしくて姿勢を乱せなかった。
身につけているのは、第三神殿の筆頭巫女に許される正装だ。
ただし、白布の上衣はまだ身にまとっているが、紺色の下衣は正座の膝までずり下げられ、下着だけが露わになっていた。
また、その露わになった白布の下着には、異物が押し込められていた。
馬車の中でもいたぶられた楕円球の淫具であり、下着の中でぴったりとスクルズの陰核に密着させられている。
さらに、スクルズは、すでに二度にわたって強い媚薬を飲まされていた。
飲んだ瞬間に異常なほどに身体が猛り、熱とともに汗が噴き出した。凄まじいほどの身体の疼きが襲った。
装束の下の乳首は痛いほどに勃起し、露出している白い下着には、愛液の染みがみるみる広がりだし、いまも、とめどなく淫情の蜜は流れ続けている。
「どうなんですか? 黙っていてはわかりませんよ」
目の前で胡座をかいて座っているロウが薄笑いを浮かべながら、重ねて言った。
同じ言葉を繰り返すしかなく、スクルズの唇は震えている。
「で、でも、わ、わたしは……主である女神様たち、そして天空神クロノスに心を捧げた身で……。そ、それにも関わらず、あ、あなたを主人と、く、口にするのは天空神様への裏切りであり……」
「……しぶといですねえ。じゃあ、もう少し悶えてもらいますか」
ロウが傍らの操作盤に手をかけた瞬間、スクルズの胸に戦慄が走った。あの操作盤によって、スクルズになにが与えられるのか、すでに骨身に沁みている。
「ああっ、もうやめてえ──」
すぐに股間の淫具が作動し、下着の奥に仕込まれた異物が敏感な陰核を激しく震わせた。
媚薬で冒された身体を刺激され、スクルズの理性が吹き飛ばされる。
「あっ……ああっ……いや……。あ、頭がおかしくなります──。ああああっ」
背筋を逸らせばすぐに鎖が軋み、金属棒ごと腕が引かれる。羞恥と快感が入り交じる。
頭は真っ白になり、快感が全身を貫く。
律してきた心が、灼けつく熱に炙られて剝がれていくのを感じた。
スクルズは、自分が淫情に脆いことを知っていた。
だからこそ、祈りに縋ってきたのに、その支えすらも削ぎ落とされていく。
「おかしくなるのは頭じゃなくて股でしょう……。でも、どうしても、精を与える前にあなたに屈服してもらわないとならないのですよ。納得してください」
ロウが余裕たっぷりの表情で操作盤をいじると、淫具の震えが不意に止まった。
途端に支えを失った身体は鎖に引かれ、スクルズは金属棒ごと前のめりに突っ伏す。
安堵は訪れない。
振動の停止は、別の苦しみの再開でもあると知っていた。
「はあ、はあ、はあ……」
必死に呼吸を整えても、すぐさま股間の疼きが蘇り、歯を食い縛らせた。
淫具で責められている間は理性が飛ぶほどの快感に溺れるが、止められれば今度は餓えの狂乱が襲いかかる。
どちらに転んでも心身は削られ、スクルズに逃げ場はなかった。
とにかく、あの媚薬のせいだ。
信じられぬほど身体が火照り続け、刺激を受けるとよがり狂うしかなく、刺激がなくなれば、すぐに股間は疼きに支配される。
振動されると、頭が白く塗り潰される快感──。
止まれば身を焦がす疼き──。
魔道を封じられている。
媚薬も拘束も拒む術はなく、快感に抗う方法などどこにもない。
しかし、信仰を捨てるわけにはいかないのだ。
天空神クロノス、そして五人妻の女神たちに仕える巫女として、神々以外に「主人」を認めることは、信仰の誓いそのものの否定──。
それだけは絶対に許されない。
だが、あとどれほど抵抗できるのか。
スクルズは恐怖している。
いつこの男に屈服の言葉を吐いてしまうのか……。
その瞬間が怖い──。
身体はもう落ちている。
それはもうわかっている。
今この瞬間も、下着に押し込められた楕円球に、無意識に腰を擦りつけてしまっている自分がそれを示していた。
そして、それをロウも知っていて、スクルズの痴態を静かな笑みとともに見つめ続けている。
焦る様子もなく、落ち着いた雰囲気で、スクルズが音をあげるのを待っている。
まるで真実が熟れるのを待っている農夫のようだった。
「ああ、もうお許しを……」
ロウの視線を浴びながら、スクルズはどうしても痴態を止められなかった。
小さな快感がただれる股間を慰めても、あまりにも足りず、むしろ欲情の飢餓感が募るばかりだった。
「わかってください、スクルズ様……。あなたに巣食っている魔瘴石は、俺が考えていた以上に深く刻まれています。俺はあなたを助けようとしているんですよ」
ロウが言った。
それはわかっている。もう繰り返し、聞かされているのだ。
ロウは淫魔師──。
スクルズの身体に、忌まわしい魔瘴石が巣くっているのも見抜いていて、それを安全に剥がす手段がある──。
それは、ロウがスクルズを犯すことだが、信じて欲しい。絶対に約束は守る──。
ロウは何度も言っていた。
スクルズは、もうそれを信じる気になっている。
彼の表情に嘘は感じない。
こんなに卑劣なことをしているのに、誠実ささえ感じる。
しかし、どうしても、彼が要求することに応じることはできない──。
「でも、問題なく外すには、最初から強い支配を刻むしかない。そのために、精を与える前にあなたがすでに俺に屈しているのが一番なんですよ。だから、口で宣言してください。俺を受け入れると」
ロウが繰り返し説明する。
だが、何度言われても認められるはずがない。
犯されることは問題ない。しかし、心を譲れば、信仰が終わる。
心の純潔だけは、神々に捧げたままでいなければならない──。
だが、そのスクルズの祈りを打ち砕くように、疼きがさらに強まる。
奥歯を軋ませ、必死にそれを耐えた。
それにしても、ここはどこなのだろう──。
そして、本当はこのロウたちは何者なのだろうか。
屋敷に連れ込まれるまでの道程も、袋に押し込められていたせいで、なにひとつ覚えていない。
ただ、馬車の中で仕込まれた楕円球が作動し続け、まともに周囲を探る余裕もなかった。城門を越えたことはかろうじて察したが、それ以上は不明のまま。やっと袋から出されたとき、すでにここ──地下の調教室にいた。
最初、ロウはその場でスクルズをいきなり犯そうとした。
拘束は解かれたが、袋の中での玩具責めのために、頭はもう朦朧とし、抵抗などできる状態ではなかった。
唇を奪われ、唾液を吸われ、あのままなら性器で貫かれていたに違いない。
だが、ロウは直前でそれをやめた。
口を離し、戸惑うような表情を浮かべたあと、なにかを決意した顔で拘束を改めたのだ。
そして告げられたのは──。
“ロウを主人と認め、性奴隷になると誓え”──。
……という言葉だった。
正気を取り戻したスクルズは即座に拒んだ。
当然だ。
問答無用で犯されることは、神への裏切りにはならない。だが、自ら「性奴隷」と口にするのは誓いそのものを踏みにじることになる。
第三神殿の筆頭巫女として、その言葉を承認するなど絶対にありえない。
すると、一度は外された拘束をやり直され、いまのように両腕を金属棒ごと吊られたのだ。
逃げられない体勢を固められたうえで、ロウの支配が始まった。
媚薬を飲まされ、淫具も付け直されて。こうして、いまの責めが始まったのだった。
「そんなにやせ我慢しなくてもいいじゃないですか、スクルズ様……。俺はあなたを助けてあげたんですよ。あのまま放っておけば、あなたは王軍に捕えられ、拷問を受ける兵たちの玩具にされた挙げ句、処刑されていたのは間違いありません」
ロウが諭すようにスクルズに語りかける。
だが、ロウの手には淫具の作動具がしっかりと握られている。
「で、でも……」
疼きに耐えながら、首を横に振る。
「……だから、その代償として、俺の性奴隷になってもらう……。悪くない取引と思いますよ。命の代償なんですから」
ロウが再び操作盤に手をかけた。
振動が再開する。
「んぐううっ」
思考は一瞬で吹き飛び、スクルズは巫女服に包まれた身体を狂おしく捩じらせた。
媚薬に焼かれた媚肉を抉る刺激に、恐ろしいほどの甘美な痺れが全身を駆け巡る。
声をあげ、ただ悶えるしかない。
そして、不意に振動が途絶えた。
スクルズは金属棒に吊られたまま、がくりと前のめりに崩れた。
「ねえ、もう諦めてくださいよ。あなたが事前に堕ちてくれないと、精の支配だけでは不十分で、無理に魔瘴石を外すことになりかねない。そうなれば、あなたの心は二度と戻らない損傷を受けるでしょう」
ロウの声が落ちてきた。
「か、身体は……構いません。でも、心を差し出すわけには……」
スクルズにはそう答えるしかなかった。
すでに疼きは蘇っている。繰り返される責めに心は削られ、涙が込み上げる。
股間の異物──。
馬車の中で下着に挿し込まれたたった一個の小さな楕円球が、彼女をどうしようもなく狂わせていた。
敏感な突起に貼りつくように密着し、どんなにもがいても離れない。
服はまだ剥がされてはいない。だが、ロウの要求は明白だった。
自ら股を広げて「性奴隷にしてくれ」と叫べというのだ。
そんなことができるはずがない。
スクルズには神に仕える者としての誓いがある。
だが、ロウが求めているのは、その誓いを踏みにじり、破廉恥な屈服を自ら選ぶこと。
犯されることは構わない。
だが、神々を裏切る言葉だけは口にできない。
どれほど穢されても、それだけは許されない。
……なのに。
不思議だった。
これほどの辱めを受けているのに、なぜか悔しさは湧いてこない。
鬼畜な所業のはずなのに、その奥に、かすかな愛情にも似た温もりを感じてしまう。
あのままなら、自分は残酷な運命に堕ちていたのは確かだ。
この男には、無条件に信じさせるなにかがある……。
不思議な男……。
だが、どれほど揺さぶられようと──神々への誓いを破ることだけは、決してできない。
それだけは無理だ。
「……本当に頑張りますね、スクルズ様。もっと簡単に屈服すると思っていましたよ。とにかく、あなたの身体に仕込まれた魔瘴石を外すには、あなたが進んで俺の性奴隷になると誓うことが必要なんです。お願いです、屈服してください」
ロウはにこやかな笑みを崩さぬまま、再び操作盤に手を伸ばす素振りを見せた。
「ああ、やめてください」
スクルズの喉から洩れたのは、それだけだった。
否定の言葉を並べたいのに、もう声にならない。
理性では拒まねばならないとわかっているのに、胸の奥では「従ってしまえば楽になれる」と囁く声が膨らむ。
唇が勝手に動こうとする。
言ってはならない誓いの言葉が、今にもこぼれそうで怖い──。
それを止めようとする必死の抵抗が、かえって自分が崩れかけている事実を突きつけてきた。
振動は再開しなかった。
しかし、それはそれで、この媚薬にただれた身体には残酷な仕打ちでもあった。
「じゃあ、もう少し媚薬を追加してみますか」
ロウが立ちあがり、横の台に置いてある小瓶を手に取った。
スクルズの胸に戦慄が走る。
あれは、二度ほど飲まされただけで身体中の血を燃やし、理性を溶かし尽くした強烈な媚薬だ。
それをさらに与えようとしている──。
「も、もう、やめて……。それだけは……」
弱々しい声が洩れた。だが抵抗は続かない。
ロウが容赦なく小瓶を傾け、媚薬をスクルズの口へと流し込む。
拒みたくても力は残っておらず、またもや、ひと瓶丸ごと飲み干させられた。
「ああ……あああ……」
途端に身体が灼けるように熱を帯び、全身に爛れるような疼きが走り直す。
涙が滲み、思考が溶けかける。
そのとき、調教室の扉が外から叩かれた。
スクルズは反射的に視線を向けた。
「ご主人様、シルキーから手こずっていると聞きました。あたしがお手伝いしましょうか?」
「おお、コゼか」
ロウが彼女に顔を向けた。
入ってきたのは小柄で可愛らしい顔立ちの女だった。
その姿に、スクルズははっとする。──思い出した。この女を最後に見たのは、神殿から連れ出され、馬車に押し込まれる直前だ。馭者の座にいたのが彼女だったのだ。
だが、馬車に押し込まれてすぐに袋を被せられ、以後は外を見ることができなかった。
だから、こうして再び姿を見たのは初めてであり、この女の名が「コゼ」であると知ったのも今が初めてだった。
「……ね、ねえ、助けて──。コゼさん、お願いです、わたしを解放して……」
わずかな望みに縋って声を張ったが、コゼは肩をすくめ、冷笑の表情を浮かべただけだった。
「解放されてどうするんです、スクルズ様? あなたを王軍も神殿も血眼で探しているんですよ。外に出れば、すぐに捕まって拷問の末に火炙りになるだけです。それなら、ご主人様に抱かれて救われる方が、よほど幸せじゃありませんか」
その言葉に、スクルズの胸は絶望で押し潰されそうになる。
確かに逃げ場はない。だが、第三神殿の筆頭巫女である自分が、自ら屈服を口にすることだけは──神々への裏切りとして決して許せなかった。
「で、できない……。そ、それだけは……」
必死に首を振る。
「……それにしても、ご主人様。どうして、さっさと犯さないのです? ご主人様の力であれば、スクルズ様の股に精を注げば、それで支配できるのでしょう?」
コゼの言葉に、スクルズは身の毛もよだつ思いをした。同性から発せられたとは思えないほど酷薄な響きだった。
「確かに可能だ。だが、それでは支配が中途半端で、魔瘴石が剥がれるときにスクルズ殿の心を傷つける恐れがあると思うんだ……」
「そう……なんですか?」
「うん、だから、精を与える前から屈服して欲しいんだ。一発目で強力な支配を刻むためにね」
ロウの説明は、これまで幾度となく聞かされたものと同じだった。
それでも彼は諦めず、淡々と告げ続ける。
一方で、スクルズの太腿は無意識に擦れ合っていた。淫欲に苛まれた身体が勝手に動いてしまう。その浅ましさに、スクルズは自己嫌悪に沈む。
「なるほどです……。では、あたしがお手伝いします。これを使ってみませんか?」
コゼが持ち上げた小壺にスクルズの背筋が凍った。
それがなにかはわからないが、新たな責めが加わるのだということは理解できる。
「おう、それか。仕方ない、使うか」
ロウが頷くと、コゼはにっこりと笑ってスクルズに近寄った。
「では、ご主人様のお許しも出ましたので、“プルリタス膏”を塗って差しあげます。これを塗られた者は痒みに狂って、誰の前でも平気で股を掻きむしってしまうんですよ。けれど、スクルズ様は縛られて自分では掻けない。その惨めさが、どういうことかわかりますか?」
楽しげに告げる声とともに、コゼの手が下着を掴む。
「いやあ──やめて、なにを……」
必死の抵抗も虚しく、下着は淫具ごと剥ぎ取られた。羞恥に全身が燃えあがる。
「まあ、びしょ濡れじゃないですか。よく我慢できますねえ。ご主人様に抱かれた方が、よほど楽になりますよ」
嘲るような声とともに、刺激臭のする薬剤が指で塗り込まれていく。
「ひっ……や、やめて……」
すでに追い詰められていた身体に、更なる毒が塗り込まれる。金属棒が鳴り、鎖が天井で短く鳴った。
疼きと恐怖と快感が混ざり合い、スクルズは泣き叫ぶしかなかった。
主よ……。
女神メティス様……天空神クロノス様……。
ああ……どうか信仰の心を保たせてください……。
あなたへの誓いだけは、けっして……。
必死に祈りを繰り返すその膣肉の奥深くまで、コゼの指は容赦なく薬剤を擦り込んでいった。
「お豆にも、ぬりぬりしましょうね」
露わになった股間へ、コゼの指が容赦なく伸びてきた。
敏感な肉芽の皮を無理矢理にめくり上げられ、生の感触が直に触れた瞬間、スクルズは絶望の悲鳴をあげた。
「ああ、いやあっ」
そして、まだコゼの指がスクルズの股間をまさぐっているさなかに、早くも怖ろしいほどの痒みが襲いかかってきた。
掻きたくても、手は金属棒ごと横に張られたまま──。
痒みはそこに在り、指先はどこにも届かない。
スクルズは激しく身悶えた。