【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
「では、失礼いたします、ベルズ様。お大事になさってください」
護衛役のひとりでもある若い巫女が、空になった食器を載せた盆を手にしたまま、ぺこりと頭を下げた。そして、ベルズの私室の扉を抜けて出ていく。
寝台に横になっていたエリカは、ほっと息を吐いた。
すると、カーテンの隙間に身を隠していたコゼが姿を現す。
「いい感じだったわよ、エリカ。特に疑った様子もなかったわね。いつも一緒にいる護衛巫女も怪しまないんだから、大したものだわ」
コゼが、エリカの寝ている寝台に無遠慮に腰を下ろした。
「他人事だと思って……。冗談じゃないわよ。こっちは、いつばれるんじゃないかとひやひやものなのに……。ロウ様も、ベルズ様になって時間を稼いでいろなんて無理を言うんだから……」
「仕方ないじゃない。ノルズ……だっけ? そいつに魔瘴石を抜こうとしていることがばれたら、ご主人様が摘出に成功する前に、遠隔で爆発させられるかもしれないんだから」
「わかってるわよ……。まあ、引き受けはしたけど、早く迎えに来て欲しいわ」
さきほどの若い巫女をやり過ごして、エリカは身体を起こして言った。
魔道具の力でベルズに化けている以上、できるだけ人との接触は避けたい。
今日は具合が悪いと称して私室に閉じこもっている。だから、さっきの巫女がいたあいだは、寝台に伏してやり過ごしたのだ。
「大丈夫よ。まあ、プライドが高くて気が強い小生意気な性格は、エリカとベルズ様は似ているからね。まったく違和感はなかったわ」
コゼが笑った。
「なによ、その言い方──。ベルズ様はともかく、わたしはプライドが高くもないし、小生意気でもないわよ」
「あら? 自覚がないの。まあいいわ。とにかく頑張ってね。ご主人様の期待に応じることができれば、たっぷり可愛がってもらえるんだろうから……。あたしは、ご主人様に愛されたいのよ……」
「はあ? あんた、いつも一番たくさん、抱いてもらっているじゃないのよ」
「でも、昨日はスクルズ様ばっかりで、今日は今日でベルズ様にかかりきりになるんだろうし、おこぼれもらえるかなあ」
「おこぼれってねえ……」
エリカは呆れて言った。
「なによ。だって、ベルズ様を性奴隷になさったら、次はウルズ様にかかるわけでしょう? なかなか、あたしたちには回ってこないわよね」
「回ってこないって……」
エリカはコゼの赤裸々な物言いに少し呆れた。
「まあいいわ。ご主人様がベルズ様を性奴隷にし終わって、あたしたちを迎えに来てくれたとき、お願いして一度抱いてもらおう。やっぱり、ご主人様の精を一日に一度はもらわないと、生きているという感じがしないのよね」
コゼがごろりと寝台に身体を倒した。コゼの正直な物言いに、思わず笑ってしまうが、そういう素直さは羨ましい気もする。
エリカはコゼと入れ替わるように寝台から離れ、机の前の椅子へ移る。
一応は軽い病ということになっているが、ベルズから奪った筆頭巫女の装束はそのままだ。
ここは、第二神殿の神官居住区にあるベルズの私室だ。
ベルズの私室は神官らしく質素だが、ひとつひとつの調度は良いものだ。
磨かれた木肌の寝台に、薄絹の天蓋。銀の燭台は煤ひとつなく、織りの細かな敷物は足音を静かに吸う。
壁龕の聖印は丁寧に磨かれ、衣装箪笥には絹の寝着が折り目正しく収められている。
質素の顔つきの奥に、貴族令嬢としての育ちがのぞく。
部屋の一画には執務のための机が据えられ、背表紙を揃えた魔道研究の書が段ごとに並んでいた。
羊皮紙の書類は紐で束ねられ、印章の痕が端に重なる。
羽根ペンと砂器、小さな硝子瓶のインクが定位置に置かれ、書き込み途中のメモには日付と符が整然と記されていた。
整頓は行き届いているが、資料は多い。
ここでの彼女の務めと素養が、そのまま机上の秩序に表れている。
エリカの役割はひとつ。ミランダを通じてギルドから借りた魔道具『変身リング』でベルズの姿と気配を写し、一郎が屋敷でベルズを責め堕として魔瘴石を取り除いているあいだ、ここで身代わりとして過ごすことだ。
なにしろ、ベルズに魔瘴石を埋めたノルズという女は、ベルズを見張らせるために、ひそかに第二神殿へ自分の手の者を忍ばせているという。
だから、ベルズがさらわれたとなれば、即座に手を打って阻止しようとするかもしれない。
いなくなったと気づかせない──それがロウの策だった。
ロウの命令とはいえ、筆頭巫女に成りすますのはエリカには荷が重い。
しかも、普段からベルズと接している者たちを出し抜かなければならないのだ。
いまのところは、具合がすぐれないと告げて私室に閉じこもり、ほかの神官との接触を避けてやり過ごしている。
幸いにも、昼間は巫女も男神官も務めに出ていて、この居住区は人が少ない。
べったり付いている護衛も、今日はひとりで休むと言えば隣室へ移ってくれた。
ここで成りすましのあいだ中、護衛の視線に晒され続ける覚悟もしていたので、それにはほっとした。
護衛は隣室の控室に待機し、さっきのように時折こちらへ来るが、ずっとこの私室に付き添っているわけではない。
だから、隠れているはずのコゼも、こうして部屋の中で自由に動ける。いまのところは、順調だ。
「……まあ、いずれにしても、これで昼餉も終わったから、次に隣の部屋の護衛巫女がやってくるまでには、しばらくあるわよね。そろそろ、ご主人様の仕事も終わるだろうし、なんとかなるんじゃない」
コゼが横になったまま言った。
すっかり緊張を解いたその様子に、エリカも苦笑する。
こうして安心していられるのも、部屋に仕掛けられていた監視用の魔道具を無力化してからだ。
この私室には、部屋の状況をどこかへ送る魔道具が五個も隠されていた。
いまは、そのどれもが、エリカの魔道で実際とは異なる映像を送り続ける細工に置き換わっている。
それらをすべて見つけ、ほかにないとわかるまで、エリカとコゼは必死で部屋じゅうを点検してまわった。
ロウの事前の指示は、ベルズを見張るものは「人」よりも「物」──。
とりわけ私室には監視具が隠されているはずだ、というものだった。ロウの考えは、次の通りである。
“──ノルズは、ベルズだけでなく、第一神殿のウルズも魔瘴石を埋めて人質状態にしている。従って、ベルズを四六時中、自分だけで見張るわけにはいかない。だから手の者に監視をさせ、下手な動きをするなと脅しているようだが、それははったりが半分だろう。
なに者に属する組織かはまだわからないが、魔族と関わるのは人間族の禁忌中の禁忌だ。そんな組織が、ふんだんな人員を用意できるはずがない。
無論、何人かの手の者は潜んでいるだろうが、ベルズの周囲を完全に手の者だけで固めるほど多くはない。
だからこそ、ノルズ自らが護衛の中に潜んで見張る必要が生じる──。
だから、見張りを出し抜くことも大事だが、なによりも監視魔道具を無力化しろ――。”
それが、ロウの指示だった。
実際に、その通りのようだ。
監視役だと思っていた護衛巫女もそうだった。
彼女たちはベルズを四六時中守れと強く命じられているだけで、監視をしているつもりはなさそうだ。
接してみれば、護衛たちは純粋にベルズの身を守ろうとしている気配であり、悪意は感じない。
その証拠に、ベルズになっているエリカが、今日はできるだけひとりで休ませてくれと頼むと、特に抵抗もなく隣室に控えるだけの態勢へ変えてくれた。
逆に、ロウの予測通り、この部屋には「物」による監視具がいくつも仕込まれていた。
とにかく、このままやり過ごせば、誰にも気づかれることなく、身代わり役は終わるだろう。
「……それにしてもさあ、エリカ。このクエストが終わってからのことだけど……。ちょっと不安じゃない」
コゼが不意に言った。
「不安?」
エリカはコゼに視線を向けた。
「だって、これで、ご主人様の性奴隷は、ミランダだけじゃなく、スクルズ様、ベルズ様……。そして、多分、ウルズ様も加わるんでしょう。なんか、あたしたちなんか、相手にしてもらえないんじゃないかと不安になるのよね」
「まさか」
エリカは苦笑したが、ふと見ると、コゼは軽口という感じではなく、本当に心配そうな表情だ。
慌てて、口元から笑みを消す。
「わたしたちをないがしろになさるような、ロウ様じゃないわ」
エリカはきっぱりと言った。
「そう?」
コゼが横になったままエリカをじっと見る。
「ええ……。それに、スクルズ様たちのことは、魔瘴石を取り除くためだけのことだと、ロウ様はおっしゃっていたわ。本当の性奴隷にするつもりはないって……」
エリカは言った。
「そりゃあ、ご主人様はそのつもりかもしれないけど、スクルズ様たちがどう思うかよ。ご主人様って、ほら、上手じゃない……。だから、スクルズ様たちの方が、ご主人様を手放さないんじゃないかなあって……」
そう言われると、エリカも急に不安になった。
スクルズ、ベルズ、ウルズの三人は、王都でも有名な三美女であり、筆頭巫女、あるいは次期筆頭巫女と称されるほどの身分の女たちだ。
彼女たちに迫られれば、確かに、もうエリカたちのような女がいらなくなるかもしれない。
あのロウがエリカたちを見捨てることはないとは思うのだが、これまでのように、ずっと相手をしてくれるとは限らないのだろうか……。
「……で、でも、ロウ様は鬼畜よ。き、きっと、スクルズ様たちじゃあ、ロウ様のお相手は務まらないわよ。恥ずかしいこともさせられるし、まあ、あの方々たちじゃあ無理ね」
エリカは内心の不安を払拭するように言った。
「そうかなあ……。ご主人様なら、スクルズ様やベルズ様が嫌がっても、無理矢理に鬼畜なことをなさるわ。性奴隷になれば、ご主人様のご命令には逆らえないんだし……」
「だけど、ロウ様はお優しいわ。わたしたちに冷たくすることなんかないわよ」
エリカはきっぱりと言った。まあ、半分はそう思いたいという気持ちである。
「そうよね……。まあ、絶倫のご主人様のことだから、お相手をする女が少しくらい増えたところで、あたしたちの相手をしてくれることがなくなることはないとは思うけど……」
コゼも、自分に言い聞かせるような口調で言った。
「そ、そうよ──。ロウ様は絶倫だもの……。その相手を最後までできるのは、わたしたちだけよ──」
エリカは強く言った。
そうだ。そうに決まっている──。
あれだけの人だし、ロウを好きになる女は多いとは思うが、ロウとエリカたちは心が結び合っている……はずだ。
女が増えたからといって、冷たくなるなど……。
そもそも、エリカは一番奴隷だって言われたのだ……。
エリカは服の上からそっと、股間のぴあすに手で触れた。
「そ、そうよね……」
コゼが、ほっとしたように頷く。
「そうよ──」
そのときだった。
妙な気の動きを感じた。
大きな魔力の波の変化だ──。
おそらく、移動術……。
なに者かが、魔道による瞬間移動でここへ来ようとしている……。
エリカに緊張が走る。
「コゼ──」
エリカは真顔になって、小さく呼びかけた。
すでにコゼは素早く起きあがり、さっきのようにカーテンの隅へ滑り込んで身を隠しつつある。
コゼは魔道こそ遣えないが、魔力の波の変化を察する程度の勘はある。
注意を受けるまでもなく、異変を掴んだのだ。
あっという間に、コゼは完全に気配を消した。その見事さには、エリカも感心する。そこに潜んでいるとわかっているエリカでさえ、もう傍らの気配を捉えられない。
なにも知らずに入ってくれば、誰であろうとコゼの存在には気づくまい。
一方で、魔力の波はさらに大きくなる。
誰が……?
ロウたちではないはずだ……。
ベルズから魔瘴石を外せた場合、ロウはベルズを伴って迎えに来る手筈だが、そのときはまずシャングリアが表から様子をうかがい、接触する段取りだった。
なにしろ、いまは結果として護衛を隣室へ退かせているものの、ロウにはそれがわからない。
いきなり現れれば、彼女たちと鉢合わせになる可能性が高い。
だからこそ、互いの状況を確かめてから、用心深くエリカと本物のベルズを入れ替える。
ための策も数種類、用意してあるのだ。
そして、目の前の空間が揺れ、人影が現れた。
「あっ」
思わず名を呼びそうになり、エリカは慌てて口をつぐむ。
移動術で現れたのは、第一神殿のウルズだ。
そして、見習い巫女の装束の女がひとり。
確か、こいつはノルズ……。
ロウが最初にこの神殿で口づけ騒動を起こしたときに、少しだけ顔を合わせた女だ。
あとでノルズだと教えられたきりで、面差しはおぼろだが、おそらく間違いない。
いきなり姿を現したノルズに、エリカの身が強張る。
ベルズの身体には、ノルズが埋めた魔瘴石があることになっている。
もちろん、エリカにはそんなものはない。
ただ、冒険者ギルド秘蔵の『変身リング』は、姿だけでなく、覚えさせた相手の魔力の匂いまでも模す。
外観と気配だけなら、ノルズでさえ錯覚すると思う。
触れて術を流し込まれでもしないかぎり、体内の瘴気の有無までは嗅ぎ分けられないはずなのだ。
「あんたが病気だと、第一神殿にも知らせが入ったのよ、ベルズ。それで様子を見に来たんだけど、どうやら元気そうじゃないかい」
ウルズと一緒にいた女──ノルズが、意地の悪い笑みを浮かべる。
とりあえず、目の前の“ベルズ”に違和感は覚えていないらしい。
エリカはほっとする。
「……休んでいたら、よくなったのよ……。今日は一日、務めは休むわ」
エリカは応じた。
魔道具のおかげで、口から出る声はベルズそのものだ。
とはいえ、面と向かったとき、ベルズがノルズにどんな口のきき方をしているのかはわからない。
以前は友人と言っていたから砕けた会話かもしれないし、脅されているいまは丁寧かもしれない。
口調も態度も、ノルズの反応を見ながら合わせるしかない。
「あっ、そう。まあ、都合がいいわね。今日はあんたに贈り物を持ってきたのよ。ほら、出しなさい、ウルズ」
ノルズが、連れのウルズへと顎をしゃくった。
エリカの態度について、ノルズはなにも言わない。
いまのところ、ベルズとの入れ替わりについては、間違いなく気がついてないようだ。
「うん……」
気圧される様子のウルズが、なにも持たない両手を身体の前に差し出した。
すると、再び空間が揺れ、ひとつの布袋がそこに出現する。
取り寄せ術だ──。
エリカは驚いた。
瞬間移動の移動術に似ているが、これは自分は動かず、他者や物だけをこちらへ引き寄せる術だ。移動術よりも遥かに上位の高等魔道である。
王都の三巫女として、スクルズ、ベルズ、ウルズが高い資質を持つのは承知している。
だが、エリカの知る限り、ウルズは魔道の熟達ではふたりに劣るはずだった。そのため、同窓の優秀な巫女と称されながらも、ウルズのみがまだ筆頭巫女でないのだ。
だから、目の前で取り寄せ術までやってのけたことに、思わず息を呑む。
「ちゃんと移動術もできたし、取り寄せ術にも成功したようね、ウルズ。これで、あんたもこの王都で移動術を操れる三人目の女に昇格よ。あたしに感謝するのね。とにかく、これはご褒美よ」
ノルズが言った。
「あっ、はああっ、や、やめて──」
次の瞬間、ウルズが両手で股間を押さえ、がくりと膝を落とした。
エリカは目を見張る。
「ううっ、ううっ、ああっ」
ウルズは真っ赤な顔で身を悶え、必死に襲いかかる刺激を堪えている。
股間に淫具かなにかを装着され、それをノルズが魔道で操作しているのは明白だ。
漏れる声は、淫らな吐息を必死に噛み殺したものだ。
エリカは唖然とした。
このノルズがウルズを調教?
「あんまり悶え声を出すんじゃないわよ、ウルズ……。まあ、リーナスに四六時中犯され続けて、すっかり淫乱なおまんこになったみたいだから仕方ないか……。いや、考えてみれば、淫乱なのは昔からね………」
ノルズが声をあげて笑う。
「どうしたのよ、ウルズ……は?」
エリカは思わず口をついた。危うく“様”を添えそうになり、なんとか呑み込む。
「どうしたのかって? ウルズ、見せてあげなさい。巫女の装束をまくってね」
嘲る響きの声に、歯を食いしばって声を堪えるウルズが、懸命に背筋を伸ばす。震える指で巫女服のスカートを大きくたくし上げた。
「あっ」
エリカは小さく叫ぶ。
思った通り、股間には革の貞操帯が食い込み、内側の張形が膣を貫いているのは明らかだ。
股間の部分は大きく震え、両脇からは蜜が溢れ、べっとりと腿を濡らしている。
「……あんたにも同じものをしてもらうわよ、ベルズ。どうやらロウとかいう冒険者が、あんたをさらおうとうろうろしているみたいだしね。多分、スクルズを誘拐したのもそいつよ……」
「えっ……」
「だから、これをしてもらうわ。愉しませるだけじゃない。どこへ行っても、あたしに居場所を教える仕掛けになっているのよ」
ノルズはそう言い、ウルズが取り寄せた布袋を開いた。中身を寝台へ放る。
それはウルズと同じ型の貞操帯で、内側には大きさの異なる張形が二本、並んで固定されていた。
「さあ、ベルズ。寝台に手をついて、尻をこっちに向けるのよ。早くしな。逆らえば、魔瘴石を暴発させるわよ」
ノルズが酷薄に笑う。
「えっ、えっ、ええ──?」
「さあ、尻をこっちに向けな、ベルズ」
どうするか……。
このくらいの魔道なら、エリカなら遮断できるが、本物のベルズはノルズに魔道を凍結させられているはず。
魔道で抵抗すると、おかしなことになってしまう。
「ほら、さっさとしな」
迷っているうちに、寝台へ向かって突き飛ばされ、強引に寝台に手をついてお尻をノルズとウルズに向けるようにさせられる。
「世話を焼かせないのよ。貞操帯を装着したら夕方まで遊んであげるわ。久しぶりに、あたしがあんたを調教してあげるわね……。まずは、その貞操帯をはいたまま寝台にあがって、ウルズとどちらかが気絶するまで愛し合いな」
ノルズが笑った。そして、スカートを後ろからまくり上げ、下着を引き下ろす。
「いやっ」
嫌悪が込み上げ、エリカは思わず声を洩らした。
ノルズがむき出しになった双臀越しに指を挿し入れてきたのだ。
ひんやりとした感触──。エリカは全身を竦ませた。
さすがに、これ以上は──。
抵抗を決めた瞬間、魔道が全身を貫いた。身体が硬直して動けなくなる。
ノルズの魔道だろう。
「じっとしてな、ベルズ……。まあ、もう動けないだろうけどね。とにかく大人しくしてないと、魔瘴石を使って苦しめるわよ。全身を瘴気が荒れ狂う苦しさを、また味わいたくはないだろう?」
ノルズが、笑いながら、ベルズに変身しているエリカの股間の亀裂の表面をまさぐる。
しかし、脅されるまでもなく、ノルズの魔道で身体を拘束されているエリカは、ぴくりとも抗えない。
「ううっ、あっ、や、やめ……」
エリカは悲鳴を洩らした。
ノルズが無遠慮に内腿へ手を伸ばし、指を這わせてきたのだ。
悔しいが、一瞬で強い甘美感が襲ってくる。
「あら、今日はずいぶん感じやすいわねえ……。みるみるお汁があふれてくるわ。まあいいわ。たっぷり声を出しな。いつものように、この部屋の声は外へ漏れないように細工してあるからね」
ノルズが笑った。
その言葉で、隣室に護衛がいるはずなのに反応がない理由に、エリカは合点がいく。
言われてみれば、たしかにこの一帯に結界の気配があった。
そのとき、ノルズの指がエリカの亀裂へずれ、ぐいと力が込められた。
「えっ?」
だが、次の瞬間、ノルズが怪訝な声を洩らした。
「ひんっ」
だが、エリカはそれどころではなかった。変身しているとはいえ、変身リングでカモフラージュされているが、ロウに装着されている“クリピアス”はそのままなのだ。
ノルズの指がピアスに当たり、びっくりするほどの鋭い愉悦が全身を貫いた。
エリカは、思い切り悲鳴をあげて身体を跳ねさせてしまった。
「なんだ、お前?」
ノルズが怒鳴り声をあげた。