【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
「そうそう、なかなか上手だよ、スクルズ……。じゃあ、もう一度最初からいこう。口を大きくあーんと開けて、それから舌先を絡ませるんだ……」
「んんっ」
一郎の言葉に、スクルズが一郎の男根を口に咥えたまま小さく頷く。
だが、もうかなり長くさせているので、顎が疲れているし、息も苦しいのだろう。
大きく息を吐き、顎に手を添えて呼吸を整える仕草をする。
しかし、まだ解放しない。その苦しそうな動作も、一郎の嗜虐心を刺激する。我ながら、すっかりと支配欲が強くなったものだ。
さらに、一郎は続ける。
「……もっと俺の顔を見るんだ……。気持ちいいときには、そういう顔をする……。それを目安に、刺激する場所や、やり方を変えてみるんだ」
ミランダに与えられた強制クエストのために、ガラヴィーという小さな里に向かう途中の野営である。
エリカたち三人は、林の奥に訓練のために離れていき、束の間ではあるが、今回の同行者となったスクルズとふたりきりである。
一郎は、焚き火の横で、馬車からおろした木椅子に座り、スクルズはその脚の間で地面に跪いている。
両手は後手──。
拘束しているのは、一郎が施した粘性体の粘着性の縄だ。
つまりは、突然にできるようになった一郎に新しい技である。
昨日のことだった。
屋敷で破廉恥ファッションショーというものをやっていたのだが、そのとき、コゼが裸体に特殊な糊でカードを貼りつけて現れたのだ。
一郎はそれを見て、ふと同じことができないかと思い立った。
淫魔師としてこの世界に召喚されてから、性交や性技に関係する事に限定ではあるが、一郎はこの世界の魔道遣いのように、幾つかの不思議な力を行使することができる。
たとえば、性行為の最中に望みどおり怒張へゼリー状の潤滑を生じさせたり、体液を自在に媚薬成分へ変質させたりと、女の身体を弛緩させたり、感度をあげたりとかだ。
そんないくつかの異能を最初から有している。
だから、シルキーの魔道を使って、コゼが粘着性の粘性体でカードを裸身に貼って現れたとき、それを一郎も出せたら面白いのではないかと思ったのだ。
だから試したら、驚くほどにあっさりできた。
むしろ、前から可能だったのにただやろうとしなかっただけだと気づかされる不思議な感覚だった。
あまりに呆気なくて、一郎自身が内心で驚いたくらいである。
なお、スクルズを後手に拘束しているのに特段の理由はない。
その方が一郎は昂ぶるというだけだ。女を征服している実感が一郎を興奮させてくれるし、一郎だけでなく、性器を縛られたまま奉仕するというシチュエーションに、スクルズもすっかり欲情するようだから、それに合わせているのだ。
ステータスを確認するまでもなく、拘束された方がスクルズが欲情するのは明らかだ。
「じゃあ、もう一度、最初からだ」
一郎は声を掛けた。
スクルズは一度、怒張から口を離す。
大量の唾液とともに、スクルズ自身の涎が口から出た。だが、後手に拘束されているスクルズには、それを拭う手段はない。
敬虔な巫女の装束を身につけているスクルズのその淫らな顔は、本当に一郎の欲情を誘う。
「はあ、はあ、はあ……。じゃあ、やらせていただきますわ……。最初は口づけから……ですよね」
スクルズが一郎の怒張の尖端に口づけし、ぺろりと先端を舐める。
淫らな娼婦のようにふるまうスクルズだが、目の前の女は
王都三神殿の筆頭巫女という高い格式を持つ高貴女性に属する。
しかも、王都三大美女に数えられる容色に、誰にでも穏やかな物腰で、民衆からもっとも慕われる女神官でもある。
魔道力も、おそらく、王軍筆頭魔道師を凌ぐ王都随一と言われているそうだ。
そんな女に、フェラチオの訓練をさせる──考えてみれば怖いほどの背徳である。
「いいでしょう。じゃあ、次は?」
ぺろぺろと、一郎の怒張の先端に舌を動かすスクルズに、一郎は声をかける。
最初に口づけをする以外の手順は、型どおりになるのを避けて、毎回工夫をするように教えた。
ある程度の技法は教えたので、あとは、スクルズがそれをどう組み合わせるかだ。
「……次は……全体に刺激を……」
スクルズが小さな口を精一杯に開けて一郎の一物を含む。
舌が本格的に動き出す。まだぎこちないが、一生懸命な熱が心地よい刺激に替わっていく。
「いい感じだ……。気持ちいいよ……。余裕が出てきたら、もっと、舐め方に工夫をしてみて。舐めるだけじゃなく、口全体で擦ったり、吸ったりね。なんでもしてみるといい……」
一郎はスクルズの頭を撫でながら言った。
舌を動かしたままスクルズの顎が小さく頷く。
すると、スクルズは膝立ちのまま身体をわずかに前へ送り、咥え直して奥まで呑み込んできた。
しかも、先端を含んだまま喉の方へ角度を変え、吸う、擦る、舐めるという行為を同時にしてきたのだ。
かなり激しく動き出す。
思った以上の積極的な奉仕に、股間に強い波が押し寄せた。思わず射精の錯覚が走る。
もちろん、自制はした。
「ああ、気持ちいい……。先の割れているところも強くしてもいいかな……。そう。そうだ……。でも、同じ場所ばかりはだめだ。どんどん変えて……ああ、その感じだ……」
一郎は込みあがる快感に身を任せながら、スクルズに声をかける。
本格的な……いや、フェラチオなど、今夜が初めてだといっていた。
だが、本当に真剣で、一郎の口にしたことを一生懸命に吸収しようとする。
その健気さが可愛い。
「ん、んんっ、んっ」
長く激しく続けたせいで疲労も溜まってきたのだろう。
スクルズの鼻息が荒くなってきた。
だが、一郎はここで意地悪く声をかける。
「ほら、もっと頑張らないと……。射精には成功しないよ。教えたことを全部試してなんとか射精をさせるんだ……。それまでは休憩はなしだ」
一郎はあえて冷たく言った。
だが、その方がスクルズが興奮するのは、もうわかっている。
思ったとおり、スクルズの欲情の度合いが一段上がり、ステータスの「快感値」がぐっと〈0〉へ近づく。
山街道沿いの小川の河原である。
陽はまもなく暮れる感じであり、すっかりと当たりは薄暗くなってきていた。
夜営の準備はすでに整っており、野獣と盗賊避けの結界も刻み終え、馬車ウマの世話も終わっている。
ウマは少し離れた場所で、水を飲み、草を食べていて。結界の外へは出られない処置もしている。逃げも襲撃も心配はない。
つまりは、あとは夕食を皆で食べ、やることをやって寝るだけというわけだ。
もっとも、ここまでの段取りを一郎は見ていただけである。
結界展張と夕食の準備はスクルズが買って出て、その他は三人娘が手分けをしていた。
手伝おうとは思ったものの、彼女たちの手際が良すぎて出る幕がなかった。
いま馬車の横にいるのは一郎とスクルズだけである。
河原の奥はまばらな林になっていて、エリカたちは鍛錬をしたいと、スクルズに一郎のことを託して三人で奥へ入っていった。
少し前のことだ。
遠くから、訓練らしい声や音はするが、まだ戻らない。
スクルズ自慢であるらしい夕食の煮込みは出来上がっており、鍋は焚き火の脇の石に載せ、魔道で保温している。
三人が戻れば、すぐに食べられる。
それはそれとして、時間が空くとどうしても、一郎の中の好色の虫が顔を出す。
淫魔師レベルが〈レベル75〉まで上がったせいか、最近は、絶倫度が著しくなっただけでなく、とみに淫乱体質が進んだ気がする。
頻繁に抱かせてもらわないと、喉が渇くみたいに苦しくなる気さえする。
しかも、周囲には、一郎が誘えば決して拒まず、むしろ望んで待つ美女たちがいるのだ。
遠慮もする必要がない。
少しは自重しないといけないとは思うものの、どうしてものべつ幕なしに、彼女たちにいやらしいことを強要してしまう。
いまも、ちょっと時間ができたことで、スクルズにフェラチオの特訓を強要しているところというわけだ。
「んんっ、んあっ、ん……」
スクルズのフェラチオが続いている。
筆頭巫女という敬虔な立場にいる彼女だが、彼女の告白によれば、決して、性に無垢な女というわけではない。
少女時代に通っていた神学校では、魔道の鍛錬と称して夜な夜な百合遊びを繰り返していたそうだ。
その少女同士の行為により、もうとっくに処女膜も失って、すっかりと感じる女の身体になっていた。
それでいて、男相手は一郎が初めて──。
まったく、理想的な女だ。
「じゃあ次は、犬が水を飲むみたいに舌だけで舐めてみようか……。そう……そうだ。顏を動かして、睾丸をしゃぶってみてもいい……」
一郎の指示に、スクルズはなんの迷いも見せずに従う。
口と舌を器用に動かしながら、一郎の股間を丁寧に舐め上げていく。
その仕草を見下ろすたびに、征服の実感が胸の奥を満たした。
それからも一郎は、思いつくままに、次々に指示を飛ばした。
スクルズは一言も逆らわず、すべてを従順に従い続けた。
そのとき、ふと考えた……。
スクルズの手首を背中で拘束している粘性体の術──これは、今回初めて試したものだ。
だが、「もともと使えた」ような感覚は最初からあったし、おそらく、もっと多くのことができるはずだと思った。
自分の身体……淫魔師としての能力には、まだ底はない。
その可能性を確かめたくなった。
一郎は跪いているスクルズの巫女服のスカートの奥を見つめ、そこに粘性体を出現させるイメージを浮かべた。
次の瞬間、確かに、スクルズの内腿にぴたりと何かが張りつく感覚を捉える。
――ほう……。本当に出現できたな……。
自分でも息を呑んだ。
ただ生み出せたというだけでなく、スカートの下、布越しに触れている粘性体の形状まで、手に取るようにわかるのだ。まるで透視でもしているように……。
「んっ……?」
スクルズが小さく身をよじった。
下着の奥に違和感を覚えたのだろう。
一郎は彼女の肩を軽く押さえ、逃がさない。
粘性体は、一郎の意志に応じて柔らかくも固くも変わる。限りなく液体のようにも、石のようにもできる。
いや、できるとわかるのだ──。
一郎は、スクルズの内腿に貼りつかせた粘性体を、スクルズの下着の隙間から忍び込ませ、股間全体を覆わせて振動させてみた。
「あっ、なに……これ──?」
驚いたスクルズが、思わず一郎の股間から口を離した。
一郎は笑みを浮かべ、スクルズの頭を強引に自分の股間へ押し戻す。
「ご褒美だよ……。ただし、途中でやめようとした罰も、ちゃんと受けてもらう」
粘性体の一部を硬化させ、クリトリスをつまむように動かす。
「んふっ……」
スクルズがびくりと身体を震わせた。
それでも、今度は舌だけは離さなかった。
一郎はその根性を評価しつつ、粘性体を再び柔らかくし、股間全体をなぞるように揺らした。
「んっ、んんっ……」
スクルズの身体が小刻みに震える。
ステータスを見るまでもなく、スクルズは一気に絶頂に向けて快感を飛翔させていく。
「んふううっ」
「ほら、気を抜くなよ。舐め続けろ。集中するんだ」
一郎が声を落とすと同時に、粘性体の振動を強めた。
スクルズの反応がさらに激しくなる。
一方で、一郎の胸には、官能とともに奇妙な感動が湧き上がっていた。
これはただの淫技ではない。
立派な“武器”になる。
ノルズが粘性生物ウーズを操り、エリカたちを襲ったことを思い出す。
自分の粘性体は生物ではないが、同じように操れるかもしれない。
たとえば──男根の形にして、女の中へ挿入することも。
一郎は、股間に貼りついた粘性体の量を増やし、表面を震わせながらスクルズの膣内に滑り込ませた。
形を男根状に変え、硬度と律動を与える。
「んふっ、んはぁっ……んんっ」
スクルズが腰を浮かせ、喉の奥から甘い悲鳴を漏らす。
ちょうどそのとき、林の向こうから足音と声が近づくのが見えた。
エリカたちが鍛錬を終えて戻ってきた。
一郎は粘性体の動きを止め、スクルズの顎を軽く持ち上げた。
「いいぞ、スクルズ。達していい……。俺も出す。全部飲めよ」
一郎は告げた。
スクルズを性支配してからもう十日余り……。
なんだかんだで、毎日屋敷に通ってくる彼女を一郎は毎日のように抱き、完全に身体を掌握している。
なにをどうすれば、彼女が一瞬で果てるのか──その癖までも熟知していた。
粘性体をさらに蠢かせ、クリトリスに責めを追加し、膣の中で蠕動運動をしている粘性体で作った張形の表面に、たくさんの突起を出現させた。
淫魔術で認識できるスクルズの膣の中の全ての快感の場所を同時に刺激できるように……。
「んんんっ……」
スクルズががくがくと震えて、絶頂を迎えた。
その瞬間、一郎もまた口の中へ精を放つ。
「んふっ……んぐっ……」
吐息混じりの音が響く。
一郎は抜きながら、彼女の身体に絡んでいた粘性体を一瞬で消した。
風に溶けるように、すべてが消滅する。
「はあ、はあ……。あ、ありがとうございました……。つ、次は、もっと上手にします……。だから、また教えてください、ロウ様……」
一郎は放った精液を完全に飲み込んだスクルズが破顔する。
だが、そのまま力が抜けたらしく、膝から崩れるように座り込んだ。
精も体力も使い果たしたのだろう。
一郎は笑みを浮かべる。
本来、感謝すべきなのは自分の方だな……。
これほどの佳人にフェラをさせ、精まで飲ませたのだ。
そのうえ礼まで言われる──
まったく、世の中にこれほど幸せな立場の男がいるだろうか。
「俺こそ最高だったよ。それより、ほら──みんなが戻ってきたよ」
一郎は笑いながら声をかけた。
「えっ……あっ」
スクルズがようやく三人娘の接近に気づいたらしく、慌てて乱れた髪と装束を直し始めた。
やがて、林の奥からエリカたち三人が姿を現す。
「やっぱりお愉しみ中だったんですね──。あっ、まだしまわないでください、ご主人様。あたしが“お掃除のご奉仕”しますから。筆頭巫女様ほどの方でも、自分のことを先にしちゃうんですね。本当は、ご主人様のお世話を最後までしてから、自分のことをするものですよ」
コゼが駆け寄り、スクルズを押しのけるようにして、一郎の股間を咥えてきた。
まだ、一郎は男根を露出したままだったのだ。
「えっ? あっ」
スクルズが“掃除奉仕”という言葉に顔を強ばらせる。
戸惑ったように一郎を見上げたが、一郎は手を挙げて制した。
「大丈夫。ここはコゼに任せて……。食事の支度を頼むよ」
「は、はい……。み、皆さん、お疲れさまでした」
スクルズが少し息を整えながら立ち上がり、焚き火の脇に置いた鍋の煮込みへ向かう。
まだ身体の芯に絶頂の余韻が残っているのだろう。足取りがわずかに頼りない。
「あっ、ちょっと待って、スクルズ──」
エリカが声を上げる。
そして、コゼをたしなめるように言った。
「コゼ、もう終わりにしなさい。さっき話したでしょう? 最後に今日の鍛錬の仕上げをスクルズにもお願いするって。覚えているうちに、全員の連携動作を確認した方がいいわ」
そう言われて初めて、一郎も三人の様子をよく見た。
エリカだけでなく、シャングリアもコゼも、ところどころ擦り傷ができている。服にも泥がついていた。
どうやら、かなり本格的に訓練をしていたようだ。
このところ三人は、時間を見つけては魔道遣いとの戦闘を想定した訓練を繰り返している。
ノルズとの戦いで、なすすべなく敗北した衝撃が、まだ尾を引いているみたいだ。
また、それもこれも、近く迫るアスカの襲撃に備えてのことだ。
一郎としては、申し訳なさと誇らしさが入り混じった気持ちである。
「はーい、ご主人様、ありがとうございます。元気、もらいました」
コゼが一郎の男根を口から離し、明るく破顔する。
そして、器用に手を伸ばし、一郎の一物を下着とズボンの中へ戻してやった。
「待て。……傷があるな」
一郎は立ち上がりかけたコゼの肩を押さえ、淫魔師の力で身体を探った。
すると、細かな擦り傷や打ち身の反応が浮かび上がる。
指先をかざすと、淡い熱が走り、傷がみるみる癒えていった。
「ロ、ロウ様……治療までできるのですか? さっきは、粘性体を操るような魔道も使っておられましたし……。ロウ様、一体……何者なのです?」
スクルズが目を丸くする。
一郎は微笑みながら、エリカとシャングリアを手招きした。
だが、そういえば、淫魔術で支配した女の治療行為ができることは、スクルズには教えてなかったかもしれない。
「別に魔道ってわけじゃないよ、スクルズ……。けど、淫魔師っていう特別な力を持ってるのは話したね……。俺は、支配している女限定で、治療とか身体操作ができるんだ。たとえば──こういうふうにね……」
一郎はスクルズの胸に軽く手をかざし、粘性体を生じさせた。
巫女服上から乳首を狙ううちにするように小さく震わせる。
「きゃん……っ」
スクルズが驚いて胸を押さえる。
しかし、次の瞬間には、もう粘性体は消えていた。
「いまのは、粘性体か? それを操ったのか……? そんなのができるのか?」
シャングリアが一歩前に出た。
一郎は笑って、今度はシャングリアの両手首に向かって粘性体を飛ばした。
手錠のような形で生まれたそれが、強引にシャングリアの背中に両手首を移動させて、両手首をひとまとめに拘束してしまう。
「うわっ、なんだこれ?」
シャングリアが目を見開いた。
隣のエリカも驚いたように口を押える。
「まあ、こんな感じだ。理由は知らんけど、急にできるようになった……。だから、いろいろ試してみたい。お前たち、実験台になってくれ?」
一郎は粘性体を解除した。
手錠は溶けるように消える。
これは面白い──ただの性技じゃない。応用次第で戦闘にも使える。
「それはいいですけど、その前に……今日の稽古の仕上げをさせてください、ロウ様。スクルズにも少し協力して欲しいことがあるんです。そのあとなら、喜んでお付き合いします」
擦り傷の治療を終えたエリカが慌てて言った。
「そういえば、さっきそんなことを言っていたな。連携動作の確認か」
一郎は頷いた。
「はい。仕上げというほどではありませんが……。もし、アスカ様のような魔女が再びロウ様を襲撃してきたら、あたしたちが守れるように連携を整えておきたいんです。そのために、スクルズにも一度、手合わせをお願いできればと……」
「なるほど。練習台になって欲しいってわけだな。どうする、スクルズ?」
一郎は、焚き火の向こうで煮込みの鍋をかき混ぜていた巫女に視線を向けた。
「わたしでよければ喜んで……。わたしは光魔道と呼ばれる浄化や治療が得意ですが、攻撃魔道もひと通りは使えますよ。皆様の練習相手には十分でしょう」
スクルズがにこにこしながら言った。
一郎は、それを聞いてふと思いつく。
「だったら、四人でバトルロイヤルってのはどうだ。四人入り乱れての対抗戦。普通に稽古するより、ずっと面白いだろう?」
四人が一斉に首を傾げた。
「ばとる……ええっと、すみません、ロウ様。その言葉、わかりません」
エリカが代表して言った。
そういえば、召喚以来、言葉の壁を感じたことはほとんどない。
おそらくこの世界に来たとき、なんらかの翻訳補正が働いているのだろう。
ただ、こちらの世界に存在しない概念──たとえば「ゲーム」や「ルール」など──は、まれに通じないことがある。
今回もその類だ。
「バトルロイヤルってのはな── 一対一じゃなく、複数人で同時に戦って勝敗を決める勝負のことだ。連携動作を試したいなら、まずは全員でスクルズ殿を倒す。そこから三人で戦って、最後に勝ち残った者を決める。……そうだな。最終的に勝者にはご褒美で、最初に脱落した者には罰を与えるってのはどうだ?」
一郎が笑うと、四人が顔を見合わせた。
「その……罰とか褒美とか、どんなものなのだ?」
シャングリアが怪訝そうに訊く。
「うーん、そうだな。たとえば──罰は“肉布団の刑”ってのはどうだ?」
「肉……布団?」
シャングリアが怪訝そうな顔になる。
「夕食のあとは全員を抱かせてもらうけど、最初に負けた者は、性交のあと俺の肉布団になってもらう。俺の新しい技で身体を粘性体で固定して、朝まで俺の上で寝てもらう。しかも、俺の一物を挿入したままでな」
一郎は笑いながら言った。
我ながらくだらない思いつきだが、想像しただけで悪くない。
しかし──返ってきた反応は意外だった。
四人が揃って顔を真っ赤にし、ぽかんと口を開けている。
だが、その表情には、どこか困惑というより“照れ”に近い色が混ざっていた。
「どうした?」
一郎が訊ねると、コゼが肩をすくめて息を吐いた。
「……ご主人様は、あたしたちのこと、まだ全然わかってないんですね」
「わかってない?」
一郎が眉を上げる。
「あたしたちは、みんなご主人様が大好きなんですよ。その中でも一番はあたしですけど」
「なにを言うか、コゼ。ロウを慕う気持ちでお前に負けると思うな」
「やめなさいよ、シャングリア。コゼも煽るようなこと言わないの」
エリカがすかさず二人の間に入った。
「ロウ様、わたしもお慕いしております。新参者ですが、誰にも負けないつもりです」
スクルズまで加わり、場がいっそう騒がしくなる。
一郎は苦笑しながら、手を上げて四人を落ち着かせた。
「はいはい、わかった。で、コゼ。話の続き言え」
「……だから、ご主人様。あたしたちは、いつでもご主人様に愛されることを望んでるんです。いつでも、です。だから、“くっついて寝る”なんて罰じゃありません。それこそご褒美ですよ」
コゼの言葉に、他の三人も揃って頷く。
一郎は思わず口を開けたまま固まった。
「……ご褒美って、それでいいのか?」
「もちろんです──」
四人が声を揃えた。
「わかった。じゃあ、それでいこう」
一郎は言った。
すると、エリカがぱんと手を打つ。
「じゃあ、やるわよ──。ルールは単純よ。相手に致命傷を与えないこと。負けを感じたら素直に離脱すること。それでいいわね?」
エリカが全員に向かって声を掛けた。
「ええ、いいけど……。とにかく、負けたと思ったら認めればいいということね?」
コゼが応じる。
「そういうこと……。ま、あんたが一番、聞き分けなさそうだけどね」
エリカが肩をすくめながら馬車へ走り、小弓と矢束を手に取った。
その動きを合図に、他の三人も同時に散開する。
スクルズは魔道の詠唱姿勢をとり、シャングリアは片手剣を抜いた。
コゼは短剣を逆手に構えている。
焚き火の火花がぱちりと弾ける。
闇の中、四人の影が揺れる。
──淫女たちによるバトルロイヤルの開始のようだ。