【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
三人の女たちが一郎の指示を仰ぐように、じっと一郎を見る。
一郎は腹を決めた。
身に着けているものに手をかける。
「エリカ、コゼ、脱げ。行くぞ。罠が待っているのは間違いない。だがシャングリアは連れていかれた。罠でも行くしかない──」
エリカとコゼが意を決したように服を脱ぎ始める。
一郎も服を脱ぎながら、スクルズに視線を送った。
「スクルズ、あなたはここで待機だ。もし結界が破れたら、外へ退いてくれ」
一郎はそれだけを告げた。
スクルズは王都大神殿の筆頭巫女であり、いまも神殿の威を背負う立場の女だ。
さすがに、その彼女に「ここで全裸になれ」と言うのは、一郎も躊躇った。
だが、エリカとコゼは違う。
一郎にとってふたりは、もう家族のような存在だった。
叱っても甘えてもいい。我が儘でも理不尽でも、無茶でも無理でも言っていい。
ふたりは、一郎の一部のような存在だった。
「じょ、冗談じゃありません。見損なわないでください」
スクルズが怒鳴り、巫女装束に指をかける。上衣が滑り落ち、胸巻きだけが白く残る。すぐさま下袍へと手が降りていく。
「しかし……」
「しかし、じゃありません。わたしを置いていくなんて、あんまりですわ」
スクルズの声は震えていなかった。
けれど、その指先はわずかに震えていた。
それでも、スクルズは高位巫女として装束をその場で脱ぎ始める。
一郎は息を吐いた。
また、ふと横目をやると、エリカもコゼも寡黙に身につけているものを次々に脱いで、扉の脇に畳んでいる。
「エリカ、コゼ。服と装具を抱えて、こっちへ」
一郎が呼ぶと、ふたりは下着姿のまま脱ぐ手を止め、足元の衣と装具を抱えて寄ってきた。
軽く顎を動かし、ふたりをスクルズの前後に立たせ、自身も輪に加わる。
三人が囲むように立つと、空気がわずかに張りつめた。
「な、なんですか。わたしは行きますわよ。シャングリアさんを見捨てられません。なんとしてもです。わたしだって、皆さんの仲間ですから」
言葉は強い。すでに、スクルズも残すのは下着だけだ。
露わになっているスクルズの肌は、本当に美しくもあり、淫靡だ。
一郎はスクルズに一歩詰め寄る。すると、間合いは吸い寄せられるように詰まり、肌の熱が触れそうになった。
スクルズの睫毛が一瞬だけ震える。
「……この先は罠だ。待ち構えているのは、スクルズより上の魔道遣いで間違いない。ここで扉の封印と、神殿全体を覆う結界にあなたの魔道でも歯が立たなかった。それが証拠だ……」
一郎はあえて大きく、はっきり言葉を響かせた。
「で、でも……」
「建物に入れば、あなたの魔道は封じられる。魔道を遣えないあなたは戦力にならない。ここで全裸になって入ってこいなんて命じる相手だ。そんな無防備な状態で踏み込めば、なにをされるかわからない」
「そ、それは役には立たないかもしれませんが、わたしだって皆様のお仲間のつもりですわ……」
スクルズの目が潤む。置いていかれることだけは受け入れがたいのだろう。
一郎は静かに息を吐いた。
淫魔術によって支配した女の感情は、微かな気配として、一郎は感じることができる。
スクルズの胸にある怒りや哀しみも、手を触れずとも感じ取れた。
もし、ほんのわずかでも逡巡があれば、強引な手段と言葉を使ってでも、本気でここで返すつもりだった。
ここから先でなにをされるか知れないのだ。
一方で、いまやシャングリアは家族だ。だからこそ、態勢を立て直すなどという選択肢は一郎にはない。
エリカもコゼも同じだ。彼女たちを危険に連れていくことに、一郎は一片の迷いもなかった。
しかし、スクルズは本来の仲間ではない。彼女自身は仲間のつもりでも、命のやり取りとなれば話は別かもしれない。
快楽を交わす愛の時間と、これから踏み込む場所は違う。
王都大神殿の筆頭巫女ほどの女が、一郎たちと同じ地平で身を投じてくれるのか。
深層はどうだ。口では言えても、性根は試される。
一郎の内側に触れる限り、迷いはなかった。
見えるのは、置いていかれることへの失望、ひとりだけ退くよう命じられた悲しみ。そして巨大な疎外と怒り。
それだけだ。
「もう一度言う……。ここから先は危険だ……。俺たちはスクルズを守れない。戻ってくれ……。もしも、魔道を封じられたら、あなたは足手まといだ」
一郎はあえて冷たい言葉を選んだ。
スクルズの顔が歪み、泣きだしそうに揺れる。
だが、それでも、スクルズの感情から覚悟は揺らがない。
一郎は、その決意の熱を胸の奥で受け止めた。
ならばやり方はある。
彼女は役に立つ……。
いや、絶対の切り札になり得る。
一郎はそっとスクルズの耳元に唇を寄せた。
「……収納術を……」
一郎が持っている畳んだ服の下──、発砲準備を終え火蓋を閉じた短銃が二挺ある。
前開きの胸裏に吊っていたものだが、いまは布の影に抱えている。
剣技の指南役はエリカからシャングリアへ移ったが、一郎に剣の素質が薄いと見切った彼女が、王軍式の新型短銃を持ってきてくれたものだ。
剣と違い、銃は撃てば上達する。練習は重ねた。いまなら、そこそこの腕だと胸を張れる。
「えっ?」
一郎のささやきに、スクルズの瞳がわずかに見開いた。
しかし、すぐに布の影で二挺の短銃が音もなく消えた。収納術が働いたのだ。
エリカとコゼにも目で合図をする。ふたりが、さりげなく脱いだ衣類の下に、剣と短剣を滑らせた。
それもまた、すぐに消滅した。
建物に入れば、スクルズもエリカも魔道は封じられるだろう。
だが一郎の淫魔師としての〈レベル75〉が、相手の魔道遣いレベルを下回らないかぎり、魔道の封印を剥がす手はあるかもしれない。
「魔道を封じられても、俺が解除できるかもしれない……。やり方はいつものだが……。解除できたら、俺の合図でいまの武器を出してくれ」
そうささやくと、スクルズの頬がぱっと紅に染まった。“いつものやり方”というのは、一郎がスクルズを犯して精を放つということだ。
スクルズの魔道が封印されても、一郎だったら、それをスクルズから解除できるだろう。
「わかりましたわ……」
また、スクルズの喉が小さく鳴り、低い声が返ってきた。
指示を受けたのが、心の底から嬉しそうだ。命がけの仕事を与えられて悦ぶとはね……。
一郎は苦笑してしまう。
「なにをもめておるか──。早く来い。趣向を凝らして待っておる。お前たちはなかなか素質があるな。女はとりわけ淫らでよい。その魔道遣いも連れて来いよ──。淫神ビビデブー様は、女全員が入ることを望んでいる。服も武具もそこに置いてな。もちろん、下着もだ」
あおるような大声が、廃神殿の奥から響いた。
しかし、武器が収納へ消えたことに気づいてはいないようだ。
「シャングリアは無事か、淫神──?」
一郎は声を放つ。名乗りはふざけていて、偽名に決まっている。
また、声は男だ。
だが、妙に幼い響きも混じっている気がした。
「おお、この怖い女がシャングリアか。いまのところ元気だ。よい身体だ。おいしそうだ」
笑い声に、かっと怒りが込みあがり、血が熱くなる。
「シャングリアに手を出したら、ただでは置かんぞ──。俺の女だ──」
「俺の女?」
ひとしきり笑いが返る。露骨な嘲笑だ。
「ならば急げ。丈夫そうだからな、男畜どもの処理にでも使うかと考えておる。雌畜が三匹しかおらんのでな。男畜があぶれて困るのだ」
挑発は続く。
一郎は腕にある衣服を床へ投げ、残っている下着も脱ぎ捨てた。性器も完全に露出した。
エリカもコゼもスクルズも、すでに下着だけだったが、ためらわず全裸になる。
「行くぞ、みんな──。罠はある。覚悟しろ」
一郎が扉へ歩み出る。だが、素肌のままのエリカが一歩前に出て身を張った。
「わたしが先に──」
短く言うと、エリカが扉へ飛び込む。
影が吸い込まれる。
「行きます」
コゼも続いた。小さくて細い背が闇に消える。
「よし。次は俺だ。スクルズは最後に──」
一郎は続いて躊躇なく踏み入れた。
視界が一瞬、白く裏返り、すぐ広間の光景が雪崩れ込む。
奥には一段高い祭壇があり、黒曜石のような板に歪んだ金の紋章が刻まれていた。また、左右には倒れた燭台、床には乾きかけた蝋と血が混じり合っている。
壁面の神像は砕け、代わりに淫らな女神の彫像が据えられていた。
そして、香の焦げた匂いと、肉の湿った匂いが鼻についた。
手前の床は、椅子を外して両脇に重ねた跡があり、広く空いている。
そこに満ちる光景を見て、一郎は息を呑んだ。
「ロウ様」
「ご主人様」
先に入ったエリカとコゼが一郎を守るように前に立つ。
すぐに、スクルズも後ろから追ってきた気配が伝わった。
「まあ……」
背中側で、スクルズが思わず息を呑んだのがわかった。
広間には、三つの円を描くように群がる人の集まりがあった。
全員が全裸で、三人の若い女を中心に、それぞれの女を男たちが取り巻いているのだ。
肉と肉が打ちつかり、汗の飛沫が宙を舞う。つまりは、その三人の女を男たちが寄ってたかって輪姦しているのだ。
鎖のついた首環が女たちの喉に食い込み、金属音を立てて鳴った。首環は女たちの首に嵌まっていて、長い鎖で床に取りつけてある留め具に首環が繋がっているのである。
もっとも、彼女らは抵抗の素振りはない。女たちは首環の鎖で繋がれているものの、強引に犯されているという感じではない。積極的に男たちの性の相手をしている。
とにかく、獣のようなまぐ合いに夢中になっている。
三人のうちのふたりは、上になっている男にしがみついて積極的に腰を振っているし、さらにひとりは仰向けになっている男に乗りかかって、逆に騎上位の体位で男を犯している。
まるで、理性の抜けた生き物たちの巣窟だった。
また、一郎たちが入ってきても、気にする様子もない。
「うわ……なにこれ……」
「どういう状態……?」
コゼとエリカの呟きが重なった。
一郎は眉をひそめ、意識を沈める。
魔眼を開き、眼差しを深く沈めた。
視界の奥に、淡く発光するような情報の列が浮かび上がる。
そこに映ったのは、行方不明となっていた冒険者たちの名前だった。
人数も一致している。
女が三人──、残りが男──。
さらに、全員の状態欄には「洗脳状態」「錯乱中」と表示されている。
あの地方ギルドでクエストを受け、この神殿に入って消息を絶っていた者たちだろう。
「シャングリアはいませんね……」
エリカの声が小さく震えた。
確かに、この地獄の中に、彼女の姿はない。
「……それにしても、熱いですね……」
スクルズの声が背後から届く。
「ほんと……」
コゼが小さく同意した。
熱い……?
一郎は訝しんだ。
室内はさほど高温ではない。だが、鼻の奥を焼くような甘い香が漂っている。
「……そういうことか……」
一郎は呟きとともに舌打ちした。
肌の表面を滑るような熱気──それで悟った。
この神殿の空気には、強力な媚香が混じっている。その成分が、女たちの身体を容赦なく灼き上げているのだ。
「ああ……これって……」
「くっ」
エリカとコゼの肌は真っ赤に染まり、膝を少し折って腰を屈めるようにするとともに、おびただしく滴る汗が床へ落ち始めている。
振り返ると、スクルズも同じだった。
白い頬は桜色に上気し、瞳が潤んでいる。
「しまった──。いかん、お前ら──」
一郎が声をあげるより早く、女たちの脚が震えた。
ひとり、またひとりと膝をつき、脱力したように床へ崩れ落ちていく。
最初にエリカ……、続いてコゼ……、そしてスクルズも……。
すぐに原因は明白だ。
この部屋の空気──媚香だ。
あの獣のような交わりは、洗脳だけではなく、この香に犯されて理性を失っているのが原因だ。
一郎は再び淫魔視を凝らす。
スクルズ
快感値:30/100(媚香)↓↓
状態
ロウの性奴隷
淫魔師の恩恵
魔道凍結
エリカ
快感値:20/100(媚香)↓↓
状態
ロウの性奴隷
淫魔師の恩恵
魔道凍結
コゼ
快感値:50/300(媚香)↓↓
状態
ロウの性奴隷
淫魔師の恩恵
魔道凍結
やはり、スクルズとエリカの魔道は完全に封じられていた。
そして三人とも、強烈な媚香の影響下にある。
入って間もないのにこれほどの反応──これは、尋常ではない。
もっとも、一郎の身体には影響がないようだ。
淫魔師の身体は媚薬や媚香を支配下に置く。
自らの体液さえ、それらに変化させることができるほどだ。
女たちから香の影響を抜くことは容易い。高位の淫魔師である一郎の精には、支配している女の身体を癒やし、治療する効果もある。
封印されている魔道を解放することもできるだろう。
だが、一郎は考えを翻した。いま抗えば、敵に悟られる。
いまは演じるべきだ──そう判断した。
その瞬間、耳を裂くような声が響き渡った。
「わあははははは──。他愛ないものだな──。さあ、まぐ合え。理性など残っておるまい。お前たちは余に淫気を供する家畜だ。わははははは」
淫神と名乗ったあの声だ。しかし、高天井に反響して方向が掴めない。
一郎は、うつ伏せに崩れたスクルズの腕を取り、抱き寄せるように倒れ込んだ。
演技だ。
しかし敵には、激情に溺れた男が女を抱いたようにしか見えないだろう。
「ひっ、ロ、ロウ様──」
スクルズは強い媚薬にあてられ、全身が熱に灼かれていた。
だが、淫神が勝ち誇るほどに理性を失ってはいない。
火照りきった肉体とは裏腹に、頭の奥はまだ冷静さを保っている。
想像どおり、媚薬への防御は不十分だったのだ。
女たちの身体は苦しめられてしまったが、空気に混じる洗脳効果までは、一郎による淫魔師の加護が遮ってくれていた。
一郎たちが操られたと淫神が思い込んでいるなら、それはむしろ好機だ。
一郎はスクルズの身体をコゼとエリカの間に仰向けにさせ、
自らその上に跨った。
「……話を合わせてくれ。スクルズの身体に精を放つ。そうすれば、魔道が戻る。まずはこの部屋を浄化してくれ……。この広間の空気には強力な媚香が混じっている……。それであの男女も錯乱している。できるな?」
スクルズはすぐに小さく首を縦に振った。
「……わ、わかります……。これは呪術系の洗脳術の魔道……。い、いま、わかりました……。ま、魔道の凍結が解除できるなら……お、お願いします……。す、すぐにやります……」
一郎は頷き、脚の間に身体をずらせてスクルズの両腿を抱え込む。
「……エリカとコゼの身体は、光魔道の発動と同時に俺が戻す。それまで悶えたふりでもしてろ……」
言いながら、スクルズの太腿を抱えたまま腹に押しつけて、一郎自身も前に倒れこむようにして彼女の胸に顔を埋めた。
いつ味わっても、飽き足らない軟らかくて、まん丸い大きな美乳だ。
一郎は火照りで硬く立つ乳首を唇に挟み、舌で転がす。
さらに歯の縁でそっと撫で、浅い吸い痕を刻んだ。
「んくううっ……ああっ……はああっ……」
スクルズが喉を仰け反らせ、震える声を洩らした。
首を左右に振り、荒い息の中で声を溢れさせる。
その肌に、ぱっと花のような赤いもやが浮かぶ。
一郎はその揺らぎを感じ取り、舌で最も濃い部分を狙って弄んだ。
「ああっ……ん、あっ……ああ……」
たちまち、スクルズの呼吸は乱れ、声が熱に滲む。
瞼が震え、脚が小刻みに痙攣した。
股間からは愛液がどろりと流れ出していく。
「おお、すげえ……すげえぞ──。なんかしらんが、とんでもなく濃い淫気だ……。この女、すごいな。いや、残りの女もだ……。お前ら、なんだ──? いいぞっ……。こりゃあ、いかん、勿体ない……」
淫神の声が、愉悦に震えるように広間へ響く。
構わず、一郎はスクルズの股間に怒張を貫かせた。
「ふああああっ」
スクルズが汗びっしょりの裸身を大きく跳ねあげた。
一郎の怒張が貫く、彼女の下腹にこもる熱が、皮膚を通して一郎の腹を焦がす。
その温度の差が、異様なほど生々しく感じられた。