※この作品はR-18です。

【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】   作:ドン・ドナシアン

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142 淫神との決戦

「ふわああっ、ああっ、あっ、あっ」

 

 一郎は速い律動で怒張をスクルズの奥へ叩き込んだ。

 深く突き入れては浅く抜き、尖った亀頭で柔を抉る。どこを押せば、どう動けば、彼女の身体が跳ね上がるか──その癖は、この十数日間ですっかりと骨に刻み込んでいる。

 

「ああっ、ああっ、そ、そんな、い、一気に、ロ、ロウ様、ああああっ」

 

 スクルズが掴む一郎の背中に絡みつく爪が震え、息が耳朶をくすぐる。

 快感の坂を一気に駆け上がらされ、スクルズは狂ったように腰を乱した。

 一気に噴き出した熱い蜜が溢れ、濡れた音がくちゅくちゅと広がる。

 肌が擦れるたび、甘い匂いが立ちこめて、身体の境が溶けていく。

 

「ああっ、いぐううっ」

 

 喉の奥で声が弾け、スクルズの全身が跳ねた。

 白い喉がのけ反り、背筋の弓なりが震えながら波打つ。

 それでも一郎の律動は止まらなかった。

 絶頂で締めつける膣をさらに抉り、押し上げ、抜いては突きこむ。

 肉が打ち合う音と、湿った水音が混ざり、広間に淫らな拍子を刻む。

 

「ああっ、ああっ、ロウ様──、ま、待って……、もう……もう、だめ……っ」

 

 声が涙に滲み、頬が紅潮していく。

 呼吸の切れ目ごとに光が滲むような快感が重なり、スクルズは息を吸うたび絶頂へ押し上げられる。

 我を忘れた喘ぎが連続し、腰が勝手に動いた。

 肌の奥から甘い熱が溢れ、ふたりの身体がひとつに融けあう。

 

「ああ、濃い……肌の内側まで痺れるような淫気だ──。待て、そのまま。そのままだ。勿体ない。ここからでもわかるぞ──。すっばらしい家畜だ──」

 

 淫神の興奮した声が広間に響く。

 だが、一郎は無視して、スクルズの顔へ口を寄せた。

 

「締めつけて、俺の精を子宮に保て──。おそらく、大抵の魔道封じは跳ね返せるはずだ。それでだめなら、俺には打つ手はない」

 

 一郎は告げるや、一気に精を放つ。

 淫魔術を総動員して、通常の五倍ほどの量を連続で注ぎ込む。

 熱い奔流が奥を満たし、スクルズの身体が痙攣する。

 

「んふううううっ」

 

 膣がぎゅっと掴み、一郎にしがみつく腕に力がこもる。

 締めつけの快感に、射精直後だというのにさらに欲が疼いた。

 だが、さすがに自重して、肉棒を抜く。

 

「んくうっ、はあああっ」

 

 抜け際の刺激に快感がぶり返し、スクルズは再び全身を震わせた。

 背をのけ反らせ、ひときわ長い喘ぎを洩らす。

 ロウの与える悦楽に、いまや理性すら手放している。

 怒張を抜いても、スクルズの両手は、すぐには一郎を放さない。

 だが、しばらくしてから、やっとその手がすっと緩み、床へ落ちた。

 

「ふう……。……気持ちが……よかったですわ……」

 

 次の瞬間だった──。

 眩い閃光がスクルズの身体から噴き上がり、風圧のような衝撃が広間を貫いた。

 白い奔流が天井を裂くほどの勢いで広がり、床石を照らし、淫靡に溺れていた男女の肌を容赦なく照らす。

 

「ぎゃっ」

 

「あああっ」

 

「ひゃああ──」

 

 光に打たれた者たちが一斉に悲鳴をあげた。

 皮膚を焦がすわけではない。だが、その内奥に巣くっていた呪術と媚薬の靄が一瞬で焼かれ、快楽の陶酔が断ち切られたのだろう。

 泣き声、嗚咽、倒れる音が入り混じる。

 

 スクルズから放たれる白い光が二射、三射と続けざまに放たれるたび、白光がさらに膨張し、建物全体が軋んだ。

 まるで神の審判そのもののような眩光だ──。

 

「スクルズ……すごいわ……」

 

 光の中で、エリカが息を呑んだ音がする。

 また、その横でコゼが、肩をすくめながら小さく笑い声も聞こえる。

 

「すごいわね。あんたって、ただの淫乱巫女じゃなかったのね」

 

 ふたりの声が交錯し、光の余韻がようやく静まる。

 汗と涙に濡れた頬を拭いながら、エリカとコゼが視線を交わした。

 その眼にはもう、濁りも迷いもない。

 やがて、からからと音がした。

 収納術でしまっていた一郎たちの武器だ。

 スクルズが光の中でそれらを外に出したのだ。

 

「エリカ、コゼ──」

 

 一郎はふたりの顔を見やり、軽く息を吐いた。

 ふたりの眼が澄んで戻っている。

 よかった──。

 

 また、乱れていた男女は力なく崩れ、肩を抱き合いながら呆然と見上げている。

 いまの光魔道の浄化で、この広間の呪術も媚薬も消え、影響を受けていた者たちもまた、正気を取り戻していた。

 エリカとコゼが息を吸い直し、剣と短剣を構え直した。

 

「なんだこれ──? なにがあった──。ブラニー、そいつらを逃がすな。拘束しろ。そんな濃い淫気を出せる家畜は滅多にない。捕まえて檻に監禁するんだ」

 

 すると、またもや淫神と名乗った男の声が響いた。

 空気がひやりと変わる。

 広間を包む残光が一瞬だけ歪み、どこかから金属が擦れるような微かな音がした。

 

「旦那様のご命令により、皆さまを拘束します……。お許しください」

 

 一郎たちと、先ほどまで乱れていた男女の中間に、突如として童女が現れた。

 

「シルキー?」

 

 エリカが驚きの声を洩らす。

 現れたのは一郎の屋敷のシルキーを思わせる十歳ほどの少女だ。

 確かに似ている。

 だが、まぶたの陰りと口元の硬さが少し違う。

 

「シルキーじゃないわ──。ところで、エリカ──、あいつ魔道を放つわ──」

 

 コゼが叫び、跳躍と同時に空中で短剣を二閃させた。

 ぱっぱっと小さな光が弾け、一郎たちの目前に透明の波紋が走る。

 波が拡散するように、空気がびりびりと震えた。

 

「魔道紋をお斬りになれるのですか? 驚きました」

 

 童女が目を丸くしている。

 その声とともに、ふわりと彼女の身体が床から離れた。

 その童女が光に照らされるように宙へ浮かび上がっていった。

 

「その童女は屋敷妖精よ。屋敷内であれば、ほぼ無限の魔道を遣うわ──。あんたたち、逃げられるなら、逃げなさい──」

 

 大きな女の声が響いた。

 さきほどまで乱れていた女たちのひとりで、鎖に繋がれた三人の中でも年長の女だ。

 年齢のせいか、ほかの者よりも理性が戻るのが早かったのだろう。

 首環の鎖をつけたまま、男の腰に跨がる姿勢のままで叫んでいる。

 もう挿入は続いていないようだが、肌の艶と焦げついた息が異様に生々しい。

 

「きゃああっ」

 

「うあっ」

 

 そのとき、エリカとコゼの身体が同時にふわりと浮き上がった。

 ふたりの悲鳴が広間に響く。

 

「エリカ──、コゼ──」

 

 一郎は咄嗟に腕を伸ばし、ふたりの足首を掴んだ。

 だが、次の瞬間、一郎の身体までもが浮力に引かれ、腰から持ち上げられる。

 見えない手で掴まれたような感覚だ。

 

「みなさん──」

 

 スクルズの声が重なった。

 空間がぐらりと揺れ、三人の身体が一斉に床へ落下する。

 一郎はとっさに身体を捻り、ふたりの下に滑り込むようにして受け止めた。

 

「んげっ、ぼっ」

 

 うつ伏せになった一郎の背に、エリカとコゼの裸身がどすんと落ちる。

 息が詰まり、肺が鳴った。

 

「不思議ですね。わたくしめの魔道封じが効きません。なにか特殊なことをされているみたいですね」

 

 屋敷妖精が小首を傾げていた。

 一郎たちを浮かせた魔道を遮断したのはスクルズだ。

 床にぺたりと座り込んだスクルズは、両手で股間を押さえている。

 そこには、放ったばかりの一郎の精液がまだたっぷりと宿っているはずだ。

 一郎のさっきの指示により、外に零れないように、必死に押さえ込んでいるのだ。

 

 淫魔師〈レベル75〉の一郎が、最大限の力を注いで魔道返しを込めた精だ。

 屋敷妖精の魔力がいかに強くても、それに打ち勝ち、スクルズを再び凍結させることは不可能に近い。

 

 

 

 ブラニー

  妖精族、女

   廃神殿の屋敷妖精

  年齢:***

  屋敷妖精(レベル50)

  支配者

   ビビデブー(魔妖精)

 

 

 

 やはり──。

 先ほど叫んだ女の言葉を待たずとも、現れた童女が屋敷妖精であることはすぐにわかった。

 顔立ちはシルキーにも似ている。

けれど、その瞳の奥には年輪のような深さがあった。

 シルキーよりも遥かに高い魔力反応を感じる。

 

 個体の能力だけを比べれば、魔道遣いとしてはスクルズの魔道遣いジョブの〈レベル60〉が上だ。

 それでも魔道が通じないのは、この場所がブラニーの支配下にある屋敷だからだろう。

 

 屋敷妖精という存在は、主人と契約した屋敷の内でのみ、ほぼ無限の力を得る。

 その原理は、以前シルキーから聞かされている。

 屋敷に張られた結界や扉の封印が破れないのも、すべて屋敷管理の権限下にあるためだ。

 だから、スクルズの魔道が通じないのも道理だった。

 

 ──なるほど。

 この廃神殿に長く巣食っていた屋敷妖精──それがブラニーだ。

 

 かつて神殿がまだ機能していた頃から、ブラニーはその管理者として存在していたに違いない。

 だが、神殿が廃れ、誰も住まなくなってからは、屋敷妖精としての活動を停止し、長い眠りについたのだ。

 

 そして──。

 おそらくごく最近、ブラニーの新しい支配者である魔妖精がこの地に現れた。

 屋敷妖精は強い魔道を持つ者を主と認め、管理を委ねる性質がある。

 ブラニーはその魔妖精を新たな主人として受け入れたのだろう。

 

 だが、魔妖精の好むものは、人族が交わるときに発する淫気。

 廃神殿を淫気を搾り取る牧場に変えるなど、いかにも魔妖精の考えそうなことだ。

 その計画に、ブラニーの力を利用した──そう見るのが自然だ。

 

「ブラニー、俺たちは敵じゃない。この屋敷には危害を加えない。出ていけといわれれば出ていく。攻撃をやめろ」

 

 一郎は、エリカとコゼに支えられながら声を張った。

 ブラニーの顔に戸惑いが浮かぶ。

 そして、攻撃の気配がふっと消えた。

 

 屋敷妖精というのは、本来、攻撃的な種族ではない。

 一郎はシルキーを眷属にしているから、それを知っている。

 屋敷を守ることこそが本分であり、争いを好む存在ではないのだ。

 ただ、侵入者と見なされれば、その排除も“管理”の一環になる。

 そのときの屋敷妖精は、スクルズさえ圧倒する存在になる。

 だから、一郎ははっきりと「敵ではない」と告げた。

 その言葉で、ブラニーの攻撃が止まった。

 

「ブラニー、なにをしている。そいつらを捕まえるのだ。命令だぞ」

 

 淫神──いや、魔妖精ビビデブーの声が空間に響いた。

 ブラニーは困惑したまま、その声の方を見上げる。

 

「でも、旦那様、この方たちは屋敷を害する者ではないと申しております。ならば、行かせてあげればどうでしょう」

 

 ブラニーが空中に向かって静かに答えた。

 

「ならんわ──。そいつらは家畜だ。淫気をひたすらに放出する家畜にするのだ。家畜は屋敷の一部だろうが──。家畜管理は屋敷妖精の仕事だ。捕まえろ」

 

「でも、このお方々はまだ家畜ではありません。こっちの者たちとは異なります」

 

 ブラニーの声は澄んでいた。

 主の命令に逆らう戸惑いと、それでも理を通そうとする誠実さがにじんでいる。

 一郎はその声音に、シルキーと同じ屋敷妖精としての律義さを感じ取った。

 

 また、ブラニーが一瞥したのは、先に捕えられていた冒険者たちだ。

 おそらく、さっきの洗脳術のようなものに侵され、家畜になることを承諾するようなことを口にしたのだろう。

 屋敷妖精は、屋敷を襲われないかぎり、攻撃的にはならない。

 それが、人間族をこうやって監禁のようなことをしているのは、どうやら彼らが“家畜”という扱いになっているからだ。

 

「あたしは家畜じゃないわ。あの小人野郎に魔道で操られたのよ。冗談じゃない」

 

 叫んだのは、あの鎖に繋がれた女だ。

 

 

 

 ビビアン(レイク=ダーム)

  人間族、女

   タリオ公国諜報員

   冒険者(チャーリー)

  年齢35歳

  ジョブ

   諜報(レベル30)

   戦士(レベル15)

   アサシン(レベル10)

   毒遣い(レベル3)

  生命力:50

  魔道力:10

  攻撃力:10(拘束、薬物の残影響)↓

  経験人数

   男120、女31

  淫乱レベル:A

  快感度:30/300↑(回復中)

 

 

 

 改めてステータスを読むと、なかなか突っ込みどころの多い数値だ。

 この女は何者なのか──そう思った瞬間、ばちんと金属音がして、その女の首環が弾けて消えた。

 

「旦那様の家畜ではないとすれば、拘束することはできません。危害を加えたことをお許しください」

 

 ブラニーがビビアンに向かって頭を下げる。

 ビビアンは呆然として目を見開いている。

 

「勝手なことをするな、ブラニー ──。どうして首環を外した。あれは余の家畜だぞ。そう言っただろう──」

 

 ビビデブーの怒声が天井から降ってきた。

 ブラニーは静かに頭を下げた。

 

「旦那様、でも、旦那様がしているのは誘拐でございます。ブラニーは承諾できません。先日は、この者たちが自ら家畜だと口にしたので、そのように扱いました。しかし、そうではないといま主張した以上、家畜としては扱えません。ご理解ください。屋敷妖精とはそういうものなのです」

 

 その物言いには、いささかの動揺もなかった。

 一郎は、ブラニーが空中の淫神と言い争うのを見ながら、スクルズに顔を向ける。

 

「……俺をブラニーの正面に移動術で飛ばせ……。いつでもいい」

 

 ささやくように命じた。

 

「待って」

 

 それを耳にしたエリカが、ぎゅっと一郎の手を掴む。

 

「いきます」

 

 スクルズの声がした。

 強い力が背から押し出し、一郎はエリカとともに、瞬間移動でブラニーの正面に飛び出した。

 

「うわっ、お客様、なにを──?」

 

 驚いたブラニーの顔に向かって── 一郎の男根を手に取って顔射する。

 白濁した液がブラニーの頬と唇に散り、屋敷妖精が息を呑んだ。

 

「な、なにを……?」

 

 ブラニーは目を白黒させている。

 どうでもいいが、我ながら、なんと下品な攻撃だろう。

 

「ロウ様、後ろに──」

 

 エリカが素早く、一郎とブラニーのあいだに入る。

 

「うわあああっ、なんという濃い淫気──。そうか、さっきから、お前かあ──。お前と交わる女が濃い淫気を放つのだな──。いま、ブラニーからでさえも淫気が発生したぞ。ブラニー、その男だ──。ほかの女は逃がしてもいい──。そいつだけは離すな。そいつひとりいれば、素晴らしい淫気牧場ができあがる──」

 

 ビビデブーの悲鳴じみた声が広間に響いた。

 だが、一郎は無視した。

 呆然とするブラニーの前に立ち、足を開く。

 

「ブラニー、顔についた精液を舐めろ。跪け。俺の性器を口にしろ。命令だ」

 

 

 

 ブラニー

  妖精族、女

   廃神殿の屋敷妖精

  年齢:***

  屋敷妖精(レベル50)

  支配者

   ビビデブー(魔妖精)

   ロウ(弱)

 

 

 

 

 淫魔術が効いている。

 屋敷妖精に通じるか半信半疑だったが、シルキーにだって効いたのだ。ブラニーにも可能性はあると思った。

 顔についただけでも、淫魔術は伝わる。

 いま、ブラニーの心に一郎の淫魔術が引っ掛かっている。

 さらに精を飲ませれば、支配は完成する。

 

「は、はい……。あ、新しい旦那様……」

 

 ブラニーが困惑したまま、一郎の前に跪いた。

 一郎の淫魔術は屋敷妖精の契約ではなく、性支配だ。

 淫魔術レベルが屋敷妖精のレベルを上回るため、ブラニーは逆らえない。

 すると、天井から金切り声のような悲鳴がした。

 

「新しい支配だと──。きいいいいいっ、許さん、許さんぞ──」

 

 ビビデブーの絶叫が広間に反響する。

 まだ支配の残滓は残っているものの、ブラニーが“新しい旦那様”と口にしたことで、あの魔妖精は支配を奪われたと感じているのだろう。

 ──まあ、実際そのとおりだが……。

 

「エリカ、コゼ、スクルズ──援護してくれ。この屋敷妖精を支配する。この建物の不思議な力はブラニーだ。ブラニーを引き入れれば、自称淫神など恐れるに足らん」

 

 一郎は叫び、跪いたブラニーの開いた口に男根を突っ込んだ。

 

「んんっ」

 

 勢いよく挿入されて、ブラニーが少しえずく。

 

「悪いな。ちょっと我慢してくれ」

 

 一郎はブラニーの後頭部を掴んで顔を前後して一郎の怒張を口で刺激させる。

 一方で、エリカとコゼが武器を構えて周囲を守る。

 スクルズは距離を保ちながら魔道を練り上げていた。

 

「出すぞ。全部、飲め──」

 

 一郎は精を放ち、ブラニーが口に放出された一郎の精を喉の奥に押し込んでいく。

 その刹那、一郎の意識がブラニーの内部へと滑り込んだ。

 淫魔術が刻まれたのだ。

 

 すると、屋敷妖精であるブラニーの心が伝わってきた。

 ブラニーの心の奥には、強い悔悟と苦痛があった。

 魔妖精と契約してしまったことへの後悔──。

 人間をこの屋敷へ誘い込み、操り、監禁したことへの嫌悪──。

 その痛みが一郎へと伝わってくる。

 

 

 

 ブラニー

  妖精族、女

   廃神殿の屋敷妖精

  年齢:***

  屋敷妖精(レベル50)

  支配者

   ロウ

   ビビデブー(魔妖精)(弱)

 

 

 

 よし──。

 まだ魔妖精の支配は残っているが、力関係は完全に逆転した。

 

「可哀想にな……。もうすぐ解放してやる、ブラニー」

 

「だ、旦那様は……何者ですか?」

 

 ブラニーは呆気に取られた表情で、一郎を見上げていた。

 その顔には表情はないが、一郎にはしっかりと彼女の当惑が伝わってきている。

 たったいま、ブラニーの意思と関わりなく、支配される人物が交代したのだ。

 ブラニーはそれを驚愕している。

 

 そのときだった。

 祭壇側の壁際に、上階へ繋がる階段がある。そこから、ぺたぺたと足音が降りてくる。

 やっと来たか──。

 ついに、ビビデブーという魔妖精が現れるのだろう。

 

 一郎は短く息を吐いた。

 これを待っていた。

 だが、現れた者を見て唖然とした。

 階段を降りてきたのは、全裸のシャングリアだ──。

 だが、剣を抜いており、一郎たちに憎悪の表情に向けている。

 様子がおかしい……。

 慌てて、魔眼を使う。

 

 

 

 シャングリア(モーリア=シャンデリカ)

  人間族、女

   騎士

  年齢22歳

  ジョブ

   戦士(レベル30)

  生命力:60

  攻撃力:700(剣)

  経験人数:男1

  淫乱レベル:A

  快感値:35/300

  状態

   ロウの性奴隷

   淫魔師の恩恵

   魔妖精(ビビデブー)の憑依支配

 

 

 

「シャングリア?」

 

「大丈夫なの?」

 

 エリカとコゼが声をあげた。

 一郎は舌打ちした。

 呪術返しで精神は守ってあるはずだが、魔妖精は、シャングリアの体内に憑依しているのだ。これでは、さすがに動きを止められない。

 

「魔妖精に身体を操られている──。気をつけろ──」

 

 一郎の声に、エリカとコゼが息を呑む。

 すぐにふたりが立ち位置を変え、一郎を挟むように武器を構えた。

 

「邪魔するなあ──」

 

 シャングリアが叫ぶと同時に剣閃が走った。

 

「きゃああ──」

 

「くっ」

 

 一閃でコゼの短剣が弾かれ、二閃目でエリカが体勢を崩す。

 やはり、正面からではシャングリアが圧倒的に強い。

 

「手足が欠けても、家畜の価値は変わらん。抵抗すれば、そこの女たちの剣技で斬るぞ──。それと……男……。お前だな。お前が元凶だ。惜しいが殺す。男畜は余っている。足りないのは雌畜だ」

 

 シャングリアの口から出たのは、ビビデブーのさえずるような声だった。

 剣の切っ先が一郎へ向けられる。

 

「させないわよ」

 

 エリカが身体を割り込ませる。

 

「じゃまだ、エルフ女──」

 

 シャングリアが剣を振りかぶった。

 

「いかん、エリカ、逃げろ──」

 

 エリカはまだ体勢が整わない。

 その瞬間、シャングリアの剣が振り下ろされた。

 

「んっ?」

 

 だが、刃は途中で止まった。

 

「させませんわ──」

 

 スクルズか──。

 しかし、次の瞬間、エリカの頭上で小さな光が弾け、宙がわずかに歪む。

 シャングリアの剣がスクルズの魔道紋を切り裂いたようだ。

 

「スクルズ、上だ──。シャングリアの頭の上が弱点だ──」

 

 一郎は咄嗟に叫んだ。

 スクルズの魔道が跳ぶ──。

 シャングリアが剣を構えて、跳躍して新たに浮かんだ頭上の魔道紋を叩き切った。

 なんの魔道を放ったかわからないが、その魔道も発動することなく発散した。

 

 だが、本命は真下──。

 上だと叫んだのは、シャングリアの中にいる魔妖精の意識を逸らすための囮だ。

 魔妖精の意識が頭上に集まる隙に、一郎はシャングリアの足元へ向けて粘性体を飛ばしていた。

 

「エリカ、一度下がれ。大丈夫だから──」

 

 一郎は立ち上がり、シャングリアの前に出る。

 そのときには、一郎の放った粘性体が完全にシャングリアの両脚を包んでいて、シャングリアの動きが完全に止まる。

 

「おわ?」

 

 体勢を崩したシャングリアの身体がその場に倒れる。

 一郎はさらに粘性体を飛ばして、身体を打たないように保護して包むとともに、シャングリアの両膝と両手を床に密着させた。

 シャングリアの身体は、四つ這いの姿勢で固定されてしまった。

 

「なんだあ?」

 

 粘性体に捕らわれたシャングリアがもがく。

 だが、その口から漏れるのは、中の魔妖精の声だ。そいつが戸惑いの声を上げている。

 

「もらうわよ──」

 

 コゼが素早く動き、シャングリアの手から剣を抜き取った。

 一郎は四つん這いになったシャングリアの背後にまわり込む。

 

「早くシャングリアから出ていけ。それとも、無理矢理に出されたいか?」

 

 一郎は、シャングリアの股間に尻側から手を伸ばし、クリトリスに触れると、つるりと皮を抜き、するすると剥きあげる。

 

「うわああっ、な、なんだああっ、んひいいいっ」

 

 シャングリアの背中が反り、筋肉が硬直した。

 また、内部の魔妖精が悲鳴のような声を上げる。

 そして、すでにシャングリアの股間は、びしょびしょに濡れている状態だった。

 しかも、まだ快感の余韻から回復していないくらいの状況だ。まあ、とにかく、そのシャングリアの身体を再び淫情状態にするのは造作もない。

 すぐにねちゃねちゃと淫音がシャングリアの股間で響きだす。

 

「やめろ、やめろおっ。この女を殺すぞ。息を止めて殺す。すぐにやめろっ」

 

 ビビデブーの声がシャングリアの口から漏れる。

 憑依したままでは外からの攻撃を受けないと考えているのだろう。

 外に出れば狙われることがわかっているし、出てこないつもりに違いない。

 でも、そうはいくか──。

 一郎は息を吐いた。

 

 一郎はシャングリアの尻の下に怒張を添え、そのまま一気に股間を貫いた。律動は緩めない、依然として押し込み、抜いては押し込む。肉の抵抗を感じ取りながら、刻を刻むように動き続ける。

 

「あああっ、んふうううっ」

 

 その声がシャングリア本人のものか、魔妖精のものかは判然としない。

 だが、シャングリアの口から洩れる絶息の呻きとともに、四肢を縛る粘性体がぴんと張り、シャングリアの白い背中がぐいと反り上がる。

 

「うわっ、息を止めた──。この女の息を止めたぞ。すぐにやめろ、殺す気か──」

 

 魔妖精が悲鳴をあげた。確かに、シャングリアの呼吸は止まり、顔が苦痛に歪んでいる。

 

「だったら、早く終わらせてやる……。もっと気持ちよくしてやりたかったがな」

 

 一郎は低くつぶやき、律動を保ったまま、さらに深く突き込み、シャングリアの奥へ精を放った。

 同時に、抑えていた呪術効果を強化する。

 

「うわあっ」

 

 放出の瞬間、シャングリアの背から、膝ほどの背丈の小人が弾かれるように飛び出した。

 それはクグルスのように翅を持つ小人妖精ではなく、人の形を模した何かだった。

 肌は灰色がかり、骨の浮いた手足が細く長い。頭部は異様に大きく、瞳孔だけが深紫に光を宿す。

 また、腰には黒い絹布のようなものを巻き、胸と腹を覆うのは金属片を繋ぎ合わせた奇妙な胸当てだ。装飾とも護符ともつかぬ鎖が体を巡り、歩くたびにかすかな鈴の音がした。

 裸同然のその姿は、醜悪さと艶やかさが紙一重で混じりあっている。

 妖精というより、むしろ淫気を喰らう悪霊──それが魔妖精ビビデブーの初めての姿だった。

 

「ぷはああっ、あああっ……」

 

 一方で、シャングリアが大きく息を吸い込み、快感の余波にのたうつ。

 生理反応と陶酔が重なり、全身が弾けるように揺れている。

 

 一郎は短く息を吐き、苦笑する。

 そして、シャングリアから怒張を抜き、拘束していた粘性体をすべて消してやる。

 

「あふっ」

 

 拘束を失ったシャングリアが横に崩れ落ちる。

 

「シャングリアを任せたぞ」

 

 一郎はエリカたちに声をかけた。

 

「コゼ、お願い──。わたしはロウ様を守るから」

 

 エリカが一郎の前に立ち、コゼがシャングリアへ駆け寄る。

 そのときには、一郎はすぐに、飛び出した魔妖精へ視線を向けていた。

 

 

 

 ビビデブー(ベルゼブブ・スカラムーシュ・フィガロ)

 魔妖精(淫魔族)、男

   生命力:1500

   魔道力:2000

 

 

 

「くそう──外に弾き飛ばされたか……。だが、まあいい……。今度こそ直接に洗脳魔道をかけてやる。この人間の身体の中で魔道は使えなかったが、余の魔道を侮るなよ──」

 

 魔妖精が宙に浮かぶ──。

 小さな身体のままでも浮遊できるのだと、一郎は冷静に見ていた。

 

「そこまでだ。ベルゼブブ・スカラムーシュ・フィガロ──。お前を支配する──。そして、新たな名を与えてやる。お前はスカラーだ──。スカラー、全ての抵抗をやめて床に立て。命令だ」

 

 一郎の声が広間に響いた。

 

「なぜ真名を……。は、はい。余は、これよりスカラーです──」

 

 真っ青になった魔妖精が床に降り立ち、直立不動となる。

 その顔には、はっきりと恐怖が浮かんでいた。

 

「貴様……許さん……」

 

 次の瞬間、シャングリアが駆け寄り、凄まじい勢いでスカラーを蹴り飛ばした。

 

「ふげえっ」

 

 抵抗を禁じられたスカラーが鞠のように縦回転して床を転がる。

 

「待て、逃げる気か」

 

 シャングリアが怒声を上げて追う。

 

「逃げるんじゃないでしょ、シャングリア……。あんたが蹴ったのよ。落ち着きなさい。ご主人様が尋問なさるわ」

 

 コゼの声が冷ややかに響いた。

 

「落ち着けるか──。こいつ、わたしの身体に憑依して、ずっと、クリトリスで自慰をさせていたんだ。ずっとだぞ──」

 

 シャングリアが怒りのまま、スカラーに歩み寄る。

 それで、最初から股間が濡れていた理由がようやくわかった。

 スカラーは神殿の上階でシャングリアを操り、淫気を搾り取りながらこちらを監視していたのだろう。

 床に立つよう命じられたスカラーが、よろめきながらも姿勢を正す。

 

「もう一発だ──」

 

「ほげええ──」

 

 シャングリアの蹴りがスカラーの顔面に炸裂し、魔妖精の身体が壁に叩きつけられた。

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