【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
「うわああ──」
リンネ──いや、“サキ”となった自分の喉の奥から勝手に悲鳴が漏れた。
信じられなかった。
両腕が──脚が──根元から消えていた。
胴と頭だけになった自分を見て、声も出ないほどの恐怖が押し寄せる。
いま自分の身体で起きていることが幻術だと理解しても、恐怖は止められなかった。
「だるま遊びでもしようかと思ってな。いい子にしていたら手足は返してやるよ」
「だるま遊びとはなんだ──」
震える声で問い返した。
目の前の人間は、冷ややかに微笑した。
「いまのサキのように、文字通り手も足もない状態で、俺に弄ばれることだ」
そう言うと、胴体だけのサキを抱きあげ、どこからともなく出現した台の上にそっと乗せた。
背中が冷たく、そこに触れた瞬間、幻術の中とは思えないほどの生々しい感触が走る。
そのまま、その人間の指が包む布越しに股間をなぞった。
「ふわあっ、はああっ……」
声が勝手に洩れた。
指先が触れたのは一瞬のはずなのに、触れた点から細い熱が解けだして、糸のように全身へ広がっていく。
それは痛みではなく、溶かされるみたいに甘い。
頭の奥では拒む声が上がるのに、身体は逆らうように震えてしまう。
理性の外側がゆっくり蕩け、台に触れた背中へひやりと汗が伝った。
その冷たさがかえって熱を際立たせ、我に返った瞬間、羞恥がのどに詰まった。
「や、やめろ……この、淫魔師──」
震えながら、唇が絞り出した。
真名はすでに握られている。
だから、この人間の命令には逆らえない。
しかし、それでもまだ、心の奥にはかすかな抵抗の余地が残っているのがわかった。
だが、こいつの放つ淫魔力が、いままさにその残された部分を侵して、刻みつけようとしている。
その“刻み”が完成すれば、精神も肉体もすべてこの人間の支配に堕ちる──そう確信できるほどの予感が、さっきのほんの刹那の愛撫にこもっていた。
抗わなければ、確実に支配される──。
魔力が肌の内側で逆流し、喉の奥で言葉が震えた。
「……やめろ。これ以上は……」
それでも、そいつは微笑んで近づいてきた。
「遠慮するな、サキ。最高の快感というのを味わわせてやる」
低い声が耳のすぐそばで響いた瞬間、“何か”が肌に触れた。
ぞわりと全身が震える。
仰向けの格好で、とりあえず首をあげて、胴体だけになった自分の身体を見た。
小指の先ほどの半透明の四角い膜のようなものが、身体のあちこちに張り付いていた。
見える場所だけでなく、布の下に包まれている乳首や局部──陰核や肉襞、尻穴の周り。腋や横腹、とにかく、あちこちにそれがあった。見えなくても、異物の感覚がしっかりと存在している。
「な、なんじゃ?」
思わず声をあげた。
しかし、次の刹那、その小さな膜が一斉に細かな震動を開始したのだ。
微かな電撃と、くすぐるような羽の感触とともに──。
「ふわあああっ、あうううっ、こ、これは──あああっ………」
それが全身の性感を一斉に撫で回す。
脳が痺れ、息が止まった。
数十箇所の小さな四角い膜が、サキのすべての性感帯を一斉に激しく刺激してきたのだ。
さすがに、耐えることもできずに、サキは一気に快感を飛翔させられていく。
「統制者の力は便利だな。この白い空間では、想像だけで何でも産み出せるらしい……」
人間男がくすくすと笑う。
だが、サキには、この男の理不尽な仕打ちに、怒りを感じる余裕は吹き飛んでしまっていた。
無理矢理に燃えあがらされる快美感のうねりがサキから思考を奪ってしまう。
全身のあちこちで愉悦の衝撃が響き渡り、サキは喉をあげて声をあげた。
「や、やめええ──な、なんじゃ──。なにをしたのだ──うあああっ」
サキは羞恥の声を迸らせた。
「全身を微弱な電流とともに最高の快感を与えてくれる“パッチ”だ。全身の性感帯に貼ってやった。俺の想像でできているからな。これから快感を防ぐことは不可能だぞ
「ふわあああっ、あうううっ、こ、これは──あああっ……」
男がなにを言っているのか頭に入ってこない。
自分でも知らないような声が喉を震わせた。
全身が赤く染まっていくのがわかる。
体中に浮かんだ赤い粒が脈打ち、血潮のように熱を増していく。
なにもかもが焼けつくようで、恥ずかしくて、止めたいのに止められなかった。
「……それにしても、変わったところにも性感帯があるんだな。ここは俺が直接になぶってやろう……」
胴を支えられ、男の手が頭の両脇から生えている角の根元に指が触れた。
二本の角がある頭の生え際を同時に擦られた。
「うああっ、いやああっ、やめええ──」
その瞬間、背骨の奥から火花のようなものが走る。
頭を撫でられるだけで、腰が浮く。
身体が勝手にふるえて、息が漏れる。
「おう、すごい反応だなあ。ここはサキのもうひとつの局部のようなものだな」
人間男が角を擦り続ける。
また、“ぱっち”とかいうもので、全身の性感帯も刺激をされたままだ。
もう抵抗する気力もない。
快感への耐性が削られていくのを、魔力の奥で感じる。
脚のない股の奥から、蜜が垂れ流れた。
「へえ、リンネ様……じゃなくて、サキ様は頭を触らせないことで有名だったんだけど、そんな秘密があったんだね」
横で魔妖精の声がした。
恥ずかしさに目が潤む。
「う、うるさい、ま、魔妖精──。こ、このことを……ほかの者に言ったら……。ふにいいっ……ち、力が抜けるうう……。ひゃああっ……や、やめてえっ……」
熱と涙で声が混ざる。
笑い声が響いた。
「ははは、ふにゅうだって……猫みたいだね。可愛いよ、サキ様」
「う、うるさい、魔妖精──ひっ、ひひいっ、だ、だめっ……くすぐったい、やめてくれっ」
角の根元を弄られるたび、身体が勝手にびくびくと跳ねた。
手足のない身体では逃げようもない。
それをわかっていて、男は執拗に指を這わせる。
息をするたび、理性が溶けた。
「せっかくだ。特製の尻尾もつけてやるぞ、サキ」
「な、なんじゃあっ──」
背後に冷たい感触──。
次の瞬間、尻の奥に異物が滑り込む。
いや、気がつくと、下肢を包んでいた布も、乳房を守っていた上衣も消滅している。
サキは完全な全裸──四肢のない頭と胴体だけの裸体になっていた。
また、統制者の力をこいつが使ったようだ。
「ま、待て──。や、やめてくれ──」
サキは必死に哀願した。尻穴から異物を挿入される違和感が半端なものではなかった。
もちろん、そんな場所になにかを入れられるなど経験はない。しかし、痛みなどなく、鈍い快感がどんどんと大きくなっていのだ。
それが怖かった──。
「遠慮するな。尻尾も似合って可愛くなった」
付け根からなにもなくなっている腰側から尻穴に入れられた異物の外側の部分が視界に映った。
白い毛のある長細いネコの尾のようだった。
それはともかく、可愛いと言われたことにかっとなる。
「ふ、ふざけるな。か、可愛いなど……わ、わしへの……侮辱だ……」
「なにが侮辱だ。可愛いものは可愛い。そのよがり方もな。存分に悶えてくれ」
男は外に出ている“尾”をぎゅっと握った。
「ひあああっ」
すると、尾に繋がっている尻穴の内側の部分が突然に震え出した。
「ひぎいっ……あ、あああっ……」
白目を剥いた。
全身の無数の小さな振動具の刺激と角の付け根の快感──。
さらに、アナルへの責めだ──。
「あああ、だめええっ」
サキは高らかに声を張り上げた。
身体が勝手に弓なりになって、声がちぎれた。
これまでに一度もあげたことのないような、羞恥も慎みも、矜恃も失った声だった。
それほどに、全身を包んだ喜悦は芳烈だった。
頭の芯まで焼けるような絶頂が走る。
しかし、まさに達しようとしていた刹那、全ての刺激が同時に消滅した。
極限までの寸止め──。
サキはがくりと脱力してしまった。
だが、なにが起きたのかを考える余裕も与えられずに、身体が持ちあげられた。
はっとした。
いつの間にか、台に人間男が乗っている。
しかも、服を完全に脱いで全裸になっていて、股間からは勃起した男根がそそり勃っていた。
男は台の上に胡座をかいていて、サキの股間をその男根の先にあてがっている。
「うわっ、今度はなんだ──?」
びっくりして叫ぶ。
だが、抵抗など不可能──。
サキには四肢がないのだ。
「なんだじゃないだろう。妖魔と人間の差はあっても、男と女だ、やることはひとつさ……。さて、じゃあ、俺との鬼畜セックスが病みつきになるようにしつけてやるぞ」
男の腕に抱きあげられたまま、胴体をさげられていく。
硬いものが股の奥に押し入っていく。
自分の股間が信じられないくらいに濡れているのがわかった。
「ほら、入るぞ」
少しばかり入った段階で、手の支えがなくなり、重力とともに胴体が一気に沈まされた。
「むぎいっ……」
下腹が突きあげられ、子宮の入口まで貫かれた感覚が走る。
自分の奥で何かが破裂したように快楽が弾けた。
たまらず、喉から息が漏れた。
身体が勝手にひくついて、一気に再び絶頂に向けて快感が飛翔させられる。
「もっとだ」
腰を掴まれ、激しく揺さぶられる。
上下、左右、奥へ──。
肉と肉がぶつかるたび、熱が上がる。
再び絶頂の波が押し寄せるのを感じた。
「ひああ、ああ、あああっ、やめえっ、やめてくれ──ああああ」
がくがくと四肢のない身体が痙攣し、サキはついに絶頂に達してしまった。
身体がばらばらになるかのような鋭い解放感だった。
だが、サキにはさらに苛烈な法悦が待っていた。
男がサキの胴体を使った律動をやめずに、突き回すようにさらに刺激を続けるのだ。
「ひいいいっ」
サキにはもう悲鳴しかあげられなかった。
もう、サキにはただただ二度目の飛翔に昂ぶる官能をなすがままに受け入れるしかなかった。
「あううううっ」
「次にいくときに射精する。そうなれば、真名だけでなく淫魔術でも、お前は俺のものだ……」
男がサキの腰を上下に動かしながら耳元でささやく。
もうどうでもいい──。
サキは乳房を突き出すように胴体を仰け反らせた。
四肢を消滅させられ、完全に自由を失って陵辱されるような男との性愛は、サキを完全に倒錯の快感に引きずり込んでいた。
ぐんぐんと二度目の絶頂に昇り詰めていく自分の身体をどうにもできない。
そのときだった。
突然に男がサキに強要する律動は緩やかになった。
男はサキの当惑を愉しむかのように、怒張の挿入している角度を変化させたり、焦らすように胴体を回したり、肉棒を左右に動かしたりする。
「な、なにをしておる──。い、意地悪するな──」
サキは我を忘れて叫び、もどかしくて、自分から腰をくねらせた。
「やっぱり、サキは可愛い女だ」
男が笑い、やっと律動の速度が一気にあがる。
二度目の絶頂感がついに襲ってきた。
「サキ、これで、お前の俺の女だ──」
男が言った。
「ま、待ってくれ──。名前を──お前の名前を教えてくれ──。あああっ、ああああ」
サキは泣き声のような叫びとともに、昇天した。
すると、視界が真っ白になり、なにも考えられなかった。
子宮の奥に熱いものが流れ込み、全身ががくがくと震え続ける。
「イチロウ=タナカ……。ロウと呼べ…….それが俺の名だ」
「い、いぐうっ……」
男──ロウの言葉を聞いた瞬間、また身体が弾けた。
どくどくと、精も注がれていくのがわかる。
魔力の奥で、自分の身体がこのロウに縛られていくのを感じる。
支配の印が深く刻まれるように……。
それは、サキが想像したこともなかった快感だった。
男に支配される──それがこんなに素晴らしい甘美感だとは、夢にも思わなかった。
「んひいっ、んぎいっ……」
もう声にならない。
身体は快楽の波に呑まれ、意識が溶けた。
それでもロウの動きは止まらない。
驚いたことに、このロウは射精したにも関わらず、固く股間を勃起させたまま、さらにサキとの性愛を続けている。
「も、もうだめええ」
終わりのない昇天のなかで、サキはただ喘ぎ、呻き、悶え、そして、このロウの支配に静かに堕ちていった。