【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
「やめてくれ……そもそも、それはなんだ?」
ベルズは唇を震わせながら言った。
だが、自分の声がこんなにも弱々しく聞こえることに驚いていた。
「クスコというものです。俺の元の世界では医療用の器具ですね」
ロウは淡々と説明する。
そのあいだも、ロウの操る怪しげな器具がベルズの股間にゆっくりと近づいてくる。
「く、くすこ?」
ベルズは、思わず身体を竦めた。
ロウが手に持っている金属の冷たい光が、視界の端で揺れた。
細長い柄の先に嘴のような形をした部品がふたつ並んでいる小さな器具で、磨かれた面が光を返し、わずかに歪んだ自分の顔が映っていた。
その姿があまりにも異様で、胸の奥がひやりと凍る。
「ええ、こういう風に使います」
ロウは器具を宙に持ち上げ、ベルズの目の前で軽く手首を返した。
嘴のような先端が、金属音を立ててわずかに開く。
空を切るような乾いた音が、やけに耳に残った。
もう一度、先端が閉じる。
開いて、閉じる。
その動きを見せつけるたびに、金属が光を弾き、冷たさが胸の奥にまで沁み込んでくるようだった。
ベルズは思わず息を詰めた。
そのたびに胸が上下し、革の帯が微かに軋む。
目を逸らしたくても、逸らせない。
あの冷たい嘴が、さっきどこへ向かおうとしていたのか──背筋が凍った。
「や、やめてくれ。お願いだ──。そんな怖いことは許して──」
だが、身体を支える革の帯に縫いとめられ、さらにスクルズによって魔道も凍結されていては、ベルズにはどうしようもなかった。
「大丈夫よ、ベルズ。痛くないから、問題ないわ」
スクルズがにこにこと微笑みを浮かべたまま、革ベルトで手摺りに拘束されているベルズの片腕にそっと手を置く。
また、股を開いた脚のあいだには、ロウをはじめ四人の女たちが集まり、ベルズの奥を余すことなく観察している。
膝は深く曲げられ、脚は高く持ち上げられて固定されていた。
その姿勢のまま背をわずかに反らされているため、隠す手立てもなく、すべてが晒されているのが自分でもわかる。
冷たい風が下腹をなぞり、皮膚の奥がざわめいた。
視線を感じる。
逃げ場はない。
呼吸を浅くしても、革の帯がそれを咎めるように食い込み、動きを許さなかった。
羞恥が、胸の奥の疼きをじわじわと膨らませていく。
「ええっと……慰めにはならないかもしれないけど、ここにいるみんな、今日すでにロウ様にやられたの」
「まあ、恐怖はあるが、確かに痛くはないな」
「それだけ濡れてれば大丈夫じゃない」
エリカ、シャングリア、コゼもまた声をかけてくる。
だが、誰ひとりとして、ロウを止め立てしようとしない。
ベルズはぞっとした。
「大丈夫だ、力を抜いてくれ、ベルズ殿……」
ロウの操る金属具が改めて股間に近づいてきた。
いよいよ、挿入される──。
ベルズの心が限界まで張りつめる。
そして、次の瞬間、ひやりとした感触が膣に伝わった。
ベルズは思わず息を呑んだ。
「ひいっ……」
声が洩れ、身体が反射的に震える。
けれど痛みではない。
金属の冷たさはすぐに和らぎ、代わりに温かい魔力が肌を包み込んだ。
その感覚は、治癒の術を受けたときのように穏やかで、
同時にどこかくすぐったいほど敏感だった。
「ああ、そんな……」
ベルズは息を詰めた。
「……力を抜いて。そう呼吸を合わせよう……」
ロウの声は穏やかだった。
その落ち着きが、かえって怖い。
逃げられない。
そのことを身体が悟っていた。
じわじわと金属具が潜り込んでくる。
「あっ、こ、これは……ああっ」
思わず甘い声が口からこぼれた。
金属具の挿入とともに襲ってきたのは、予期していた痛みででもなければ、おぞましさではなかった。
身体が痺れるような熱い疼きだったのだ。
開脚させられているベルズの内腿は痙攣のように震えるのがわかった。
「痛みを快感に変える淫魔術がかかっています。だから気持ちいいでしょう? じゃあ、開きますよ」
ロウは静かに告げた。
女としてもっとも恥ずかしい場所がゆっくりと開いていく。
膣の中に風が当たる感触が伝わる。
その瞬間、胸の奥がざわめいた。
痛みではない。
心の奥をなぞられるような激しい疼きが走る。
「……大丈夫だ。ほら、痛くないでしょう?」
ロウが優しくささやく。
ベルズはもうなにも答えられなかった。
ただ、身体がこわばり、息が詰まる。
羞恥と不安と、どうしようもなく熱い快感が入り混じって身体の中で暴れていた。
「さて、じゃあ、性感検査に行こうか……。それにしても、ベルズ殿の場合は、随分と膣周辺と内部に強い性感帯が発達しているな……」
ロウがそう言いながら、またもや宙から取り出すように、一本の短い指し棒を手に取った。
手を大きく広げた親指と一刺し指よりもやや長いくらいのものであり、先端に小指の爪よりも小さい金属球が取り付けられている。
「まずはここだな……。膣口の入口上端だ」
穏やかな声だった。
それがかえって恐ろしく、ベルズは息を詰めた。
金属の先端がわずかに揺れ、取り付けられている膣の開口具を通って、冷たい光が瞳に映る。
「……ひあああっ、あああ……」
丸い先端が膣の入口部に挿入されて押しつけられた瞬間、そこから強い衝撃が走り、弱い電撃のような刺激とともに、球体が振動したのだ。
「ああっ、いやあっ、や、やめてえ──」
まるで生きもののように動く先端の小さな球体の刺激に、ベルズは狂気のように拘束された身体を懸命に暴れさせながら、悲鳴をあげた。
だが、ロウはその刺激を伝える球体を離してくれない。
あっという間に、ベルズは追い詰められてしまった。
「ああああっ」
全身を激しく突っ張らせて、椅子に拘束されている裸身を突っ張らせる。
「抵抗しても、結果は同じだ……」
ロウが手を離す。
ほっとした。
だが、震えはまだ残っている。
それにしても、たった一点に触れられただけなのに、全身が痺れたままだ。
しかし、息を整える間もなく、胸の奥がまだ跳ねている。
自分の反応の速さに、ベルズは息を呑むしかなかった。
「……そして、ここもだ」
その口調は冷ややかでありながら、どこか楽しんでいるようでもあった。
次の瞬間、金属棒がかなり膣の深くまで侵入していたことに気がついた。
ほとんど最奥だと思う箇所に、金属棒の先の球体を強く押しつけられた。
「ひあああっ、うあああっ」
瞬間、細い震えが身体の芯を貫いた。
自分でも驚くくらいの大きな声が喉から迸った。
眼がくらみ、全身からどっと汗が噴き出している。股間が炎を吹きだしたかと思うくらいに熱くなり、足置きで開脚させられている二肢の太腿がぴんと硬直した。
次いで、またもや
熱と光が同時に弾け、思考の輪郭が溶けていくようだった。
「膣全体の感受性が抜群ですね……。多分、“守る”という意識が強すぎるせいでしょう。だから、膣そのものが反応してしまう……」
ロウが子宮口付近から先端を離し、膣襞を擦るように全体にかけて擦る。
一気に快感が下腹部から脳天に向かって突き抜けていく。
「ひあああっ、だめよおお」
喉の奥から声が洩れ、身体がわずかに跳ね、気がつくと泣き声のようなものを迸らせていた。
革の帯が軋み、息が荒くなった。
金属棒が入口部から奥に進み、再び子宮口をぐいと押す。
「んはああっ、ロウ殿おお──」
熱い息を大きく吐き出し、ベルズはがくがくと身体を揺すらせて、快感を極めてしまっていた。
ロウが棒を抜くとともに、くすこ……とやらも引き抜かれた。
ベルズは肩で息をしながら脱力した。
「ベルズ殿の性感帯……。膣口上端部……いわゆるGスポット……、子宮頸部、そして、膣内全体だな。エリカ、記録しておいてくれ」
ロウが笑う。
エリカがはいと返事をして、壁にあった表のところに戻っていく。
もしかして、あそこに、この馬鹿げた検証の結果を記録していっているのか……。
ベルズは息を整えながら、恨めしく回りを見渡し、スクルズに視線をとめる。
「はあ、はあ、はあ……。も、もう、やめよ……ス、スクルズ、頼む。こんなことやめさせてくれ……。満足しただろう……」
ベルズはスクルズを睨んだ。
だが、ロウは微笑を崩さぬまま、手を伸ばして、ベルズの顔をロウに向けさせる。
「スクルズに助けを求めても無駄ですよ。スクルズは、自ら進んで俺に協力している」
ロウの声は穏やかだった。
だが、その言葉のひとつひとつが、冷たい刃のように胸を刺した。
「そうよ、ベルズ。素直になりなさい。あなた、苛められると弱いけど──ほんとうは嫌じゃないでしょう」
スクルズが微笑みながら、ベルズの顔を覗き込む。
その瞳の奥にあるのは、同情ではなく、理解だった。
「そ、そりゃあ……嫌いではないが……」
声が震える。
嫌いではない。
むしろ──惹かれている。
それを自覚した瞬間、胸の奥が熱を帯びた。
羞恥と快感がせめぎ合い、思考の輪郭が曖昧になっていく。
「とにかく、ベルズも定期的に俺の屋敷に来て悪戯されにくるんです……。さもないと、今日みたいに、理不尽に襲いますからね」
ロウが顔から手を離す。
「ロウ様、ベルズは性格上、なかなか自分では夜這いには来ませんわ。だから、どうぞ、遠慮なく襲ってあげてください。ベルズは、それが好きだと思いますわ」
すると、スクルズが横から愉しそうに口を挟んだ。
「お、お前──なにを言っておる。襲われるのは好きではない──」
慌てて否定する。
だが、横からけらけらと笑い声がした。コゼだ。
「なに言ってるのよ、ベルズ様。あんたと違って、スクルズは夜這いの常連じゃないの。毎晩どころか、日に数回はロウ様に抱かれに来てるじゃないのよ」
ベルズは目を瞬かせた。
スクルズが、日に数回だと?
「ちょ、ちょっと待て、スクルズ──。最近やたらと儀式の交代を頼みに来ると思っていたが……まさか、ロウ殿のところに通うためではないだろうな」
首だけを動かしてスクルズを睨む。
スクルズは一瞬きょとんとしたが、すぐにロウに満面の笑みを向け直した。
「ロウ様、次は膣圧検査ですわ。検査具を出してあげてください」
そう言いながら、ベルズの脚のあいだからすっと身を引き、ロウの背後へ隠れる。
「ま、待たんか、スクルズ──」
ベルズは声を荒げた。
「やっぱり、話が通じてなかったみたいね」
コゼが呆れたように肩をすくめる。
「問題なし……というわけでもなさそうだな」
シャングリアは口元をゆるめ、面白そうに笑っている。
「あとで、ちゃんとベルズ様と話しなさいね」
エリカも穏やかに言葉を添えた。
その彼女たちのやり取りを見て、ベルズは悟った。
コゼの言葉は冗談ではなかったのだ。
この数箇月、スクルズから「神務の都合で」と交代を頼まれることがやけに増えていた。
もちろん、互いに融通を利かせ合うのが神殿での常ではある。
だが──まさか、それがロウの屋敷に通う口実だった?
羞恥と怒りでかっとなる。
「ははは、まあいいか。じゃあ、ベルズ殿、最後の検査です。膣圧の測定ですよ」
ロウが手をかざすと、またもや空間がかすかに揺らいだ。
気がつくと、今度も奇妙な器具が形を結ぶ。
それは、張形に似ていた。
ただし、先端からは細い管が伸び、その先に透明な筒と、空気を送り込むための小さなゴム球が繋がっている。
金属と硝子の継ぎ目は滑らかで、中央には微細な目盛りが刻まれ、魔術の紋章が淡く光を帯びていた。
医療具のようでありながら、どこか淫靡な艶を帯びている。
「これが膣圧計です。締まり具合を測るためのものですよ。痛みはありません。これも俺の淫魔術がかかってますしね」
ロウは淡々と説明する。
ベルズはぼんやりとその器具を見つめたまま、力なく息を吐いた。
「……わ、わかったけど……まだ、気をやったばかりで身体がくたくただ……」
ベルズはできれば、少し休憩をさせて欲しくて、ロウに哀願する。
すると、ロウの背後からスクルズがひょいと顔を出した。
「まあ、ベルズ、ロウ様がお相手ですもの。一度くらいじゃ許されないわ。二度、三度……いえ、もっと達してようやく精をお放ちになるんだから、そんなんじゃだめよ」
スクルズがにこにこと言う。
その無邪気な声音が、逆にベルズの神経を逆撫でした。
「お前は黙っておれ──」
ベルズは顔を真っ赤にして怒鳴った。
スクルズは肩をすくめて軽く笑い、またロウの背後へと引っ込んだ。
ロウは小さく息をつき、静かに器具を構え直した。
「では、始めましょうか……。もっとも、数字はちゃんとした単位じゃないので目安です。魔道具に伝わる魔力を換算したもので、平常時の一番はシャングリアの二十タルスだったな……。それを目指して頑張りましょうか」
ロウの声はいつも通り静かで余裕があった。
視線を向ける。
器具の金属部分が淡く光り、先端の丸みが微かに輝く。
「シャングリアは騎士だしね。ウマに載るから、さすがに脚の締め付けの力は強かったわね」
コゼが悪戯っぽく笑う。
「ベルズ、気を抜かないのよ」
スクルズもまた、ロウの背後から顔をのぞかせて、にこにこと言葉を添える。
「ロウ様の手元で数値が上がる瞬間、見るのが楽しいのよ」
もうどうにでもなれ──そんな思いが、ゆっくりと身体を支配していく。
逃げ場もなく、羞恥も怒りもすでに溶けていた。
「……好きにしてくれ……」
ベルズは静かに目を閉じた。
「じゃあ、遠慮なく」
ロウが短く頷いた。
器具の先端が、ベルズの膣口に当たった。
張形の表面にはわずかな柔らかさと温もりがあった。
「挿れますよ……。力を抜いて……」
その声を聞いた瞬間、ベルズの肩がびくりと揺れた。
「あっ、はい……」
冷たくもしなやかな感触が、秘められた場所の入口に触れる。
押しこまれるたびに、内側の筋がゆるく開かされ、やがてきめ細かい粘膜の奥を滑っていく。
「あっ、ああ……」
身体の奥に知らない圧が入り込む。
膣の襞が器具の表面を撫でるようにすべり、ひと筋ひと筋が反応して細かく震えた。
痛みではない。
むしろ、擦れ合うたびに熱がこもり、息を詰めるほどの切なさが胸を満たす。
「ああっ……」
声を抑えきれずに、またもや甘い喘ぎ声を漏らした。
羞恥よりも身体が勝手に応じてしまう感覚の方が先に来る。
唇を噛んで耐えようとするが、脚の奥がわずかに震えた。
ロウは淡々と動作を続ける。
手元の管に軽く指を添え、器具をもう少し押し進めた。
「あっ、くっ……」
ベルズの腹の奥がふっと持ち上がるように反応し、体内で微かな収縮が起きた。
やがて、器具が完全に収まり、静けさが戻る。
「準備はいいですよ──。じゃあ、締めつけて──」
ロウの手元がわずかに動いた。
「うわっ、なに?」
身体の奥が不意に反応し、ベルズの喉から息が迸った。
膣の中に挿入されている張形がどんどんと膨れだしたのだ。
びっくりして、ロウの手元に視線をやる。
ロウは手のひらのある軟らかい球体を押し揉んで管を通して空気を張形に送り込んでいるのだとわかった。
下腹部の奥が強張り、筋がひとつずつ目を覚ますように収縮していく。
「ああ、いやああっ」
思わず悲鳴をあげる。
「締めつけて──」
ロウの鋭い声が落ちた。
「は、はいっ」
命じられるまま、ベルズは腹に力をこめる。
だが、思うようにいかない。
羞恥で呼吸が乱れ、力がどこに入っているのかさえ分からなくなる。
それでも、意識を集中させ、奥をきゅっと絞る。
次の瞬間、腹の内側に圧が返り、全身の血が逆流するような感覚が走った。
「ああっ……」
息が詰まる。
理性では制御できず、身体が勝手に締めつけを繰り返す。
数字を測るための行為であるはずなのに、
その律動が快楽と紙一重のものだと、嫌でも思い知らされる。
ロウが手元の筒を見やり、穏やかに声をかけた。
「いい反応です……。平常時“17タルス”というところかな……。じゃあ、そのまま絶頂時膣圧にいきましょう……。ほら、みんな」
ロウが言った。
すると、いつの間にかベルズの左右に分かれていた四人の女たちが一斉に両手をベルズの裸身に伸ばす。
「ああ、いやあっ」
周囲の気配が、静かに近づいてくる。
誰の手が、どこにあるのかわからない。
だが、左右から乳房が揉まれ、乳首をくすぐられ、内腿をまさぐられて、脇腹、陰核を刺激される。
皮膚が一斉に反応した。
熱がひと筋ずつ這い上がり、背筋がわずかに弓なりになる。
「ごめんね、ベルズ様。ロウ様の命令なんです」
「全員が同じことを受けたのよ」
エリカとスクルズだ。
どうやら、胸を責めているのがそのふたりだとわかる。
「まあ、そういうことだ」
「そうね」
シャングリアとコゼ──。
このふたりは左右から下腹部を責めている。
「いやああ、ああああ──」
逃げることもできず、抗おうとする意志もほどけていく。
呼吸が追いつかない。
胸の奥で打つ鼓動が、自分のものとは思えなかった。
「いいですよ……そのまま」
ベルズは目を閉じた。
痛みでも快感でもない、名も知らぬ熱が全身を満たしていく。
もう、どこまでが自分なのかさえわからなかった。
「そういえば、ここも性感帯ですよね」
すると、膣圧計を握って見守っている気配だったロウが膣圧計が挿入されている膣口のさらに下側の肛門に指を伸ばしたのがわかった。
そこに指を挿入される。
「ひあああっ、ああああ」
ベルズはけたたましい悲鳴をあげて、拘束されている裸身を狂気のように悶えさせた。
全身が強く痙攣して、膣が内部の張形を強く喰い締める。
「あああっ、あああ──」
八本の女の手とロウの指──。
ベルズはついに、むせるような息を吐いて、革ベルトで縛られている裸身を羞恥椅子の上で大きく反り返すようにした。
陶酔の極みを強引に突き破らされ、ベルズはがくりと脱力する。
やがて、ロウが手元の筒を軽く叩いた。
「よし、数値は出ました。──絶頂時、八十八タルス。かなりいい数値でした」
穏やかな声だったが、その数字の響きにベルズの胸がざわついた。
女たちの小さな歓声も上がった。
「やっぱり、筆頭巫女様は格が違うわね」
コゼが笑う。
「問題なしですわ」
スクルズも陽気に声をかけた。
ベルズは恥ずかしさと脱力感の中で、ただ項垂れるしかなかった。
「さて……終わりました。じゃあ、膣圧計を抜きますね」
ロウが柔らかな声で言い、器具を慎重に引き抜いた。
金属部がわずかに動くたび、肌の奥がざわめく。
膣壁を離れていく感触が、生々しい記憶として残った。
「あんっ……」
息が洩れた。
それは痛みではなく、長く緊張していた身体がようやく解かれたためだった。
「じゃあ、今度は新しい下着を贈りますからね。愉しみにしておいてください」
ロウが満足げに笑った。
「もう……本当に好きにしてくれ……」
ベルズは項垂れ、羞恥椅子に縛られたまま荒い息を吐く。
「まあまあ……、でも、さすがに怒っているでしょうから──お詫びのセックスです」
ロウは腰のベルトを外した。
布が擦れる音が部屋に沈み、女たちが一斉に息を止める。
「おい、まさか……まだ続ける気か?」
だが、羞恥椅子の高さがわずかに動き、ベルズの身体が持ち上がっていく。
下腹部がロウの股間の高さにぴったりに調整された。
視界の端で金具が光る。
背筋が粟立ち、腹の奥に冷たい感覚が走る。
「ま、待ってくれ。まだ公務の途中だ。許してくれ……」
ベルズは躊躇した。
これまでに幾度か味わったロウとの行為──
快楽と引き換えに、精も魂も抜き取られるような果て方──。
この男は絶倫なだけでなく、あまりにも性技が上手すぎるのだ。
一度始まれば、終わりなど望めない。
何度も果てさせられる……。
ぞっとなった。
「まあまあ。でも、怒っているでしょうし……」
「怒ってないと言っておるだろ」
ベルズは必死に声を荒げる。
だがロウは軽く肩をすくめ、まるで遊びの続きを告げるように笑った。
「でも、俺はやりますよ。お詫びのセックスは大事ですからね」
女たちは誰も止めず、静かに成り行きを見つめていた。
ベルズは目を閉じ、息を詰める。
羞恥椅子の高さがさらに調整され、背筋がわずかに反る。
「ま、待ってくれ……」
だが、その言葉が落ちた瞬間、部屋の空間がわずかに歪んだ。
「旦那様、お愉しみのところ、申し訳ありません──」
澄んだ鈴のような声が響き、ついで、屋敷妖精のシルキーが姿を現した。
光を帯びたその姿が静寂を断ち切る。
「どうした、シルキー?」
ロウが顔を上げた。
「シャーラというエルフ族の女性がお見えになりまして、旦那様にお取り次ぎを願いたいと申しております」
「シャーラ?」
ロウが眉を寄せる。
女たちは互いに顔を見合わせた。誰も知らない名だった。
「俺を訪ねてきたのか?」
「はい。それと──」
シルキーは両手を前に差し出す。
光の中から、女物の衣服がふわりと現れた。
「あれっ、それ……ミランダの服じゃないか。確か、ロウが贈ったものだな」
シャングリアが声を上げた。
淡い水色の上衣とスカート。靴と下着、胸当てまで。
どう見てもミランダのものだった。
「紐パンとブラもあるじゃないの」
コゼも肩をすくめる。
その一言に、場がぴんと張りつめ、女たちは一斉に息を詰めた。
「どういうことだ……?」
ロウが低く呟く。
ベルズが横を向くと、シルキーの顔には滅多に見せない困惑の色が浮かんでいた。