※この作品はR-18です。

【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】   作:ドン・ドナシアン

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173 逆さ吊りとエルフ殺し

「あ……あぁぁ……っ」

 

 逆さ吊りにされたまま、二度目の絶頂の波が襲ってきた。

 声を抑えようとしたのに、喉の奥から甘い音が漏れる。

 硬直した身体に快感が貫くとともに、やがて倦怠感が襲って全身の力が抜けていった。

 力が抜けた腕は、そのままだらりと下へ落ちていく。

 

 切断された布切れが滑り落ち、めくれ上がったスカートの奥も露わになっている。

 肌の上を、汗と愛液が混じり合って流れていく。悶えるたびに、ぬるりとした感触が全身を包み、そこから熱が逃げていく。

 だが、身体は熱い。

 逆さ吊りの顔の下から噴き上がる媚香と、股間に注がれた強い媚薬の影響で、身体は淫欲に荒れ狂っていた。

 

 ──もう、どうにもならない。

 息を吸うたび、媚香の熱が身体の奥に染み込んでいく。

 エルフ族の女を発情させるという香だという……。

 頭がぼうっとして、羞恥も痛みも遠ざかっていく。

 

「ああ……かゆい……。で、でも……気持ち……いい……。もう、溶けそう……」

 

 自分でもおかしいと思う。

 なのに腰が勝手に動く。脚が擦れ合うたび、痒さと快感が混じって涙が滲む。

 とめたいのに、とまらない。

 ──この人の前では、なにも隠せない。

 快感を求めて、力の抜けた腕を必死に股間へ伸ばしていく。

 腕が引きつるほどの疲労で包まれているが、もうシャーラの意思ではどうにもならないのだ。

 届いた……。

 シャーラは必死になって、自分の秘部に指を潜らせて自慰を再開する。

 

「あ、ああ……ああ……」

 

 たちまちに口からこぼれる甘い声……。

 恥ずかしい。

 でも、やめられない。

 シャーラは指を動かし続けた。

 

「何度も言っているが、シャーラ……。その液剤はあなたの愛液に反応して痒みを引き起こす……。自慰なんかして愛液を増やしたら、ますます痒くなるぞ」

 

 聞こえた声に胸の奥が震えた。

 冷たいのに、どこか優しさを感じる。

 強者の声だ。命令されるより前に、身体が従ってしまう。

 

「……ロウ……殿……」

 

 気づけば、唇がその名をこぼしていた。

 視界の端で、コゼたちが動くのが見えた。

 ロウがなにかを指示している。

 だが、自慰に夢中のシャーラにはよく聞き取ることができなかった。

 

「シルキー、準備してくれ……」

 

 辛うじて聞こえたのは、その言葉……。

 ──ああ、どうやら、新たな責め苦を与えられるようだ。

 でも、逃げる力はない。

 されることを甘受するだけ……。

 

 しかし、なぜか、恐怖よりも奇妙な安堵のほうが大きかった。

 この男に委ねればいい。もう抗う必要はない……。

 

「……こ、こんなの……ずるい……わ……」

 

 口が勝手に動く。

 でも、その声にはもう怒りは残っていない。

 甘えのような……拗ねているだけのような……。

 シャーラ自身でも、もう感情を制御できない……。

 

 屋敷妖精のシルキーがなにか持ってきた……。

 首環だ……。

 ただの首環ではなく、首環の前側に手枷が接続されていた。

 自分がそれを嵌められるのを、ただぼんやりと見ていた。

 

「ふふ、すごいわね、このエルフ殺し……。今度、こっそりエリカに嗅がせてみようか……。ねえ、ご主人様、いま薄らと煙りみたいに出てますけど、無色無臭に調整できませんか?」

 

「多分、できると思うぞ。クグルスにさせればいい。あいつ、最近、また能力があがったらしくてね。淫具も媚薬も作ってくれる」

 

「じゃあ、今度、頼んでみよう」

 

 コゼとロウだ。

 クグルスというのが誰なのかわからないし、会話の内容の半分の頭には入ってこない。

 そのあいだも、香はシャーラの逆さ吊りの頭の真下から容赦なく漂う。

 息を止めるわけにはいかないシャーラは、それを嗅ぎ続けるしかないのだ。

 胸の奥まで甘い煙が入り込み、息をするたびに頭が揺れる。

 ──すると、やっと香炉をどけられる音がした。

 

「まあ、気の毒だが、ロウを狙ったようだからな。こうやって反撃されるのも仕方ないか」

 

 シャングリアがシャーラの首に首環を嵌めて、股間をいじっていたシャーラの手首を掴んだ。

 

「ああ、いや……」

 

 抵抗しようと思っても、もう身体が言うことをきかない。

 力の抜けた腕を首の前に持ってこられて、首環に繋がっている手錠を嵌められる。

 金属の感触が首の周りに触れる。続いて反対側の手首も……。

 冷たいのに、その冷たさが心地よく感じた。

 両手首が首の前で固定された。

 

「じゃあ、エルフ殺しをまた吸ってね」

 

 コゼの声……。

 ずらされていた香炉が再び頭の下に戻されて、媚香が顔に向かって漂い昇ってくる。

 鼻と口からそれを吸う。甘い香が喉を撫で、胸の奥で膨らんだ熱が視界を滲ませる

 

「ああ、もう……これは……いや……。ゆ、許して……」

 

 シャーラは呻くように言った。

 息を吸うたびに身体が疼く。

 香に含まれた媚薬が、体内で疼きに変わっていくのがわかる。

 発情しきっている身体がさらに発情させられていく。

 シャーラに絶望感が拡がるとともに、それは心地いい酔いのようになる。

 

 この部屋から逃げることはもうできないだろう──。抵抗する手段も、機会もない。

 ただ征服されるだけ……。

そう思うと、なぜか心が静かになった。

 

「エルフ殺しか? 面白い名前だな」

 

 笑い声……。

 多分、ロウ……。

「あたしが名付けました。いいでしょう、ご主人様?」

 

「まあいいよ」

 

 コゼの愉しそうな声……。

 心の底から、コゼという人間族の女がロウに甘えを示しているのがわかる。

 口調にも、態度にも、仕草にも、コゼにはロウへの心服があった。

 羨ましいほどに……。

 

「さて……。もう、これは無用ね、シャングリア、服を取っちゃうわよ」

 

 コゼの声がまた聞こえる。

 「容赦ないな」とシャングリアが笑っている。

 刃のきらめきが視界の両端で光ったかと思うと、スカートの布が裂け落ちていく。

 上衣にまとわりついていた布切れも次々に床に落とされていく。

 冷気が肌を撫で、肌に汗が貼りつく感覚が生々しい。

 ──もう隠すものはなにもない。

 羞恥よりも、どこか安心に近い感覚が広がっていった。

 

「降ろしていいぞ、シルキー」

 

 ロウの言葉に続いて、逆さ吊りにされていた身体が静かに床にさがっていった。

 頭に続いて上半身が床に着いて、身体がふっと軽くなる。

 身体が床に横たわった瞬間、全身の血が一気に逆流して、眩暈のような感覚が走った。

 床に触れる足が、ひどく遠く感じる。

 

「コゼ、シャングリア、これを脚に嵌めてくれ」

 

 ロウがふたりに拘束具らしきものを渡すが見えた。

 黒い革の袋のようなものを、シャングリアに渡している。

 

「これはなんだ?」

 

 シャングリアの声が少し楽しげに響く。

 

「両脚を完全に曲げさせて包み、紐で縛るものだな。膝の外側がひずめのように固くなっているだろう? それを嵌められたら、四つん這いでしか歩けなくなる」

 

 ロウの説明が耳に入る。

 

「人を犬のようにする拘束具か……。こんなものがあるのか。でも、わたしはされたことはないぞ」

 

 シャングリアの感心するような言葉……。

 女を犬にする拘束具……。その言葉の意味がゆっくりと頭に沈んでいく。

 もう、どうにでもなれと思う……。

 抵抗しても無駄だ。

 その無力さがもはや心地よい。

 

 脚を折り曲げられ、革の感触が皮膚を包み込んでいく。

 気がつかなかったが、いつの間にか足枷は外されていたみたいだ。

 すでに、足先から太腿までを長い革靴のようなもので包まれ、コゼとシャングリアの手が、慣れた動きで紐を締めていっている。

 脚を折り曲げさせられ、その状態で左右とも固定されていく。

 

 痛みはない。

 脚を動かそうとしても、もう曲げたまま伸ばせない。

 ──これで立てない。

 歩くなら、膝立ちか、四つん這いになるしかない。

 頭では屈辱を感じているのに、胸の奥のどこかが妙に静かだった。

 

 遠くで、ベルズとスクルズの声がした。

 ふたりがロウに懇願している。

 なにをしているのか。霞んだ視界の向こうに見えたのは、膝をついて頭を垂れる姿だ。

 筆頭巫女のふたりもまた、両手を縛られている。

 そして、なにかをロウに哀願しているようだ。

 ロウの前に跪く、その従順な姿がなぜか美しく見えた。

 

 ──ロウ、スクルズ、ベルズは会話を続けている。

 言葉の意味はぼんやりしているのに、その響きだけが胸の奥を震わせる。

 すると、泣くような声が聞こえた。

 ベルズだ……。

 もうひとり……スクルズの息づかいも重なる。

 なにを話しているのか、はっきりとは聞き取れないけれど、その声が震えながらも、どこか甘く濡れていることだけはわかった。

 

 視界が霞んでいる。

 床に横たわる自分のすぐ先で、ロウが立ち上がるのが見えた。

 衣擦れの音──布が落ちる。

 そのたびに、香の熱が再び押し寄せてきて、思考が途切れそうになる。

 

 そして、霞んだ視界の向こうで、巫女服の白が揺れている。

 上半身だけを残して、下は裸……。

 その肌が香の光を受けて湿ったように輝いて見えた。

 股のあいだから、ぬらりと光る筋が見える。

 媚薬の香がそこにも漂っている気がして、喉の奥が焼けるように熱い。

 ロウが床に仰向けで横になった。

 すると、後手に拘束されたスクルズとベルズが競うようにロウに跨がろうとして、結局、スクルズがロウの股間の上に跨がった。

 仰向けで寝そべっているロウは男根を天井に向かって勃起させており、それに自分の股を咥えさせるように、スクルズが股間を上から挿入させたのだ。

 ああっ──喘ぎながら、スクルズが淫らに腰を揺らす。

 その動きに合わせて、ロウとスクルズ、そして、ベルズの吐息が混ざる。

 

 ──なんて、淫らな光景なのだろう……。

 頭のどこかで、冷静にそう思った。

 強い者のまわりに、女が集まっていく。

 抗う者も、許しを乞う者も、結局みんな同じところへ行き着く。

 それがこの世界の理なのかもしれない……。

 

 また声が上がった。

 それがベルズかスクルズか、もうわからなかった。

 ただ、その悲鳴にも似た声の中に、快楽の色が混じっていることだけは、はっきりと感じ取れた。

 彼女たちほどの高位魔道遣いが、あれだけ屈した態度を見せるロウ……。

 彼であれば、あの可哀想なイザベラを助けることができるのだろうか……。

 

 そのときだった……。──突然に、なにかが……股間に……鋭敏なクリトリスに食い込む感触が襲ったのだ。

 

「ひぐううううっ」

 

 瞬間、下腹の奥ががくがくと震え、絶叫が口から迸った。

 なにをきれたのか理解する前に、身体の奥から熱い波が湧き上がり、思わず声がこぼれた。

 激痛に次いで、今度はせきあがる淫情──。

 鋭い輪が根元を締め、鼓動のたびに細かな痺れが広がる。

 

「あ……っ、あああっ──」

 

 息を止めても、震えが止まらない。

 腰の奥で脈動が続き、甘い疼きが広がっていく。

 なんだ、これは……?

 

「それはねえ、女淫輪っていうらしいわ……。西の海の向こうから渡ってきた魔具だそうよ」

 

 コゼの声が、どこか楽しげに耳に届く。

 女淫輪……?

 「淫輪」という言葉だけがやけに鮮明に頭に響いた。

 胸の奥がざわめく。怖いのに、声の響きが妙に心地よい。

 

「女の子の大事なところに嵌めるとね……、そこがずっと疼くように作られてるの。外すことができるのは、ご主人様だけ……。嵌めることはできても、外すことはあたしたちにはできないわ」

 

 コゼの言葉を聞いた瞬間、理解よりも早く身体が反応した。

 

「ああっ、だめええっ、これはだめよおおっ」

 

 熱が走る。

 気がつくと、必死になって、曲げたまま伸ばせないように固定されている太腿を擦り合わせてしまっていた。

 ぬめるような感触が伝わり、また震えが強くなった。

 自分でもわかる。

 息がこぼれるように、股間から愛液の固まりが断続して吹きだしている。

 

「や、やめて……これ……なに……あああっ」

 

 掠れた声が勝手に漏れる。

 言葉よりも先に息が乱れた。

 下腹が締めつけられるたび、胸の奥まで熱が駆け上がる。

 身体が勝手に腰を揺らす。羞恥と混乱で涙が滲んだ。

 

「あああ、こ、この変な……輪っか……外して……。お願い……」

 

「それを外せるのは、ご主人様だけと言ったでしょう。ご主人様に頼むのね。もっともいまはお取り込み中のようだけど……」

 

 コゼの声が穏やかに響く。

 自分の身体が誰の手の中にあるのか、嫌でも思い知らされる。

 

「ああ、そんなあ──」

 

「だから、しばらく部屋を散歩するわよ……。この広間をぐるぐると歩きなさい。犬のようにね」

 

 両手首が繋がっている首環に鎖が繋がれた。

 ぐいと鎖が引かれて首環が鳴る。

 

「あぐっ」

 

 四つん這いのまま、床の冷たさと香の熱気が肌に入り混じる。

 

「そら、脚を前によ。四つん這い……じゃないわね。脚だけだから、二本脚のにわとりかな。こけっこうとでも鳴いてみる?」

 

 コゼが首環の鎖を引きながら嘲笑する。

 

「ふ、ふざけ……ないで……」

 

 かっとなった。

 ロウにならともかく、どうして、ロウの女たちにまで、こんな仕打ちを受けなければならないのか──。

 だが、怒声を張ろうとしたが、震えて弱々しくしか出なかった。

 鎖が強く引かれ、強引に足をよちよちと進ませられる。

 折り曲げた膝だけで進み、鎖で引っ張られる体勢に合わせて、上半身を浮きあがらされる不安定な格好でだ……。

 屈辱で頭に血が昇る。

 

 それでも、シャーラは必死に膝を進める。

 ──屈辱なのに、止められない。

 首を引かれるたび、熱が身体の奥を焦がしていく。

 怒りも羞恥も、もうどこかへ溶けてしまいそうだった。

 

「ぎゃあああああ」

 

 いきなりだった。

 突然に、首の根もとに火花が走ったのだ。

 胸の奥がぎゅっと縮み、視界が白く弾け、床が背中に叩きつけられた。

 膝立ち這いの姿勢は崩れ、仰向けに転がったまま、喉の奥から情けない声が洩れた。

 

「ふふ、びっくりした? これよ……」

 

 首から流れた電撃はとまっている。

 シャーラはひっくり返ったまま、視線だけをコゼが向けた手に向けた。

 コゼの手のひらで、小さな板切れのようなものが光っていた。

 

「なにしてんの? 早く立ちなさい」

 

コゼの指が軽くその板に触れた。

 

「はぎゃあああ──」

 

 首環の内側が焼けるように弾け。耐えられない苦痛が襲いかかってきた。

 電撃──いや、これはそんな生やさしいものじゃない。苦悶そのものだ。まるで頭の中にある苦痛の感覚をいじられているかのように苦痛が襲いかかってくる。

 シャーラは、これまでキシダイン派との抗争のなかで、拷問を受けたことも、施したこともある。

 生娘でなくなったときも、その拷問の中だった。

 しかし、これに耐えられるとは思わなかった。

 この苦悶は、単純な電撃とは異なるものだ。

 電撃がとまる。

 すでに、シャーラが恐怖に心が押し潰されてしまっている。

 

「事変わらず、ロウの作るものはえげつないな。多分、淫魔術仕上げなんだろう? 内側から苦痛を与える電撃もな」

 

 コゼの横にいるシャングリアが息を吐いた。

 

「そうでしょうね。まあ、ご主人様に手を出そうとした女には丁度いい仕打ちよ」

 

 コゼがまたもや、手に持っている板に指を伸ばす仕草をする。

 

「ま、待って──立つ──。立つわ──。それはやめて」

 

 必死に身体を捻り起こし、膝立ちへ戻る。汗は滝のように落ち、床に斑点を作った。

 

「部屋を十周よ。この広間は広いわ。頑張らないと終わらないからね。それと、ちょっとでも速度が落ちれば、容赦なく電撃を流すから……」

 

 コゼが酷薄な口調で言った。

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