【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
オタビアの意識がゆっくりと浮かび上がってきた。
息を吸った瞬間、胸の奥がふわりと軽くなっているのを感じた。
苦しさに締め付けられていた心臓が、どこか遠くへ押しやられたような……そんな不思議な静けさだけが残っていた。
目を開くと、まだオタビアは「調教椅子」に縛られていた。
相変わらず裸であり、汗で重たくなっている肩から指までの長手袋だけを身につけている。
でも、あれほど全身を焼いた痒みは跡形もなく消えていた。
身体は疲れ切っている。
それなのに、胸の奥では満たされたような温かい余韻がゆっくりと広がっていく。
深いところから浮かんでくる安堵と幸福が、むずむずと胸の内側を撫でていく。
「……どうして……こんなに……?」
声が自分のものとは思えないほど柔らかかった。
死ななければならないという罪悪感で、あれほど胸を締め付けていた気分が、どこかへ溶けて消えている。
その変化に戸惑いながら、断片的な記憶が少しずつ繋がっていった。
ロウに掻痒剤を塗られ、意地悪く問い詰められたこと……。
ダリアを助けたければ、オタビアがロウを受け入れろと追い詰められたこと……。
恐ろしくて震えながら、それでもダリアを救いたくて必死に口を開いたこと……。
そして──ロウに抱かれ、身体の奥が砕けるように何度も絶頂し、声も意識も消えていったこと──。
思い出した途端、胸の奥がふるりと震えた。
羞恥よりも先に、幸福感が込み上げてきて喉の奥で小さく笑いが漏れてきた。
「……ふふ……。わたし……ロウ様に……抱かれたんだ……」
その瞬間、自分でも驚くほど自然に頬が熱を帯びた。
あれほど怖かったはずの彼を、いまは怖いとは全く思えない。
むしろ、全身を包まれたあの感覚を、もう一度思い出したくて胸が甘く疼いた。
どうして、あんなに怯えていたのだろう
そのこと自体が不思議でたまらなかった。心のどこを探っても、ロウへの恐怖が影も形も残っていないのに……。
そのとき、正面から鋭い悲鳴が飛び込んできた。
「かゆ……っ……かゆい……っ……あああっ……いやああ──」
はっとした。
ダリアだった。
オタビアの顔の真正面、数歩先の調教椅子で両脚を開かされたまま痙攣し、涙と汗に濡れている。
股間に残る掻痒剤が暴れているのだろう。
いや、確か、ダリアは局部だけでなく、お尻の穴にもクリトリスにも掻痒剤を塗られていたはずだ。
腰を持ち上げるように跳ね、息が途切れるたびに震える顎が小刻みに揺れている。
汗もすさまじいが、股間から垂れ出ている愛液もすさまじい。その濡れ具合に、オタビアも羞恥でかっとなる。
「そうだろうな。痒いに決まっている。さて……それで俺に抱かれる気持ちになったか?」
そのすぐ横に、黒いガウンだけを身につけたロウの姿があった。
小筆を指に挟み、ダリアの内腿のぎりぎりまでゆっくりと滑らせている。
一番痒い部分を避けるように、股間の襞や肛門のすぐ周囲だけを掃くように、小筆をゆっくり動かしているのだ。
痒みだけを増幅するような、ぞわりとした動きだった。
「ひいい──もう、筆は許して──」
「許して欲しいなら、口にするのはひとつだけだ。何度も教えたろう?」
ロウの声は淡々としていた。
それなのに、筆先だけがいやらしくダリアの股間をなぞっていく。
小筆が局部を掠めるたびに、ダリアの太腿がびくっと激しく跳ねる。
「お……お嬢様を……許すって……約束した、のに……。ひ……卑怯者……」
涙で濡れた顔を歪め、ダリアが喉をふるわせながら叫んだ。
声は怒りというより、痛覚と痒みの混じった必死の抗議だった。
「そんなことを言った覚えはないぞ」
ロウが笑った。
筆は動きを止めず、内腿のさらに際どい部分──クリトリスに向かってゆっくりと近づいていく。
しかし、おそらく触れてない──。触れないまま、触れたのと同じほど強く、ダリアの理性を削るような軌跡を描いた。
「ひ……いや……っ……やだ……っ……ロウ様……」
ダリアの声は抗議のかたちを保ちながらも、苦痛と痒みが混ざって崩れかけていた。
筆が動くたびに、涙がさらに零れ落ちる。
オタビアは息を飲んだ。
胸の奥ではまだ幸福感の余韻が波のように揺れているのに、目の前のダリアは地獄の中にいた。
それなのに、なぜか、胸の奥でくすりと笑いがこみ上げそうになった。
「でも……お嬢……さま……に……ひどい……。約束を……破って……」
「約束を破った、ねえ……」
一郎の低い声が響く。
すると、ロウは手にしていた筆を、またもや宙から取り出した小瓶を取り出して中に浸した。
小瓶の中身は今度は液体のように見える。
ロウは小筆の先を、その小瓶の中に浸す。
「まだ、苦しいのが足りないらしいな、ダリア。じゃあ、もっと痒みが増進する薬液を特別に筆で塗ってやる」
筆先が苦悶するダリアの敏感な部分へ近づいていく。
「ひっ……いや……っ……やめ……ああああっ……」
ダリアは激しくのけぞった。
筆先がダリアの局部に触れたのがわかった。
全身を震わせるほどの責めに違いない。
だけど──。
その苦悶するダリアを見ていると、胸の奥のどこかから、笑い声が込みあがってきた。
自分でも驚くほど自然に、喉の奥で笑みが弾ける。
「ひぎいいっ、かゆい──かゆい──」
新たに液剤を股間に塗り足されたダリアは、その瞬間に激しく暴れ始めた。
「そうだろうね。即効性だ。痒みを消したければ、俺の精を受けるしかない。そう調整してある」
「あああ、かゆいい──」
ダリアは狂ったように泣き続ける。
オタビアは、思わず口を開いた。
「……ふふ……ダリア……ロウ様に……抱かれた方がいいわ……」
自分の口から出たとは思えないほど穏やかな声だった。
ダリアは、一瞬だけ痒みを忘れたように、涙に濡れた目を大きく開き、呆気にとられたように固まった。
「お……嬢……さま……? なに……を……」
「大丈夫よ。怖くない……。わたし……救われたの……」
言葉が自然と続いた。
心の奥を締め付けていた暗い影が、本当に消えてしまったかのように……。
ダリアは混乱に震えながら、一郎とオタビアの間を視線で往復させた。
一郎はわずかに口角を上げ、どこか満足げにその様子を眺めている。
「ねえ、お願い。ダリア……。ロウ様に抱かれて。なにもかも変わるわ」
オタビアは悟った。
おそらく、この突然の幸福感は、ロウの力が自分の心の奥にまで刻まれているからだろう。
その温かさが、まだ胸の奥で静かに呼吸している。
理屈ではなく、オタビアは、目の前のロウにそんな力があるということを身体で理解してしまった。
「お嬢……さま……」
ダリアは痒みに引き裂かれながら涙の視界でこちらを見る。
喉が震え、痙攣の合間にようやく言葉が出る。
「ロウ様に身を預けて……わたしたちは守られるのよ」
「守ら……れる……っ……。あ……ああ……っ……」
否定しようとした声は痒みの波に押し潰され、全身が跳ねた。
「怖くないの……ロウ様に触れられれば……すべて消えるから──」
「いや……あたし……そんな……信じ……ああ……かゆい……」
拒絶は痒みに崩されるたびに弱くなる。
太腿が震え、股間からは愛液があふれ、痒みと快楽の境界で混乱していた。
その姿がオタビアには不思議なほど綺麗に見えた。
「わたしも怖かった……でも救われたの……全部が軽くなったの」
「たす……けて……あ……かゆい……」
「まだ、決心がつかないか?」
ロウがダリアの脚の付け根すれすれに筆先を動かす。
「ひっ……あっ……ああああ……っ」
筆が触れた瞬間、ダリアの身体がのけぞる。
拘束具がぎしりと悲鳴を上げた。
「オタビアを犯した俺が憎いのか? でも、その苦しみから助かるには、俺を受け入れるしかないぞ」
涼しい声が白い空間に落ちる。
オタビアは胸の奥が甘く疼いた。
あのとき絶頂の直前に痒みが霧のように消えた感覚を身体が覚えていた。
「かゆ……っ……お嬢……さま……あたし……」
「ダリア……ロウ様に抱かれて……。お願い。楽になれるの」
その一言で、ダリアの目から拒絶が崩れ落ちた。
残ったのは救われたいという悲痛な願いだけだった。
「ロウさま……お願い……もう……だめ……」
ロウが拘束具の前に立ち震える身体を見下ろす。
「受け入れるか?」
「はい……受け入れ……ます……助けて……。あたしも……どうか、ロウ様が犯して……奴隷に……」
胸の奥がひやりと締まり、場の気配がわずかに沈んだ。
ロウがダリアの脚の間に移動する。
こちらから見えるのは、ガウンの前を解放した気配のロウの背中だが、ダリアに向かってゆっくりと腰を前に出していくのはわかる。
「ああっ、ああああ──」
ダリアの身体が跳ねあがった。
「大丈夫だ……。痛くはないはずだ……。そういう調整をしている。だから、快感だけを味わえばいい」
ロウが腰をダリアに向かって、さらに腰を押し出す。
すぐに、その腰が前後し始めた。
「あ、ああっ、あっ、あっ、き、気持ち……いいっ、あっ、ああ……」
律動が始まると、ダリアの泣き声はすぐに喘ぎ声に変わった。
それがしばらく続いた。
そして、すぐに突然に悲鳴に似た声を張り上げたかと思うと、激しく身体を震わせて、絶息するような呻きを漏らした。
次いで、ダリアの身体から力が一気に抜ける。
「ああ、ロウ様……」
息が掠れたように漏れ、そこで声が途切れた。
ロウの腰の動きが止まり、ゆっくりとダリアから離れる。
オタビアの側に振り返りながら、ガウンの前を押さえ、ゆっくりと重ね直す。
垣間見えたロウの男根は、湯気のようなものが立ちのぼっていて、直前までの行為をオタビアに悟らせた。
思わず、顔が真っ赤になるのがわかる。
すると、ロウがオタビアに向かって、白い歯を見せた。
「終わった。これでダリアも、お前と同じだ。安心しろ」
ロウの表情は、先ほどまでの冷酷さとは違っていた。
微笑むような柔らかい光が、その目に宿っている。
オタビアは胸の奥がじんと熱くなり、視界がじわりと滲んだ。
一郎は腕の中に抱えたダリアをそっと床に横たえた。
ダリアは、後手に嵌めた革枷を装着したまま小さく丸くなり、安堵が残る寝息だけが微かに震えている。
後ろ手の革枷は、調教椅子からおろすときに装着したものだが、一郎がダリアを抱きあげるときに、その調教椅子は消えている。
いまは、なにもない白い空間に、一郎とダリアとオタビアだけが存在していた。
「随分と暴れたからな。疲れただろうね……。オタビアはどうだ? 気分は落ち着いたか?」
一郎は、床に座っているオタビアの正面に胡座で腰を落として微笑みかける。
オタビアは、白い床の上──床というべきか、地面というべきかわからないが──で、正座の脚を横に崩す女座りの姿勢をとっている。
後手拘束のせいで胸も股も隠せず、太腿を寄せて肩をすくめ、乳房を震わせながら身をもじもじと縮めている。
一郎は思わず目を細めた。
裸で拘束されて羞恥に揺れるさまは、実に愛らしい。
「気分は……いいです。不思議なくらいに……」
「ならいい。だが、落ち着かないように見えるな。そんなに縮こまって」
声をかけると、オタビアは耳まで赤く染め、太腿をきゅっと寄せて俯いた。
「……ロ、ロウ様が……見ているから……」
「見ているさ。裸で後ろ手に縛られているんだ。見応えがある」
「そんな……」
平然と言われ、オタビアは喉を震わせて身をくねらせた。
心は軽くなっても羞恥は残り、むしろ敏感になっているようだった。
「怖さはないか?」
「先天性全身性感帯」──。
世にも稀な性的に鋭敏な身体をしている彼女にとって、男性というものは恐怖の対象だったはずだ。
しかし、それもまた、淫魔術で感情の調整をしている。おそらく、病的な恐怖感は消えているとは思う。
「ロウ様……怖くは……ないです。でも、恥ずかしいです」
「なにが恥ずかしいんだ? さっきまで股どころか、尻の穴まで晒してたんだぞ」
一郎は笑う。
「そ、そんなこと言わないでください──」
オタビアが顔だけでなく全身を真っ赤にする。
「胸の奥は落ち着いているか?」
「はい……とても……軽いです……。怖さも苦しさも……全部……消えてます……」
オタビアの表情には、淫魔術を施す前までの、いまにも自殺しようとするような悲痛さは存在していなかった。
清々しそうな安堵感のようなものがある。
一郎はほっとした。
淫魔術で心の負担に結びつくような感情を強引に制御して、気持ちの安定化を図ったのだ。
同じことをダリアにも処置したが、オタビアの様子を観察する限り、問題はなさそうだ。
「それならよかった……。ところで、姫様たちのいる現実空間に戻るときも、枷はそのままにするぞ。心配するな。ほかの侍女たちのときも同じだったろう」
一郎は満足して頷いた。
「……え……それは……」
「安心しろ。俺の趣味だと思われるだけだ。服と一緒に毒も俺が隠すんだから、お前たちが毒を隠していたと疑う者はいないよ」
「そのことなんですが……」
オタビアがなにかを発言しようとしたとき、床の横から微かな動きがあった。
「……ん……んん」
ダリアがゆっくりと身を起こそうとしていた。
だが、後手拘束をされていることに気がつき、はっとしたように当惑する。
そして、身体を捻りながら、なんとか横倒しの姿勢から起こした。
周囲を見回した。
一郎とオタビアの裸身に気づき、息を呑むような反応をした
「あっ、ロウ様……お嬢様も……」
すぐには、ぎこちない様子だったが、やがて、状況を思い出したのか、顔を赤らめながらはにかんだような顔になる。
よかった……。
これから、もう大丈夫だろう。
ふたりとも悲痛な顔になって「死にます」なんて、もう言わないはずだ。
すると、ダリアは一郎へ向かってかしこまった姿勢になり、後手拘束のまま、深く頭を下げた。
「……ロウ様……ありがとうございました……。そして……申し訳ありませんでした……」
声は震えていたが、苦悶も痒みも完全に消えているのがわかった。
ダリアに続いて、オタビアも正座に座り直して、深く頭を下げる。
「申し訳ありません、ロウ様……。ですが……その……姫様にも……シャーラ様にも正直にお話しして、罰を受けるべきだと思います……」
オタビアが頭をさげたまま言った。
一郎は眉をひそめた。
「……そうですね、お嬢様……。その通りです。わかりました」
ダリアも静かに告げた。
まだ、ふたりは頭をさげたままだ。
一郎は嘆息した。
「なんでそうなる。いまさら自白して、なんになる? とりあえず、頭をあげろ」
一郎の言葉でふたりが正座のまま上体を起こす。
「それが正しいことだと思うから……です……」
オタビアの声は震えていたが迷いはなく、ダリアも息を詰めて頷いた。
「はい……お嬢様……どんな罰であっても……お供いたします……。あたしたちは……償いきれないことを……」
「そうね……ロウ様が気づかせてくださったのです……」
一郎は片眉を吊り上げた。
「勝手に完結するな──」
二人がびくりと震えた。
一郎はふたりを正面に見据えた。言葉に淫魔術を流していく。
「まずは自白を禁じる。お前たちは、今回の件を誰にも話すな──」
術を込めて強く言った。ふたりの胸へ吸い込まれた感覚が伝わる。
オタビアもダリアも小さく息を呑み、後手のまま身を震わせている。
おそらく、これで、ふたりは一郎が暗示を解くまで自白はできない。
「それからもうひとつだ。命は俺が預かる。勝手に使うことも、捨てることも禁ずる」
ふたりは泣きそうなほど真剣な顔になり、揃って頷いた。
「……従います……」
オタビアが小さく息を震わせた。
「……ロウ様の……命令ですから……」
ダリアも後手拘束のまま深く頭を下げた。
「そうだな……。よく考えたら、最初からそうだろう。お前たちは俺の奴隷だ。奴隷が勝手に死ぬなんて許されない」
一郎はふっと笑った。冗談めかした口調のつもりだ。
ふたりは一瞬息を止めたように固まり、視線を揺らした。
「そ、そう……でしたね……」
オタビアの頬が赤くなる。
「はい……そう……です……」
ダリアは不安そうに目を伏せた。
一郎が片眉を上げてにやりと笑った。
「嫌なら、もう一度さっきの痒み責めをやり直してもいいぞ。この白い空間ではいくら時間を使っても現実には反映されないからな。今度は一日じっくりやるか?」
「ひっ……」
オタビアの肩が跳ねた。
「な、なります……奴隷になります……。もちろんです」
ダリアが蒼ざめた顔で叫ぶ。
「わたしも……なります……ロウ様の……奴隷に……」
オタビアが涙目で続いた。
その様子に、一郎は満足そうに口元を吊り上げた。
「いいねえ。じゃあ、奴隷はご主人様の命令には絶対服従だ。いまからここで、ふたりで愛し合え」
「え……」
「はっ?」
オタビアとダリアの目が丸くなる。
「嫌なら痒み責めを一日だ。どっちでもいいがな」
一郎は、わざとらしく大袈裟に肩をすくめた。さらに、亜空間から掻痒剤の小瓶と小筆を取り出す。
ふたりの顔が一瞬でひきつった。
「や、やります……お嬢様……お願いします……」
ダリアが必死に縋る声を上げる。
「ええ……ダリア……」
オタビアもまた、顔を真っ赤にしながら頷いた。
ダリア
人間族、女
カロー家侍従長の娘
イザベラ付侍女
年齢18歳
ジョブ
侍女(レベル4→10)↑
官吏(レベル20)↑(新)
生命力:50
経験数:なし→男1
淫乱レベル:B
快感値:450/450
能力
洞察力↑(新)
状態
一郎の性奴隷↑(新)
淫魔師の恩恵↑(新)