【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
視界が揺れ、世界がひっくり返るような感覚が一瞬だけ走った。
次に視界が安定したとき、デセルは全身が澄み切った白の空間に立っていた。
境界線のない床。影すら落ちない光。壁とも天ともつかない均質の白色の世界──。
ついさきほどまで確かにロウの唇が触れていたはずなのに、移動の感覚はまったくなかった。
まだ、ロウはデセルを抱きしめてくれていたが、その腕の温かさを感じながら、デセルはたったいまの口づけを回想した。
これまで読んできたさまざまな恋愛小説、古い物語の英雄譚、あるいは、恋愛指南本など──そこに描かれる口づけは、決まって甘いとか、幸福とか、温かいとか、そういう形容が多かった。
だが、いま感じたものはまるで違う。
唇が触れた瞬間、淫らな震えが口の内側から湧き、全身へと広がった。
胸の奥を焼くような情欲──。
下腹がじんと熱を帯び、股間が疼く感覚──。淫らで、ずっと肉欲的だった。
──本の描写より、生々しくて、情熱的……。
自分がこんなふうに感じるなどとは思わなかった。
生まれて初めての男性との口づけでこうなってしまうなんて、もしかしたら、自分は書物に出てくる“淫乱な女”なのだろうか。
実に興味深い──。
そのとき、腕に固い圧迫があることに気づいた。
「あら……?」
両手首に革の手錠が嵌められている。金具はしっかりして、もちろん外れそうにない。
いつ嵌められたのか、まったく記憶がなかった。
デセルはわずかに眉を上げ、隣のロウへ視線を向けた。
「……これは、あなた様のしたことですか?」
「そういうことだね。座るといい」
黒いガウンを纏ったロウがデセルから手を離して、椅子に腰をおろした。
デセルは首を傾げた。
たったいままで、ロウの後ろに椅子などなかったはずだ。それなのに、いつの間にか椅子があり、当たり前のように腰掛けている。
だが、いま、デセルにも座るように言った?
振り返ると、確かに背もたれのない木製の椅子がある。
やはり、不思議だ。
とりあえず、デセルは手錠をされた両手を膝の上に置くようにして、木椅子に座った。
「この白い場所といい、いつの間にか嵌められた手錠といい……やっぱり随分と不思議なお方なのですね。この椅子もおそらく、最初はありませんでした」
「そうかもしれないね。それにしても、冷静そうだ。いきなり、知らないうちに拘束をされていたら、大なり小なり怖がるものだけどね」
「もちろん、怖さはあります」
恐怖はある。
だが胸を満たすのは、恐れよりも強い興味だった。
「そうは見えない」
ロウが笑った。
「おそらく、恐怖を興味が上回っているからだと思います。普通なら怯える場面でしょうけれど……実際に体験してみると、こういうのは面白いものです」
「面白い?」
「ええ、これまでのみんなが、時間を超越している体験をしているのは気がつきました。どう観察しても、あんな短い時間で終わったような状態ではありませんでしたし」
「まあそうだね。ここは、白い空間と呼んでいる場所だ。ここを起点にして、あらゆる仮想時空に向かうことができる。でも、ここもまた、存在しないものを存在させられる世界だ」
「なるほどです。それで、拘束されても気づかないということですか。あなた様は、存在しなかった手錠を存在させたということなのですね?」
デセルは、白い足下を一瞥し、足裏の感覚を確かめた。
「あれ?」
驚くことに素足だった。
だが、たったいままで、侍女服の下に靴も靴下も身につけていた。それが意識しないうちになくなっている。
「存在しているものも、存在しないようにもできる。時間も同じだ。だから、ここで過ごした時間を、まったくなくして現実空間に戻れるということだな」
「そんな世界は、あたしが知るどの文献の記述にも一致しません。本当に、あなた様は興味深い方ですね」
視線を上げると、ロウの目がわずかに細くなったように見えた。
値踏みするような静かな観察だった。
「君はそれ以上に、興味深いね」
ロウが微笑んだ。
「……それで、あなた様、ここであたしをどうなさるおつもりなのです?」
その声は、白い世界の中で静かに響いた。
ロウは足を組み、わずかに笑った。問い返すようでもあり、試すようでもあり、どこか愉快げだった。
「さて……どうして欲しい? 君のほうこそ、答えを急いでいるように見える」
挑むような声音だったが、不思議と威圧はなかった。デセルは胸の奥にわずかな昂ぶりを覚え、ゆっくりと息を整えた。
「あたし……侍女を辞めるわけにはいかないのです」
「ほう。命がけで守りたい理由があると?」
「ええ。あたし……本が好きなのです」
「本?」
ロウの眉がかすかに動いた。
デセルは拘束された両手をそっと膝の上で握り込み、真っ直ぐにロウを見た。
「もともと、あたしは豪農の家の育ちで……本には恵まれていました。幼いころから家にある書物は全部読み尽くすほどでしたが……それでも、触れられる世界は限られていました」
回想が胸をよぎる。
初めて宮殿に奉公に上がり、下働きとして働いていたころ──。
「侍女に抜擢されて……はじめて宮殿図書館を利用できたとき、あたし……震えたのです。あんな量の書物、あんな深い知識の蓄え……そんな場所が、この世界にあったのか、と」
白い空間にデセルの吐息が溶けた。
「もう、あの場所を手放すなんて……耐えられません。あたしがどれほど……あの図書館を求めているか……うまく説明できませんが……」
胸の内には、侍女という立場を失えば王宮図書館を二度と使えなくなるという現実が刺さっていた。
下働きに戻ることは、もう考えられない。農家出身の平民としては、王宮の下働きでも十分すぎる立場だが、あの図書館を知ってしまったあとでは、どうしても手放せない。
「だから、あたしは……侍女を辞められないのです」
「だから、俺に抱かれることも気にしないわけか」
淡々とした確認。しかし、そこに侮蔑はなかった。
デセルはふっと微笑んだ。
「ええ。むしろ……望む方ですわ」
「望む?」
「本を読むためなら、できないことなどありません。あたしの身体だって……活字のためなら惜しくないのです」
ロウの目がわずかに細くなった。価値の重心が常人とはまるで違う女──そう判断しているようだった。
「ですから、あたしを侍女のままでいさせてください。そのために……あなた様に抱かれることが必要なら……」
言葉はそこで自然に途切れ、喉がひくりと鳴った。
「……喜んで差し出します」
「面白い女だね」
ロウが白い歯を見せた。
「よく言われます。変わった女だとも」
「ところでひとつ、訊ねたいことがあるんだけど、いいかい」
「もちろんです」
デセルが頷くと、ロウは少しだけ身を乗り出した。
「さっき、俺のことを淫魔師と呼んだね。どうしてそう思った?」
その言葉に胸の奥がふっと熱を帯びた。
不用意な推測を口にしてしまったかもしれない不安もあったが、それ以上に、語れることへの悦びが勝った。
幼いころから、覚えた知識を人に話すのが好きだった。
だが『夜語り草子』や『古エリム写本』に書かれている不思議な話を夢中で語りすぎて、家族に疎まれたこともある。
それで「余計なことは喋らない」という習慣が身についた。
けれどロウに問われたいまだけは、不思議と胸の奥の蓋が外れる気がした。
「……お話ししてもよろしいのですね?」
抑えてきた知識欲が、静かに息を吹き返していった。
「当然だろう。俺が訊ねたんだ」
ロウが不思議そうな表情になった。
デセルの話を聞いてくれる人──それだけで、目の前のロウが大好きになりそうだ。
「書物に……そういう記述があったからです」
「書物に?」
「ええ。古い聖典……いえ、正確には、聖典の原型となった文献です。いまでは禁書扱いで王宮図書館の深層書庫にしか置かれていませんが……そのひとつ『イルヴァ=サラ神群譜 第三帙』に、こう記されていました」
デセルの声音は自然と高まった。好きな話題を語るときの、止められない熱だった。
「……クロノス大神は、淫魔の理をもって女神たちに力を与え、美しくし、世界の在り方すら改めた……と。淫魔の力とは、世界を動かす根源的な活力だと書かれていました。性的なものに限定されるわけではなく、生命を昂らせる力そのものだと」
「ええっと……つまりは、淫魔師というのは……クロノスの力を持つ者……そういう扱いだったということか?」
「はい、あなた様。少なくとも、原典に近い時代の文献では、淫魔師は、堕落の魔道師ではなく、生命の恩寵を扱う者として語られています。エルフ族の古書にも似た記述があります。例えば『銀枝の古伝 第十二片』には、淫魔師の訪れによって森の精たちが力を取り戻す話があります」
デセルの瞳がわずかに輝いた。
「ただ……現在では、淫魔の力は禁忌とされています。それは淫魔術が邪悪だからではありません。これは、あたしの個人的な解釈ですが──」
いったん息を吸い、静かに続けた。
「クロノス大神の力を尊重するあまり、長い年月の中で、淫魔の理は、人が触れてはならないものへと変質していったのだと思います。“畏れ”が“禁忌”に姿を変えるのは、歴史上よくあることです」
ロウがわずかに眉を上げた。
「禁忌は……後世の誤解で強まったものだと?」
「はい。大きな例でいえば、魂精術の系統があります。千年前は神聖な儀式だったものが、後世のローム大神殿内の宗教争いで、魂を弄ぶ術と糾弾され、いまでは厳禁の術式です。元の意味とはまるで違うのに、慣習だけが変質して残ってしまった事例です。もちろん、これはあたしの解釈です」
デセルは拘束された手を胸の前で軽く握り、真っ直ぐにロウを見つめた。
「淫魔の力も、おそらく同じだと?」
ロウが言った。
デセルは、よく考えたら、ロウのことを淫魔師と呼んだことは、よくなかったのではないかと思ってきた。
デセルとしては、持っていた知識から、尊称の意味を込めたつもりだったが、世間的に侮蔑の言葉には間違いないのだ。
しかし、眼の前のロウが気を悪くしている様子はいまのところない。
いずれにしても、もうデセルの舌は止まらない。
「本来の意味は神々の恩寵。しかも、主神クロノスの力です。なのに、時代が変わるにつれ、畏れと偏見が積み重なって禁忌になった。いまの淫魔師像とは、まったく別のものだったというのが、あたしの解釈でございます、あなた様」
「だから……俺を淫魔師だと思ったわけだ」
「はい。あなた様の振る舞う力は、あたしが読んだどの記述よりも原典に近いのです……。あのう……決して、悪い意味で言ったつもりはなかったのです……」
「わかっている。ますます、デセルのことが好きになってきたよ」
「光栄です」
デセルは安堵した。
どうやら、本当にロウは気分を害してない。
デセルの話を面倒がらずに聞いてくれたし、この人はいい人だ──。デセルのなかでそれが確定した。
「ところで、あたしからも、ひとつお訊ねしてよろしいですか?」
「ああ、なんでも聞いてくれ」
「これのことです。どういう意味があるのでしょう?」
デセルは、自分の両手首に嵌められている革手錠をかざした。手首に柔らかい革が食い込み、短い鎖が揺れて金具がかすかに鳴った。
「意味か……。君は、世の中の愛し方というものをどう考えている」
思いがけない方向からの問いに、デセルはわずかに瞬きをした。
「愛し方……ですか」
「性の交わり。性行為だね」
ロウは続けた。
「子どもを作る行為……でしょうか。交尾とも」
「そういうのもあるかもしれない。でも、それ以外の目的でも人は、性を交わす。恋愛、友愛、性欲の発散……。理由は様々だ。子作りだけとは限らない。ひっくるめて、緩く“愛し合う”と表現をしている」
「確かに……」
デセルは小さく頷く。
「人間の愛し方そのものは驚くほど単純で、そして、驚くほど複雑だ。だが行為のかたちとして突き詰めると、奉仕する者と奉仕を受ける者になる。嗜虐や被虐という関係は、その最もわかりやすい形式だ」
「……聞いたことのない分類です。愛し方の構造を力の関係で説明する……興味深い発想ですわ」
「淫本を読んだことは?」
その言葉に、デセルは少し眉を寄せた。
「淫本……。王宮図書館には置かれておりませんよね?」
「ないかもしれないね」
ロウはゆるく笑った。
「だから、何事も経験だ」
ロウがそう言った瞬間だった。
デセルの手枷のあいだから伸びる鎖がすっと上へ引かれ、身体が軽く浮き、椅子から立ち上がらされた。
足は床についているが、手首は頭上へ引き伸ばされ、自然と肘が伸びる姿勢になる。
「……っ」
肩が引かれる鈍い感覚。
しかし、苦痛ではなかった。
見上げてみると、頭上には天井が存在せず、ただ白い虚無だけがある。
その虚空へ鎖がのび、途中でふつりと消えていた。
「興味深い現象です。天井という前提のない空間で、鎖だけが重力方向を示している……物理法則そのものが恣意的に書き換わっているのですね」
「さすがだね。怯えるより先に分析が出てくるとは」
ロウの声には愉しさが混じっていた。
そのときだった。
デセルの顔の高さに木製の読書台がふっと出現した。
そこには一冊の本が開かれていた。紙は粗く、頁はざらつき、印刷のにじみもある。
精緻な写本とは異なり、廉価で簡素な造りだ。書籍の高さは、デセルが目線を落とすのに丁度いい高さだ。
デセルは目の前の書物に目を落とした。
「……この紙質……かなり質の悪いものですね。羊毛紙ではなく、おそらく混抄紙……。大衆向けの廉価本ですか」
「君のために仮想時空から取り寄せた。デセル専用の書物だ」
ロウの声が静かに落ちた。
「あたし専用……? どういう意味でしょうか?」
「内容は扇情的で下品だが、人の営みの本質をよく写している。学術書ではないが、記録としての価値はある。淫本というのは、そういう種類の本だ」
「これは……淫本なのですか?」
「そうだ。読書好きの君なら愉しめると思う」
「あたしの読んだことのない書物を読ませていただけるのですか?」
デセルは思わず笑みをこぼした。
「君が喜ぶと思ってね」
「……あなた様は、人を観察するのがとてもお上手ですね」
「読んでごらん。声に出して……。この淫本の題名は『読書好きの侍女』だ」
「えっ、読書好きの……ですか?」
「そうだ。読むのは、まずはここからだ」
ロウが開いている書物の一箇所を指し示す。
両手を頭上に吊られたまま、デセルは本を見下ろし、ゆっくりと読み始めていく。
「“侍女のデセルは両手を頭上につり上げられ”……えっ?」
その一文が、いまの自分の状態と完全に一致していると気づき、デセルは静かに瞠目した。
「どうした、続けないか」
ロウがデセルの真後ろに密着して立つ。
「なるほど……こういう趣向なのですね、あなた様」
「読書が好きなら、身体で読む経験も悪くないだろう。続きだ」
ロウが笑った。
だがこの淫本というものは、どうやって準備したのか──。
侍女のデセル……偶然とは思えない。
デセルは一度息を飲み、視線を読書台に戻した。
「“暴漢は『綺麗な服は剝がしてしまうか』と言って、デセルの上衣に刃物を差し込み、生地を裂いて服を取り去った”」
「わかった」
ロウの手には、いつ出現したのかわからない裁ち鋏が握られていた。
その銀の刃が、デセルの胸元へ迷いなく差し込まれる。
侍女服の上衣は、胸あての上から羽織るだけの薄手の仕立てだ。鋏が布地を噛んだ瞬間、軽い裂音が白い空間に響いた。
びり──。
一息で縦に裂かれた。
胸もとの布が左右へ落ち、デセルの胸あてがむき出しになる。
胸あては、白布を胸の下から巻き上げて固定する簡素な造りで、
侍女服の規定に沿った上質な布ではあるが薄い。
胸の丸みを押さえ込むように布が張り、かえって身体の線が強調されていた。
ロウは続けて、左右の袖を手早く切り落とす。
鋏が滑るたび、落ちる布片が白い床に影もなく吸い込まれていく。
最後に、上衣として残っていた部分を鋏で断ち切ると、
上半身を包んでいた侍女服は完全に剥がれ落ちた。
「あっ……」
白い胸あてだけがデセルの身体を守っている。
だが布地は薄く、胸の起伏、呼吸の上下、乳房の尖りが布越しに透けてわかる。
デセルは思わず体を縮めかけたが、頭上で拘束された両手がそれを許さなかった。
「次は? 早く読むんだ」
ロウが促す。
デセルは鼓動の速さを自覚しながら、次の行を読む。
「“次にスカートをめくり上げ……”」
「スカートだね」
ロウが侍女服のスカートを無造作に腰までめくり上げた。
「っ……いや……っ」
デセルは反射的に膝を寄せ、下着を隠そうと身を縮めた。
しかし、腕が吊られているため、膝を寄せても隠しきれない。胸あて一枚だけの上半身は無防備に晒され、めくられたスカートの下では、薄布一枚の腰布が白日のもとにさらされてしまっていた。
デセルは逃げ場のない羞恥の中で顔を熱くした。
「次はここから読んでもらうか」
ロウが、スカートをめくり上げたまま読書台の本を指さした。
その声音に逆らえず、デセルの背筋が粟立つ。
羞恥はある。だが逃げるという選択肢はなかった。
その指先の位置に視線を落とす。
「……“暴漢が腰の下着の中に手を入れて、陰核を探し当てられて愛撫を……”」
文字を読んだ瞬間、デセルの喉がつまった。
「いきなり、クリトリスか。デセル専用の淫本はなかなか淫乱度が高いね」
ロウが愉しげに言い、めくられたスカートを押さえたまま、もう片方の手を下着の中へと滑り込ませた。
「っ……あっ……い、いけません……っ」
デセルは狼狽して声を上げた。
腰が逃げようと震えたが、吊られた腕によって逃げ場はどこにもなかった。
薄布のなかで動くロウの指先の感触。
胸あてひとつ、腰布ひとつ──侍女服の質素な内側が、この場では残酷なほど無防備だった。
「ひあっ、あっ、ああ……」
下着の中のロウの指がクリトリスをゆっくりと刺激する。
鋭い疼きが身体を貫き、デセルは自分でも驚くような甲高い声をあげてしまった。
「読むんだ、デセル。書かれていることを身体で理解するんだよ」
デセルの下着のなかで手を動かしながら、ロウの声が身体の横で落ちた。
ロウの指先が下着のなかでが円を描くように動き続け、薄布の奥から粘膜同士が擦れ合う音に、湿った水音が重なりだす。
「ひああっ、ああっ」
デセルは声をあげて悶えた。
「やめるな──。次だ。なんと書いてある──読むんだよ──」
ロウが耳元で言った。
口調は厳しいものではない。でも、逆らえない。
デセルは口を開く。
「……デセルは狼狽え……じんという……疼きが……陰核が襲い……。あっ、ああ……き、気がつくと……陰核は……淫らに勃起して……あっ、そ、そんなにされたら……よ、読めません──」
デセルは身体を左右に悶えさせながら悲鳴をあげた。
文字を追うあいだも、ロウの指は淫らに下着の中で愛撫を続けているのだ。
「書物のとおりに、クリトリスを勃起させてるね。偉いぞ」
クリトリスをまさぐるロウの指がいきなり激しさを増した。
「ひあああっ」
デセルは両手を吊られている身体を弓なりに反らせた。