【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
020 淫らな三人
口づけをしていた唇を離した。
すると、両膝を寝床の床につけているイライジャがぐったりと脱力した。
「ふう……。やっぱり……あれは、薬が作らせた大袈裟な感覚じゃなかったのね……。すごいわ……。あなたのご主人様は大変なものね。苦労するわよ、エリカ」
息を荒げたままのイライジャが縄掛けをされているエリカに笑いかけた。
「もちろん、ロウ様は素晴らしい人よ、イライジャ姉さん」
エリカが少しはにかんだようになる。
しかし、これには一郎も困ってしまった。
この世界に召喚されるまで、なんのとりえもなく生きてきただけの三十過ぎの男だ。
裸の美女ふたりに挟まれて、称賛されても、どうしていいかわからない。
すると、イライジャがすっと姿勢を正した。
「改めてお礼を申し上げます、ロウさん──。そして、最大の功労者なのに、ここに放っておくようになってしまい申し訳ありませんでした……。本来なら里をあげて感謝しなければならないのに……」
「ああ、いや……」
急に始まった深刻な口調のイライジャの態度に、一郎のとりあえず居住まいを正す。
「……でも、この里は、エルフ族のほかの里と以上に、極端に人間族を蔑視する感情が強くて……。今回のことも人間族のあなたに助けられたということが、これからの里の運営に支障があるからと……」
イライジャがそのまま頭をさげて床に額を擦りつけた。
いわゆる全裸土下座だ。
一郎は唖然とした。
同時に、イライジャがなにを謝っているのか合点がいった。
「頭をあげてくださいよ、イライジャさん。トーラスさんは、俺の存在を里の者には、公表しないことに決めたんですね?」
そういうことかと思った。
あのユイナの態度を思い出してもわかるが、この里は相当に人間族を軽視する傾向が強い。
もしかしたら、その人間族の一郎に、命を救われたというのは、それだけでもトーラスにとっては、ばつの悪いことなのかもしれない。
そういえば、あの館でトーラスとイライジャを救出してから、一度もトーラスには会話をしていない。
プルトたちともだ。
まるで一郎を避けるようにしている気さえしている。
たまに顔を見ることもあったものの、そういえば、お礼のひとつもされてはいない。
イライジャは、それを気にしているのだろうか。
もしかして、それもあって、こうやって、身体を提供している?
「もちろん、そんなことは許されないわ。あなたの功績よ──。あなたがいなければ、義父もわたしも助からなかった。プルトも、いま説得しているところよ……。ちゃんと公表して、あなたには、里としてのお礼を……」
イライジャが顔をあげた。その顔には悲痛そうな色がある。
一郎は肩を竦めた。
「いや、それについては、気にしないでください。理由があって、目立ちたくないんです。エリカも言ったかもしれませんが……」
一郎はエリカをちらりと見た。
エリカが慌てたように首を縦に振る。
「言いましたよ、ロウ様──。イライジャ、それについては説明したとおりよ。ロウ様もわたしも、大々的な発表は困るの。とにかく目立ちたくないというか……」
エリカが慌てたようにイライジャに言った。
あのアスカという魔女に追われている身の一郎とエリカにとっては、この里でいきなり名前が出されるなど冗談じゃない。
アスカは、一郎とエリカの情報が入った途端に、自ら乗り込むか、手の者を送り込んで、一郎たちを殺そうとするに決まっているのだ。
「だけど、そういうわけには……」
「これはこっちの都合です。お礼はこっそりと口だけで言ってもらえれば十分ですよ……。いや、それも必要ないかな」
一郎は笑った。
「でも……」
「いえ、こうやって、イライジャさんが来てくれたことだし。これをもって、手打ちにしましょう。ほかになにも要りません。その代わり、しっかりと相手をしてもらいますよ」
一郎はわざと白い歯を見せた。
こうなったら、イライジャを抱かないという選択肢はないだろう。
エリカも公認のようだし……。
それに、さっきから裸のふたりを目の前にしるのだ。一物の股間は十二分にいきり勃っている。
やっぱり、淫魔師に覚醒したこの身体は、相当に好色のようだ。
以前の一郎だったら、たったいまイライジャに喋ったような卑猥な軽口など考えられない。
もっとも、こんな美女二人に挟まれて、心のどこかで喜んでいる自分がいるのはわかる。でも、同時に、こんな状況でちゃんと振る舞えているのか不安にもなる。
すると、イライジャがぷっと吹きだした。
「もちろん、わたしのことは好きにして構わないわ。こんな女でよければ」
イライジャがお道化た口調で両手をさっと広げた。
一郎も破顔した。
「じゃあ、早速、愉しく遊びますか……。じゃあ、エリカも来いよ」
向かい合って座っている一郎とイライジャに対して、少し離れた感じだったエリカを呼んだ。
エリカの裸体には、イライジャが施したらしい縄が菱形を描いて、喰い込んでいる。
股間には股縄だ。
実は、一郎はさっきから、緊縛されて扇情的なエリカが気になっていたのだ。
真っ赤な顔になったエリカを一郎とイライジャのあいだに招き入れる。
「ところで、これはイライジャの仕業?」
一郎はすっとエリカの股縄に手を伸ばす。
すでに、食い込んでいる縄がしっとりと湿っている。
早くも股間を濡らしているのだ。
「あんっ」
一郎に触られただけで膝を砕きそうになったエリカを支えて、そのまま立たせる。
身体を回転させて、縄道を見ていく。
前の世界ではSM雑誌を見るのも好きだったので、頭だけだが縄掛けの知識はある。
この世界にも、こんな緊縛があるのかと感心した。
さすがは、緊縛師のジョブ持ちだ。
もっとも、思い出すと、確か、イライジャのジョブは、戦士が〈レベル10〉、魔道遣いが〈レベル4〉、緊縛師が〈レベル1〉だった。
緊縛師の〈レベル1〉がどの程度のものかわからないが、まったく戦闘員として役立たずの一郎の戦士レベルが〈レベル1〉であることを考えると、それほどの熟練ではないと思う。
これまでに接した例では、どんなジョブであれ、〈レベル5〉程度以上でないと、素人同然のように思う。
まあ、まったくジョブがないよりは、最低限の技術があるのだろうが……。
「あ、あんまり、見ないでください……」
一方で、じろじろと縛られている身体を見られて、エリカが恥ずかしそうにする。
そういえば、いつも抱くのは月の光と焚き火の光の中なので、こんな燭台の明るい部屋の中で抱くのは、初日以来だ。
「幼いころから、こんなことをして遊ぶのがわたしたちの秘密の行為だったのよ……」
イライジャがくすくすと笑った。
「秘密の行為?」
「そうよ……。わたしたちの育った“自由エルフの里”の神官さんがこんな縄掛けの遊びの
イライジャが笑った。
艶本か……。
だが、この亀甲縛りは間違いなく、一郎の知っている元の世界のものだ。
あるいは、一郎の前に召喚されたSM好きの者が、わざわざこの世界の緊縛法を伝えたのかな、とも思った。
そう考えると面白い。
「じゃあ、エリカがしっかりとマゾに育ったのは、イライジャさんのせいだったんですね。ちょっと結び直していいですか?」
一郎は股間に喰い込んでいる股縄に手を伸ばした。
結び目は腰の後ろ側にある。
縄瘤が三個作ってあり、それがエリカの快感を覚える局部に当たっているが、ほんの少しだが角度と場所がずれている。
これでは効果は半減だ。
「わ、わたしはマゾなんかじゃあ……」
エリカが声を荒げた。
だが、縄がかかっているだけで両手は自由だが、なんの抵抗もしない。
それどころか、ステータスにある「快感値」の数値がどんどんとさがって、いまは〈40〉を切ったくらいだ。
挿入可能の目安の〈30〉まではもうすぐだ。
「快感値」というのは、一郎だけに見える女体に関する指標だ。快感値が低下するのは、エリカが感じている証拠だ。
縛られただけで、愛撫なしでこれなんだから、ちゃんとしたマゾだ。
淫魔師の一郎を前にすれば、性癖を隠すことなど不可能なのだが、一生懸命にそれを否定するエリカがおかしかった。
イライジャも横で笑う。
「自覚がないの? あんたは、ずっと昔からマゾっ子よ……。それよりも、なんとなく詳しそうですね、ロウさん。どうぞ、教えて。見よう見まねでやったから、縄責めの師匠はわたしにはいないんです」
「師匠と呼ばれるほどのものじゃないんですけどね……」
一郎は喋りながら、エリカの股縄を一度抜いて、結び目の大きさと間隔を調整する。
生まれて初めての縄掛けだというのに、一郎の手はまるでこの道の玄人のように、素早く正確に動く。
これも淫魔術の能力のおかげだろう。
つくづく、いい能力をもらったものだ。
それにしても、喚される前の、何のとりえもなかった自分が、こんな立場になるなんて想像もしていなかった。でも、いまの自分は確かに変わってしまったんだろう。
「それと、わたしのことは、どうか、イライジャと呼び捨てで……。先日はため口で失礼しました。エリカから聞いたら三十五歳にもなるんですね。もっと若い方だと思っていました」
イライジャがまた笑った。
これには、一郎もなんと返していいかわからず、苦笑するしかない。
前の世界にでは若そうなどといわれたこともないが、この世界では日本人の一郎は童顔の部類になるのだろうか。
そういえば、あのアスカは、一郎のことを“小僧”と呼んでいたっけ……。
「わかりました……。いや、わかったよ、イライジャ……。ところで、師匠と呼ばれるほどのものじゃないんだ……。でも、エリカの身体は知っている。どんな風にすれば悦ぶかということもね……」
一郎の目の前に立たされて、股間を覗き込まれるような感じのエリカは、もうどうしていいかわからないように、切なげに身体や顔をくねらせている。
一郎はそのエリカに、調整した瘤付きの縄を改めて喰い込ませた。
かなり強くだ。
「うっ」
エリカが小さく呻いて、びくりと身体を震わせた。
しかし、一瞬後には、縄尻は元の通りに腰の後ろで結び留めを終えている。
我ながら、すごい手管だ。
「へえ……」
イライジャも感心している。
「じゃあ、エリカには、まずは腰を振って、自家発電をしてもらおうか」
一郎はぽんと軽くエリカのお尻を叩いた。
「あんっ……。じ、じかはつでんって……?」
エリカは意味がわからなかったようだ。
「いいから、こっちに立って腰を振ってみろ」
一郎は、イライジャとともに、見物しやすい側にエリカを押しやる。
ちょっと前につんのめったエリカが、次の瞬間、「うっ」と声を出して、身体を前に曲げる。
一郎にかけられた結び玉がその本領を発揮したのだ。
「あんっ」
そのまま膝をつきそうになった。
だが、その動きでさらに縄瘤が局部に喰い込んで刺激を大きくする。
そうなるように、縄掛けしているのだ。
「ああっ、はああっ」
エリカはそのまま両手で股間を押さえるようにして、しゃがみ込んでしまった。
一気にステータスの快感値がさがり、一瞬、〈0〉になって、すぐに〈10〉くらいまで戻った。
いわゆる、軽く達したという状況だろう。
「ううう……。こ、こんなの……」
エリカが全身を真っ赤にして腰を屈めたママ動かない。
「しゃきっとしろ、エリカ。これも調教だ。まずは腰を振ってもう一度いけ。遊びはそれからだ」
一郎は笑いながらエリカの腕を取って、強引に身体を真っ直ぐにさせる。
「あっ、いやっ」
エリカがそれだけで、快感値を〈0〉近くまでさげて、全身を突っ張らせる。今度は〈0〉まではいかなかったので、寸止めに誓い状態だったろう。
今度はさがった快感値が〈5〉くらいで停滞したままだ。
本当にエリカが感じやすい身体をしているということがわかる。
実に、魔眼なのか、淫魔術なのかはわからないが、便利な能力だ。
「ふふ、こんな可愛いエリカは久しぶり……。ねえ、ロウさん、エリカが一度達したら、わたしに責めさせてくれない? だって、こんなに可愛いなんて」
イライジャが完全に欲情したような上気した顔で言った。
一郎は頷く。
「もちろん、こんなに綺麗なエルフ女性ふたりの百合遊びを見物できるなんて、もう十分なお礼だ……。ところで、俺のことも“ロウ”と呼び捨てにしてよ」
「わかったわ、ロウ……。ところで、さっさと腰を振って達しなさい、エリカ──」
イライジャがエリカの股縄に手を伸ばして、無理矢理に腰を揺さぶる。
「ひあああっ、や、やああ、イライジャ──」
エリカが悲鳴をあげた。