【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
「あひっ、あひっ、ああっ、あああ……」
尿意を抑え込もうとして腹へ力を入れるたび、痒みが裏切るように跳ね返ってくる。
その最中、筆がすっすっと乳首を這い、股間をくすぐり、さらにアナルの周囲を掃いていく。
その動きが重なるたび、アネルザは汗みどろの裸身を、右へ左へ、前へ後ろへと激しく揺すりたてた。
「ふふ……気持ちいいですか、王妃様……? ずいぶん、ここ、大きいですね。もしかして、普段からよく触っているんですか?」
コゼが、開脚された脚の前にしゃがみ込み、狙いを定めるようにクリトリスへ筆を集中的に走らせる。
「ああっ、そんな……」
アネルザは、必死に筆を避けようとして、限界まで腰を引いた。
「逃げるところなんて、ありませんよ……。ほら、エリカ」
「わかっているわよ」
コゼに煽られる形で、もともと背後にいたエリカがお尻の穴を筆で掃き始める。
「ひあああっ、ああっ……」
後ろにも避けられず、前にも逃げられない。
アネルザは、全身を真上へ突っ張らせるしかなかった。
「すまんな、王妃殿。文句があるなら、やらせているロウに言ってくれ」
シャングリアが苦笑を浮かべながら、左右の乳首を同時に筆で掃く。
「ひぎいいっ……」
もっとも痒みに狂っている股間とアナル、そして乳首を同時に刺激され、アネルザはのたうち回る。
耐えようとすればするほど、刺激はばらけ、重なり、逃げ場を失って膨れ上がっていく。
掻けない。
触れられない。
動けない。
その三つが同時にのしかかり、意識は抵抗という形を失っていった。
しかも、痒みは鋭く、官能は鈍く、どちらも同時に増幅する。
尿意はもう限界に達しており、少しも気を抜くことはできない。当然に筆への刺激には無防備にならざるを得ない。
絵筆が肌を襲うたびに翻弄され、胸が勝手に揺れ、腰が反射的に跳ねる。切迫した尿意が下腹を強く締めつけ、喉の奥まで焦りが込み上げる。
呼吸は浅く、数を数えようとしても、次の瞬間にはすべて忘れていた。
「そろそろ、いいだろう……」
ロウが声を掛ける。
その言葉を合図に、女たち三人が一斉に筆を引いた。
「ああ……」
アネルザはがくりと身体を脱力させた。
しかし、必死に堰きとめている尿意にだけは力を緩められない。一瞬でも気を許せば、その瞬間に尿が奔流となって垂れ流れるだろう。
それはわかっている。
「も、もう……許して……。く、屈服する……。なんでも従うから……」
声は掠れ、なかなか言葉にならない。
理性はほどけ、矜恃が崩れ、ただ楽になりたいという願いだけが口を突いて出る。
「俺たちは、王妃のご命令に従っているだけだ。苛めて欲しいと言うから苛めただけだ……。小便を我慢している限り、その命令には従ってやる」
ロウがアネルザの前に立つ。
「だ、だったら……もう苛めないでおくれ……」
「わかった。そうしよう」
ロウがソファに戻っていく。
女たちもアネルザの周りから離れていった。
刺激が消えた瞬間、もう苦悶が始まっていた。
堰を切ったように、痒みだけが一斉に噴き上がる。
同時に、溜め込んでいた尿意が腹の底で暴れ出す。押さえ込もうと力を入れるほど、下腹がきりきりと締めつけられ、視界が白く滲んだ。
「お……お願いだよ……。拘束を……解いて……。た、頼む……厠に……」
哀願は、もはや王妃のものではなかった。
痒みと尿意に同時に追い立てられ、身体の奥から焦りが噴き出し、思考はばらばらに砕け散る。
耐えるという選択肢は、もうどこにも見当たらない。
アネルザは、自分が狂いかけていることをはっきりと自覚しながら、それでもなお、縋るように声を重ねるしかなかった。
「それは却下だ──。拘束は解かない。厠はないが、お願いというなら、容器くらいはあてがってやる。ただし、放尿をすれば、懲罰の再開だ」
もっと欲しいと身体が騒ぐ。
痒みの苦しさと、触れられる予感がごちゃごちゃに絡まり、頭の中で境界が溶ける。
足りない。
その感覚に気づいた瞬間、羞恥が遅れて刺さる。
「……くっ……ああ……」
声は意味を持たず、ただ漏れる。
耐える意志と、求める衝動が同時に暴れ、焦燥だけが残った。
「だ、だったら……もっと……強く……刺激を……」
泣きが混じったその一言で、意識は崩れた。
耐えることも、保つことも、もう区別できない。
「強い刺激か? わかった。叶えてやる……。コゼ──」
ロウが名指しする。
「はーい」
軽い返事とともに、コゼが絵筆を手に前へ出る。
その動きを見ただけで、アネルザの喉がひくりと鳴った。
すると、コゼがまたアネルザの脚のあいだにしゃがみ込み、アネルザの太腿に左手を置くと、右手に持っている絵筆で、尿道口とクリトリスを同時に激しく刺激してきたのだ。
「ひああっ、なにするんだい──ひいいっ」
甘く粘っこい疼きと腰骨を痺れさせるような快感に加えて、刺激のために尿道が緩み、次の瞬間、張りつめていたものが、あっけなく崩れた。
「ああっ」
全身がくらくらとした眩暈とともに、全身がばらばらになるような戦慄に襲われた。
そのときには、火花のような激しさとともに股間から奔流が噴き出し、放尿が始まってしまった。
「おっと」
コゼが素早く避けて、アネルザの失禁が掛かるのを回避する。
一度始まった放尿は、もうアネルザには止めようもなく、アネルザは汚辱感と恥辱感に苛まれながらも、どこか崩れるような官能の疼きを覚えていた。
「ううう……」
否定したい。受け入れてはならない。そう思う意識とは裏腹に、身体の奥が妙に軽くなっていく。
──落ちていく。
そんな感覚だった。
これまで必死に積み上げ、支えてきたものが、音もなく崩れていく。
代わりに、その空白へ、なにか別のものが静かに流れ込んでくる。
屈辱──。
羞恥──。
恐怖──。
それらは確かにある。
だが、それだけでは終わらない。
その奥に眠っている……快感……。
アネルザは、自分のなかにそんな感情があるということを知らなかった……。
放尿は続いている。
一方で、身体は抗うことをやめている。
耐えることも、隠すことも、守ることも放棄したその先で、奇妙な安堵が広がっていくのを、アネルザは否定できなかった。
──楽に、なっている。
それに気づいた瞬間、胸の奥がざわめく。
認めてはいけない。
王妃として、女として、そんな感覚を許してはいけない。
それでも、思考は止まらなかった。
これが……。
これが、被虐の快感というものなのだろうか……。
問いは、答えを求める前に、身体の内側へ沈んでいく。
アネルザは、自分のなかで確かに、なにかが変わったことを、はっきりと自覚していた。
「……約束は守れなかったようだ。じゃあ、懲罰の続行だ」
ロウの声は淡々としていた。
責めるでも、嗤うでもなく、ただ事実を告げる裁定の声だった。
そして、ロウが横にずらしていた、痒粘根を入れた容器を載せていた台を寄せた。
「ひっ、も、もうそれは許して──」
アネルザは、ロウが薄い手袋をはめ直し、痒粘根を手に取ったのを見て、愕然となってしまった。
「拒否権なんかあるわけないだろう。これは懲罰だ…….服従にはご褒美……。反抗には懲罰だ。しっかり覚えておいてくれ」
「わ、わたしは……反抗なんて……」
「それを決めるのは俺だ。俺が反抗と見なせば反抗だ」
ロウが痒粘根をアネルザの股間にずぶずぶと打ち込んでくる。
「おおおっ」
その瞬間、激しい愉悦がアネルザの全身を貫き、吠えるような嬌声をあげてしまった。
「落とすなよ……。落としたら懲罰の追加だ」
子宮口を押し潰すほどに挿入された痒粘根から手を離し、ロウは別の痒粘根を手に取ると、アネルザの後ろに回っていく。
「あああっ」
許してとも、お願いとも口にできなかった。
もうアネルザは、自分がロウを拒絶しているのか、受け入れているのか、その境目が曖昧になっていた。
だが、ロウがやろうとしていることは明白だ。
次はアナルにだろう。
とにかく、落とすなと命令された膣口に挿入されている痒粘根を必死になって締めつけていた。
「ひああっ」
痒粘根の先端がアナルを押した。
次いで、尻穴が押し拡げられて、痒粘根が奥に向かって進み入ってくる
「あああっ」
脳の内側を炎で灼かれるような鮮烈な快感だった。
アネルザは昂奮のまま声を迸らせていた。
「しばらく、そうしていろ。落とさなければ、今度こそご褒美をやる」
ロウがアナルを貫いた痒粘根をそのままにして、アネルザから離れていった。
すると、床に足首を固定していた金具が一瞬にして消滅した。
どうして消えたのかなど、もうアネルザは考えることはできなかった。
急いで脚を閉じ、痒みに襲われている股間を必死になって、内腿を擦りつける。
「動くのは自由だけど、痒粘根は落とすなよ」
ソファに戻ったロウが、女たちを抱き寄せながら、アネルザの姿に笑い声をあげた。
「ああっ……」
床に足を下ろしたまま、アネルザは内腿を必死に擦り合わせていた。
痒みは衰えない。むしろ、動くたびに形を変えて、内側からせり上がってくる。呼吸は浅く、唇を噛んでも、震えは止まらなかった。
痒粘根の汁による全身の掻痒感はいまや狂うような嵐となっていた。
特に、果唇とアナルに挿入されたままの痒粘根が、常に新しい汁を粘膜に送り込み、アネルザの理性を削り取っていく。
一方で、アネルザの視界の方向──白い空間では、まるで別の時間が流れていた。
三人の女とロウはソファーに身を預け、くつろいだ様子で過ごしている。
いまは、ロウは膝の上にコゼを横抱きにしていた。コゼに首へ腕を回させたまま、姿勢を崩さない。
そして、緩められたコゼのズボンの中に差し入れられた右手だけが、静かに動いていた。
「ああっ……あっ……」
コゼの喉から、堪えきれない声がこぼれる。
「ああっ、あっ、いっちゃう──いっちゃいます、ご主人様──ああっ……」
コゼの全身が一度大きく震え、ロウの膝の上で腰を浮かせた。
艶を帯びた声とともに、小さく身を強張らせたかと思うと、そのまま力が抜ける。
「……じゃあ、また交代だ……。次はどっちにするかな?」
ロウは特別な反応も示さず、ソファの端へと軽く視線を動かした。
ソファの端では、少しだけ服と髪を乱したシャングリアは力を抜いたまま身を預け、エリカは小さく姿勢を正していた。
「じゃあ、ロウ様、また、わたしで……」
エリカが、後手をまとめられたまま膝で進み寄ってくる。なぜか、三人のうち、エリカだけは後手に手錠をかけられているのだ。
「ああ、来いよ」
ロウがエリカに手を伸ばす。コゼについては、エリカたちとは単体側の端に寄っている。
「ところで、どうして、わたしだけ手錠なんでしょうか?」
エリカが身体をロウの腕に委ねながら訊ねた。
「気にするな。単なる暇つぶしだ……」
ロウがエリカを抱き寄せると、すぐに、エリカの甘い声が迸った。
アネルザは、それ以上見ていられず、視線を落とす。
頭上に吊り上げられている両手の拳を握りしめ、痒みの苦悶に耐えることに専念した。
まだロウの赦しがない以上、三人の会話や淫らな音を聞きながらも、アネルザは必死に耐え続けるしかなかった。
内腿に力を込め、身体を前後に揺らしながら、条件を守ろうと歯を食いしばる。
──あちらは、穏やか。
──こちらは、地獄……。
その差が、意識を削っていく。
「アネルザ、もう少し頑張れよ。だが、落とすな」
離れた位置から、ロウの声だけが淡々と落ちてきた。
はっとして、慌てて顔をあげる。
しかし、アネルザが汗と涙で歪む視線を向けたときには、もうロウの視線は女たちに戻っていた。
「くっ……うう……ああっ……」
アネルザは再び顔を俯かせて、ただただ内腿にさらに力を込めた。
「おい、アネルザ」
軽く頬を叩かれた。
驚いて顔をあげると、目の前にロウが立っていた。
「あっ、ロウ──」
「何度か呼んだぞ。しかし、太腿を忙しそうに動かすのに夢中だったな」
ロウが愉しそうに笑っている。
まったく気がつかなかった。
もしかしたら、あまりの痒みの意識さえ朦朧となっていたかもしれない。
「ああ、もう赦しておくれ──。が、我慢できない──痒いんだよ」
アネルザは必死で訴えた。
そのあいだも、アネルザの太腿は二本の痒粘根を深く咥えたまま激しく擦り続けられている。
「どこが痒いんだ、王妃?」
「くっ……む、胸……。それと……性器もだ」
荒い息を懸命に沈めながら、声を絞り出す。
「そこだけか?」
「うう……。お、お尻もだ。お尻の穴も痒い……」
もう恥辱だとか、王妃としての自尊心だとかには構っていられない。
ロウに必死に訴える。
乳房を揺さぶり、腰を必死にくねらせながら……。
「わかった。頑張ったからな。しばらく。右手だけ自由にしてやろう……。ご褒美だ……」
ロウが指を弾く。
その瞬間、右手首にかかっていた圧が突然に消滅して、拘束が外れていた。
はっとなりながらも、気がついたときには、アネルザは乳房を握り絞めていた。
「ああっ、ああ……」
乳房を握り絞め、乳首をこれでもかと動かす。峻烈な感覚が電撃のように全身に駆け巡っていく。
「くあっ、ああっ、はっ、はううっ」
だが、一度触れてしまった乳首は、すぐに新たな刺激を求め始めた。
右から左へ、また戻る。
止めようとしても、指は従わず、ただ感覚だけが膨れ上がっていく。
そのあいだ、アネルザの狂態を観察するように、ロウがアネルザを見つめ続ける。
それでも、やめることはできなかった。
すぐに視線が四人になる。
「ふふ、浅ましいこと。怖そうな王妃様だったけど、こうなったら形無しね」
コゼがアネルザの恥辱を煽るように声をかけた。
「やめなさいよ……さっきから変に煽るのは……」
エリカだ。
「だって、そっちの方がご主人様はお喜びになるかなと思って」
「コゼは、本当にロウ一筋だな」
シャングリアが小さく笑う。
しかし、アネルザはそれらを無視した。
無視せざるをいられない──。
それよりも、股間だ──。
もう、一瞬も待てないほどに、股間は掻痒感にまみれている。
右手を伸ばして、奥まで沈められている痒粘根の外に出ている部分を握り絞めて、荒々しく揺り動かす。
「おおおっ」
がくがくと両膝を震わせて、込みあがった快感の強さにアネルザは思わず腰を砕かせかけた。
だが、いまだに高く吊られている左腕が、アネルザの身体を支えた。
「使うなら、その痒粘根を使え。但し、落とすなよ。落とせば、また懲罰だ」
ロウが声を掛けた。
その言葉が耳に入るや否や、アネルザは痒粘根を握り直して、激しく抽送を開始した。
落とさなければいい──。
ロウの言葉を頭に焼き付ける。
新しい汁を大量に染み込ませるような行為をすれば、後々どうなるか想像はできたが、アネルザは狂ったように、痒粘根を膣に出し入れすることをやめることができなかった。
「はあっ、はうっ」
数回、痒粘根を思い切り膣の中に擦りつける。
そして、一度深くまで押し込み直すと、右手を後ろに回す。
「くっ……とどか……ない……」
左腕は頭上に引き伸ばされたままなので、肩と背が強く引き攣る。
腰を無理に捻り、指先だけを必死に伸ばして、なんとかアナルに挿入されたままの痒粘根を挟み込む。
だが、力は入らない。
掴んだつもりでも、指はすぐに滑り、思うように扱えなかった。
それでも、ここでできる限り刺激を与えておかなければ、後のことが怖ろしかった。
挟んだ指に力を入れて一度軽く抜き、思い切り腰を後ろにやって、抉らせようと思った。
「あっ、しまった──」
悲鳴をあげたときには、もう遅かった。
無理な姿勢で痒粘根を引き出したため、表面の粘性物で滑って床に落としてしまったのだ。
ごとんと音を立てて、痒粘根が床に転がる。
アネルザは、さっき頭から血が引いていくのがわかった。
「落としたな……」
その声を聞いた瞬間、アネルザの胸がひどく締めつけられた。
命令に、従えなかった……。
その事実が、なぜか耐えがたかった。
俯いたまま、唇がわずかに震える。
「……す、すまん……でも……」
理由も言い訳も浮かばない。
しかし、愕然となった。
次の瞬間、予兆もなく再び右手が頭上に高くあがって吊り上げられていたのだ。
次いで、股間に残っていた痒粘根も引き抜かれる。
「ああっ」
上体を真っ直ぐに起こしたアネルザは、新たな汁を染み込ませて、掻痒感を拡大させた裸身を、ほとんど無意識にくねらせた。
「お、お願いだよ──どうしにかして──狂ってしまう──もう一度──もう一度機会をおくれよ。今度はちゃんとやるから」
必死で叫んだ。
もう一瞬たりともじっとしていられない。
「さてね。命令違反には懲罰だしな……。もっともこのままじゃあ、本当に狂ってしまうか」
ロウがアネルザのアナルに手を回し、お尻の穴を抉るように指を挿入してきた。
しかも、二本同時に──。
「ほおおっ」
打ち痺れるような快感に、アネルザの全身の力が一気に抜ける。
一瞬、二本の鎖に身体がぶら下がった感じになり、慌てて脚を踏ん張り直す。
そのあいだも、ロウの指はアネルザのお尻の穴への抽送を繰り返す。
二本の指を簡単に受け入れたということも、与えられた刺激による愉悦のあまりもの大きさに、アネルザは恐怖さえ感じてしまった。
「ああっ、あああっ、ああああっ」
大きすぎる絶頂感が近づいているのがわかった。
「ああ、だめええっ、ひいいいっ」
生々しい声とともに、アネルザは絶頂感に身を任せて、全身を突っ張らせた。
しかし、その刹那、ぴたりとロウの指がとまり、あっさりと引き抜かれてしまった。
「ああ、そんなあ……」
焦燥感でアネルザはがくりと脱力する。
すると、ぱちんと軽く尻たぶを叩かれた。
「くっ」
思わず顔を歪める。
「そんなじゃないだろう。アネルザ、いまは罰を受ける番なんだぞ。ご褒美なんて貰えるわけがないだろう」
ロウがアネルザの前に出てきて笑う。
アネルザは意気消沈した。
だが、痒みは激しさを増している。気がつくとまたもや太腿を激しく擦り合わせていた。
「……まあいい。そろそろ、犯してほしいか、アネルザ? 俺に犯されれば、その痒みの苦しみから解放される。そういう風にしてある」
ロウの言葉を聞いた瞬間、アネルザの胸の奥に、はっきりとした光が差した。
それは理屈でも、冷静な判断でもない。
ただ、この苦しみから抜け出せるという予感だけが、強く身体を突き動かす。
「お、お願いだよ……っ。犯しておくれ──。ああ、もう解放しておくれよ──」
掠れた声で必死に叫ぶ。
羞恥も、ためらいも、もう残っていなかった。
その言葉を口にした瞬間、むしろ胸の奥が軽くなるのを、アネルザ自身が感じていた。
「わかった……。だがな、アネルザ……。懲罰もなしに、ご褒美を与えるわけにはいかないぞ」
「だ、だったら……なにをしたら……」
「もうひとつ条件を与えてやろう。それを成し遂げたら……お前を犯して、ここで終わらせてやる」
「な、なんでも……っ。やる……。やらせておくれ……っ」
間髪入れずに応じる。
条件の中身を問う余裕すらなかった。
ロウは答えず、ただ一歩近づいた。
そして、アネルザの股間へと、静かに手を翳す。
「あ……な、なに……ああっ……」
なにをされているのかわからない……。
しかし、触れられていないのに、下腹部の奥がざわめいた。
むず痒いような、熱を含んだような、正体のわからない感覚が一気に込みあげてくる。
「うくっ……ああ……っ……な、なにをして……ああ……」
アネルザは思わず呻き声を漏らし、腰を揺らしかけて、慌てて踏みとどまった。
ロウの手が、なにかを確かめるように空をなぞる。
やがて、その手が離れていく。
すると、下腹部には、はっきりとした異変が発生していた。
皮膚の内側が疼き、熱が集まり、形をなしていくのがわかる。
「……な……に……? なんだい……これ?」
視線を落としたアネルザは、息を呑んだ。
アネルザの下腹部──クリトリスのすぐ上の辺りに、あり得ないものがあった。
大人の小指ほどの小さなペニスだ──。
いまは萎えて下を向いているが、紛れもなく小さな男根だ。
アネルザは目を見張った。
そして、理解が追いつかないまま、ただ呆然と立ち尽くす。
「男勝りの王妃に相応しい贈り物だろう? 条件は頑張って射精を耐えることだ。死ぬ気で頑張れ。最後まで耐え抜けば、女の部分を犯してやる」
ロウがアネルザの股間に手を伸ばして、その小さな男根をいきなり揉み上げてきた。
「ああっ、なにを──」
むくむくとロウの手の中で、アネルザに生まれた新しい性器が膨らみと固さを増す。
勃起しても、大人の小指ほどの大きさは変わらなかったが、形は明らかに男根だ。皮は被っているが、亀頭の部分もあり、ロウに握られている先端には本物同様に頭に割れ目もある。
「ひっ、ひっ、ひいっ」
アネルザは、込みあがる得体の知れない感覚に、ただただ身悶えるしかなかった。
これが女のものとは違う、男の欲というものなのかはわからない。
だが、ロウに握られているその部分に、突然、熱湯を注ぎ込まれたかのような衝撃が走る。
「ああっ、うう……」
名状しがたい強い快感が股間を貫き、身体がびくりと跳ねた。
次の瞬間、アネルザは、小さな男根から白濁したものを噴きだしてしまっていた。
しかし、快感だと感じたのは一瞬だけだった。
すぐに、それは激しい焦燥感へと変わる。
満たされたはずの場所が、逆に渇いていくような感覚が、身体の奥からせり上がってくる。
「あっ……ああ……どうして……」
わけのわからない感覚に襲われ、アネルザは首を横に振った。
「……成功だな」
ロウが淡々と告げる。
「成功って、なんですか……それ?」
気がつくと、女たち三人が喰い入るように、アネルザに生まれた性器を見つめている。
声をあげたのは、コゼだ。
「俺の淫魔術で作った、男の性器だ。だが、快感は一瞬しか続かない。男の部分の欲が満たされても、女の部分が満たされない。だから、すぐに強い焦燥感が襲ってくる」
ロウがなにを言っているのか、言葉の意味はほとんど頭に入ってこなかった。
ただ、身体の奥に残った感覚だけが、やけに生々しく居座っている。
一瞬、何かが抜け落ちたような虚ろがあった。
だが、それはすぐに、耐えがたい焦燥へと裏返る。
満たされたはずの場所が、かえって渇き、掻きむしるように疼き出す。
「あ……ああっ……」
喉から、力のない声が漏れた。
落ち着こうとしても、身体がまるで言うことを聞かない。
下腹の奥がざわめき、理由のわからない切迫感が、胸の内側まで押し上げてくる。
しかも、痒粘根の汁による掻痒感は、いまも衰えてはいなかった。
皮膚の内側を這い回るような痒みが、思考を断ち切り、理性を削っていく。
なにが起きたのか、なぜこんな状態になっているのか。
考えようとするたびに、焦燥と痒みがそれを上書きする。
アネルザはいま、ただ耐えることしかできなかった。
理由も理解も追いつかないまま、狂おしい感覚の波に、身体を晒し続けていた。
「……いずれにしても、耐えるどころか、あっという間だったな。次は頑張れ……。その代わりに、鍛えられるものを渡してやる」
ロウの声は淡々としていた。
言い終えると、彼はアネルザの股間へと手を伸ばす。
次の瞬間、男根の根元には、細い金属の環が生まれていた。
それは低く唸るような音を立て、微かな振動を発し始める。
「あ……っ」
思わず声が漏れた。
触れられていないのに、内部を直接揺さぶられるような感覚が、下腹から這い上がってくる。
「その環は男根を刺激して強い射精感を無理矢理に作る。しかし、射精を感知すれば、根元を締めつけて射精を止めてくれる。これで訓練しておけ」
ロウは小さく笑った。
次の瞬間、ロウの姿が揺らぎ、三人の女の気配とともに消え失せる。
「あ……ああ……ま、待って──そんな──」
驚いて声をあげたが、すでに四人の姿はいない。
この不思議な白い空間に存在するのは、両手を上に向かって引きあげられているアネルザだけだ。
そして、痒粘根の汁による掻痒感は、いまも身体を苛み続けている。
そこへ、男根に嵌められた金属環の振動が重なる。
「あああ、だめええ──」
アネルザは身体を突っ張らせて呻き声をあげた。
早くも、男根に強い衝動が込みあげてきたのだ。
だが、逃げ場はない。
白い空間の静けさの中で、アネルザはただひとりで、その感覚に晒され続けていた。