【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
副神殿長ポーランの声が、会議室に静かに響いていた。
「──以上が、当面の再開計画です、神殿長代理」
低く落ち着いた声だった。
報告というより、すでに整えられた結論をなぞっている口調である。
「ふふ、スクルズで構いませんわ。ポーラン尊師に、言葉を改められると落ち着きませんもの」
スクルズは、副神殿長のポーランにくすくすと小さく笑いかけた。
「では、慣れて頂きませんとね。いずれは代理も外れましょう」
ポーランがにこやかに応じた。
第三神殿における定例の会議である。
かつては一歩下がった位置から見上げていた場所だ。
スクルズは、背筋を伸ばして穏やかな表情を保ったまま、静かに頷く。
時刻は夕刻に差しかかっていた。高い位置に設けられた窓から差し込む光はすでに赤みを帯び、石壁に長い影を落としている。
魔道による燭火が灯され、会議室は昼の名残と夜の気配が入り混じった静かな明るさに包まれていた。
第三神殿の再建に関する定例会議はこれで三度目になる。
長卓を囲む顔ぶれも、ほぼ変わっていない。
副神殿長ポーラン。施療を取りまとめる神官。儀礼を司る神務長。財を預かる老神官など十数人が参加している。
いずれも、神殿長を失った後の混乱の中で、現場を回してきた者たちだ。以前からその職についている者もいるし、新たに就いた者もいる。
また、筆頭巫女については、スクルズが兼務をするので、新たな任命はない。
あのクライドという男の引き起こした「災厄」によって、当時の神殿長以下、多くの者が命を喪ったが、やっと明るく笑えるようになったような気がする。
前神殿長の死により、スクルズが正式に神殿長代理へ就いたのは、半月前だ。
王都ハロルドに三神殿が建設されて以来、三つのうち少なくとも一つは、男性神官ではなく巫女が神殿長を務めるという慣例があった。
その際、筆頭巫女がそのまま神殿長へ繰り上がること自体は、決して珍しい話ではない。
だが、代理とはいえ、二十代半ばという若さで神殿長の役割を担う例は多くない。
それでも、神殿内においては、反対の声は上がらなかったそうだ。
スクルズが王都でも指折りの高位魔道使いとして知られていたこともある。
だが、それ以上に、あの災厄の最中、スクルズが神殿内外を走り回っていたことが、評価されたらしい。
自分としては、過分な評価だと思っている。
しかも、若くして筆頭巫女となった頃から、娘のように面倒を見てくれてきたポーランを、いまは使う立場にあるというのが、どうにもこそばゆかった。
ただ、神殿の外となれば、若すぎるスクルズの神殿長代理就任に、異を唱えた者が皆無なわけではない。
筆頭はキシダイン卿であり、隣国タリオ公国から神殿長を招き、タリオ出身の自分の勢力を拡大したい彼は、民衆に人気がありすぎるという理由で、スクルズの代理就任を喜ばなかったと聞く。
しかし、正式に神殿長人事の決着がつくまでの、代理指名は、神殿側の専管で合意したと、神殿側が突っぱねたそうだ。
それでも不平を繰り返したようだが、最終的には王妃アネルザがキシダインを一喝して決着をつけたとのことだった。
「んんっ」
そのときだった。
下腹部を襲った刺激に、スクルズはわずかにびくりと身体を反応させ、かすかに声を出してしまった。
股間に忍ばせているディルドがまたもや緩い振動を始めたのだ。
絶頂を促すような強い刺激でもないし、耐えられなくて声が出てしまうのを狙う責めではない。
しかし、耐えられるぎりぎりをついてくる意地悪さは、さすがはロウだと思う。
スクルズは、繰り返される淫具の振動により、横溢している欲情が強いうねりとなって、四肢の隅々に響き渡るのを感じた。
「……問題は人材です。上級神官と施療師の損失が大きく、しばらくは従来の機能は維持できないかもしれません」
ポーランが続ける。
そのあいだに、ディルドの振動が音もなく静止した。
スクルズは、俯かせていた顔をゆっくりとあげる。
「……人材の最終的な補填には、時間はかかるでしょうね。仕方ありませんわ」
スクルズは、膝の上の手をぎゅっと股間に押しつけたまま言った。
「第一、第二神殿からの応援と、地方神殿からの引き上げの検討を引き続き進めましょう」
「……お願いしますわ、ポーラン尊師」
スクルズは、短く控えめに頷く。
すると、振動が再開した。
椅子に体重を預けた拍子に、下腹の奥がじわりと自己主張した。
わずかな刺激が、意識を引き戻す。
だが、突きあげる愉悦のさざ波は、スクルズの口から熱を帯びた息遣いを引きだそうとする。
……いまは、だめ。
小さく息を整え、表情を保つ。
しばらくすると止まる。
本当に意地悪な振動……。
思わずくすりと笑い声が漏れそうになった。
「ほかに、下級神官と見習い期間の短縮についても、検討しています」
さらに、ポーランが言った。
「賛成です。経験不足は否めませんが、数を揃えなければ、施療の列が捌けません」
すると、施療担当の長が賛同の声をあげた。
スクルズは、声が裏返らないように身を引き締めた。再びディルドが刺激したのだ。
「……む、無理は、させないでください。大事なのは信頼です……」
そう言葉を添える。
「……それと、外部からの補充についてですが、王宮筋から、支援の申し出があります」
ポーランが一瞬だけ言葉を選ぶ。
「王宮筋? 王宮の魔道師隊ですか?」
スクルズはポーランに視線を向けた。
「ハロルド公が動かれているようです」
ポーランはほんの少し顔を曇らせた。
ハロルド公──即ち、キシダインである。
魔道遣いの役割分担は、この国ではおおよそ定まっている。
神殿は、広く平民の中から魔道の素養を持つ者を見出し、時間をかけて育てる。そうして育った魔道遣いたちは、施療を通じて民衆と直接結びつき、神殿の信頼を支える役割を担ってきた。
一方、王宮に属する魔道師は、ほとんどが貴族階級の出である。
本来、強い魔道力は貴族の血筋に生まれるものとされ、王軍の魔道師隊、魔道研究職、王宮付きの公的魔道遣いといった職は、長くその層によって独占されてきた。
冒険者ギルドにも施療はあるが、それはあくまでギルド内での応急的なものが基本で、クエストとして受ける場合もあるにはある。
それぞれの領分は、明文化されてはいなくとも、慣例としてきちんと切り分けられていた。
だから、貴族主体である王宮魔道師が、平民を対象とした神殿の施療に積極的に関わるという話は、あまり聞かない。
理屈の上では、良いことなのだろう。だが前例がない。
しかも、あのキシダイン卿の働きというのが、善意だけで動いているようには、どうにも思えない。
ポーランからの内容に、胸の奥が冷える。
だが、顔には出さない。
「検討は、慎重にしましょう」
スクルズは、静かに言った。
そして、大きく息を吐く。
ディルドの振動が終わったのだ。巫女服の下では、下着は身につけず、スカートの中で剥き出しの股間に、ディルドだけを挿入していた。
繰り返される刺激で股間が濡れ、愛液が大変な状態になっている。
「それがよろしいかと」
ポーランも頷く。
「施療については、わたしも参加したしましょう。わたしなら、短い時間で数がこなせますので……」
スクルズは施療担当の長に視線を向ける。
「正直、助かります。ありがとうございます」
その彼が安堵の声をもらした。
すると、またもやディルドの振動──。
思考が逸れかけるのを、無理に押し戻す。
「……ほ、ほかに、今日の話し合いで必要なことはありますか?」
自分の口が、まとめ役として動く。
「いえ。以上です……。では、次の定例会議は二日後に」
ポーランが議事の終わりを宣して、解散となった。
スクルズは背筋を伸ばして、ポーランに声をかける。
「……なんでしょうか、神殿長代理?」
ポーランが寄ってきて、にこにこと応じる。
「しばらく、執務室にこもります。新しい魔道紋を試しているので部屋に結界をかけますが、なにかあれば、伝言球を飛ばしてください。安全のために許可なく入らないように徹底を」
スクルズは痺れるような甘い感覚に耐えながら言った。
今度はなかなか、振動は終わらず、ディルドの淫らな刺激はまだ続いている。しかも、だんだんと激しくなってきている。
もしかしたら、会議が終わったことを、ロウは認識しているのかもしれない。
「わかりました。お疲れ様でした」
ポーランが頭をさげた。
スクルズは立ちあがった。
そのとき、さらに振動が激しくなる──。
「うっ、あっ」
スクルズは、脳髄まで響く快美感に、さすがに脚がよろけて、思わず両手をついた。
「どうされました?」
ポーラン訝しそうに顔を覗く。
「い、いえ、なんでもありませんわ。問題ありません。で、では、わたしは急ぎますので」
スクルズは、執務室まで歩いて向かうのを諦めて、移動術で跳躍した。
「おかえり、神殿長代理殿。活躍だったね」
第三神殿の神殿長として使われている執務室である。
本来ならば、スクルズが座るべき神殿長の椅子には、ロウが足を組んで腰掛けていた。
そして、室内のソファには、エリカ、コゼ、シャングリアが並んで座っていた。
いつもの顔ぶれだ。
「あん、ロウ様、わたし頑張りましたわ。ちゃんとばれませんでしたから」
スクルズはロウを見て、そのまま抱きついた。
振動はまだ続いている。しかも、さらに激しくなった。
「確かにね。あれだけ悪戯したのに、神殿長の役割もちゃんと果たしてたな。立派なもんだ」
ロウが笑って、スクルズを抱き締めてくる。
また、ロウの視線の前には、円形に揺らぐ白い湯気のようなものが浮かんでいる。
その内側には、つい先ほどまで行われていた第三神殿の会議室の情景が映し出されていた。
エリカの魔道によるものだと見ればわかった。
やはり、ここで見ていたのだと、スクルズは悟った。
「ロウ様、正直、あまり感心しません。いくらなんでも、不謹慎なような気がします……。スクルズもスクルズよ。ちゃんと自重しなさい。神殿長代理になったんでしょう」
エリカが、少し心配そうに言った。
「まあ、問題ありませんわ。ちゃんとばれませんでしたし……。ああ、それよりもロウ様、頑張ったスクルズにご褒美が欲しいですわ」
スクルズは足腰の力が抜けたまま、ロウの前に跪くかたちで、さらに身体を預けた。
「無駄よ、エリカ。そもそも、この変態巫女が乗り気なんだから」
コゼが笑った。
「不謹慎といえば、これ以上の不謹慎はないと思うが。これはロウではなく、スクルズが悪いだろう」
シャングリアも、苦笑気味に声を重ねた。
「ああ、そんなことよりも、もう我慢できませんわ。ロウ様、もう、お許しを──」
スクルズは懇願した。
「そうだな。じゃあ、ディルドを外してやろう。でも、肩書きが増えても、スクルズは俺の性奴隷だぞ。いいね」
ロウの言葉にぞくぞくと焦燥と期待の火がスクルズの身体の隅々まで燃えあがる。
床に膝立ちしているスクルズを上から抱き締めるロウがスクルズの耳を舐め、舌を這わせる。
スクルズの口からは吐息が漏れ、ますまず身体が熱くなっていく。
「じゃあ、その机に腰掛けて」
ロウがスクルズを執務用の机に座らせた。
そして、閉じて揃えた脚を今度は跪いたロウが手で大きく左右に押し開いていく。
「ああ、恥ずかしいですわ」
スクルズは、思わず本能的に脚を閉じそうになった。
「おっ、なんだ? 神殿長代理に出世したら、もうこういう遊びには付き合えないか?」
ロウが意地悪っぽく言った。
スクルズは慌てて、脚の力を抜く。
横側からエリカの吐息のような音や、コゼの揶揄いのような言葉が聞こえた気がしたが、もういまのスクルズには気にならなくなっていた。
それよりも、ロウに可愛がってもらいたい──。
考えられるのはそれだけだ。
「そんなことありませんわ。スクルズは、ロウ様の性奴隷です。もっといやらしいことをお命じになって大丈夫です。問題ありませんわ」
「じゃあ、自分で開くんだ。真横までね。女神殿長がやらないような卑猥な格好を見せて欲しいね。巫女服のスカートも自分でまくるんだ」
「も、もちろんですわ」
スクルズは、脚を限界まで左右に開きながら、スカートをお腹まで捲りあげた。
すると、ロウがディルドが挿入されままのスクルズの股間に舌で舐めあげてきた。
「ああっ」
スクルズは手を伸ばして、ロウの頭を両手で掴む。そうしなければ、そのまま込みあがる喜悦のまま、身体を崩してしまいそうだった。
しばらく、舌でべっとりと股間から溢れている愛液を舐めとられていく。
スクルズは、あまりもの甘美感で我を忘れて、身体をのけ反らせた。
まるで、全身が淫欲の炎で灼き尽くされていくかのような情動が襲いかかってくる。
「いくらでも汁が出てくるね。スクルズは神殿長代理になっても、いやらしさは変わりない」
ロウが顔を一度離して笑う。
「ああ、もう、抜いてください。代わりにロウ様のものを──」
スクルズはロウの頭を掴んだまま身体をくねらせる。
「いやらしい巫女さんだな。じゃあ、罰を与えなとね」
ロウがくすくすと笑った。
すると、振動を続けていたディルドの振動がさらに激しくなる。
しかも、膣に入っている部分だけじゃなく、陰核に当たっていた小枝の部分までも一緒に振動を開始したのである。
「ひあああっ──」
スクルズは身体を弓なりにした。
快感の衝撃が全身を一気に貫く。
そのままがくがくと身体を振るわせて、絶頂を極めてしまった。
「ああっ……」
スクルズは体勢を崩して、執務机から落ちそうになった。
それをロウが支え直して、ディルドに手を伸ばして引き抜く。
「あんっ」
スクルズはびくんと身体を跳ねさせた。
「机に両手をついて、お尻を突き出せ。次はご褒美だ」
ロウが軽く内腿を叩く。
それだけで、ぞくぞくと被虐酔いのようなものがスクルズを襲う。
スクルズは、絶頂したばかりで脱力している身体を懸命に動かし、上半身を倒してロウにお尻を突き出す。
ロウがスカートをめくり直して、腰を掴むと後ろから怒張をスクルズの股間に埋め込んできた。
「はあっ、ああっ」
スクルズは机につけていた顔を上に向けて、抜けるような声を放った。
思わず腰を振っていた。
あまりもの気持ちよさに、じっとしていられなかったのだ。
律動が始まる。
ロウの片手が巫女服の上から乳房を鷲掴みにして揉みほぐしてく。
「あっ、あっ、ああっ」
口から迸るあられもない声がとまらない。
抽送がさらに激しくなる。
そして、またしても、スクルズは快感の頂点に達してしまった。
「ああっ、いくう、いっちゃいました──ああっ──」
喉の奥から絞り出すような声とともに、スクルズは歓喜で身体の芯を打ち砕かせた。
だが、ロウの律動は終わらない。
それどころか、さらに激しさを増す。
スクルズは三度目の絶頂感に見舞われていった。
昇りつめたところから、さらに高い波で包まれていく。
「きゃああ、あああっ──」
立て続けの連続絶頂──。
まさに、身体が溶けてしまうような気持ちよさだった。
すると、ロウの腰がぶるりと震えた。
股間のなかでロウの怒張が熱と膨らみを増し、続いて精の迸りが溢れ返すのがわかる。
スクルズは、快感を血肉の隅々にまで擦り込ませていった。
「ご主人様、お疲れ様です」
コゼが、いつの間にか側に来ていた。スクルズの股間から抜いたばかりのロウの男根に舌で掃除を始める。
一方でロウの前に跪いたままのスクルズは、まだ荒い息を整えきれず、視線を上げることができないでいた。
そのときだった──。
「スクルズ様、あたし……大変なことが……どうしたらいいですか……」
突然に執務室の扉の外から、か細い声が届いた。スクルズの身体がはっと強張る。
「ミウ……? 待って、いまは開けてはいけません」
声の主はミウだった。一箇月前から第三神殿で預かっている見習い巫女で、クライド事件の犠牲者のひとりである。
もともと、神殿にいた子ではない。
行商をしていた商人の娘で、王都に向かう途中でクライドに両親を眼の前で殺され、本人は連れ回されて凌辱をされ続けた。
まだ十歳でしかない。
ただ、魔力を保持していたことと、魔力制御に難があり、王都神殿で訓練して欲しいという地方神殿の紹介状があり、巫女見習いとして、第三神殿でスクルズが預かることになった。
「ミウ? もしかして、あのときの……?」
エリカが、小さく息を呑んだ。
「本当か? あの小さな魔道遣いの子か」
ロウも驚いたように言った。
「中に入れます。様子がおかしいようですから、いったん話を聞きます」
スクルズは深く息を吸って立ち上がり、乱れた服装を手早く整えた。ロウたちを一度見回してから、コゼもロウも大丈夫なことを確認してから結界を解く。
「……切り替えが早いな」
シャングリアが苦笑まじりに呟く。
「ほんとにね」
エリカも肩をすくめた。
「入っていいわ、ミウ」
スクルズが告げると、扉が開き、ミウが駆け込んでくる。視線が室内を捉え、次の瞬間、ぱっと表情が明るくなった。
「スクルズ様……あっ、その方たち……」
ミウの声は、驚きと喜びが混ざって震えていた。
「ええ、ロウ様たちです。でも先に用件を言いなさい。なにがありましたか?」
スクルズは穏やかながら、厳しく言った。
「そうでした……スクルズ様、助けてください──」
すると、ミウが切迫した声で叫び、両手を胸の前で握りしめた