【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
239 夜の執務室─ミランダ
王都ハロルドの夜の冒険者ギルド本部は、昼よりも静かで、しかし重い。
ミランダの執務室の机の上には、処理待ちの書類が山になっていた。束ねても束ねても、書類の山は減る気配がない。寝室のある私室は壁ひとつ隔てた内扉の向こうだが、今夜もそちら側に行くのは夜中になりそうだ。
「……また増えてるわねえ」
独り言が、羊毛紙の匂いに吸い込まれる。
印の押されていない依頼票、各城郭支部からの照会、優先度の判断待ち。どれも急ぎで、どれも後回しにできない。
ハロンドール王国内の各都市に展開している各冒険者ギルド支部は、それぞれ独立して金を回している。採算も責任も、それぞれの城郭支部ごとだ。
本来は、その統制業務はこれ程に煩雑になることはない。
だが、一気に増大した都市間を結ぶ輸送クエストがギルドの新たな主管クエストのひとつになってきたことにより、魔道通信で繋がることが必要となり、これまでとは話が別になった。
通信板の灯りが、またひとつ淡く脈打った。
ローム方面。続いて、ナタルの森──。
あのマアが動かしだした物流が王国の外にも拡大したことで、クエスト確認。緊急変更。割り込みなど、ここ数週間、こうしたやり取りが途切れない。
ロウがタリオの女豪商のマアを若さと引き換えに、イザベラの陣営に引き抜いて、そろそろ三箇月になる──。
彼女が新たに作ったターナ商会はいまや、飛ぶ鳥を落とす勢いで業績を拡大させていた。
そのターナ商会と組んで流通を支えているのが、冒険者ギルドだ。キシダイン派の商会が押さえている既存の流通に喰い込むために、冒険者ギルドがターナ商会と組み、キシダイン派に対抗する流通力を補っているのである。
おかげで、冒険者ギルドも、輸送クエストが激増して、この数箇月だけで、昨年一年間分に匹敵する利益を生んでいる。
だが、それに応じて業務もまた増大するということであり、しかも、まだまだ増える勢いだ。
ミランダは、嬉しい悲鳴をあげている。
それを支えているのは、王国中を繋ぐ魔道通信網だ。
もともと、ロームと王都、そしてエルフ族の森を結ぶ長距離魔道通信は、エルフ族の英知だった。
閉じた社会の中で、大切に扱われてきた技術である。
それがいまは、冒険者ギルドを通じて、昼も夜も酷使されている。
輸送依頼が一気に増え、支部同士の連携と調整が、すべてここへ流れ込んできたが、この通信網がなければ、おそらく流通クエストに対応することは不可能だったろう。
机の脇に積まれた別の束に目をやる。
見慣れない商会印が多い。
「……商いの流れが、変わってきてるねえ」
いや、理由を考えるのは、後回しだ。
判断し、振り分け、決裁する。それが仕事だ。
すると、執務室の扉が廊下側から叩かれた。
「どうぞ」
ミランダは書類から顔をあげることなく声をかけた。
同時に、横の通信板の灯りが、また脈打った。通信板に手を伸ばし、内容を空中に展開させながら、ミランダは開いた扉に視線を向けた。
執務室の扉が開き、マリーが入ってきた。
実はこの本部内ではミランダに次ぐ地位にあるが、受付にも立つ女だ。だが、この数箇月は、ほとんどミランダの補佐業務に張りついている。
「デルタ支部のテリオから、
書類が机の端に置かれる。
「悪いけど、あんたに任せるわ。テリオの推薦なら、余程のことがない限り問題ないでしょう。いまは人手が足りないの。ネコの手も借りたいくらいに」
「了解。猫の手以上なら、通すわね」
マリーが笑って書類を手元に引き寄せる。
王都ハロルドの冒険者ギルドでは、日雇い仕事を扱う
テリオはデルタ支部を任され、次の段階に上げられる冒険者パーティの選別を担っている老女だ。
また、本来なら、その最終確認はミランダの役目である。
だが、この数箇月の業務量では、任せられるところは任せなければ回らない。
「頼むわ」
「わかった。じゃあ、あたしはこれであがるわ……。ところで、ランもあがらせるわね。あの娘、言わないと際限なく仕事を続けるから」
「ええ。ランには、報告は明日でいいと告げて」
「了解……。じゃあ、ミランダもほどほどにね」
マリーは短く頷き、踵を返した。
ランとは、半年ほど前にギルドで引き取ることになった娘だ。
ある洗脳事件に巻き込まれ、行き場を失って、ロウの頼みでここに身を置くことになったのだ。
最初は雑務から始めたが、覚えが早く、手も抜かない。
また、ランは、あの事件をきっかけに、ロウの精を受け、性奴隷の刻みを受けたひとりでもあった。ロウの精支配を受けた女は、なぜか能力が飛躍的にあがる。
ランもそのひとりであり、もともと平民でありながら、王立学校の入学を許されるほどの才媛だったが、ロウの支配は、ランの業務処理能力を飛躍的に向上させていると思う。
いまでは、ランがいなければ業務は回らない。
マリーの足音が廊下の向こうへ遠ざかる。
執務室には、再び紙の擦れる音だけが戻った。
通信板の灯りが、また淡く脈打った。
ミランダは、視線を落とし、次の書類に手を伸ばした。
それからもしばらく、書類に向かい続けた。
通信板の灯りが脈打つたびに目を走らせ、承認と指示を魔道で添えて通信を送り返す。その繰り返しだ。
ふと、腹の奥が空腹を主張した。
顔をあげてから、夕食を取っていないことに気づく。ミランダは肩を回し、一度だけ伸びをして立ちあがった。
部屋の灯りを消し、廊下に出て扉に鍵をする。
夜はかなり深い。足音が石床に短く返り、ほかの気配はない。魔道灯は必要最低限だけが点いていて、当直室の扉は閉じたままだった。誰かがいるのはわかるが、ここに関わってくる者はいない。
厨房で保存箱を開け、手近なものを取り出す。
立ったまま口に運び、数度噛んで飲み込む。味を確かめる余裕はない。腹が静まれば、それでよかった。
片づけもそこそこに、来た道を戻る。
ミランダは、私室の扉を開けて中に入った。
魔道灯は点いていない。夜の私室はいつも通りのはずだった。
あれ……?
しかし、一歩踏み込んだ瞬間、足裏にわずかな引っかかりを覚えた。
床の感触が、記憶と噛み合わない。
「んんっ……」
次の瞬間、突然に頭から袋を被せられ、声は布の内側で押し潰される。
反射的に腕を振るが、なにも掴めない。
背中を強く押され、身体が前につんのめった。
「……くっ……」
床に膝を打つ衝撃が走る。
同時に、右肩に軽い痛みが刺さった。
針──?
肩口に、細いものが入った感覚が残る。
その直後から、力が抜けていくのがはっきりとわかった。
「……な……に……?」
立ちあがろうとしたが脚が応えない。
指を握ろうとしても、うまく動かなかった。
身体が、自分のものではなくなっていく。
左右から腕を掴まれ、持ちあげられる。
抵抗する間もなく、硬い面に背中を押しつけられた。おそらく、執務室にあったソファテーブルだ。そこに仰向けに倒されたのだと思う
「や……め……」
声をあげようとしたが、布に吸われて途切れる。
仰向けにされ、両腕が左右に引き延ばされた。
手首に冷たい感触が触れ、次の瞬間、縄のようなもので、きつく締めあげられる。
仰向けの状態で両手をテーブルの脚に固定されて、腕が完全に動かせなくなった。
「……くっ……」
身をよじるが、逃げ場はない。
右手の指から、慣れ親しんだ重みが抜き取られる感覚があった。
魔道の指輪──。
それが外されたという事実が、遅れて意識に届く。
続いて、脚に手がかかった。
両足首を掴まれ、そのまま頭のほうへ持ちあげられる。
「ひっ……いや……」
短い悲鳴が漏れる。
上半身に向かって折り畳まれるように脚が上がり、戻そうとしても力が入らない。
足首と膝裏に革の感触が巻きつく。
締められ、机に固定される。
脚は戻らない。
両脚を折り曲げた状態でお腹につけた体勢で完全に固定されてしまう。
逃げ場が完全に塞がれた。
腰まで捲れあがったスカートが、肌を晒しているのがわかる。
自分がどんな姿にされているのかを考えると、羞恥が全身を熱くする
こうなってしまうと、やっとなにが起きたかがわかってくる。
この一連の動きに、無駄がなさすぎる。
袋。無力化。拘束。魔道封じ──。
現役を引退しているとはいえ、かつての
袋の内側で呼吸を整え、喉の奥の震えを押し戻す。
沈黙が続いた。
「……いい加減にしなさいよ。どこの誰かなんて、聞くまでもないわね。ロウ……。なんの真似よ……」
顔を被せられている袋越しに叫ぶ。
返事はない。
だが、その沈黙こそが、答えだった。
すぐ近くでくすくすと笑う気配が返る。
次の瞬間、首元に手が伸び、袋口が緩められた。
袋が引き抜かれる。
視界が戻った。
魔道灯ではなく燭台が灯っていて、執務室の中を淡く照らしていた。
やっぱり……。
ミランダは、脚を折り畳まれたままの窮屈な姿勢で、短く息を吐いた。
頭側の横で笑っているのはロウだった。
また、足側には、エリカ、コゼ、シャングリアが並んで立っている。
「ごめんなさい、ミランダ。ロウ様のご命令で……」
エリカが、わずかに肩をすくめた。
「レイプごっこらしい。このところ、ロウは突然に襲って犯すのが愉しいらしくてな。この数日、わたしたちもそれぞれやられた」
シャングリアが、からかうように続ける。
「あたしは今日の朝方でした」
コゼが付け足した。
「わたしは、昨日は騎士団の錬成に参加してたんだ。その詰所で襲われた。びっくりしたぞ」
「わたしなんか、城郭の路地だったわ」
シャングリアが笑いながら言い、次いで、エリカも息を吐く。
「でも、ミランダ、呆気なさ過ぎない? 本当に暴漢だったらどうするの。油断しすぎだって。ギルドの警備具を解除したのも、ずるはしてないわよ。普通に潜入したって」
コゼがけらけらと笑う。
「……あんたたちねえ……」
ミランダは、呆れて言った。
だが、笑えないのも事実だった。
あの一瞬で、ミランダは完全に無力化された。本気で抵抗しようとしたが、まったくなにもできなかった。
また、コゼの言う通りに、侵入者として警備具を外から解除したのであれば、この本部の警備態勢には大きな穴があるということにもなるのだろう。
「というわけだ、ミランダ。今日は、傷心のミランダを慰めるためのレイプごっこだ」
ロウが、拘束されたミランダを見下ろして告げた。
「……なにが傷心よ」
ミランダは力なく返した。
「この前のクライドの件もあるだろう。だから、今日は、レイプごっこに気楽に付き合え」
ロウの声が、少しだけ低くなる。
「クライドって、何箇月前だと思ってんのよ──。毎回、毎回、忘れた頃に襲撃してきて──」
ミランダは怒鳴った。
クライドの件というのは、もう二箇月以上前のことになり、冒険者ギルドが襲撃され、ミランダとスクルズが捕らわれ、そのクライドにミランダが犯されたときのことだ。
ロウは、ミランダがそれで傷ついているのだと勝手に決めつけ、三日間ほど、ミランダをあの幽霊屋敷に閉じ込めていた。そのあいだ、逃げ場もなく、ミランダはロウによる悪戯で何十回となく繰り返して「上書き」された。
四日目で、ようやく開放された。
だが、そのからも、今日と同じようなやり方で襲われ、繰り返し襲撃をしてきては、ミランダを犯すのだ。
おそらく、十回以上になる。
その都度、方法を変えて突然に襲いかかり、ロウに犯される。
ロウに抱かれること自体が嫌なわけではないが、こんなやり方は、さすがに心臓に悪い。
本当に、もう勘弁してほしい……。
「ははは、実は、傷心のミランダを慰めると言うの口実だ。俺が愉しいからやってえるだけだ」
ロウが笑う。
ミランダは溜息をついた。
「はあ……わかっているわよ。まあいいわ。抵抗はしないわ。だけど、この拘束は解いてよ。さすがに恥ずかしいわ」
ミランダは、ロウを見る。
抵抗しても意味がないことは、もうわかっていた。
ただ、いまの格好は、脚を大きく開かれたまま拘束され、股間を突き出した姿勢にされている。
ロウの視線が、さきほどからそこに注がれているのがはっきりとわかり、その意識が羞恥をさらに強めていた。
「お前たちはもう行っていいぞ。二ノスほど経ったら迎えに来てくれ。そのあいだに、第二神殿の偵察を頼む。数日以内に、ベルズ殿をレイプするつもりだ」
だが、ロウはミランダを無視して、エリカたちに顔を向けた。
「わかった。じゃあみんなで行ってくる」
「でも、そのあいだは、ミランダのそばから離れちゃだめですよ、ロウ様」
「ミランダをあまり苛めないでくださいね」
シャングリア、エリカ、コゼがそれぞれ応じる。
三人とも平然とした調子で、ロウの馬鹿げた遊びに慣れきっている様子だ。
次は第二神殿……。
ベルズのところにも行くつもりなのかとミランダは呆れた。だが、止めても無駄だろう。
ミランダは身体を脱力させた。
三人は軽くミランダに挨拶をすると、そのまま部屋を出ていく。
侵入も退出もあまりにも自由自在そうであり、手口を確認してギルド補ヌの警備を見直す必要があると頭の片隅で考える。
「……ねえ、ロウ……。ここには、まだ夜勤の職員がいるのよ……。大丈夫なの?」
ふたりきりになると、ミランダは声を落とした。
「ん? まあ、大丈夫だろう。コゼもシーフ技術はかなりのものだしね。あとで手口は教えてやるよ」
「いや……そっちじゃなくて。声よ……」
犯されること自体は覚悟している。
しかし、当直の職員が残っている。防音もない場所で声をあげてしまうのは避けたい。
「ああ、声か。だったら猿ぐつわをしてやる。それに今日はレイプごっこだからな。声が出せない方が気分が出る」
その直後、口の中の大きくて丸いものが押し込まれた。
さらに柔らかな布を噛まされ、頭を持ち上げられて後ろで縛られる。
ミランダは口いっぱいに、なにか丸いものを頬張さえてしまった。
舌に触れる感触と、かすかな甘さが拡がって唾液に溶けていく。
飴……?
「その飴は強い媚薬だ。ドワフ女専用に調合させたものだから、あまり舐めないほうがいいぞ」
ロウがくすりと笑う。
「んんんっ」
冗談じゃない。
まだ仕事が残っているのに、そんなものを口に入れられたら身体がもたなくなる。
「んんんっ……」
抗議しようとしても、音にならない。
しかも舐めないようにすること自体が不可能だ。口いっぱいに押しこまれているのだ。媚薬の飴は勝手に溶けていってしまう。
早くも、胸と腹の奥がじんと熱を帯び始める。
「ところで、この前仕込んでやった乳房はどうなった?」
ロウの手が上衣にかかり、左右へはだけられる。
胸当てごと剥き出しにされた乳房が灯りに晒された。
「んんっ」
数日前のレイプごっこのとき、乳房を異様に敏感にされたまま放置されたのだ。
あれから思い出しては、乳首が疼き、それだけで身体が震えるほどだったことが蘇る。
ミランダは歯噛みした。
「働き過ぎなんだ、お前は。今夜はたっぷり疲れさせて、明日の朝まで起きられなくしてやる」
ロウが笑いながら覆い被さってくる。
両手で乳房を包み込み、まず右の乳首に口を当てて吸い上げた。
「んっ……んんっ……んん、んっ……」
抑えきれない声が漏れた。
胸から一気に熱が広がり、ミランダの腰が反射的に跳ねる。
続いて左、さらに両方を同時に揉みしだかれ、感覚が重なっていく。
「まず、乳首で三回続けて絶頂させてやる。右で一回、左で一回、両方で一回だ。それだけで今夜はもう使い物にならなくなるだろう。そのあとが本番だな」
ロウの口が再び乳首に吸いつき、ミランダの身体は限界までのけぞった。