※この作品はR-18です。

【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】   作:ドン・ドナシアン

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245 飛んで火に入る夏の虫

 やっとのこと、エリカたちは人の多いところを抜けた。

 周りに人がいなくなったところで、ロウがシャングリアを路地に誘導した。

 なにをするつもりなのだろうと思ったが、ロウはシャングリアの首に手を伸ばして、まずはチョーカーを外した。

 

 それを見て、エリカは大きく息を吐く。

 もしかして、やっと終わるのだろうか。

 続いてロウは、股間に貼りついていた楕円形の淫具も取り外した。

 よかった……。

 エリカも安堵した。

 

「頑張ったな、シャングリア。もう口を開いていいぞ。これで終わりだ」

 

 ロウが上着を脱いで、シャングリアの裸身にかけた。

 

「ああ、ロ、ロウ……。こ、怖かった……。と、とっても怖かった……。で、でも、頑張った……。わたしは頑張ったぞ」

 

 シャングリアが膝を地面につけたまま、ロウにしがみついて泣き始める。

 余程に辛かったのだろう。

 

 なにしろ、王都広場を抜け、飲み屋街を通り抜けるあいだ、シャングリアはずっと全裸で四つん這いのままだったのだ。

 周りには、大きな犬にしか見えないと言われても、エリカたちには、シャングリアが全裸にしか見えないし、本人の感覚も同じだ。

 人混みの中を裸で歩かされていると思い込みながら、声ひとつ漏らせば終わりという状況で耐え続けていたのだ。

 

 しかも、シャングリアは、ロウとコゼに左右から棒羽根でくすぐられ、立ち止まれば責められ、進めばまた責められ続けたのだ。

 声を漏らせば、たちまちに幻術が解けるという状況のなかで、それでも声を漏らすことなく、シャングリアは人混みの中を耐え続けていた。

 途中からは、こっちまで息が苦しくなっていた。

 

 何度も限界に見えた。

 何度も声が漏れるのではないかと思った。

 それでもシャングリアは最後まで耐え抜いたのだ。

 

「頑張ったな、それでこそ、俺のマゾ女だ……」

 

 ロウが、まだ跪いたままのシャングリアと同じ高さにしゃがんで、優しく抱き締めて、頭を撫でている。

 

「う、うう……。ほ、本当に怖かったのだ。すごくだぞ」

 

 シャングリアは何度も頷きながら、ロウの胸元へ額を押しつけた。

 

「ああ、すごいぞ。よくやった」

 

 ロウがシャングリアを微笑みながら抱き締める。

 

「人がたくさんいて……。ずっと見られている気がして……。声を出したら終わりだと思って……。本当に怖かったのだ……」

 

 涙がぽろぽろと零れ落ちる。

 張り詰めていた緊張が、いまになって一気に溢れ出しているのだろう。

 エリカはそんなシャングリアを見ながら、小さく息を吐いた。

 本当に、よく最後まで耐えたものだ。

 

「ロウ様」

 

 エリカは口を開いた。

 

「ん?」

 

「少しは反省してください」

 

「なにをだ?」

 

 ロウが首を傾げる。

 

「やり過ぎです。見ていて可哀想でした」

 

 エリカはきっぱりと言った。

 

「そうか?」

 

「そうです」

 

 即座に言い返す。

 ロウは困った様子もなく肩を竦めた。

 

「結果的には最後まで耐えただろう。シャングリアなら頑張り切れると思ったからな」

 

「そういう問題ではありませんよ」

 

 エリカは息を吐く。

 まったく反省している様子がない。

 すると横からコゼがくすくすと笑った。

 

「なによ、あんた。そもそも、ロウ様と一緒になって……」

 

 エリカはコゼを睨む。

 

「あたしはご主人様の奴隷だもの。ご主人様がお喜びになるなら、なんでもするわ」

 

「調子にのりすぎって言ってるのよ」

 

 エリカは即座に否定した。

 

「はーい」

 

 コゼは楽しそうに笑うだけだ。

 一方で、シャングリアは、少し安心したようにロウの胸元へ頬を寄せ続けている。

 

「よしよし、本当に偉いぞ、シャングリア。だから、ご褒美をやる……。お前たち、ちょっとそこで人が来ないかどうか見ていてくれ」

 

 ロウが言った。

 エリカはびっくりした。

 ここは人気がなくなったとはいえ、いつ人がやってくるかわからない王都広場に近い路地だ。

 そもそも、ここはどこだ──?

 ロウのシャングリアへの羞恥責めに意識がとられて、途中から周囲を見る余裕もなかった。

 慌てて、周りを確認する。

 

 見覚えのある石造りの建物が目に入った。

 第二神殿の近くだ。

 いつの間にか、ここまで戻ってきていたらしい。

 

 でも、ここで……?

 ……と思ったが、すでに、ロウはシャングリアを建物の壁に両手をつかせている。

 そして、自分のズボンと下着を足首まで下ろすと、そのまま後ろからシャングリアを犯し始めた。

 

「あっ、ちょっと──」

 

 エリカは慌てた。

 慌てて、コゼを見る。

 

「コゼは向こう側に行って──。わたしはこっちを見てるから」

 

 素早く指示を飛ばす。

 コゼがさっと駆け出し、反対側の路地の入口へ向かった。

 エリカは、反対側の出入口を見張る位置につく。

 

「んっ、ふうっ、んんっ」

 

 すぐにシャングリアの悶え声が聞こえてくる。

 思わず振り返ると、ロウは片手でシャングリアの口を押さえ、もう片方の手で腰を支えながら律動を続けていた。

 エルフ族のエリカの目には、月明かりの下でも、シャングリアの内腿を伝う液体がはっきりと見えていた。

 

「……ちょっと、シャングリア……声を自重して……」

 

 声を殺して、シャングリアたちに伝える。

 しかし、シャングリアは明らかに興奮している。こっちの声を耳にした気配がない。

 もしかすると、あの格好で盛り場を歩かされたこと自体が、シャングリアの欲情に火をつけたのかもしれない。

 

 そのときだった。

 通りの先から、黒いフード付きの外套を纏った人物がこちらへ歩いてくるのが見えた。

 

「ロ、ロウ様……。人です。人が来ます……」

 

 エリカは小声で告げた。

 

「い、いまは……やめられん。追っ払え」

 

 ロウがシャングリアを後ろから激しく犯しながら短く答える。

 そんなことを言われても困る。

 フードを被った人影はどんどんと近づいてくる。しかも、こっちの存在に気がついている雰囲気すらあった。

 どうやって、追い払うか……。

 エリカは思わず顔をしかめた。

 

 一方で、シャングリアは人影など気づいていないのか、それとも気づく余裕すらないのか、ロウに口を塞がれたまま苦しげな声を漏らし、身体を震わせ続けている。

 どうしたものかと考えているうちに、人影は少しずつ近づいてくる。

 

 そして、やっとフードのなかの顔を認識できる距離になり、エリカはほっと胸を撫で下ろした。

 ベルズだった。

 よかった……。

 しかも、ひとりだけで、こちらへ向かって来る。

 

「……ベルズ殿でした」

 

 エリカは告げた。

 ロウがわかったというように片手を上げる。

 

 その直後だった。

 シャングリアの身体が不意に強張り、全身がぴくりと震える。

 そして、なにかに撃ち抜かれたように、ぶるぶると小刻みに痙攣し始めた。

 達したのだろう。

 エリカは、いつの間にか口の中に堪っている唾液を飲み込む。

 やがて、黒い外套の人物──ベルズが、とうとうエリカの前までやって来た。

 

「お前たち、ずっと神殿の周りをうろついておるな。また、くだらぬことを考えておるのか……?」

 

 フードの奥からベルズの声が響く。

 だが、その視線はすぐにエリカの横を通り過ぎた。

 

「うわっ、なにをしておる──」

 

 思わずというように声をあげる。

 エリカもつられて振り返った。

 シャングリアは全裸のまま壁に向かって膝をつき、肩を上下させている。

 ロウはまだ股間を剥き出しにしていたが、悪びれる様子もなく下着とズボンを引きあげていた。

 

「なに、ちょっとした遊びだよ、ベルズ。どうやって第二神殿に夜這いしようかと探ってたんだが、なかなか隙がなくてね」

 

 ロウが笑う。

 

「よ、夜這い──? やっぱり、まだそんなことを目論んでおったのか。この前に騒ぎを起こしかけたのを忘れたのか」

 

 ベルズが怒ったように声を張りあげる。

 

「忘れてないよ。そのときもベルズが機転を利かせてくれたろう? 半分は本当だ。警備がどう変わったか確認したかったのも事実だからな.随分と厳重になった」

 

「当たり前だ。未遂とはいえ、お前たちに神殿内に侵入されかけたのだ。外周も含めて警備態勢を強化した」

 

「だから、神殿の周りをおかしなことをして、うろついていれば、そのうちベルズが気づいて出てきてくれるかもしれないとも思ってね」

 

 ロウが肩を竦める。

 

「えっ、さっきのは、そんな狙いだったのか……?」

 

 シャングリアが壁にもたれたまま呆然とロウを見る。

 

「そんなわけないでしょ。適当ですよね、ロウ様?」

 

 エリカは即座に口を挟んだ。

 

「かもな」

 

 ロウが笑う。

 ベルズは深くため息を吐いた。

 

「わたしを呼び出したいのであれば、そんな面倒なことはせんでよい。普通に門番へ伝言を預ければよいではないか。それとも、エリカなら伝言球を出せるであろう。それで呼び出せ」

 

「それじゃ目的を果たせないだろう」

 

 ロウが首を横に振る。

 

「目的?」

 

 ベルズが怪訝そうに眉をひそめた。

 ロウの口元が嬉しそうに歪む。

 

「レイプごっこだ。やっと捕まえたぞ、ベルズ」

 

「えっ……?」

 

 エリカはようやく気づいた。

 いつの間にかロウの足元から伸びていた粘性体が、路地の地面を這うように進み、ベルズの両足首へ絡みついていたのだ。

 

「えっ?」

 

 やっと、ベルズも異変に気がつく。

 しかし、もう遅い。

 次の瞬間、粘性体が一気に噴きあがって、ベルズの全身を包み込む。

 

「きゃああ──」

 

 ベルズには、抵抗する暇すらなかった。彼女の頭の先から足先まで、完全に覆われてしまう。

 

「“飛んで火に入る夏の虫作戦”だ……。さあ、やっと捕まえた。レイプの時間だ、ベルズ……。エリカ、引き続き路地を見張っていてくれ」

 

 ロウが完全に全身を粘性体に包まれたベルズを自分の足元へ引き寄せる。

 ベルズの悲鳴は、もう聞こえない。

 完全に粘性体に遮られてしまっている。

 ベルズは、ロウの作った粘性体の包みの中だ。中で魔道を……使う気配がないので、おそらく、淫魔術で魔道を封印されたのだろう。

 

 エリカは深く息を吐いた。

 これは、のこのことひとりで近づいてきたベルズが悪い。

 ロウを相手に油断した方が負けだ。

 

 反対側の路地口に立っているコゼへ手信号を送る。

 コゼが頷き返した。

 エリカは再び周囲に意識を向ける。

 

 とにかく、いまは見張りに集中しよう……。

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