※この作品はR-18です。

【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】   作:ドン・ドナシアン

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250 話し合いレイプ

 食事を始めた一郎は思わず目を丸くした。

 

「うまいな……」

 

 味については、まさに日本食と言ってもいい。

 もちろん完全に同じではない。

 だが、外国で食べる日本料理だと思えば十分すぎるほどだった。

 さらに出てきた煮物らしい料理にも見覚えのある味があり、焼いた魚にもどこか懐かしさを感じる。

 

 とくに卓上に置かれた黒い調味料は衝撃だった。

 やはり、醤油によく似ていた。

 多少の違いはあったが、一郎には十分だった。

 

「いや、本当に嬉しいよ、おマア」

 

 一郎は素直に言った。

 向かいのマアが満足そうに笑う。

 

「そうか。それはよかった。もっとも、まだ研究の途中だがな」

 

「途中って……」

 

 一郎は苦笑した。

 寝物語で聞かせた日本の料理の話など、まだ二箇月ほど前のことだ。

 それなのに、ここまで再現してしまう。

 商売人としての執念というべきか、行動力というべきか。

 改めてマアの底知れなさを思い知る。

 

「天ぷらだったか……? それも研究させている。ほかにも幾つか試している最中だ。だが、結局はロウ殿の記憶が頼りになる。いずれ協力してもらうぞ」

 

「もちろんだよ」

 

 一郎は頷いた。

 すると、それまで黙っていたスクルズが卓上の小瓶へ視線を向けた。

 

「これは、ソイの汁ですね」

 

「ソイの汁というのか……。これも、俺の故郷の味に似てる。だが、驚いたな。こんなものがあるのか」

 

 一郎は食事をしながら頷く。

 ソイの汁とはいうが、"醤油"である。不思議な感じだ。ここまで異世界で再現されるということがあるのか。

 するとスクルズが微笑んだ。

 

「かなりの貴重品ですわ。王家の食卓でも、おいそれとは使えないと思います」

 

「そんなにか」

 

 一郎は思わず小瓶を見た。

 

「まあ、エルニアとの交易品だからねえ」

 

 マアが平然と言った。

 

「鎖国して交易ができないはずだけどな」

 

 シャングリアが含み笑いのこもった口調で横から口を挟む。

 

「おかげで金がかかったよ」

 

 マアが肩を竦めた。

 

「ところで、エルニアって、どんな国なんだろうな。”恵月国”ともいうんだよな」

 

 一郎は言った。

 正直、ハロンドールの北側に位置するエルニアについて、一郎が知っていることは少ない。

 鎖国をしている──一郎の故郷に似た文化を持っている──。さらに、ハロンドール人は、エルニアと呼ぶが、彼らは恵月国を名乗っていることくらいだ。

 ただ、今回、マアが日本食に似た食材や調味料を手に入れてくれたことで、大いに興味を抱いた。

 

「恵月国と自称するようになったのは、二百年前だな。それ以前はエルニア王国だった」

 

 シャングリアが応じた。

 

「なにかあったんだろうか?」

 

 一郎は訊ねる。

 

「簡単に言えば、王朝の交代だな。当時、旧王朝から新王朝に交替した。新しい王は、外来人の男だったそうだな。その王朝がいまの王朝のはずだ」

 

 シャングリアが続ける。

 

「えっ、外来人?」

 

 一郎は驚いた。

 外来人の作った王国……。一郎の故郷と似た文化……。これは偶然ではないのではないか。

 

「いまの皇王は、その子孫で翠玉(すいぎょく)という女らしいね」

 

 すると、マアが口を挟んだ。

 

「皇王とは?」

 

 一郎は訊ねた。

 

「エルニア……いや、恵月国の王の呼び方だね」

 

 マアが続ける。

 

「ふうん……。ところで、いま、その翠玉が皇王らしいって言った?」

 

「よくわからんのだ。あたしの調べでも、翠玉がいまでも王位にあるかどうかよくわからなかったね。ほとんど表に出てこないらしい」

 

 マアが苦笑のような表情になる。

 

「なんで、姿を見せないんだ?」

 

 一郎はマアを見る。

 

「さあねえ。なにしろ鎖国国家だ。外に出てくる者も少ないし、向こうへ行った者もほとんど帰ってこない。なんとか密輸には応じてくれた商人も、自国の状況には口を閉ざす」

 

「……個人的に興味がある。恵月国については、もっと知りたいな」

 

「わかった。任せておくれ」

 

 マアが大きく頷いた。

 

「……ところで、ロウ様、さっき向こうで聞きましたけど、この料理はおマアの手料理だそうですよ。研究そのものは料理人にさせたそうですけど、今日の食事を作ったのはおマアだとか」

 

 エリカが横からささやいてきた。

 

「えっ? 本当にこの料理をおマアが?」

 

 コゼが料理を口にしながら驚いている。

 

「こういうことは料理人任せでは意味がないだろう?」

 

 マアは微笑む。

 一郎は驚いてマアを見る。

 

「そうか?」

 

 シャングリアだ。

 

「お前が来てくれるのが愉しみでね」

 

 マアが本当に嬉しそうに言う。

 

「だったら、随分と早くから準備してくれていたんだな。これだけの料理だし、俺たちがいつ来るかわからなかっただろうに」

 

「だから、保温布が役に立ったよ」

 

 マアは愉快そうに笑った。

 

「いや、本当にありがたいよ」

 

 一郎は大きく頷く。

 

「ねえ、おマア様、ロウ様がこんなにお喜びになる料理なら、わたしも教わりたいですわ」

 

 スクルズが興味深そうに言う。

 

「ほう?」

 

 マアが目を細めた。

 

「今度、機会があれば教えてください。わたしもロウ様に食べていただきたいですし」

 

 スクルズは真面目な表情だった。

 一郎は少し恐縮する。

 だが、スクルズは料理も菓子作りもそれなりに上手い。

 ときどき持ってきてくれる手作りの菓子は、実際に美味しかった。

 

「うう……料理かあ……。野宿のときの食事なら得意なんだけど……」

 

 エリカが困ったように呟く。

 

「いや、エリカの野外料理も好きだぞ。野宿のときはいつも楽しみにしているし」

 

 一郎は笑う。

 

「ありがとうございます……」

 

 エリカが顔を赤くする。

 一郎はもう一度、マアへ視線を向けた。

 

「いずれにしても、こういう食事が時々でも食べられるなら嬉しいよ。おマアを味方にして本当によかった」

 

「それはなによりだね」

 

 マアが満足そうに頷く。

 食卓には穏やかな笑いが広がった。

 

 やがて食事も終わり、卓が片付けられる。

 一郎たちは応接用のソファへ移った。

 長椅子に一郎とエリカが並んで座り、向かいにマアとスクルズが腰を下ろす。

 コゼとシャングリアが食器の片付けをしてくれることになった。

 

 ほどなくして、香りのよい茶がコゼによって運ばれてきた。

 緑茶だ。

 

「すごいな。なにからなにまで、俺に合わせてくれたんだな」

 

 一郎は感嘆して言った。

 緑茶は、紅茶を飲むようなカップに入っていたが、中身は間違いなく緑茶だった。

 

「はい、どいてね、エリカ」

 

 すると、お茶を全員に配ったコゼが、一郎とエリカのあいだに強引に割り込んでくる。

 

「なによ──。反対側が空いてるでしょ」

 

 エリカが声をあげて怒る。

 一郎は苦笑する。

 多分、コゼはエリカを揶揄っているのだと思うが、すぐにエリカは本気になるから、その反応が面白いのだろう。

 まあ、コゼがエリカたちを家族のように親しんでいる証拠だが……。

 

「そっちは洗い終わったら、シャングリアが来るの。ちょっと避けてくれてもいいでしょ」

 

「ここは三人掛けよ──」

 

 エリカが怒鳴っているが結局、押しのけられている。

 

「さて、ちょっと真面目な話をしてもよいかな、ロウ殿」

 

 すると、マアが茶器を卓へ置いた。

 先ほどまでの柔らかな笑みが消えている。

 

「真面目な話?」

 

 一郎はマアを見る。

 

「うむ……。ミランダから頼まれていた話だ」

 

「ミランダからって?」

 

「冒険者ギルドのランを不当に売り買いした男……。つまり、そのエリカを手に入れようとして、操り師を差し向けた分限者だ」

 

 マアは一度言葉を切った。

 

「えっ? どういうことですか?」

 

 横に座るエリカが目を見開く。

 エリカには、あの事件について詳しいことまでは話していない。

 ガリオンに操られたことは知っていても、その裏で糸を引いていた人物がいることまでは教えてなかった。

 

「あとで説明するよ」

 

 一郎は小声で言った。

 エリカは不安そうな表情のまま頷いた。

 

「その男の名は、モルド=モルガン男爵だ」

 

 マアが続ける。

 一郎に聞き覚えはない。

 だが、ガリオンの背後にいた人物であることは間違いないらしい。

 

「……見つかったのなら、捕まえられるのか?」

 

 一郎は訊ねた。

 

「それが少々厄介でね」

 

 マアが肩を竦める。

 

「厄介とは?」

 

「事件の直後に王都を離れている。いまは南部地域の商業ギルドを頼って姿を隠してしまった。王都にはおらん」

 

「逃げたってことか」

 

「おそらくね。商売人としてはなかなか優秀だったらしい。危険を嗅ぎつけるのも早かったんだろうさ」

 

 マアが言った。

 一郎は腕を組む。

 エリカを狙った男だ。

 思うところがないわけではない。

 だが、王都を離れているのなら話は別だった。

 

「それで、その後の動きは?」

 

「いまのところ大人しくしている。これといって怪しい動きもない」

 

「……そうか……」

 

「どうする、ロウ殿?」

 

 マアがじっと一郎を覗き込むようにしてくる。

 一郎は少し考えた。

 

「うーん……。こっちに手を出して来ないなら、それでいいかな」

 

 その瞬間だった。

 

「よくありませんよ──」

 

 エリカが勢いよく立ちあがる。

 

「エリカ?」

 

 コゼがエリカを唖然と見る。

 

「わたしを操ったんですよ──。ロウ様を刺そうとしたのも、その男のせいなんでしょう──?」

 

 握り締めた拳が小さく震えている。

 あのときのことを思い出したのだろう。

 

「しかも、ランまで酷い目に遭わせた悪党じゃないですか」

 

 エリカは憤然とした表情で言った。

 

「ちょっと落ち着きなさいよ、あんた」

 

 コゼが口を挟む。

 

「なんで落ち着かないとならないのよ──。そんな人を放っておくなんて嫌です。ちゃんと懲らしめに行きましょうよ──」

 

 エリカが叫んだ。

 

 一郎は淫魔術を使って、すっとお尻の亀裂を筆でなぞる刺激を送ってやる。

 

「ふんっ、ロ、ロウ様──」

 

 エリカが身体をぴんと伸ばす。

 一郎は、さらに前の部分にも刺激を足す。

 

「ひああっ」

 

 エリカがそのまま一郎とコゼの上に倒れ込んできた。

 

「うわっ」

 

 コゼが驚いて声を出す。

 一郎は手を伸ばしてエリカを抱き寄せる。

 

「まあ、落ち着けよ。気持ちはわかるけど、いまはしばらく王都を離れたくない。そいつが王都に戻るようなことがあれば、そのとき改めて考えるさ」

 

「うぅ……」

 

 エリカは不満そうだったが、一応は口を閉ざした。

 

「ところで、おマア、そいつについては、これからも監視をつけて欲しいな」

 

 一郎は、エリカを抱き抱えたまま、マアに視線を向ける。

 

「すでにつけてるよ」

 

 マアが頷いた。

 

「ほう、さすがだな」

 

「南部地域は、まだ、商業ギルドが主体だけど、その商業ギルドの中にこちらの息のかかった商人をつけた」

 

「商業ギルドの中にもか?」

 

 一郎は思わず眉を上げた。

 

「言いなりになる商家を数軒ばかり、配下へ引き入れたということだ」

 

 マアが愉快そうに笑う。

 自由流通を掲げるマアたちは、本来なら商業ギルドの仇敵だ。

 その内側へ手を伸ばしているというのだから驚く。

 

「このところ妙に商売の勘が冴えていてね。相手の弱みも、欲しがっているものも、よく見える。これもロウ殿に女にしてもらったおかげかもしれん」

 

 冗談めかした口調だった。

 だが、一郎にはわかっていた。

 それは冗談ではない。

 

 マアの商才は、以前よりも明らかに鋭くなっている。

 淫魔術は、ただ女を支配するためだけの術ではない。

 支配した女の能力を引き上げる。

 エリカのような戦士はより強くなり、マアのような商人はより優れた商人になる。

 そして、その力を借りて、一郎自身もまた大きなことを成し遂げていく。

 どうやら、それこそが淫魔術の本当の使い方のように思う。

 

 

 

 マア

  人間族、女

   ターナ商会会頭

  年齢62歳

  ジョブ

   交易商(レベル35→50)↑

  生命力:35→50↑

  直接攻撃力:5

  経験人数

   男3↑

  淫乱レベル:B

  快感度:300

  能力

   交易力↑

 

 

 

「ほら、いい加減に立ちなさいよ」

 

 コゼがエリカを押し起こす。

 

「まあまあ、エリカ。おマアが監視をつけているらしいから、そいつが王都に戻るようなら、ちゃんと報復してやるから」

 

 一郎も助け起こす。

 

「うう……なんか、釈然としませんけど……」

 

 エリカは、まだ納得がいかない感じだったが、とりあえず座り直した。

 

「……なんだか、騒がしいな。洗い物は終わったぞ」

 

 シャングリアが奥の厨房から出てきた。

 ちらりと一郎たちを見て、空いてるソファーに腰をおろす。

 

「話は変わるけど、驚いたよ。アネルザ殿下が、ついにキシダイン派の大臣を切ったらしいね」

 

 マアが茶器を卓へ戻した。

 

「その話か」

 

 一郎は頷く。

 

「帰ってきたら、その話でもちきりだったよ」

 

 マアは肩を竦めた。

 

「おマアは知らなかったの?」

 

 コゼが訊ねる。

 

「知らなかったさ。あたしは王都を離れていたからね」

 

 マアが苦笑した。

 

「キシダインはタリオへ戻っていたんだろう?」

 

 シャングリアが口を挟む。

 

「そうらしね。イザベラ殿下派の流通の巻き返しで足元が揺らぎ始めているからね。後ろ盾に資金支援でも頼みに行ったんだろうさ」

 

 マアは頷いた。

 

「俺もそんなところだと思う」

 

 一郎も同意した。

 王都の流通は、このマアによって、すでにキシダイン派のかなりの利権を削り始めている。

 派閥の勢いが一気に緩んだ。

 キシダインが手を打たないはずがない。

 その不在のあいだに、アネルザによるキシダイン派の大臣切りだ。

 キシダインも驚いたに違いない。

 

「だけど、アネルザが、あそこまで踏み込むとは思われていなかったからね。いまじゃ王都の貴族社会も大騒ぎさ。アネルザがキシダインを切ったと受け取る者が大勢いる」

 

「実際、そのように見えるからな」

 

 マアの言葉にシャングリアも頷いた。

 

「なあ、おマア、実際の話、キシダインを助けるために、タリオはどこまで、王国に介入してくると思う?」

 

 一郎は言った。

 キシダインの支持基盤は、なんといっても、国土こそ小さいが流通で力を持つタリオ公国だ。

 タリオ公国の大公は、アーサーという指導者らしいが、かなりの野心的な性格だと耳にする。

 実際、彼自身がもともと、大公家の嫡流家ではなく、支流筋からのしあがったらしい。

 

「介入はいまでもしているだろう。正攻法も搦め手も自在にこなすからねえ。ただ、ハロンドールに全力を注ぐとは思えない。あたしには、アーサー大公の意識は、いまはハロンドールよりもカロリック公国に向いていると思うね」

 

「ほう。そうか?」

 

 一郎はソファに背を沈める。

 

「アーサー大公の悲願は、ローム統一だと思うね」

 

「もとはローム帝国という統一国家だったんだよな」

 

 一郎は頷いた。

 タリオもカロリックもデセオも、もとはローム帝国を構成していた地域だ。

 いまでは三公国に分裂しているが、名目上は皇帝家も存続している。

 

「そう。そして、その三公国の中で頭ひとつ抜け始めたのがタリオだね」

 

「アーサー大公という男のおかげか?」

 

「そう言われているね。特に、この数年の勢いは凄まじいね。流通だけじゃなく、鉱山も発見されてね。アーサー大公は幸運にも恵まれている」

 

「運のいい男にはかなわないな」

 

 一郎は笑った。

 

「カロリック公国をタリオが併合するということになれば、デセオはタリオとは争わないだろう。ローム皇帝家に力はないからな。アーサー大公によるローム再統一は夢物語ではないだろうな」

 

 シャングリアが口を挟む。

 

「カロリック公国の大公って、どんな人物だっけ?」

 

 一郎は訊ねた。

 

「ロクサーヌ大公ですわ、ロウ様。でも、まだ十四歳だったはずです。実権はゼルという叔父が握っていたはずです」

 

 スクルズが言う。

 

「あれっ、そういえば、デセオ公国の大公も女じゃないの?」

 

 コゼが思い出したように言う。

 

「イザヤ大公ね」

 

 エリカが応じる。

 

「だったら、ご主人様が支配してしまえばいいんじゃないですか? そしたら、アーサーとかいう男はなにもできませんよ」

 

 コゼが元気よく言う。

 

「支配ってなによ?」

 

 エリカがコゼを見る。

 

「だって、この国だって、アネルザ王妃も、イザベラ王女も、ご主人様が支配してるじゃないですか。ロクサーヌっていう少女とかも、イザヤという大公も女だというなら、ご主人様が支配すればいいんです。そしたら、ご主人様が全部の王様ですよ」

 

 コゼがけらけらと笑う。

 

「あんたねえ……」

 

 エリカが呆れたようにコゼを見る。

 

「なによ。案外いい考えじゃない? そういえば、エルニアだって、皇王……だっけ? 女だというし、あんたの故郷のナタル森林国のエルフ族も、いまは女王じゃないの? ガドニエルだった?」

 

「なに、不敬なこと言ってんのよ。いい加減にしなさい」

 

 エリカがコゼに叱るように声をあげる。

 

「なにが不敬よ」

 

 コゼがエリカを睨んだ。

 

「まあまあ、やめろって。冗談はさておき、いまは目の前のことだな。キシダインとの政戦に勝たせて、姫様に王太女になってもらう。それがいまの目標だ。別に王位に興味はないが、乗りかかった舟だしね」

 

 一郎は言った。

 そして、マアを見る。

 

「……それはともかく、そろそろ、いいだろう……。おマア、じゃあ、レイプの時間だ」

 

 一郎は立ちあがる。

 そして、ソファテーブル越しに、マアの手首を掴む。

 

「えっ、いまからかい? まだ昼間じゃないかい」

 

 マアが戸惑った声を出す。

 

「昼間がどうした? 今日はレイプをしに来ると予告しておいたろう。時間なんて関係あるか」

 

 マアを立ちあがらせる。

 そのときには、亜空間から取り出した手錠付きの首環をマアの首にかけ終わっている。

 掴んでいる側の手首を、その首環の手錠に嵌めてしまう。

 我ながら、あっという間の早業だ。

 マアがぎょっとしている。

 

「うわ、ちょ、ちょっとロウ殿……。本当にするのかい。あたしは、若くしてもらったといっても、六十を超えた女なんだよ」

 

 マアが困惑している。

 だが、一郎は残る片手も、首環の手錠に嵌める。

 これで、マアは両手を首の前で拘束されてしまったかたちだ。

 

「六十だからなんだんだ? まさか、嫌だとか言うんじゃないだろうねえ。もちろん嫌がってもいいぞ。レイプだしな」

 

 一郎はマアの腰を抱いて、奥に向かう扉に誘導する。

 入ったことはないが、おそらくそこがマアの寝室だろう。

 

「嫌ではないけど……。まあ、この歳で女として愛してもらうのは、嬉しくはあるんだけど……」

 

「なら、問題ないな」

 

 一郎は腰を掴んでいた手をスカート越しにお尻側に落とした。

 どこに触れれば、性的に感じるのか、一郎にはわかる。

 マアに浮かんでいる性感帯の赤いもやのある場所を柔らかく撫でる。

 

「ひあっ」

 

 マアがびくりと身体を震わせて腰を落としかけた。

 

「いってらっしゃい」

 

「ごゆっくりどうぞ」

 

「おマア、頑張ってね」

 

 一方で、女たちが暢気そうに声を掛けてくれた。

 

「ちょっと、本当に?」

 

「本当だ──」

 

 一郎はいまだに戸惑いを隠せないマアを強引に寝室に連れ込んだ。

 久しぶりだし、この女豪商が泣きべそをかくまで、しっかりと抱き潰してやろう。

 一郎はそう決めた。

 

 

 

 

 29話『素晴らしき哉、レイプ』終わり──

 30話『奥座敷の奴隷妻』に続く──

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