※この作品はR-18です。

【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】   作:ドン・ドナシアン

258 / 263
253 スクルズのお願い

「ところで、勝負には負けたおマアには、罰を受けてもらわないとね。俺の女は、誰も彼も一度は通ってきた調教だ。今度は、おマアの番だ」

 

 一郎は、最近では淫具置き場と化している亜空間から、革製の貞操帯を取り出した。

 股間と尻穴へ挿し込む大小二本のディルドが備え付けられた淫具である。

 

「な、なんだい、それは──?」

 

 マアの顔がみるみる赤くなる。

 

「三日間。これを着けて生活してもらう」

 

「ま、待ちなよ。あたしを何歳だと思ってんだい」

 

「忙しいおマアだからね。今夜とは言わないよ。十日以内に開始日を決めてくれればいい」

 

 一郎は笑みを浮かべた。

 

「開始日って……」

 

 マアの顔がひきつっている。

 

「そのかわり、決めなかったら強制装着のうえ、期限なしだ。仕事どころじゃなくなるだろうけど、休暇だと思えばいい」

 

「そんな無茶な。いまはキシダイン派を追い詰める正念場なんだよ。商会を三日も空ける余裕なんてないよ」

 

「別に仕事を休む必要はないさ……。そうだな。よく考えたら、仕事くらいできるか。じゃあ、今夜からにしよう」

 

 一郎は手を伸ばして、マアの腕を掴む。

 

「うわっ、待っておくれよ」

 

「いいから、いいから」

 

 一郎はマアを引き寄せてそのまま抱き寄せる。マアを抱き寄せた瞬間には、両手首は粘性体でまとめられていた。

 紐状に伸ばした粘性体を天井へ貼りつかせ、一気に縮める。

 マアの両手が吊り上がり、マアは両手を高く掲げた「立ち吊り」になった。

 

「ちょ、ちょっと、ロウ殿──」

 

 マアが狼狽して声をあげる。

 一郎は無防備になったマアのスカートの中に手を差し込む。

 

「ひいっ、ほ、本気なのかい──。このばばあに調教なんて……」

 

 マアが慌てて腰を引く。

 

「なにが、ばばあだよ。見た目は三十女じゃないか。それで不足なら、もっと若くしてやってもいいんだよ」

 

 一郎は下着をするりと足首まで引き下ろしてしまう。

 

「ああ、そんな……」

 

 マアは真っ赤になり、反射的に腰をよじった。

 

「ああ、そうだ。それより、おしっこを済ませるなら、いまのうちだよ。貞操帯をしているあいだは、なかなかできなくなるからね。排尿機会は一日一回だ」

 

 一郎は、マアに見せつけるように貞操帯を軽く揺らした。一応は手加減をして、前部分の張形は小さめで、後ろ部分は球体を連ねた通常のタイプだ。ただ、陰核に当たる部分にはしっかりと刺激が伝わるように、枝がついている。

 

「一回って……。それも制限されるのかい──」

 

「当たり前だよ。おしっこしたければいまするんだ。さもないと、次は明日だ。朝になるのか、夜になるのかは教えないけどね」

 

「そ、そんな」

 

 マアが青ざめる。

 

「じゃあ、装着しようか。すでに潤滑湯はたっぷりと塗ってあるから、問題なく嵌められるはずだ」

 

 一郎はスカートをめくり上げるために、裾を掴む。

 

「や、やめっ──」

 

 マアは必死に腰をよじって逃げようとする。そんな抵抗も可愛いものだ。

 その瞬間だった。

 目の前の空間が淡く揺らぎ始める。

 転送術だ。

 

「旦那様。スクルズ様がお見えです」

 

 姿は見えないが、シルキーの澄んだ声だけが広間に響いた。迷ったが、とりあえず、一郎はマアのスカートから手を離す。

 続いて転送術が開き、スクルズが姿を現す。

 

「ロウ様、失礼します。ちょっとお願いが……。あら、おマア様、お取込み中だったのですね……。まあ、エリカさんたちもですか?」

 

 現れたスクルズは、いつもの筆頭巫女姿だ。

 そして、一郎の目の前には粘性体により両手吊りで立たされているマアがいて、一郎の手にはディルド付きの貞操帯。

 少し離れた場所では、エリカたちが淫具の試用を続けている。

 スクルズは一瞬でその両方へ視線を走らせ、小さく頬を染めた。

 

「ほら、ロウ殿、スクルズだ。急ぎなんだろう。スクルズの話を先に聞いておやり」

 

 マアが必死に言い募った。

 一郎は思わず苦笑する。

 まあ、いいか。

 マアの貞操帯生活は次の機会でも構わない。

 むしろ、予告無しに襲うのがいいか。

 

「仕方ない。おマアの調教は今度な」

 

 一郎はマアを拘束していた粘性体を消滅させた。

 マアがほっとしたように、その場にしゃがみ込んだ。

 

「それで、どうしたんだ、スクルズ。お願いなら聞くよ。内容はわからないけど、ほかならぬスクルズの頼みだ。いつも世話になってるのは、俺の方だからね」

 

 スクルズには、クグルスが作った淫具へ魔力を刻み込み、魔道具として仕上げてもらうことが多い。

 王都一とも評される魔道遣いをそんな用途に使うのは贅沢だが、スクルズはいつも笑顔で引き受けてくれる。

 だからこそ、自分から頼み事をしに来るのは珍しかった。

 

「でも、よろしいのですか? お忙しくはないですか?」

 

 スクルズは部屋の様子を見回しながら、おずおずと尋ねる。

 

「多分、忙しくはないだろうね……」

 

 マアが大きく息を吐きながら口を挟んだ。

 一郎は苦笑した。

 

「大丈夫だよ……。おい、エリカ、コゼ、シャングリア。一旦中止だ。報告はあとで聞く。それよりスクルズに頼み事があるそうだ、みんな、こっちへ来てくれ」

 

 一郎は、エリカたちに声をかけた、

 

「えっ……? わっ、スクルズ」

 

「んひいっ──うわっ」

 

「おう、スクルズか」

 

 エリカ、コゼ、シャングリアも、ようやくスクルズに気づいてこちらを見た。

 だが、三人とも淫具遊びの最中だったせいで、まだ頭が回っていないようだ。

 

「一旦中止だ。着替えてこっちに来い」

 

 一郎は三人へ淫魔術を流し込み、高ぶった快感を鎮めてやる。

 ようやく我に返った三人が慌てたように淫具を外して、脱ぎ散らかしていた下着や衣服を身につけ始める。

 そこへシルキーが現れ、三人へ股間を拭く布を差し出す。

 こういう気配りは、さすが屋敷妖精だった。

 

「ロウ殿に頼みというのは、危険なことかい?」

 

 マアが横からスクルズに声を掛けた。

 スクルズは小さく首を傾げる。

 

「危険……ではないと思います……。ああ、でも、できれば、おマア様にもご一緒いただいた方がよいかもしれません」

 

 スクルズは、少し考え込むような雰囲気で言った。

 

「……なによ、そのはっきりしない言い方は?」

 

 あっという間に身支度を調えてきたコゼがこっちにやって来てスクルズを睨む。

 

「危険なことをお願いしているのではないというのは本当ですわ。実は、第二神殿のベルズのところへ、アネルザ殿下とミランダ様がシャーラを連れて来られているのです。でも、少々議論が熱くなられてしまったみたいで……」

 

「アネルザとミランダが、シャーラを連れてベルズ殿のところに? 随分と妙な組み合わせだな」

 

 一郎は首を傾げた。

 

「はい。それで、ベルズから、ロウ様になだめていただきたいと伝言があったのです。申し訳ありません。わたしは伝言を預かっただけなので、詳しい事情までは存じません」

 

「じゃあ、危険ではないのね?」

 

 やってきたエリカが口を挟む。

 ただ、先にやって来たコゼもそうだけど、まだ身体が辛そうだ。

 また、シャングリアは、まだ気怠そうに服を整えている。

一郎は三人へ淫魔術を流し込み、疲労を取り除いた。

 

「あれっ?」

 

「あっ……ロウ様ですね。ありがとうございます」

 

 コゼとエリカの表情に力が戻り、シャングリアも普段どおりの動きへ戻っていく。

 

「じゃあ、とりあえず、みんなで行くか」

 

 一郎の言葉に、その場の全員が頷いた。

 だが、歩き出そうとして、一郎はふと思い出して、スクルズを見る。

 

「そういえば、先日の慰霊祭はご苦労様だったな。見事な式典だったと評判だよ。さすがはスクルズだって称賛の声ばかりだった。ちゃんと声を掛けそびれてしまってね」

 

 王都で一年間のあいだに亡くなった者を慰霊する、三神殿合同の一年に一度の慰霊祭が行われたのは数日前のことだ。

 今回は、あのクライドによる第三神殿や冒険者ギルドへの襲撃で命を落とした者たちも含まれることから、最大の被害を受けた第三神殿が会場となった。

 王妃アネルザも列席した盛大な式典となり、その祭祀を神殿長代理になったスクルズが取り仕切ったのだ。

 

 一郎も一般市民に紛れて参列したが、祭壇の前へ立つスクルズの姿は、普段知っている彼女とはまるで別人だった。

 厳かな空気のなかで祈りを捧げる姿は凛として美しく、多くの市民が思わず息を呑んで見守っていた。

 

「ありがとうございます、ロウ様。でも、わたし一人の力ではありません。神殿の皆様や、多くの方々が力を貸してくださいました」

 

 スクルズは、はにかむように微笑んだ。

 

「うん、でも、確かに素晴らしかったわ」

 

 エリカが頷く。

 

「そうね。毎日、ここに入り浸っている淫乱巫女とはとても思えないくらいに」

 

 コゼも笑う。

 

「それでも、無事に終えることができたのは、もしかするとロウ様のおかげだったのかもしれませんわ」

 

「俺のおかげ?」

 

 

「はい……。式典の準備にあたり、ロウ様が『頼める仕事はほかの者に任せればいい』と仰ってくださいましたので、その通りにいたしました。その結果、かえって物事がうまく回るようになったのです。やはり、わたし一人で抱え込むのではなく、皆様にお願いすればよかったのですね。ご忠告に感謝しております」

 

 スクルズが深々と頭を下げた。

 

 一郎は首を傾げる。

 そんな忠告をした覚えはない。

 ただ、仕事で忙しそうなスクルズを呼び出すたびに、「そんなものはほかの者に任せればいい。みんな、スクルズを助けたがっているんだから」くらいは口にしたことがある。

 それも、自分の都合で呼び出すための方便だった。

 どうやらスクルズは、その言葉を真面目に受け止めたらしい。

 

「……それに、式典のときも、ロウ様たちがお見えになっていることは、ちゃんと見えていました。少し驚くようなこともされていましたが、おかげで緊張もほぐれました」

 

 スクルズが照れ笑いを浮かべた。

 

「えっ、あれが見えてたの?」

 

 エリカが真っ赤になる。

 

 一郎も苦笑するしかなかった。

 あの日、一郎たちは一般市民席の人混みに紛れ込み、エリカを相手にコゼと二人で痴漢ごっこをしていた。

 周囲には気づかれていないと思っていただけに、まさかスクルズに見つかっていたとは思わなかった。

 

「なに? なんだ? 慰霊祭でなにかしたのか? わたしは聞いていないぞ」

 

 やっと身支度を終えたシャングリアが、こちらへ歩いてくる。

 慰霊祭では、男爵家の令嬢であり騎士でもあるシャングリアは、ほかの貴族とともに貴族席へ座っていた。

 そのため、一郎たちとは離れていたのだ。

 

「ただの痴漢ごっこだ。気にするな」

 

 一郎は笑った。

 

「ちかん? ちかんとはなんだ?」

 

 シャングリアが不思議そうに首を傾げる。

 

「今度、実践で教えてやる。必ずな」

 

 一郎が意味ありげに笑う。

 

「それに、わたしもロウ様のご一部とご一緒でした。だから、あまり緊張しなかったのです」

 

 スクルズが頬を赤らめながら続けた。

 

「俺の一部?」

 

 一郎は首を傾げる。

 

「はい。慰霊祭の朝、ここでロウ様に注いで頂いたものを、式典でも大切に残しておりました。だから、ロウ様とご一緒だと思いながら、大役を務めることができたのです」

 

 スクルズは嬉しそうに微笑んだ。

 一郎は思わず苦笑する。

 ほかの女たちは唖然となっている。

 

「つまりは、俺の精を入れたまま、式典を取り仕切ったのか?」

 

「はい。ロウ様に抱かれていることを思い出しながら、祈りを捧げておりました。とても心強かったです」

 

「大した淫乱巫女ねえ」

 

 コゼが呆れたように肩をすくめた。





【作者より】
 コミカライズ『異世界で淫魔師ハレム2』が、2026/7/6に発売開始しています。よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。