※この作品はR-18です。

【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】   作:ドン・ドナシアン

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256 傍観の代償

「大丈夫なの、ベルズ? ロウ様にみんな押しつけて……。やっぱりみんなで入った方がいいんじゃない?」

 

 エリカは三度目になる問いかけをした。

 ロウと、泥酔したミランダとアネルザがいる部屋の前である。

 

 室内の扉にはベルズが防音の結界を張っているため、中の騒ぎは外へは漏れてこない。

 それでも、何度かベルズに中の様子を見てもらったが、状況はほとんど変わっていないらしかった。

 酒を飲みすぎたミランダとアネルザは完全に出来上がってしまい、ロウに抱きついて離れない──そういう状況らしい。

 

 もともとは、アネルザとミランダは、シャーラやベルズに絡んで大騒ぎしていたらしい。だが、「ロウを呼べ」と騒ぎ始め、手に負えなくなったベルズがスクルズへ助けを求めた。

 そして、そのスクルズがロウを屋敷まで迎えに来たというのが今回の顛末のようだ。

 

「おふたりとも、日ごろの鬱憤が溜まっていたのかもしれませんね。それで、お酒が入って一気に噴き出してしまったのでしょう」

 

 スクルズが困ったように微笑んだ。

 

「鬱憤が溜まるのはわかる。それを酒で晴らすのも勝手だ。だが、なぜ第二神殿でするのだ。いい迷惑だ。冗談じゃない」

 

 ベルズは腕を組み、不満そうに吐き捨てた。

 

「まあ、ベルズ、そんなことを言うものではないわ。キシダイン公とロウ様は対決しているの……。ロウ様は大きなことを考えているそうよ」

 

「大きなこと? 不穏だのう。しかし、それがどうした?」

 

 ベルズが眉をひそめる。

 

「だから、王妃陛下やミランダは、その前に、みんなの心をひとつにしたいということじゃないかしら。ちょっとばかり、お酒が過ぎただけで」

 

「だから、なぜそれを、わたしのところでするのだ。よいか。もう一度言うぞ。な、ん、で、わたしのところなんだ?」

 

 ベルズが、なおも不満そうに言った。

 

「ところで、もう一度、状況を探ってくれ、ベルズ殿。やはり、気になる」

 

 シャングリアが口を挟んだ。

 

「……待ってくれ」

 

 ベルズは扉に耳を寄せる。

 防音の結界はベルズ自身が張ったものだ。そのため、外からでもベルズだけは中の様子を探ることができるのだ。

 

「静かだな……。さっきまでは、ロウ殿がふたりを順番に抱いている様子で、かなり騒がしかったのだが……。いまは静かだ」

 

「へえ、じゃあ、終わったの?」

 

 コゼが首を傾げる。

 外にいる自分たちには物音すらわからない。ベルズは耳を澄ませたまま、部屋の気配を探り続けた。

 

「うわっ」

 

 そのとき、ベルズが突然声をあげた。

 同時に、扉が内側から激しく揺れる。

 ベルズの表情が一変した。

 

「どうしたの、ベルズ?」

 

 スクルズが慌てて尋ねる。

 

「ミランダだ──。扉を開けろ、さもないとぶち破ると騒いでおる。どうしよう、スクルズ……」

 

 ベルズは青ざめていた。

 扉には、ベルズ自身が魔道による施錠を施している。いかにミランダが怪力でも、ベルズのかけた魔道で封印している扉をぶち破れないとは思うが、まさか、そのまま閉じ込めて置くわけにはいかない。

 

「やっぱり、入りましょう。ロウ様もお怒りかもしれないわ」

 

 エリカは決断した。

 

「そうね。行きましょう」

 

「そうだな」

 

 エリカの言葉に、コゼとシャングリアも頷く。

 

「……では、わたしたちも行きましょうか」

 

 スクルズは、待っているあいだに追加をして床に置いていた酒瓶を抱え上げる。

 

「開けるぞ」

 

 ベルズが声をかけ、施錠を解いて扉を開く。

 

「来たね……」

 

 扉の前に立っていたのは、腕を組んだミランダだった。

 頬は真っ赤に染まり、身体はゆらゆらと揺れている。まだ酒は十分に残っているようだ。

 もっとも、服はきちんと身につけており、口元にはにこにことした笑みさえ浮かんでいる。

 だが、その目だけは据わっていた。

 

「遅くなりましたわ。追加のお酒を手に入れるのに手間取ってしまって……。たったいま、戻ったところでした」

 

 スクルズが作り笑いを浮かべながら取り繕う。

 また、ミランダの陰になって部屋の奥はよく見えないが、少なくとも騒ぎは収まっているようだった。

 

「くだらない嘘は結構だよ、スクルズ……。それより、扉を閉めて、みんなこっちへ来な。酒もそこに置いておくれ」

 

 ミランダが微笑んだまま、スクルズを睨む。

 

「あ……はい……」

 

 スクルズが大人しく、抱えていた酒瓶をその場に置く。

 すると、ミランダが今度はベルズを睨んだ。

 

「それと、ベルズ。部屋の中の声が外へ漏れないよう、もう一度きちんと処置しておいた方がいいかもしれない。パーティの続きらしいよ」

 

「パーティの続き?」

 

 ミランダの言葉に、ベルズは怪訝な顔になった。

 すると、ミランダが身体を脇に避け、エリカの視界にも室内の様子が完全に入った。

 

 ロウは部屋の奥側で胡坐をかいていた。

 ロウもアネルザも全裸だった。

 もっとも、アネルザの身体には脱ぎ捨てた衣類が毛布代わりに掛けられており、肌はほとんど隠れている。

 

「うわっ」

 

 その様子を見たベルズは、慌てて扉を閉めた。

 

「じゃあ、そこに並んで座れ、お前ら。ただし、下は全部脱ぐんだ。下着もだぞ」

 

 ロウが言った。

 

「し、下? な、なんで?」

 

 ベルズが横で声をあげる。

 その瞬間、ミランダが床を力いっぱい踏み鳴らした。

 

「返事は『はい』──。口答えしない。あんたたち、ロウにあたしたちを押しつけて、自分たちだけ外へ逃げていたらしいじゃないか。だから今度は、ロウがあんたたちを罰するって言ってるんだよ。つまり、躾のやり直しってことさ」

 

 ミランダが大笑いした。

 その言葉を聞いて、エリカはようやく事情を悟った。

 ロウは、これから、泥酔したアネルザとミランダを押しつけられた仕返しをするつもりなのだろう。

 また、おそらく、ロウに絡み続けていたふたりは、散々相手をさせられた末に、すっかり大人しくなってしまったのだと思う。

 その結果、アネルザは疲れ果てて眠り込み、体力のあるミランダだけが起きて、いまはロウの命令役を務めているようだ。

 

「……もしかして、ミランダ、まだ酔っているの?」

 

 コゼがミランダに声をかけた。

 確かに、まだ酒臭いし、顔も赤い。そもそも、ミランダがロウの遊びに、こんな風に積極的に関わるのは珍しい。

 

「……さあね。かなり汗もかいたから、それなりに酒も抜けた気はするね」

 

 ミランダが言った。

 

「そんなことよりも、お前ら、さっさとするんだ。よくも、あんな危険地帯に、俺だけをお放り込んだな」

 

 ロウが大きな声をあげる。

 

「わかりました。脱ぎます。でも、そんなに怒らないでください……。ほら、みんな、下を脱いで……」

 

 エリカがスカートに手をかけながら、ほかの四人に声をかける。

 

「あのう、ロウ様……」

 

 すると、横のスクルズが弁解するかのような口調で口を開く。

 

「聞こえなかったのか、スクルズ。俺はなんと言った?」

 怒鳴ってはいない。

 それでも、その静かな口調から、ロウが本気で腹を立てていることは十分に伝わってきた。

 

「……申し訳ありません」

 

 スクルズは肩を落とし、ロウに示された場所まで歩いていくと、巫女服のスカートへ手をかけた。

 ロウに叱られたのが堪えるのか、かなり意気消沈している。

 

 コゼとシャングリアはなにも言わない。黙って従っている。

 ベルズも不満そうな顔のまま、巫女服に手をかけた。

 

 やがて五人はロウの前に並び、指示どおり正座した。

 全員が下半身だけを全部脱いだ格好だ。

 一方、ミランダは五人の脇に立ち、まるで囚人を見張る番人のような顔で腕を組んだ。

 

「さあ、ミランダ、準備を」

 

 ロウが言った。

 すると、ミランダは料理が並ぶ卓へ向かい、椀をひとつ持ってきた。

 そこへ酒をなみなみと注ぐ。

 瓶の四分の一近くが椀に溜まった。

 

 続いて、五枚の皿を運んできて、エリカたちの前へ一枚ずつ並べていく。

 エリカは皿の上を見て息を呑んだ。

 置かれていたのは、皮を剥いた細長い「痒粘根」だった。芋類の一種ではあるが食用ではない。毒ではないものの、皮を剥いた汁に触れれば、猛烈な痒みを発生させるので、食べることができないのだ。

 女への拷問として定番的なものである。

 皿の上の痒粘根の表面には粘り気のある汁が光っていた。思わず身体が震える。

 

「……すごいだろう。これも亜空間に収納してあるんだ。俺の亜空間に古今東西の責め具を集めて、ありとあらゆる嗜虐遊びができる調教アイテムボックスにするのが俺の夢だ」

 

 どうやら、この痒粘根も、ロウが亜空間から取り出したものらしい。

 

「ええっと、なんなのだ、ロウ殿?」

 

 ベルズが戸惑ったように言った。

 

「簡単だ。いまから、それで自慰をしてもらう。絶頂が一番遅かった者には、その酒を一気飲みしてもらう。泥酔して潰れても治療薬は準備してあるから心配するな」

 

 ロウが言った。

 

「なっ」

 

「えっ」

 

「そ、そんな……」

 

「その酒を?」

 

「なに?」

 

 五人の声が一斉に上がった。エリカも思わず声をあげていた。

 目の前にあるのは、おそろしい痒粘根だ。

 そんなもので自慰をしろというのか……。

 さすがに、ぞっとなる。

 

「……言っておくけど、痒粘根だけを使えよ。手で直接、胸や局部を触るのは反則だ……。じゃあ、始め──」

 

 ロウが笑いながら言った。

 エリカは泣きそうな気持ちになりながらも、痒粘根の先端を肉芽へ押し当て、恐る恐る擦り始める。

 

「あっ、くっ……」

 

 痒粘根の先がクリリングに当たり、たちまち、強い疼きが身体を貫く。

 横目で見ると、スクルズは股間を隠すような姿勢のまま、いきなり痒粘根を出し入れしているし、コゼとシャングリアも自慰を始めていた。

 ベルズだけが、眼を見開いて呆然となっている。

 

「早く始めなくていいのか、ベルズ? 言っておくけど、酒は口からじゃないからな。絶頂が一番遅かった者は尻から飲ませる。覚悟しとけ──」

 

 ロウが胡座をかいたまま酷薄に笑った。

 

「ひいっ、やる。やるから──。やればいいのだろう。だけど、なんでわたしがこんな目に……」

 

 ベルズも、やっとやけくそのように痒粘根を掴んだ。

 すぐに、ベルズからも甘い声が漏れ始める。

 両隣のシャングリアとコゼからも、追い詰められたような吐息が聞こえてきた。

 

 まずい──。

 エリカは焦りを覚え、股間を擦る手の動きを思わず速めた。

 

「あっ、それから言っておくけど、これは一回で終わりじゃないからな。俺の気が済むまで繰り返す。そのたびに誰かが酒を尻で飲むことになる。覚悟しておけ」

 

 ロウが意地の悪そうに笑った。





【作者より】
 コミカライズ『異世界で淫魔師ハレム2』が、2026/7/6に発売開始しています。よろしくお願いします。
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