【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
「あははははは、愉しいです、ロウ様──。ひゃはははは──」
頭の線が一本切れたような高笑いとともに、部屋中へ無数の電撃と火球が飛び交った。
「ひいいっ」
「うあああっ」
「ス、スクルズ──。や、やめなさい──」
火球が壁を掠め、電撃が床を走る。
「どわああっ」
「おわっ、スクルズ、正気に戻れ──」
誰もが悲鳴をあげながら床を転げ、飛び交う魔道を必死に避けた。
「うわっ、こっちか──」
一郎も咄嗟に頭を庇い、その場へ伏せた。
横を火球が唸りをあげて通り過ぎる。
ミランダ、シャングリア、アネルザ、ベルズ、エリカ、コゼも、それぞれ左右へ飛び退きながら、次々と飛来する電撃と火球を必死にかわしていた。
「なんだい、これ──。どうしてこんなことになってんだい──うわっ」
さっき眼を覚ましたばかりのアネルザが頭を抱えて、その場に蹲った。
そのすぐ上を今度は電撃が貫く。
「いい加減にしなさい、スクルズ──」
さっきまでの酔いが嘘のように吹き飛んだミランダが怒鳴りあげる。
「はははは。ミランダままは、怒りんぼなんだからあ」
酔っ払ったスクルズが、無邪気な笑みを浮かべたままミランダを指差した。
その瞬間、ミランダの表情が凍りつく。
「しまっ──」
ミランダが横へ身を投げ出した。
その直後、指先から放たれた火球が、たったいままでミランダが立っていた場所を貫き、そのまま背後の壁へ激突する。
轟音とともに壁が黒く焼け焦げ、石片が部屋中へ飛び散った。
横へ飛び退いたミランダの顔が青ざめている。
一郎も同じだった。
あんなものをまともに受けていたら、大怪我では済まない。
下手をすれば即死だ。
「スクルズ、お前はミランダを殺すつもりか──。酔って魔道の力加減がわからんのか。いい加減にやめよ──」
ベルズがスクルズの肩をがっしりと掴んだ。
すると今度は、スクルズが一転して泣きそうな顔になる。
「な、なによ、ベルズ……。そうやってロウ様を独り占めしようとしてるんでしょう……。ひどいわよ。わたしだって、ロウ様が好きなのに……。本当に、本当に好きなのに……」
べそをかき始めたスクルズに、ベルズは目を白黒させた。
「……な、なんで、わたしがロウ殿を独占など……。そもそも、なぜそんな話になるのだ……?」
一郎も同じ気持ちだった。
しかし、酔っ払いの話に筋道を求めても仕方がない。
そのときだった。
さっきまで泣き顔だったスクルズが、ぱっと満面の笑みを浮かべる。
「なあんてね……。うそよ、うそ──。ベルズも大好きよ。大好きだから、ベルズのこと、くすぐっちゃう」
言い終えるなり、けらけらと笑った。
「ひいっ、やめ、やめて、スクルズ──。ひいいいっ、くすぐりの魔道なんて……はははは……あひいいっ、く、くるひいっ……くるひっ……ひいっ、ひいいっ、はははは──」
ベルズが奇声をあげ、その場に崩れ落ちた。
顔を真っ赤に染め、腹を抱えるように身をよじりながら床を転げ回る。
なにが起きたのか一郎にはわからない。
おそらく魔道で全身をくすぐられているのだろう。
その様子を見たミランダとアネルザは、止めに入るどころか、さらにスクルズから距離を取った。
エリカとコゼも一郎を挟むように部屋の隅まで後退する。
「とにかく前に出なさい、コゼ──。ロウ様を守るのよ──」
「だったら、あんたが前に行きなさいよ、エリカ──」
しかも、自分たちまで、あのおかしな魔道をかけられてはたまらないと思ったのだろう。
エリカとコゼは互いを盾にするように押し合いながら、一郎の前へ出ようとしない。
「だ、駄目だ。開かない。出られないぞ」
一方、シャングリアは、いつの間にかスカートを穿き直し、部屋の扉にしがみついていた。
必死に扉を引くが、びくともしない。
ベルズが結界を解除したはずなのに、スクルズが張り直したらしい。
「ロウ──。こうなったら、酔ったスクルズを止められるのは、あんたしかいないわよ。なんとかして──」
「そ、それより、わたしが寝ているあいだに、なにが起きたのだ? スクルズはどうしたのだ──?」
ミランダに続いて、飛び起きたばかりのアネルザも悲鳴のような声をあげる。
ふたりとも、酔いなど完全に醒めてしまったようだった。
とにかく、こうなった原因は一郎の悪戯だ。
ちょっとした懲らしめのつもりで、五人に痒粘根を使った勝負をさせ、最後まで絶頂できなかった者へ椀一杯の酒を一気飲みさせたのである。
酒浣腸も脅しには使ったが、さすがに本当にやるつもりはなかった。転移前の知識で、アルコール浣腸が危険なのは知っていたからだ。
もっとも、勝敗は最初から決まっていた。
一郎は淫魔術で五人の快感を操り、最後になる者を自在に入れ替えていたのである。
一回目はベルズ。
二回目はスクルズにした。
その頃には五人とも痒粘根の痒みに悶え、場は大混乱になっていた。
そして、スクルズが二杯目の火酒を飲み干した直後だった。
「愉しくなってきました──」
そう叫ぶなり、スクルズは部屋中へ電撃と火球を撃ち始めたのである。
ベルズによれば、スクルズが酒をまともに飲んだのは、おそらくこれが初めてだったらしい。
だから誰も知らなかったのだ。
酒に酔ったスクルズが、ここまで危険な酒乱になることを。
おかげで、女たちは股間の痒みも酒の酔いも一瞬で吹き飛び、寝ていたアネルザまで飛び起きた。
そして、いまは一郎も含めた全員が、部屋中を飛び交う電撃と火球から逃げ回っているのである。
「あんたが責任を取りなさい。スクルズを正気に戻して──」
ミランダが再び叫ぶ。
「それはわかってるけど……」
一郎も手をこまねいていたわけではない。
さっきから淫魔術でスクルズの酔いを醒まそうとしている。だが、酒の酔いと淫魔術は相性が悪いのか、まったく効果が現れない。
「仕方ない……」
一郎は覚悟を決めた。
飛来した電撃の球を身を屈めてやり過ごし、スクルズへ向かって駆け出そうとした。
「お待ちください。危険です」
だが、エリカがぐいと腕を掴んだ。
一郎はエリカの手を外した。
「大丈夫だ。酔っていても、スクルズが俺を傷つけるとは思えない」
そのままスクルズへ駆け寄ると、ベルズをくすぐって笑い転げさせていた身体を、後ろから力いっぱい抱き締めた。
「あんっ、ロウ様──」
スクルズが嬉しそうに声を弾ませる。
「スクルズ、悪かった。俺だ、ロウだ。もう魔道はやめよう。みんなが困ってる。頼む、落ち着いてくれ」
一郎は抱き締めたまま静かに語りかけた。
すると、スクルズは満面の笑みを浮かべ、一郎を見上げる。
「はーい、ぱぱ──。スクルズは、ぱぱの言うことなら、なんでも言うことをききまーす」
にっと白い歯を見せて笑った。
「ぱぱ?」
一郎は思わず聞き返しそうになった。
だが、慌てて飲み込む。
いま否定したら、この酔っ払い魔道遣いが次になにをしでかすかわからない。
とりあえず──いまは、自分は「ぱぱ」でいるしかなさそうだった。
「はあ、はあ、はあ……」
横でベルズが力なく息を吐いた。
ようやくスクルズのくすぐりの魔道から解放されたのだろう。
その場に倒れ込んだまま、起き上がることもできずに肩を上下させている。
だが、その直後だった。
スクルズが甘えるように一郎へ身を預け、そのまま押し倒してきた。
「ああっ……。ねえ、ぱぱ。スクルズ、お股が痒いの……。ねえ……。スクルズは、ぱぱのお仕置きが欲しいの……。思い切りいじめて欲しいの。ねえ、ぱぱ……」
首へ両腕を回し、幼児返りしたウルズを思わせる舌足らずの口調で甘えてくる。
それにしても、「ぱぱ」だって──?
しかも、なぜこんな子どものような話し方をするのだ?
もっとも、いまは理由を考えている場合ではない。
とにかくスクルズを落ち着かせることが先決だ。
「わかった。その代わり、落ち着いたら静かに寝るんだぞ。約束だ」
「うん」
スクルズは嬉しそうに何度も頷いた。
本当に幼児返りしたわけではないのだろう。
酒で理性の箍が外れ、無邪気な子どもの真似をして遊んでいるように見える。
とにかく、この興奮さえ収まれば、酒の酔いもあって眠ってしまうはずだ。
一郎はスクルズをそっと仰向けに寝かせた。
二度とスクルズには酒を飲ませるものか。
心の底からそう誓った、そのときだった。
スクルズが、ぶるりと身体を震わせる。
「どうした?」
思わず尋ねる。
すると、スクルズの顔がみるみる赤く染まっていった。
「ち、ちっち……。スクルズ、ちっちしたい……。ぱぱ、おしめして……。スクルズ、一度、ぱぱにそれをしてもらいたかったの……」
スクルズが恥ずかしそうに言った。
「えっ、おしめ……? いまから犯すんだろう……?」
一郎は戸惑った。
さっさと抱き潰して眠らせるつもりでいたのに、なぜここでおしめなのか。
酔っ払いの考えることは、まったく理解できなかった。
「ええっ、やってくれないの、ぱぱ──?」
スクルズが大声をあげ、慌てたように両手を天井へ突き出した。
「しまっ……」
一郎は思わず身を引いた。
また魔道が暴発する──。
「ロウ様、離れて──」
エリカの悲鳴が飛ぶ。
「いや──。ロウ、おしめだ、おしめ──。とにかく言うことを聞いてやれ──」
壁際まで退避していたミランダが、血相を変えて叫んだ。
「そうだ。逆らうな。これを使え──」
ベルズも棚へ駆け寄り、布を数枚ひったくるように掴んで、一郎に向かって放り投げた。
そのベルズも、ミランダと同様に、壁際のぎりぎりまで逃げていく。
部屋中の視線が、一郎へ集まる。
ここで機嫌を損ねれば、なにが飛んでくるかわからない。
「……わかったよ……。ほら、スクルズ、おしめだぞ」
とにかく一郎は、いつもウルズにしてやるように、スクルズへおしめを当てて手際よく結んだ。
そのあいだ、スクルズは両手で顔を覆い、恥ずかしそうに肩をすぼめている。
だが、指の隙間から覗く頬は緩み切り、満面の笑みを隠しきれていなかった。
「ほら、終わったぞ」
一郎が声をかける。
「……あ、ありがとうございます……」
スクルズは小さく頭を下げた。
「お、おしっこします……。見てください……」
すると、スクルズは顔を真っ赤に染め、一郎にだけ聞こえるような小さな声で囁いた。
もう幼児のような口調ではない。
その直後だった。
スクルズに巻いた布へじわりと染みが広がり、それは次第に大きくなっていく。
「ああ……恥ずかしい……。恥ずかしいです……。ぱぱ、恥ずかしい……。で、でも、嬉しいかも……。ふふふ……。ロウ様はお優しいから……。だから、大好きです」
顔を真っ赤にしながらも、スクルズは本当に幸せそうな笑みを浮かべていた。
一郎は思わず苦笑する。
「じゃあ、すっきりしたところで、みんなに迷惑をかけたお仕置きだ」
「ああ、スクルズにお仕置きしてくださーい」
スクルズは嬉しそうに頷いた。
一郎は、スクルズの股間から尿で汚れた布を外し、両腿を抱き抱えた。
放尿で汚れたままのスクルズの股間を一気に怒張で貫かせた。
「ああんっ」
鼻から抜けるような甘い声を漏らしながら、スクルズはまるで親に甘える子どものように一郎へしがみついた。
律動を開始する。
最初から手加減なしに、容赦なく性感帯のもやを激しく刺激してやった。
「あ、ああっ……ロウ様ぁ……。き、気持ちいいですぅ……」
スクルズが下から一郎の背中にしがみついてきた。
あっという間にスクルズが感極まってしまい、激しく身体を反応させる。
「あ、ああっ、ロウ様ああああ、あああっ」
そして、全身を突っ張らせたままぶるぶると震え続けていたかと思うと、やがて、身体から力が抜けてしまった。
「えっ、スクルズ?」
一郎が呼びかけても返事はない。
「おーい、スクルズ」
肩を軽く揺する。
だが、身体からは力が抜け切り、小さな寝息だけが返ってきた。
「寝たか……?」
本当に眠ってしまったらしい。
一郎を抱き締めたまま、幸せそうに頬を緩めている。
仕方なく、一郎は挿入したまま、スクルズの絶頂に合わせて精を放った。
「まだよ、まだ……。完全に寝るまで、そのままにして──。起きそうになったら、また犯して気絶させるのよ──」
ミランダが必死な声で囁く。
そのスクルズは、この上なく幸せそうな笑みを浮かべたまま、一郎の腕の中ですやすやと寝息を立て始めていた。
眠り込んだスクルズを抱き締めたまま、一郎は深く息を吐く。
とにかく、酒はこりごりだ……。
【作者より】
コミカライズ『異世界で淫魔師ハレム2』が、2026/7/6に発売開始しています。よろしくお願いします。