【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
跪かされたままの一郎は、魔道の力によって全身を縛られていた。
首も手足も動かず、視線すら自由に逸らせない。
エルスラの細い指が握る模擬男根の先端が、ゆっくりと顔に押しつけられた。
「く、口を開くのよ、奴隷……。しっかりと舐めなさい。だ、だけど、いやらしく股間を大きくしたままだと、いつまでも痛みが増すわよ──」
鼻先に甘ったるい匂いがかすかに漂った。
また、ぬめりを帯びた先端が唇に触れ、じんわりと熱が染み込んでくる。
嫌な予感が胸をよぎった。
次の瞬間、脳裏に一言が浮かぶ。
──あれに、少し熱いものを塗っておいたぞ。
部屋を出てゆく間際、アスカが意味ありげに残したあの言葉……。
この異様な感触と、微かな匂いが示しているのはひとつしかない。
媚薬が塗られている──。
そう理解した瞬間、背筋に冷たいものが走った。
だが気づいても遅かった。
エルスラの右手が小さく動いたと同時に、口元に不可視の力が走る。
「あ、かっ」
顎が痙攣するように開かされる。
拒む間もなく、模擬男根の先端が唇を割って押し込まれてきた。
「う、ううっ……あ、あっ……く、くりゅひい……れ……す……」
舌に触れたぬめりが、喉奥へと這うたびに熱を運んでいく。身体の芯がじんじんと灼けるように火照り、思考が濁っていく。
勃起していた一物が、さらに張りを増していくのが自分でもわかった。
だが、その根元にはすでに、冷たく無慈悲な金属の輪が喰い込んでいるのだ。
『射精管理の輪』──。
気絶していたあいだに、知らぬ間に装着された淫具だ。
締めつけられた男根の根元の部分が、太くなるたびに引き裂かれるような痛みを訴えてくる。
「んぐっ、んがっ」
一郎は呻き声を漏らしながら、顔をしかめた。
「く、苦しいなら、その道具を小さくすればいいじゃない。イチ……。まったく、どうしようもない男ねえ。いやらしいことを考えて欲情したら、そのぶんだけ痛いのよ……。それを身体で覚えるの。そうすれば、そのうちに、お前の股間は──勃たせたくても勃たなくなるわ……多分、ね……」
エルスラの声音は冷たかった。
だがその口ぶりは、どこかたどたどしく、語尾にわずかな揺らぎがあった。
一方で、一郎の股間では、痛みが波のように繰り返されていた。
魔道によって拘束された身体には抵抗する術もない。
媚薬の刺激が、熱と快楽とを撫でるように広げていく。
──調教が、始まっていた……。
無能力者の烙印を押された一郎に対して、エルスラの「調教」が始まって、イチロウの感覚で、すでに約一時間が経過していた。
女主人であるアスカの姿はない。
だが、そのアスカこそが、召喚した外界人── 一郎──を種馬奴隷として躾けるよう、弟子であるエルスラに命じた張本人である。
性欲を自在に制御できるように仕込む。
そのために、まずは勃起と鎮静を思い通りにコントロールさせる訓練から始めるという。
言葉にすれば滑稽だが、内容はあまりにも過酷だった。
一郎は素っ裸のまま、魔道による金縛りで地に這わされ、媚薬を塗り込まれた模擬の男根を口にねじ込まれている。
逆らえば即座に罰だ。
エルスラは魔道遣いとして高い資質を持っており、魔道の杖ひとつで一郎の身体など簡単に拘束・操作できるのだ。
逃れる術など、ない。
しかも──。
先ほどまで気を失っていたあいだに、一郎の股間には、アスカの説明通り『射精管理』の淫具がしっかりと装着されていた。
装着の瞬間すら覚えていないが、いま確かに、それが性器の根元を締めあげている。
エルスラによる調教の狙いは、一郎の性欲を麻痺させ、欲情=痛みという条件反射を植えつけることにあるらしい。
もっとも、この調教を命じたのはあくまでアスカであり、いま目の前にいるエルスラ自身は、どうもこの手の行為に慣れているとは思えなかった。
冷酷な言葉を吐きながらも、エルスラは額に玉の汗を浮かべ、頬を朱に染めている。
口調もどこか拙く、威圧には程遠い。
そんな様子を目にしているうちに、一郎の中に芽生えた感情があった。
──どうして、こんな状況で欲情しているんだ?
美貌のエルフ少女に性的な嗜虐を受け、辱められているというのに、心のどこかが沸き立っている。
いけない一線を越えてしまったような感覚……。
もともと性欲が強いわけではない。
それなのに──この異常な興奮は、媚薬のせいだけではないと自分でもわかる。
なにより、こんなに熱く昂ぶるなんて、おかしい。
拘束され、美少女に罵られながら勃起を弄ばれる──
──これが愉しい?
どこかで、そう思っている自分がいた。
いや、違う──自分はマゾじゃない。
女に痛めつけられて快感を覚えるような性癖は──なかった、はずだ。
「ほら、勃起させるなと言っているでしょう──」
エルスラが怒ったように言い放ち、手にしていた杖の先で一郎の股間を小突いた。
「ふくうっ……」
一郎の全身に、熱いものが駆け上がる。
ただの打撃ではない。魔道による増幅が施されていたのか、突かれた刺激がそのまま腰の奥に響いた。
「いぎ……っ」
その瞬間、淫具の締めつけが一層強まり、一物の根元に鋭い激痛が走った。
声にならない呻きが喉奥から洩れる。
しかし、エルスラは淡々と、それを見下ろしていた。
いや──
その目には、わずかな揺らぎがあった。
どこか、怯えのような……。
あるいは、羞恥のような……。
「お、お前──。さっきから……ちょっとは隠しなさいよ。その……股を開いて、見せつけるんじゃないわよ……」
ついに堪えきれなくなったように、エルスラが叫んだ。
その頬は紅潮し、目も泳いでいる。
ふうん……?
一郎は違和感を覚えた。
目の前で調教を行っているはずの女は、どこか芝居がかって見える。
アスカのような冷酷な支配者の風格はない。
不慣れな役割を、必死に演じているだけではないのか──?
その証拠のように、エルスラの息は少しずつ荒くなり、言葉の端々に甘い気配が混じりはじめていた。
そして──。
彼女の身体を包むように、淡い桃色のもやが立ちのぼっている。
先ほどまでうっすらと漂っていたものが、いまは明らかに濃く、強くなっている。
特に、股間のあたり……。
そこだけ、もやが集まるように濃度を増していた。
それだけではない。
一郎の脳裏には、不可解な“数字”が浮かんでいた。
エルスラの上に、〈45〉という数値が見える。
少し前までは〈50〉だったはずだ。
彼女が調教を始めてから、その数字は少しずつ減ってきている。
数値と、顔に浮かぶ熱と、揺れる声色──すべてが連動しているように思える。
──これは、なんだ?
数字の意味はわからない。
だが、確実に何かの“状態”を示している気がする。
しかし、それを追及する余裕はもうなかった。
淫具の痛みが限界を越えようとしていた。
舐めさせられている媚薬のせいで、股間は意志に反して隆々とそそり立ち、そのたびに締めつけが強まり、肉体を削るような痛みが一郎を襲い続ける。
快楽と苦痛が渦を巻くように交錯し、脳を灼いていく。
──もう、耐えられない。
「も、もう……股間の道具を外してくれよ……頼む……」
耐えきれず、ついに一郎は口にした。
これまで言えば即座に罰を受けるとわかっていたから、決して言わなかった“懇願”だった。
だが、どこか、エルスラなら応じるかもしれない。
そんな直感があった。
アスカと違って、彼女は“情”のある女だ──。
そう思えるような、なにかがあった。
「は、はい……わ、わかったわ……」
驚くほど素直な声だった。
エルスラが目を見開いたまま小さく呟く。
次の瞬間、彼女の杖が軽く振られた。
淡い光が股間を包み、一郎を締めつけていた淫具が、からりと音を立てて床に落ちた。
金属の輪は、いまもわずかに熱を帯びていた。
苦痛の象徴は、あっさりとその役目を終えた。
一郎は息を呑んだ。
なぜエルスラが命令に従ったのか、彼女自身も戸惑っているようだった。
「えっ、どうして……?」
呆然とした声が、虚空に消える。
エルスラは、跪く一郎を見つめたまま、呆けたように立ち尽くしていた。
一郎もまた、自分の言葉に力が宿っていたことに戸惑っていた。
──いま、なにが起きた?
考えようとしたそのとき、頭の奥に奇妙な“知識”が流れ込んできた。
啓示のように、それは唐突だった。
――淫魔力は、女に精を注ぐことで、その女を完全に支配する。
意味はわからない。だが、それが“正しい”としか思えなかった。
「淫魔力……?」
一郎は無意識のうちに口にしていた。
その声に、エルスラがびくりと反応した。
「い、淫魔力ですって……? そ、それが……お前の覚醒した能力……。まさか……。わ、わたしは……さっき……お前の、精を──」
言いかけた言葉を押し殺し、エルスラが咄嗟に口を手で塞いだ。
そのまま後ずさるように立ち上がり、背後にある空間へと意識を向ける。
──魔道でアスカを呼ぼうとしている。
それを察した一郎の口が、反射的に叫んでいた。
「待て。誰も呼ぶな──なにもするな──」
声が放たれた瞬間、エルスラの身体がぴたりと凍りついたように動きを止めた。
その瞳に、確かな恐怖が浮かんでいた。
そして、言葉通り、なにもできなくなっていた。
──命令が、通った。
一郎は唾を飲み込んだ。
エルスラを見下ろす視線に、不思議な確信が湧き上がる。
彼女は、もう自分の“支配下”にある……。
そう思った瞬間、身体の奥からじんわりとした力が込みあがってきた。
胸の内を満たすのは、支配の陶酔と快感だった。
淫魔力──
性によって、異性を隷属させる能力──。
自分がそれを持っている。
しかも、目の前の女はすでにその影響下にある……。
それが、いまはっきりと理解できた。
「俺の身体の縛りを解け、エルスラ──。そして、この部屋を遮断しろ。外からの一切の介入を阻止する結界を張るんだ」
命令は、自然と口から滑り出ていた。
一郎自身、なぜそう言ったのか自覚がない。
けれど、それは“当然のこと”のように思えた。
エルスラを完全に支配するには、その場の隔離が必要──。
そうした思考と手順が、まるで生まれつき刻まれていたかのように浮かんできた。
次の瞬間、エルスラが手をかざす。
淡い光が一郎を包み、拘束がふっと解けた。
筋肉が一斉に緩み、身体の自由が戻ってくる。
一郎は、ゆっくりと立ち上がった。
久しぶりに味わう、自分の意思による動作。
そのまま一歩踏み出すと、今度は部屋の周囲に結界のような膜が張られていくのが見えた。
音が、遠ざかる……。
この場所が密室になった。
エルスラは、立ち尽くしていた。
震える瞳で一郎を見つめている。
怯えている。
でも、それだけではない──。
「どうやら、形勢逆転のようだな」
一郎は口の端を持ち上げる。
自分でも驚くほど、冷ややかで自信に満ちた声だった。
「あんたらが俺をこの世界に召喚したおかげで、“淫魔力”っていうのが目覚めたらしい」
ゆっくりと、彼女に向かって歩み寄る。
「どんな能力かは、まだ完全にはわからない。けど、ひとつだけ確かなことがある。精を注いだ女を、俺の支配下に置く──そういう力らしい」
視線を重ねる。
エルスラの表情が引きつる。
「そして──さっき、あんたはうっかり、それを口に含んじまったんだ。つまり、もう逃れられないってことだ。エルスラ」
その名前を口にしたとたん、エルスラの肩がぴくりと揺れた。
「二日間、よくも好き勝手やってくれたよな……。今度は、こっちの番だ。まずは、俺の股間を処理してもらおうか。あんたが舐めさせたせいで、いまにも爆発しそうなんだ──」
声は低く、確実に彼女を貫いた。
エルスラの頬が引きつり、言葉を失う。
「ひっ……」
エルスラの顔が引きつった。
その頬に、冷や汗が一筋流れ落ちる。
それはそうだろう。
精液による“淫魔力”の支配には、どうやら相性というものがあるようだった。
エルスラは──一郎との相性が、きわめていい。
さっき、一滴ほどを口にしただけで、もうこれだけ深く命令に従っている。
もしも、それを丸ごと飲み込ませたら──完全に、戻れなくなる。
一郎自身にも、その確信があった。
根拠などない。
だが、エルスラの表情や仕草、その反応ひとつひとつが、それを裏づけていた。
「ま、待って──。お前の首には支配の首環がかかっているのよ。わたしに酷いことをすると、アスカ様が黙ってないわ。やめなさい、イチ」
怯えながらも、エルスラは最後の抵抗を試みた。
けれど──。
「その首輪が意味を持つのは、あのアスカって女だけだ。お前じゃない」
静かな声で、一郎は言い放った。
「そ、そんなこと……。アスカ様がわたしに注いだ魔道を、わたしが無効にするなんて──無理に決まってる」
「どうでもいい。黙って、しゃぶれ」
そう言って、一郎はエルスラの顎を強引に掴んだ。
怒張した一物を、その唇の奥へとねじ込む。
「んんっ──」
エルスラの顔が恥辱に歪んだ。
だが、逆らえない。
口腔の柔らかな粘膜が、熱を持った肉棒に絡みついてくる。
その感触に、一郎の背筋がぞくりと震えた。
信じられない光景だった。
あれだけ自分を嬲ってきた女魔道士が、今、恥辱に震えながら奉仕している。
しかも──。
俺が命じた通りに、だ──。
その事実が、一郎の奥底に潜んでいた嗜虐心を目覚めさせる。
舌が、もぞもぞと動く。
濡れた感触が、怒張した肉の表面を這い、ゆっくりと上へ、下へと往復していく。
震えるような刺激が、腰の芯を駆け上がり、一郎は抑えきれずに声を漏らした。
「……ふっ、ふう……く、くふっ……」
明らかに不慣れな舌遣い。
だが、それがかえって一郎を興奮させた。
ほんの数時間前まで、自分を縛り、嬲り、愚弄していた女が──いまは、下僕のように男の怒張を舐めている。
そうか……。これが“支配”ってやつか……。
また、頭の中で数字が刻まれる。
エルスラの頭上に浮かぶ〈45〉という数値が、舌が触れるたびに少しずつ減っていく。
〈43〉……、〈41〉……、〈39〉……。
これは一体、何を示しているのか。
わからない……。
だが、その数字が減れば減るほど、エルスラの息遣いは荒くなり、目元が蕩けていく。
それは一郎にも、いやでも伝わってくる。
彼女は感じているのだ……。
──奉仕することで、自らも快感を覚えている。
唇が、幹を包み込む。
ぬるりとした感触が広がり、一郎は小さく呻いた。
「ん、ふっ……んん……」
エルスラの喉の奥から、くぐもった声が漏れる。
鼻から抜ける息が熱い。
口淫に不慣れであることは明らかだった。
だが、それ以上に──。
舐めること自体に、快楽を見出してしまっている。
頭の中の数字が、さらに減る。
〈36〉……、〈32〉……、〈28〉……。
こいつ……まさか、こういう行為に興奮するタイプなのか?
快感に身を灼かれながら、一郎は確信する。
エルスラは──本質的に、こうした“調教”に向いた女だ──。
一郎は、エルスルが身につけているローブの裾から手を差し入れた。
エルスラの長いスカートの奥、下着越しにうっすらと赤みを帯びた部分へ、そっと指を這わせる。
「んふうっ」
途端に、エルスラの身体が跳ねた。
まるで電撃を受けたかのような反応だった。
頭の中の数字が、一気に減少する。
〈8〉──〈6〉──〈3〉──
一郎は下着越しに指をなぞるだけで、彼女の反応が高まっていくのを感じていた。
そして、指先で敏感な突起に触れたその瞬間……。
「んふぅうう──っ」
エルスラの身体がぶるぶると痙攣した。
がくん、と膝が折れ、だらりと力が抜ける。
そのとき、一郎の頭の中の数字が、静かに〈0〉を示した。
それが意味するものを、もう一郎は理解していた。
──女の快楽の極み──。
そして、ついに限界が来る。
ぐぐっと下腹に力が入り、熱がこみ上げる。
一郎はためらいなく、全てを吐き出した。
ずぶり、と喉奥に押し込んだまま──。
興奮の奔流が、エルスラの口腔に注がれていく。
「……全部飲み込めよ、エルスラ。お前は俺の奴隷なんだ」
一郎は冷たく言い放つ。
エルスラは、ただ一度、小さく頷いた。
「……んぐっ……んん、ふっ、ふ……」
エルスラの目が潤み、頬を紅潮させながら、
必死にそれを飲み込んでいく。
喉が上下し、精液が咽頭を通るたびに、赤い光がぴくりと弾けるように見えた。
羞恥に震えながらも、残さず、それを受け入れた。
そして──すべてが終わった。
床にへたり込んだ彼女の身体からは、まだかすかに、うっすらと桃色の光が立ち昇っている。
それはまるで、性に堕ちた女の証のように、淡く淫靡に揺らめいていた。