【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
不思議な男だった。
その男がふたりの女とともに、早朝に旅立つのを見届けてからレジーナは思った。
どうということもない平凡な男だ。
若くもない。
しかし、それなのに、あんなに美しいエルフ族の若い娘を連れていても、まったく違和感がない。
お似合いだ。
そう感じてしまうのだ。
また、夕べは、この男は連れの女を恋人だと言ったが、確かにそうだ。
エルフ族の女と男の雰囲気でふたりが男女の関係というのはわかる。
しかも、あれはエルフ族の女の方がぞっこんだろう。
そんなのは、宿屋商売をするレジーナにはすぐにわかる。
さらに、昨日の宿泊前の時点では、明らかに他人のはずだった可愛らしい顔をした人間族の小柄な女と仲良くなり、一緒に連れていった。
本当に何者……?
理由のわからない魅力を醸し出す男……。
そう……男……。
レジーナは夫を流行り病で失ってから、ずっと感じてなかった、レジーナの中の“女”をあの男によって感じていた……。
つまり、久しく忘れていた女の疼きを思い出させるような男……。
そんな感じだった。
顔立ちが特別いいわけでもない。
どちらかといえば、顔は平凡だ。
見るからに英雄然としているとか、喋り方が素晴らしくて女心をときめかせるとかというわけでもない。
だが、なんとなく気になるのだ。
喩えるならば、花の周りを動いている虫が蜜の匂いを放つ花にごく自然と引き寄せられるような感覚──。
その男の放つ特別な気に不思議と心が捉えられる……。
こんな気分になったのは、悪いが死んだ夫のときでもなかった。
理由なく惹き寄せられる……。
それが怖ろしい人食い花であったとしても、それがわかっていて自ら食べられるために近づいてしまう……。
そういう魅力のある男だった。
ちょっとした気紛れでもいいから、あの男と男女の一夜をすごしてみたいねえ……。
そんな気持ちにさえ陥った。
まあ、相手にもされないとは思うが……。
あんなに若くて美人のエルフ族の女に慕われているのだ。
レジーナなど……。
もっとも、そんな機会などないし、あっという間にその若い男はいなくなってしまった……。
最初にその男を見たのは、昨日のことであり、そろそろ夕方に差しかかろうという時期だった。
彼は連れの娘を必死になって探しており、話を聞けば、入国検査を国境監視団で受けている途中で、突然にいなくなったのだという。それでこちら側の出口から出てこなかったのかと訊ねてきたのだ。
すぐに思いつくものがあった。
悪い噂だ。
国境警備団長のゼッケルがこの城郭の分限者である金貸しのマニエルと組んで、入国をしようとする若い娘をひそかにさらって闇奴隷として売り捌いているという噂だ。
俄かに信じられるような話ではないが、いかにもゼッケルやマニエルがやりそうなことだった。
あのふたりについては、いい噂を耳にしない。
もしかしたら、この男の連れの娘も同じ目に遇ったのだろうか。
レジーナは心配になった。
しかも、行方不明になった娘は美貌で有名なエルフ族の娘であり、奴隷としては最高級とされている肌の白い白エルフの美少女だという。
これは絶対にさらわれた。
そんな予感がした。
とにかく、店で使っているヤンという小僧を呼んで、彼のいうエルフ族の少女が国境監視団の施設から出てこなかったかと訊ねた。
ヤンには、ふたつある入出国門のうち、そのひとつで客引きをさせていたのだ。
ヤンはエルフ族の女など、絶対に出てこなかったと言った。
レジーナは自分の勘が当たっている気がした。
その男とは深い話をする間もなく、彼は荷を預かってくれとレジーナに頼んでから、もうひとつの入出国門に駆けていった。
その姿は本当に必死であり、彼にとって、はぐれた連れのエルフ娘が本当に大切な存在であることがわかった。
レジーナは、エルフ娘のことは単なる擦れ違いであり、自分の勘が絶対に当たって欲しくないと願った。
ともかく心配になり、ヤンにその若者を追いかけさせた。
すごく思いつめている感じであり、無茶なことをしやしないかと心配になったからだ。
しばらくして、ヤンが血相を変えて戻ってきた。
その男が国境監視団の将兵に食って掛かり、滅茶苦茶に殴られているというのだ。
急いでヤンとともに、その場所に向かうと、大怪我をして道端で意識を失っている彼がいた。
顔面は血と青痣だらけであり、少なくとも両腕と片脚の骨は折れている。
その若い男を背中に抱えて、店に連れて行った。
レジーナの経営している料理屋は、二階が宿屋になっていて、夕方遅くに入国してくる客や早朝に出国しようとする客を目当てにした宿屋でもある。
その一室に寝かせて、とりあえず治療をした。
だが、治療をするといっても、高価な魔道の薬草があるわけでもない。ただ身体の汚れと血糊を落として、折れた腕や脚に当て木をして布で巻いただけだ。
身体の中もやられたのか、かなりの熱もあった。
ヤンには、彼の熱を水で冷やしながら、ついているように命じた。
レジーナは、夕食を食べにくる客に料理を賄いながら、彼は大丈夫だろうかと思った。
ヤンが二階から呼びにきたのは、すっかりと夜のとばりがおりてからだ。
その日の泊り客は、明日早朝に出国したいという行商人風のふたり連れの男と黒いフードで顔を隠した若い娘だけであり、そのいずれも、すでに部屋に入っていて、店もひと息ついていたところだった。
あがっていくと、彼は意識を取り戻していた。
驚いたことに、もしかして死ぬのではないかと思うような怪我だったのに、かなり元気そうだった。
レジーナは怪訝に思った。
連れのエルフ少女のことを口にする彼に対して、レジーナは国境警備団にある黒い噂のことを教えた。
だが、すぐにそれを後悔した。
彼はそれを知って、すぐに起きあがろうとしたのだ。
回復しているように見えるが、かなりの大怪我だった。
起きあがるなどとんでもない。
いまは、身体の回復に専念するべきだ。
だから、とっさにこの城郭には、連れの少女が連れて行かれたと予想できる奴隷商はいないと言った。
レジーナの頭の中には、金貸しのマニエルのことが過ぎっていたが白を切った。
マニエルは、手にした闇奴隷をすぐには売らず、時間をかけて「調教」し、それをほかの城郭からも呼んだ愛好家たちに高い値で売っているとささやかれていた。
レジーナのやっているような店は噂話の宝庫である。
いろいろな話が入ってくる。
とにかく、明日からその彼の連れがどこかに売られる前に、なんとか取り戻してあげることを考えようと思った。
レジーナになにができるかわからないが、この男のためになにかしてあげたい──。
そう思った……。
でも、いまは怪我を癒すことだ。
レジーナはそう言った。
起きあがろうとした彼は、心当たりがないというレジーナの言葉に、がっかりしたように再び寝台に横になった。
とりあえず、レジーナはほっとした。
それからのことはまったくわからない。
ヤンとともに、ずっと交代で看病をしようとしたのだが、その若い男に部屋から半ば強引に外に出された。
看病はもう不要だというのだ。
レジーナはなにかあったらすぐに言ってくれという言葉を残して部屋を出た。
だから、彼が夜中に部屋を抜け出して、建物の外に出て行ったなどということにはまったく気がつかなかった。
ましてや、あのマニエルのところに乗り込んで連れの娘を助け出しに行くなど……。
だが、もうすぐ夜も明けるかと思うときに、彼は外から戻ってきたのだ。
背にかなり衰弱している様子のエルフ娘を背負っていた。
そのエルフ娘には、大きなマントのようなものを被せていたが、その下は裸のようだった。
その若い男とエルフ娘のほかに、もうひとりの若い女が一緒であり、驚いたことには、その女は食事なしで宿に泊まっていたひとり旅の女だった。
その女からも、彼自身からも、血の匂いがした。
レジーナはなにをしてきたのかすぐに思い立った。
急いで三人を店に招き入れた。
「誰にも見られていない……」
彼はそう言った。
それは、確かのようだ。
レジーナは三人を店に入れるときに、周囲に誰もいないことを確かめた。
店に入ると、彼とエルフ娘は二階にあがっていったが、もうひとりの若い人間族の女は、レジーナとともに一階に留まった。
その女はエルフ娘のものと思われる荷を抱えていて、その荷とともに残ったのだ。
そして、レジーナに、どこにも行かないようにと告げた。
どうやら、レジーナを見張っているようだ。
だが、レジーナには、彼を訴えるようなまねをするつもりはなかった。
その女に見張られながら、大人しく一階で待っていた。
男とエルフ娘が降りてきたのは、少し時間が経ってからだ。
真っ暗だった外も、薄っすらと明るくなりかけていた。
エルフ族の女はまだ弱っているようだったが、少なくとも自分の足で歩いていた。
「あのう……。鍵がかかっていたものは……」
すると、待っていた女が心配そうに言った。なんのことかはわからない。
鍵……?
もしかしたら、エルフの女性は、まだなにかの拘束具を装着していたのだろうか……?
「大丈夫だ……。外れたよ……。物は荷の中だ。面白そうな玩具だから、いずれ、お前にも着けさせて悪戯しようかな。覚悟しておけよ」
彼が冗談めかしく言った。
「そんな……」
すると、人間族の若い女がぱっと顔を赤らめた。
レジーナには、その反応で、男と人間族の女もまた、男女の仲であることをそのとき悟った。
レジーナの勘にすぎないが、おそらく間違いない。
男とエルフ女もそういう仲だと確信したのも、このときだ。
つまりは、この美女をふたりとも……。
そのとき、レジーナはちょっと感嘆する気持ちになった。
「ところで、すぐに出る」
そして、彼がレジーナに言った。
レジーナは頷いた。
それがいいと、レジーナも思ったのだ。
なにをしてきたのか詳しくはかわからないが予想はつく。
おそらく、マニエルの屋敷は、朝とともに騒ぎになるのだろう。
少なくとも、この城郭の治安も預かっている国境監視団が動く事態にはなる。
そのとき、さらってマニエルに引き渡したはずのエルフ娘が城郭を歩いているのを見つければ、あのゼッケルは不審に思うに違いない。
若者もエルフ娘も、城門が開くと同時に城郭を去る方がいい。
もちろん、レジーナの店に残っていられても困る。
完全な夜明けとともに、ハロンドール王国の中心に向かう街道に繋がる門は開く。
開門とともに逃げるべきだ。
彼はひとつの袋をレジーナの前に置いた。
開くと金貨が十枚入っている。
ひと財産だ。
ハロンドール金貨ではなくローム金貨だった。
断ろうと思ったが、受け取ることにした。
三人のことは口外しない。
それを金貨を受け取ることにより告げたつもりだ。
すると、彼は安堵の表情をして微笑んだ。
思わず抱きしめたくなるような、そんな笑顔だった。
三人はいなくなった。
レジーナはほっとするとともに、とてもがっかりしたような気分になった。
せめて、あとひと晩あればねえ……。
しかし、だけど、あんなに若くて可愛らしい女をふたりも連れていくくらいの男だ。レジーナみたいなおばさんは相手にしないか……。
いや、それでもせめて二日……。
二日あったら、若い女には出せない熟女の色香で……。
ふと、そんなことを思った。
一郎は、街道沿いにある宿場町に早めに宿に入ることにした。
そのまま進めば、陽が暮れる前に次の宿場町に辿り着きそうだったが、やはり、エリカのことが心配だった。
かなりの拷問を受けていて身体が弱っているにも関わらず、無理にドロボークの城郭を出てきたのだ。
大丈夫とは言いながらも、やはり少しつらそうだ。
健脚自慢のエルフ族が、今日は一郎と同じくらいの歩みで精一杯のようだった。
もっとすぐに宿を求めたかったが、やはり、少しでもドロボークを離れておきたい。
マニエルたち十人の全員を皆殺しにしてきた。
今頃、ドロボークは大騒ぎかもしれない。
泊まることを決めたのは、ドロボークを出発してから三個目の宿場町だ。
夕食の時間にはまだ早いので、三人でまずは前払いで泊まることにした部屋に入った。
すぐにエリカとコゼに、服を脱いで寝台に上体を突っ伏し、尻をこっちに向けるように指示した。
コゼは戸惑っていたようだったが、エリカがすぐに服を脱ぎだすのに接して、自分も服を脱ぎ始めた。
今日の旅のあいだ、さすがにまだふたりには打ち解けた雰囲気はなく余所余所しかった。
特に、コゼは奴隷だったせいか、自分を卑下する雰囲気が強く、なかなかエリカに進んで口を開かない。
なんとか、“エリカ様”と呼びかけることと、丁寧な言葉使いだけはやめさせたが、自分とエリカが同等だという気持ちにはなれないらしい。
また、エリカをマニエルがさらうのに自分もひと役噛んでいる……。
それも気にしているように思えた。
そんなわだかまりを失わせるにはセックスだ──。
一郎はまとめてふたりを犯すことにした。
「エリカはコゼの股間を、コゼはエリカの股間を愛撫しろ──」
ふたりの白い尻が一郎に向かって並ぶと一郎はすぐに命じた。ふたりはぴったりと密着して並んでいる。手を伸ばせば簡単にお互いの股間に届く距離だ。
「そ、そんな……」
戸惑いの声を出したのはコゼだ。
「さあ、コゼ、おいで……」
一方でエリカはすぐにコゼの股間に触れ始めた。
それを受け、コゼもおずおずとエリカの股に手を伸ばす。
いずれにしても、性に関することでは、ふたりとも一郎の「命令」には逆らえない。
進んでやるか、嫌がりながらもやるかの違いだけだ。
やがて、本格的な愛撫になった。
しばらくすると、エリカとコゼの喘ぎ声が始まる。
声の大きいエリカに比べて、コゼは懸命に耐えるような控えめな声だ。
もっとも、部屋にはエリカに防音の結界を刻ませている。
いくら声を出しても、廊下に漏れることはない……。
「コ、コゼ……か、感じる……。き、気持ちいい……」
「あ、あたしもです……。い、いえ、あ、あたしも、エ、エリカ……」
そして、ふたりが相次いで声をあげた。
やはり、すでに興奮状態のエリカに比べれば、まだコゼは大人しい感じだ。
それに、もともとエリカには百合の性愛の傾向があった。
それも関係あるかもしれない。
しばらく、ふたりの女同士の痴態を眺めた。
エリカとコゼの白い肌は完全に充血して、それぞれの肌に薄っすらと汗を帯びるようになっている。
一郎はお互いを責めさせながら、ふたりの菊座に指で愛撫を加えた。
「ふわっ」
「あんっ」
ふたりの反応が一気に激しくなる。
ただ、まだ「快感値」に余裕があるコゼには、感じる部分を激しく責めて数字を磨り減らすようにし、もうかなり追い詰められているエリカについては弱い刺激に留めている。
「あああ、ご主人さまああ──」
コゼのよがり方がエリカと同じくらいに強くなる。
しばらく続けた。
ふたりともすっかりとできあがった。
そろそろ、いいだろう……。
一郎はまずはコゼの股間に後ろから怒張を貫かせた。
すでに一郎も裸になっている。
「んんっ──。だ、だめえええ──」
コゼが耐えきれなくなったように大声を発した。
膣の中の真っ赤なもやの部分を力強く亀頭で擦ってやる。
一番感じる場所のはずだ。
「ふわあああっ」
コゼがいきなり身体を弓なりにして絶叫した。
しかし、数回突いただけで、すぐにエリカの股間に怒張を移動させる。
同じように激しく反応するエリカを数度突き、またコゼに移動していく。
「な、なにを……?」
エリカが戸惑いの声をあげた。
そのときには、一郎はコゼに二度目の抽送を開始していた。
「うぐいすの谷渡しという技だ。ふたりとも同じようにいかせてやろう。もっと仲良しになれるようにな」
一郎は腰を激しく動かしながら言った。
コゼについては、さっきと同じように、一気に快感値が落ちるように強い性感帯を激しく突き、また、すっとエリカに移動する。
エリカについては、わざと性感帯は外すように突いて、できるだけ快感値が持続するようにする。
コゼに比べれば、エリカの快感値は最初から低い。
ふたりをほぼ同時に昇天させるには、そういう「調整」が必要なのだ。
さらに、コゼについては、エリカを犯しながらも指でさらに愛撫を続ける。
コゼの反応が激しくなり、どんどんと快感値が下がっていく。
それを繰り返す。
ふたりの反応は激しくなり、やっとふたり同時にひと桁にすることに成功した。
ふたりとも限界が迫っている。
一郎は往復のピッチをあげた。
「ああ、あああ──あああ──」
「き、気持ちいです──、ご主人様──。こんなにしてもらってありがとうございます──あああっ──」
最初は派手ではなかったコゼの声もエリカにあおられたかのように大きい。
「一生懸命に我慢しろよ。後に達した方に精をやろう──」
一郎は同じようにふたりを犯しながら言った。
すると、ふたりとも快感を耐えるような仕草をした。お互いに一郎の精が欲しくて、競い合う気持ちになったのは明らかだ。
一郎はほくそ笑んだ。
だが、やっぱりエリカが早かった。
「だ、だめええ──。ああああっ」
まずは、エリカが感極まったような声をあげて、全身を愉悦の頂点に導かせる。
一郎はそれを見届けてから、怒張をコゼに移して、最後の抽送をした。
「ああっ、あっ、あっ、ああ──」
コゼもまた声をあげて達する。
一郎はそのコゼの中にたっぷりと精を吐き出した。
第5話『ハロンドール王国への入国』終わり──
第6話『淫湯の湯けむり調教』に続く──