〈催眠を掛ける魔法〉でヤリまくる 作:shiguma1124
第一次試験が終わり、その翌日。
(そういや今日はキャラ達が何してるか分かんない日だったな……昼間は大人しくしとくか)
特に難なく隕鉄鳥を保持したまま全員生存し、最初の試験はクリア。
ここに関しては波乱などなかったし興味はない。
大事なのはこの後、どうやって女の子達と出会っていくかだ。
幾ら言っても試験中強引に催眠を掛けるのも大変だから、こういう合間の休みの日にも出会いを求めて出歩いていきたいところなんだが。
今日は大抵の人物が休んでいたのか昼間の描写はなく、夜数人のキャラがレストランに行く位しか情報がない。
しかもその中で描写のあるキャラも、エピソード的に邪魔したくないフリーレン一行とデンケン一行。
催眠を使えばどうとでもなるが、あんまりこういった良い話を汚すのは気が引けるんだよなぁ。
ま、だからそんな気を遣わなくても大丈夫な奴に会いに行くんだけど。
日も沈みだした頃、俺はあまり人通りの多くない道をほっつき歩いていた。
目当ての人物が必ず来るという確信を持って。
これで来なかったら俺は泣きながら帰ってアウラを犯す事になる。だから来てくれよ?
「あ、カイ君だー」
(来た!)
原作でもこんな道で歩いていたラントのとこ来てたし、多分探してくれるだろうと思って歩いてて良かった。
俺は安堵と共に振り替えながら声の主の姿を確認する。
「なんだユーベル、やっぱ俺の事探してたか?」
一度手を出した事があるとは言え、貴重なネームドキャラとの邂逅。
クールを装ってるけど普通に嬉しい。
「はぁ?どういう思考回路でそう思ったの?」
「だって試験終了で集められた時、俺の方ちょいちょい見てたじゃん」
「……」
(当たったな?これは上々の結果だ)
ユーベルには俺をセフレだと認識させている。
口外出来ないようにしているが記憶自体は保持してるが、その関係になった事について疑問を持ったりもしないようしてあるので問題は特にない。
そして何より重大なのはアウラ以外で初めての、俺が催眠を使っているという情報を与えた事だ。
催眠を使えるがユーベルには使っていない、そこに違和感は持たない。
となるよう色々設定を頑張った結果。彼女の認識で俺は、珍しい催眠魔法を使える魔法使いのセフレ、となっている。
この記憶がある事によって俺が望んだ事は、彼女の興味を引く事。
原作では分身魔法を使うメガネ君に興味を持ったが、それより先に催眠魔法を扱う俺と出会った事で。興味の対象を俺に向けさせられたらな……という考えの元だ。
結果はこの通り、原作と違う動きをして俺の所にやって来た。
「…この前は聞かなかったけど。カイ君はさぁ、なんで催眠魔法を覚えようとした訳?」
だからこの質問を飛んでくるだろうと思っていた。
予想通り動いてくれてお礼にさっきの俺のおちょくりを無視して会話の流れを捻じ曲げたのも許そう。
「急だな。聞きたい理由でも出来たのか?」
「いやだって、多分今回の試験でもそれ使って突破出来たんでしょ?気になるよ」
うんまぁ使ったけど。
「私は前に話したでしょ?その人に共感すればその魔法が使えるようになるって」
「言ってたな」
「で、この試験でまた新しく魔法を覚えてさ。それで改めて思ったんだよねぇ」
(催眠を選んだ理由か……)
あんたみたいな可愛い子と沢山エッチする為だよ。なんて言ったらどう反応するかは気になるが、ここは普通に返してみよう。
「そりゃ便利だからさ。対人でも魔物でも魔族でも、俺は触れさえすれば勝てる」
「それ嘘だよね」
「うん嘘」
いや本音でもあるんだけどね?確かに前提と言いますか、カットした部分がデカ過ぎたかな。
だが本当に本音を言うのもなんだ、流石に良くない気がする。
ここは上手く言って誤魔化したいけど誤魔化しが通用する様な相手じゃないし……。
「だってカイ君相当強いよね、それこそ今回の受験者の中でもトップクラスに」
「どうだかな……」
「そんな君だったらさ、もっと強力な攻撃魔法を覚える事も出来たと思うんだ。なんで催眠なんて選んだの?」
そういやラント君も結構質問攻めにあってたな。
可愛い子に話しかけられるのは嬉しいけど、この話題じゃなかったらなんだよなぁ。
会話逸らせたらいいんだけど。
(うし、こうなったら必殺論点ずらしを使おう)
前世で学んだ、面倒な会話を乗り切るテクニック。
「別に催眠じゃなくたって良かったんだよ、本当は」
それっぽい事を言って言い逃れする為のコツは、最終的に行き着く先を壮大且つ曖昧にする事。
夢を語っているんだと相手に思わせる事。
要は。こいついきなり語りだしたな、もういいや。ってさせるのがコツだ。
「ただ目標があって、その手段として現実的に取れる手が催眠だった。最短で最高効率、そんな手札を取れるなら取るに決まってるだろ」
「……その目標って?」
「分かりやすいぞ。でもそんな分かりやすい目標に気付けてない時点で共感出来てないから、ユーベルじゃこの魔法は使えないかな」
「えー?教えてくれないの?」
「さっきも言った通り分かりやすいんだよ、本当に。それに誰でも思うような事で、特別なもんでもない。だから自分で考えることだ」
「……」
思ったよりも早く質問が止まったので、ここから更に話を広げる必要はなさそうだ。
正直エッチしたいだけってボロが出そうだからここで止まってくれると助かるんだけどな。
(こっちから先に話切っとくか)
「時間も時間だし、飯でも食いに行かないか?美味しい店知ってるんだよ」
「逃げたね?」
「逃げてねぇ。道中で話は聞いてやる」
人前で催眠どうこうは秘密にするよう設定してるので、人目に付く場所に行ければ俺の勝ちだ。
「まぁいいけどさ」
思ったよりも簡単に引き下がってくれてラッキー。
そう思いながら店へと歩き始める。
行く場所は原作でも出てきた例のレストランだ、既に何度か行った事があるけどあの店は本当に美味しい。
流石に現代社会の日本に居た俺からすればこの世界の食事は少しレベルが落ちるが、あそこだけは元居た世界でも通用すると思う。フリーレンがあそこまで食い溜めようとするのも分かる位絶品なんだよな……。
後は道中でユーベルをあしらいつつ、店に入れば催眠については話してこないだろうから。
雑談でもしながら夜ご飯を堪能しようと思っていたんだが。
道中しつこく質問攻めは続いた。
「もしかしてさ……」
(思ったよりも聞いてくるな。相手がユーベルじゃなかったら結構鬱陶しく思ったかも。ユーベルだから全然いいんだけど)
「催眠を使って人を好き勝手したかったから?」
イエスともノーとも言えないラインの質問が飛んでくる。
(確かに好き勝手エッチする為ではあるけど……でも好き勝手、好き勝手ね)
絶妙にどう返せば分からない。
「好き勝手って言うと違う気もするけど、あながち間違いではないのか?」
「何それ。自分でも分かってない訳?」
「そうかもなー」
改めて問われると、催眠を選んだ理由はなんだろうか。
多分転生する際の神様との会話的に、俺が望めばもっと自由度が高くてそれこそエッチに特化した能力も貰えた。
世界のルールから逸脱した、魔法の枠を飛び超えた神の権能を扱う事も出来たと思う。
でも俺は魔法に拘り、催眠を選んだ。
(催眠プレイが好きだからか?いやまぁ好きなんだけど)
そうだ。何を疑問に思ったのか。
俺は催眠を使ってエッチな事をしたい。それだけの筈だ。
「さっき言ってた目標はじゃあなんなの?人を好き勝手操って従えたかったの?」
そう言われると違う。
別に従えたい訳じゃない。
ただエッチな事が出来ればそれでいい。
「いやまぁ従えたかったと聞かれれば違うけど……でも目標を叶える為に必要だったから」
「じゃあなんで催眠を選んだの?他にも選択肢はあったのにわざわざ選んだんでしょ、その理由は何?」
「……目標の為に一番手っ取り早い魔法だったから」
「同じ事言ってるけどさ、本当に自分でその目標っての分かってる?私には目標が曖昧になってるみたいに見えるんだけど」
目標は明確だ、明確なんだけど……。
(俺も面倒くさい事にロマンを追い求める人間だからかな、多少の手間より性癖を取ったんだ)
多分催眠よりも手っ取り早く女の子達とエッチな事を出来る能力を貰うことも出来た。
でもその多少の手間も愛嬌と言うか、逆にあった方が良いと申しますか。
催眠自体が好きだから催眠魔法を選んだと言うか……あれ?
(そういや……俺ってなんで催眠系が好きなんだっけ)
インターネット上に数多のジャンルのエロが存在する中、俺は幅広く様々なものを楽しんでいた。
その数多のジャンルやシチュエーションに繋げられる万能性を持つ催眠。
あれも好きこれも好きな俺からすれば、こっちの世界に来て催眠を選んだ理由はこの万能性だ。
いっぱい好きなものがあるならそれら全てを叶えられる催眠こそが最強のカードだと思ったから。
でも元居た世界で催眠が好きだったかと言われると……どうだろう。
確かに好きだ、それは間違いなく断言出来る。
だが一番かと言われれば別にそうであった記憶はない。別に他に一番がある訳でもなかったが。
(なんだ。俺の考えは矛盾していない、色んな癖に合わせる為の万能な催眠を選んだ。その思考に間違いはないし後悔だって微塵もしていない。でも……)
何故か引っかかる、違和感。
おかしい、妙だ。
一度気になってしまえばその悩みが晴れるまで脳裏にそれがちらつき続ける。
(……最近変だな。あれか?ネームドキャラ達と関われるようになってきて心が落ち着いてないのかも)
思えばユーベルと初めてヤった時から度々疑問を持つようになった気がする。
「……何、急に見てきて」
当の本人はそんな事知る由も無いのでいつものどことなく気怠げな様子のまま。
「お前のせいで頭が変になっちまったんだよ」
「何のことか分かんないけどいきなり人のせいとは酷いね」
分かった事で言えば、やはり俺はユーベルには舌戦で勝てそうにないって事だけ。
それから程なくして店に到着し、席について食事が運ばれてくる。
「ん。本当に美味しい」
ユーベルが純粋に料理を楽しんでくれているのを見ると俺も嬉しくなってくる。
なんだか普通にデートしてるみたいだし。
「だろ?こんな良い店だからお客さんも沢山来るわけだ」
「確かに試験で見た人たちも来てるみたいだねー」
「長生きしてる奴は知ってるんだよ、本当に良い物をな」
「…でもカイ君はそんな長く生きてないでしょ」
「そりゃあれよ。これまで歩んで来た人生の密度的なあれ」
ま、前世合わせたら俺アラサーもいいとこっつーか。
おっさん手前の年齢してるけどな。
精神年齢はあんま変わった気してないけど。
「それにほら、この店はあの勇者ヒンメルも訪れた事のある場所だから」
ここで原作知識を活かした小話でも挟んでおこう。
余計な事言われる前にこっちが主導権握っとかないと不安だし。
「へー。好きなの?勇者ヒンメル」
「……大好きだよ」
視界の片隅に移るフリーレンの姿が、一瞬言葉を詰まらせる。
「じゃあ魔法使いになろうと思ったきっかけは、勇者一行の魔法使いの影響かな?」
見ていた事がバレたのだろう、少しいたずらっぽく笑いながら言ってきやがる。可愛いなおいその顔。
「んー……そうでもない、とは言い切れない。多少の影響はあるかも」
元は俺も葬送のフリーレンのファンだった訳だしね。
「じゃあさ、その大好きな人と一緒に旅をした人を見て何か思ったりしなかったの?話しかけよう、とかさ」
まぁ確かに試験前や第一次試験の終了時とかなら、話しかけられない事もなかった。けど……。
「別にいいかな」
「なんで?」
「あの人はもう
「はぁ?何が居るっての。あとそれ私が綺麗じゃないって言ってる?」
「まさかまさか。こんな可愛い子とご飯を一緒に出来て俺は幸せですよ」
そう。フリーレンにはもう存在してるし、俺はそれを知ってしまっている。
だから俺は、
「なんでもいいだろ別に。それに、多分勇者一行の魔法使いに憧れた奴はこの試験の中にも居るぞきっと。そんなもんなんだよ」
「分かんないなぁ……私だったら話しかけないなんて絶対しないけど」
「そもそもユーベルに憧れの人なんているの?」
「それって憧れてる人がいるのか、人に憧れるような人だったのって聞いてるのか。どっち?」
「前者だよ前者、どんだけ俺は捻くれた質問すると思われてるんだよ……」
ユーベルは興味のある人物に対しては饒舌だ。
俺も可愛い女の子相手には饒舌になる。
お陰でこのテーブルの雰囲気は良好そのものであり、俺の気分も最高だ。
無論エッチな事が一番好きだが、人生においてそれ以外が必要ではないという事は断じてない。
寧ろこういった場面があるからこそ情事の際より興奮するってものだ。
(にしても、ほんとに最近考え事が多いな……急激な興奮と期待に頭が駄目になっちまってるのか?)
だからこそ乱されるこの感覚に、俺は疑問を持たざるを得ない。
もしこの妙な考えのせいで目の前のエッチに集中しきれなかったら悔やむなんてレベルじゃないし。
折角ネームドキャラ達と関われ始めたのに、こんな調子じゃ集中しきれない。
俺は今セックスをする事に意識を向けなければならない。今回のチャンスを逃せば数年のお預けになる可能性もある以上、失敗は出来ない。
妙に頭に残ったさっきの質問も、ユーベルとした時に感じたあの違和感も。
そう、前に結論を出した通り。
性について疑問を感じたのならその答えも性にある筈。
俺が欲に従って女の子達と交わって、交わり続ければその先にきっと答えはある。
数年待った人物達と出会って気が動転しているなら彼女達と深く関わればいい。そうすれば漸く会えた相手から、催眠を掛けセックスをした相手になる。
そうなれば相手は知人になり、いつか慣れる日が来る。
慣れた相手に対して新鮮な疑問を持つことはない。
(例え答えが見つかっても見つからなくても変わらねぇ。エッチな事以上の喜びを知らない以上、それで疑問も悩みも全て消し飛ぶ)
ごちゃごちゃした考えは要らない。
コンセプトは変わらない、ただ女の子を抱く。それだけでいい。
カイ「女の子とエッチすれば悩みも全部吹き飛ぶ!兎に角エッチな事してぇ!!」
↑これ