しがない強面中堅冒険者、新進気鋭の美女パーティの全員に「私のことは好きにしていいから仲間だけは助けてください」と体を差し出された。 作:ユリイカ
ファナがバルクを連れて川の上流へと去っていくのを見送って、シエラとネルヴァは二人で魔獣の解体を始めることにした。あまり面白いことではないが、これも誰かがやらねばならないことである。
「ねえ、ネルヴァ」
鋭利なナイフを使って鹿の皮を剥ぎながら、シエラが口を開いた。獣の解体は重労働だ。ただ黙々と手を動かすだけでは気が滅入る。ネルヴァも耳をぴくりと動かして彼女に応じた。
「どうした?」
「ネルヴァはその、バルクさんのことどう思ってるの?」
リーダーの口から飛び出した言葉に、ネルヴァはわずかに動揺する。作業をしやすいように長い金髪を後ろで括り、白いうなじを見せる少女は、頬を赤らめている。
シエラは二日前、バルクのテントに行った。そこで何があったのか彼女は話さないが、ネルヴァはある程度勘付いていた。あの溌剌とした少女が一夜明けてから人が変わったようにおとなしくなってしまったのだ。不自然にバルクのことを庇うようになったのも、疑わしい。何よりあの男は、ネルヴァにも手を出している。
ネルヴァは周囲を見渡す。あの男はまだ帰ってこないようだ。
「あいつは、そうだな。確かに腕はあるらしい」
ここ数日で、それはネルヴァも実感したことだった。トラガの森は彼女たちが経験したことのない難所ばかりで、彼がいなければ今頃四人まとめて死んでいたことは確実だ。
人間族とは思えないほど鍛えられた肉体。肩の怪我もものともしないタフネス。何より、あの大きな斧を振り回す力と、それを扱いこなすだけの技量。なぜ単独という不利な条件で冒険者を続けているのか首を捻るほどの実力者だ。
しかし――。
「でも、シエラはあんまり近づくな」
ネルヴァは警告する。
シエラはまだ純潔を保っているようだが、それもいつまであの男が許すか分からない。油断したら最後、彼女の身は穢される。
人間族とは思えないといえば、あの体格よりも何よりも、凶悪すぎる男根である。女というものをただの雌としてしか見ていないかのような野蛮な武器だ。
「んんっ」
ネルヴァは思わず下腹部を抑える。一日経ったにも関わらず、まだ腹にその衝撃が残っている。自分だって初めてだったのだ。なのにあの男は遠慮も容赦も情けもなく、乱暴に貫いた。自分は獣人族で、それなりに鍛えているはずだったのに、いまだにその傷が癒えていない。より正確に言うならば、膣内にあの雄々しい肉棒の形が刻まれてしまったかのようだ。
あんなものを、いたいけな少女に味合わせるわけにはいかない。
「そんな……」
ネルヴァが顔をあげるとシエラが愕然としていた。
「だ、大丈夫だよ。バルクさんが本当はいい人だって、ネルヴァも分かってるんでしょ?」
「表面上はな。しかし、二人きりになるのはダメだ。アイツも男なんだぞ」
「バルクさんは優しいよ! こ、この前も私のこと、気遣ってくれたの」
「そうやって油断させるんだ。――シエラのことは、あたしが守ってやるから」
混乱して狼狽える少女。ネルヴァは幼い頃から彼女に付き従い、守ってきた。だから今回も守ってやるのが自分の役目なのだと。そう主張する。
だが少女は首を横に振る。
「そう言って、ネルヴァはバルクさんを独り占めしたいんじゃないの?」
初めて向けられる疑念の目。その言葉が、ネルヴァの頭を強く揺るがした。
「なっ、そ、そんな、ことは……」
下腹部が疼く。
あの衝撃が忘れられない。テントにいる時も。隣にシエラが眠っているにも関わらず、熱にうなされたように気持ちが落ち着かなかった。それもこれも、あの男のせいだ。あんな危険なものを可愛いシエラに向けさせるわけには――。
「私だってもう十八だよ。付き合う人くらい、自分で見極められる」
幼いはずの少女が、対等にこちらを見ていた。いつの間にこんなに大きくなったのか。
ネルヴァは頭を振る。動揺していた。
「でも、あの男は危険で……」
「それなら、どうしてファナやパテマも仲良くなってるの? 二人は私より大人なんでしょ。特にファナなんて、元々は男性そのものが苦手だったのに」
畳み掛けられたネルヴァは狼狽える。シエラに反論する言葉が浮かばない。
自分はただ、彼女を守りたいだけ。あの男の危険性を知っているのは自分だけなのだから。あの男の性欲が彼女に向いたら、きっと彼女が傷つく。だから、自分が身をもって――。
「っ!?」
「な、どうしたの?」
その時、ネルヴァの耳がぴくりと跳ねる。シエラが怪訝な顔をして彼女の顔を覗き込む。それまでの攻防が消えて、ネルヴァは真剣な顔で周囲を見渡した。
獣人族であるネルヴァは、シエラや他のメンバーと比べて鋭敏な感覚を持っている。それを活かして、〈極光の剣〉においては斥候のような役割も担っているのだ。そんな彼女が何かに気がついた。
シエラは刃物を握る。魔獣が森から出てきた可能性も十分に考えられる。
「シエラはパテマと一緒にいろ。あたしはファナたちのところに行く」
「分かった。気をつけて」
こうなれば口論も終わりだ。シエラは素直に頷くとキャンプ地へと向かう。その背中を見送って、ネルヴァは上流に向かって走り出した。
「あの野郎――ッ!」
聞こえたのは魔獣の声ではない。ネルヴァの聞いたことのない、艶やかな嬌声だ。そんなものを発する者に心当たりはなかったが、状況から消去法で一人が浮かび上がる。
ここ数日でネルヴァは森での歩き方を習熟していた。足音を消して、気配を殺して素早く走ることは造作もなかった。上流へ向かうほど、その声は大きくなる。
「ああっ♡ んっ、おおきっ♡ しゅごっ♡」
苦しげに呻く声。聞き覚えのある声。
ネルヴァの下腹部が強く疼く。そこに刻みつけられた記憶が強く浮かぶ。
「いぐっ♡ またいっちゃうっ♡ お、おっぱい噛まにゃいでっ♡」
河原の側に繁茂する緑の中に身を潜め、慎重に近づく。そして、ネルヴァの敏感な嗅覚がそれを捉えた。
咽せるほど濃厚な体臭。男のそれと、女のそれが混ざり合っている。条件反射的に全身が震えた。すでにあの白濁液の強い匂いも周囲に漂っている。
川のせせらぎが音を紛らせていたようだが、獣人の耳はそれを確かに捉えていた。パンパンと響く肉を叩く音。水っぽく湿っている。女の、いや、雌の嬌声。苦しんでいるようだが、そこには確かに快楽の色がある。
そして、男の熱い吐息。
「ファナ――ッ!」
ネルヴァは茂みの陰からそれを目の当たりにした。咄嗟に叫びそうになるのを抑える。
倒木のそばに野獣がいた。熊のように筋骨隆々の体躯を誇るそれは、か弱い少女の上に覆い被さり、一心不乱に腰を動かしていた。
ネルヴァの視線が、その結合部に釘付けにされる。
長すぎるストローク。亀頭まで引き抜かれたそれが、勢いよく突き込まれる。空気を押し出す、少女の秘裂からぶぴゅっと淫らな音を出す。
「おごぉっ♡!?」
少女の柔らかな肉を貫いた槍。一際大きな嬌声が上がり、少女は背中を大きく反らせる。目の奥に火花が散り、視界も定かではないはずだ。腹の奥まで圧迫する息苦しささえ、強い快楽となって全身を痺れさせる。
「あいつ……」
ネルヴァは、ファナが感じていることを詳細に予測することができた。なぜなら彼女もまた経験しているからだ。あの馬のそれのように長く太く禍々しい男根。それを腹に突き込まれることで感じる衝撃、いや、快楽を。
バルクが自ら腰を振っている。その姿はネルヴァの知らないものだった。
ファナは仰向けに転がり、大きく足を開いて彼を受け入れている。乳房も曝け出し、衝撃のまま大きく揺れている。
「あいつ……っ!」
ネルヴァは自らの局部に手を伸ばしていた。視線は動かない。森の中で乱れる仲間と男。二人の激しく交わる獣のような情事に釘付けになっていた。
槍を握り続けてきた指で己の秘裂を掻き分ける。地面に膝をつき、息も荒く舌を出し、彼女は蜜壺を掻き混ぜる。とめどなく溢れる愛液も流れるままに。赤く充血した肉豆を摘めば、電流のような快楽が全身に流れる。
「はぁっ、んっ♡ あぁんっ♡」
「もっと、もっと突いてっ♡ 奥までっ!♡」
ファナが乱れている。男を知らず、嫌悪すらしていたはずの彼女が。あの野獣のような男に突かれている。
泡だった体液と白濁した粘液に塗れた肉棒。もう何度も果てているはずだろう。にも関わらず硬く反り立ち、禍々しく脈動している。
自分が守るはずだったのに。あの男根は、自分に向けられるはずだったのに。
「はぁっ♡ はぁっ♡」
ネルヴァは情けなく掻き続ける。溢れ出す愛液を吐き出すように。だが、どれほど奥を穿っても満足は得られない。あの肉棒、あの男根、あの巨雄でなければ。
――あれはあたしのものなのに!
「あっ、そ、そういう、ことなのか……」
愕然とする。ネルヴァは自らに驚いていた。
仲間を守るため。そう思っていた。男の劣情を一手に引き受けることで、シエラやファナを守るつもりでいた。違ったのだ。自分はあれを独占したかった。あの男の情欲が他の女に向けられることが嫌だったのだ。
「なんだ、それ」
自分に失望する。同時に安堵していた。
武の道に身を置き、一生をかけて少女を守り続ける。それが自分の使命だと思っていた。でも、自分は浅ましい女だった。否――ただの雌だった。
「う、ううっ」
涙が浮かぶ。目の前で楽しげに乱れるファナが羨ましい。本来なら自分があそこにいるはずだった。男の肉欲を甘受するのは自分のはずだった。あんな大きすぎる胸よりも、自分の張りもある美乳のほうがきっと彼を満足させられるはずなのに。
泣きながら、それでも股間を掻くことは止められない。自分の方が先だったのに、という強い悔恨。それさえも快楽になっていた。
絶頂に達する。疼きは消えない。
「バルクしゃんっ♡ き、きしゅっ♡ 口付け、してもいいでしゅよっ♡」
「んぐっ」
少女は男の頭を抱え込み、貪るようなキスをする。肉厚な舌を男の口腔に押し込み、蹂躙するような熱いキス。二人の唾液が溢れ出す。
――あたしも、あたしだって!
みっともなく股間を掻きながら、ネルヴァは唇を噛む。一秒たりとも見たくなかった。それでも視線を外すことも、自慰の手を止めることもできない。二人が疲れ果てるまで、彼女は動くことができない。