しがない強面中堅冒険者、新進気鋭の美女パーティの全員に「私のことは好きにしていいから仲間だけは助けてください」と体を差し出された。 作:ユリイカ
全身に倦怠感を抱きながら、バルクは寒さで目を覚ます。一瞬、自分がどこにいるのか分からなかった。周囲を見渡して消え掛かったランタンの光を見つけた瞬間、意識が急激に覚醒する。
「っ!?」
眠っていた。洞窟の奥で。
昨日の記憶がフラッシュバックする。ファナとネルヴァ、そしてシエラと精魂尽き果てるまで交わった記憶。疲労の正体を理解して愕然とする。
周囲を見渡すと、即席のバリケードの側で素っ裸のネルヴァとファナが身を寄せあって眠っていた。立ちあがろうとしたバルクは、己の腕に抱きつく少女に気が付いた。
「シエラ……」
金髪の美しい少女が幸せそうに眠っている。もちろん、生まれたままの姿で。
バルクは彼女が起きないようにそっと腕からすり抜けて立ち上がる。昨日のことは、特に最後の方のことはあまり覚えていない。疲労が極限に迫り、意識も朦朧としていたのだ。
とにかく、見張りが全員眠ってしまった中で魔獣の襲撃がなかったのは不幸中の幸いだった。
バルクは急いで身なりを整え、深く寝入っている三人を纏めて並べる。流石にこんなあられもない姿で放っておくわけにはいかない。彼は意を決してそっと遮光布の向こうへと入り、毛布を持ってきた。
「とりあえずこれでいいか。あとはパテマは……」
見張りの最後の当番だったはずのパテマを探す。彼女はキャンプ地で毛布に包まってスヤスヤと眠っていた。本来ならば数時間前にシエラが彼女を起こして交代するはずだったのだが、シエラも熟睡中である。
バルクは気の抜けていた自分を猛省しながら、ひとまずパテマを起こすことにした。
「パテマ、起きてくれ。パテマ」
「んっ。むぅ……」
彼女の肩を揺らすと、小柄な少女は可愛らしい声を漏らして身を捩る。それでもなおバルクが声をかけ続けると、ゆっくりと瞼が開いた。
「んっ♡ なんじゃぁバルク。寝込みを襲いにきたのか?」
「寝ぼけてるな……」
むにゃむにゃと穏やかな笑みを浮かべる小さな魔法使いは、まだ半分眠っているようだった。バルクの大きな手を掴み、その指をちゅっと咥える。
「んちゅ、ちゅっ♡」
「お、おい、パテマ……」
寝起きで油断しているのか、普段の怜悧な雰囲気はない。乳飲子のようにバルクの指をちゅぅちゅぅと吸う。小さな舌が指先をさりさりと撫で、バルクは戸惑う。
「起きて欲しかったらキスするのじゃ♡ 恋人らしく、ディープなキスじゃぞ」
パテマはむふん、と鼻を鳴らす。
早く彼女に起きてもらって、見張りを交代してほしいバルクは困る。正直、目は覚ましたものの疲れは全く取れていないのだ。せめて三人が目を覚ますまで数時間くらいは惰眠を貪りたい気持ちだった。
人間の三大欲求のひとつである睡眠欲に突き動かされ、男は幼児体型の少女の上に覆い被さる。
「ふぇっ!? ほ、ほんとにしてくれるのか。――ん、んんぅ♡」
一瞬たじろいだパテマだったが、嬉しそうに唇を突き出す。男との距離がゼロに近づいていく。その時だった。
「バルクさん? 何をやっているんですか?」
氷よりも冷たい声が二人に浴びせられる。鋭い殺気がバルクの背中に突き刺さった。
驚いて二人が振り返ると、そこには瞳孔を開き切って凝視するシエラが立っていた。
「ふぁ、シエラ!? こ、これはだな……」
「なんじゃお主。破廉恥な格好しよってからに」
狼狽えるバルク。事情を知らないパテマは首を傾げ、全裸のリーダーに胡乱な目を向ける。しかしシエラはパテマの言葉に反応せず、つかつかと歩み寄る。様子の異なる彼女にパテマも違和感を抱いた。
「バルクさんに何をしようとしていたんですか? 答えてください」
「何をって……。むぅ、バレてしまったのなら仕方ないのう」
「パテマ、ちょ、ちょっと待て――」
顔を青くしたバルクが止めるも、一歩遅い。
「バルクは妾と熱烈ラブラブカップルなのじゃ! お主にもいずれ言おうと思っておったのじゃがのう。とにかく、そういうことじゃから♡」
「は?」
「えっ」
頬を抑え耳を赤くしてクネクネと身を捩るパテマ。シエラの表情が固まり、バルクが頓狂な声をあげる。
「うむ?」
「え、うん? そうなのか?」
「あれ、ち、違うのかの?」
シエラはともかく、バルクの反応はパテマにとって予想外だった。相思相愛だと思っていたはずなのに、なぜかこの男は初耳だと言いたげな顔をしている。
「嘘じゃろ、バルク。わ、妾とあんなに愛し合ったというのに! 妾、初めてだったんじゃぞ!」
「愛し合った……、初めて……。バルクさん?」
「えっ、いや、知らないんだが!?」
バルクはブンブンと首を振って否定する。パテマは信じられないと目を見開く。シエラはバルクに疑念の目を向ける。
バルクがパテマと交わったのは、トラガの森に自制するキノコを食べて自我を失った時のことである。彼はその時のことを全くもって欠片も覚えていなかった。
「嘘じゃあ。妾たち、あんなにキスもしたではないか!」
「バルクさん?」
「違うんだ、信じてくれ! 俺は誰とも付き合うつもりはない!」
「バルクさん……?」
バルクが大きな声で宣言すると、今度こそシエラの目が変わる。
「バルクさん、昨日約束しましたよね。私と結婚するって。今すぐ町に戻って挙式してくれるって」
「い、言ってないが!?」
「嘘じゃ! バルクは妾と結婚して故郷でラブラブちゅっちゅの新婚生活を送るのじゃ!」
「言ってないが!!?」
食い違う二人の主張。どちらも身に覚えのない男はただ狼狽する。
埒の明かない話に根を切らしたシエラが、バルクの腕に抱きついて引き寄せる。その拍子に彼女の柔らかく溶けそうな乳房が触れた。
負けじとパテマも逆の腕に飛びつく。ぺたんこの胸だった。
「バルクさんは私のものです!」
「ち、違うのじゃ! 妾の恋人なのじゃ!」
「私の旦那様ですっ!」
「妾のじゃ!」
一人の男を巡って、二人の女が浅ましく口論を繰り広げる。お互いに力任せに男の腕を引っ張り、己の正当性を主張する。昨日まで以心伝心の連携を見せるほど仲が良かった二人が、お互いに睨み合っていた。
「バルクさん、本当のことを教えてください」
「妾と約束したんじゃよな!?」
最終的に、二人の目が男へと向かう。正直どちらも全く身に覚えがない男は答えに窮する。それをどう勘違いしたのか、シエラたちはぎりりと歯軋りして切り出した。
「仕方ありません。それなら体に聞きましょう」
「妾とバルクの相性は抜群なのじゃ! シエラにそれを見せつけてやるのじゃ!」
「えっ、ちょっ、ええっ!?」
瞬く間に着込んだばかりの服が剥がされる。強引に地面に押し倒され、あっという間に手足を縄で括られた。類稀な冒険者としての身体能力を遺憾無く発揮するシエラと、魔法を駆使するパテマの鮮やかな連携だった。
「二人とも落ち着け! 話し合おう。とりあえず冷静に――」
「うるさいのじゃ!」
「もごごっ!?」
男の口に丸めた布が突っ込まれる。それがパテマが履いていた下着だと気付いたのは、彼女の匂いが鼻腔いっぱいに充満したからだ。
「むっ、おちんちんに元気がありませんね」
バルクの股間を見たシエラが眉を寄せる。
当たり前である。昨夜は洞窟を歩き通した後にほとんど眠らずに三連戦、合わせて二十回以上も射精したのだ。もはや男の体力は底を尽きかけていた。
勃たなければ、襲われることもない。バルクは努めて股間に向かいそうになる血流を阻む。このまま嵐が過ぎ去るのを待つのだ。
しかし――。
「バルク♡」
「むぐっ!?」
口の中の布が取られたかと思うと、別の何かが奥まで突っ込まれる。思わずそれを飲み込んだバルクが見たのは、妖艶な笑みを浮かべるパテマだった。
彼女の手には、己の歯形が付いた真っ赤なキノコ。それを見た瞬間、バルクは全身が総毛立つのを自覚した。
「二人の愛を見せつけるのじゃ♡」
「〜〜〜〜〜っ!?」
鼓動が力強く加速する。血管が脈打ち、全身の体温が急激に上昇していく。一欠片口にするだけで、頑丈な兜を叩き割るほどの膂力を得られるという貴重なキノコ。それを大きな口でがっつりと食ってしまったバルクは、猛烈な勢いで体力を取り戻していく。
「うぐっ、がっ、があっ!?」
野獣のような声をあげ、悶え苦しむバルク。
彼の復活を示すように股間の肉棒が勢いよく聳り立つ。
それを見た二人の少女は、揃って恍惚とした笑みを浮かべていた。
「う、うぅぅうう、うがあああああっ!?」
男が獰猛に吠える。そこには野獣がいた。周囲を見渡し、若い雌を見つけると体に力を漲らせて拘束を強引に破る。驚く少女に襲い掛かり、噛みついた。
「あんっ♡ バルク、やっぱり妾を選ぶのじゃなっ♡」
獣に襲われた少女は、嬉しそうに声をあげた。