ピピピピッ。
今日はやけにうるさいスマホのアラームで目を覚ます。
僕は佐々凪春樹。
特に個性も無い、普通も普通の高校生。
イケてるメンズって訳でもなく、オタクと言える程好きな物も無く……。
中途半端に毎日を過ごしていた。
時間は6時半。
登校には時間があるので、少しスマホを覗いて時間を潰す事にした。
SNSサイトを覗き、フォローしている親友の呟きや絵師さんのイラストを見ようと思っていた。
しかし、僕の目に入ってきたのは……。
『〇男の子すきすきクラブ
マジであの男性アイドルほんとに私達のマンイラ誘ってるだろ マジでマンほじ止まらんッ ほんと男の子って生きてるだけで私達のことムラムラさせるよな そこが大好き♡』
『〇めい/1万フォロワー感謝
この前電車に間違えて乗っちゃってた男の子のケツ揉みまくっちゃった♡ほんとに柔らかくて最高だった〜♡痴漢しても小声で『やめてください……』って言うだけで抵抗しなかった♡メアドとか無理矢理でも教えて貰えば良かったかな〜♡』
『嘘乙』
『こいつこう言う嘘呟きばっかしてるから信頼しない方がいいよ』
『嘘呟きって言うか妄想シチュエーション投稿してるだけなんだよなぁ……』
目に入る全てのツイートが、女性がしているであろう物ばかり。
それも過激派で、随分と男性が好きな女性達だった。
「これ関連の変な奴でも間違えていいねしたのかな……?ま、いいや……ニュースでも見よ……」
SNSサイトを閉じて、ニュースサイトをチラッと覗く。
……しかしそこには、常軌を逸したニュースばかりが掲載されていた。
『男性アイドル、女性達による性的搾取やセクハラにより引退発表か』
『男性専用避難住居地域が拡大か。女性達から避難の声相次ぐ』
『女性のレイプ加害が異様な増加『男の子の出生率に貢献したかった』男性の身の安全を守る為の活動が開始される』
現実とは思えない、男性が女性の様に扱われている記事の数々。
あまりにも想定外の光景に、動揺が走る。
気分が悪くなって来た……僕はスマホを閉じて仮眠を取る事にした。
しかし中々寝付けず、刻一刻と時間は過ぎていく。
次に時計を見た時には登校時間になっており、僕は急いで登校の準備をすると、玄関から飛び出した。
人通りの少ない交差点を曲がると、駅が見えてくる。
僕は急いで駅へと走り出した。
人が急に大勢現れる辺りになると、ザワザワとしたざわめきが辺りに充満する。
人達の視線は僕に注がれていた。
しかし……違和感があった。
人混みの中に男性の姿は見当たらず、ほぼ全ての姿が女性。
いや、全てが女性の姿だった。
しかも一部は僕を見て恍惚とした表情を浮かべている者や、興奮し過ぎているのか顔を真っ赤にしている者。
様々な女性達が僕を見つめていた。
この空気感に耐えきれず、僕は駅のホームの中へと走り出す。
改札を交通系電子マネーで通り、急いで駅のホームへと向かう。
辿り着くと、丁度電車が到着していた様で。
僕は満員の中、ギリギリ電車の中に入り込めた。
しかし、やはりと言うべきだろうか。
電車の中は女性の姿ばかりで、僕以外に男性の姿は無い。
先程と同じ様に視線は僕に注がれている。
僕は普段とはあまりに違う世界に、不安でバックを抱きしめる。
誰とも目を合わせない様に、ずっと下を向いていた。
すると突然、お尻を優しく撫でられる感覚で背筋がゾワッとなってしまう。
いやらしく、それでいて優しいその手は僕のお尻を優しく撫で回す。
「ねぇ、君……♡男性専用車両が無くて、残念だったね……♡遅れちゃった可哀想な君は、私みたいなえっちなお姉さんに全身貪られちゃうんだよ……♡可哀想、助けも呼べないね……♡男の人にとって、女性は怖い存在だもんね〜……♡」
そう耳元で囁かれ、ゾクゾクとした感覚が背筋を伝う。
女性の手が今度は僕のズボンの中に入って来たかと思うと、今度は直でお尻を触り出した。
助けを呼ぼうと、周りをチラチラと見渡して見る物の。
この光景を録画しようとスマホカメラを起動している人や、興味津々にこちらを覗こうとしている人。
助けてくれそうな人が、1人も居ない。
「ほらぁ……♡きっと避難地域から出てきたばっかりの世間知らずな僕くんに、教えてあげるね……♡この世界は、女性が9割なの……♡そして男の子はすくな〜い、1割……♡女の人達はハイエナみたいに、僕くんみたいな可愛い男の子を探し回ってるんだよ……♡」
そう、言われて。
やっと気付いた、この世界の異様さに。
そして、この世界が僕の住んでいた世界とは遥かに違う世界になっている事に。
僕は恐怖と孤独感で身を震わせる。
助けは来ない、電車が止まるまでずっとこのまま。
普段感じている女性達への感情とは変わっていく。
恐怖、忌避、嫌悪。
そんな感情が渦巻き始めた。
「あ〜、ヤッべ♡ケツ柔らかっ……♡お姉さん、君の事気に入っちゃった……♡見る限り、学生さんみたいだけどぉ……♡もう、学校なんて諦めて、私と一緒にエッチしようよ……♡」
そう言いながら、女性は豊満な胸を背中に押し付ける。
恐怖に混じる、興奮の感情。
普段の世界ならご褒美みたいな物のはずだから、僕は喜びの感情を一瞬だけ感じてしまった。
雑念を振り払い、女性の手を払い除ける事を試みる。
しかし、力が異様に強い。
男の僕が遥かに力負けしてしまう。
「やっぱ男の子って力よっわ……♡可愛すぎ……♡ね、おちんちん触ってもいいかなぁ……♡いいよね……♡」
パンツの中に入っていた女性の手が前の方向へと移動する。
そして、僕の玉袋を優しく揉み始めた。
その感覚に、恐怖を感じているはずなのに思わず勃起してしまう。
女性の手はそのまま僕の勃起した肉棒に動き、肉棒を優しく握る。
そして上下に擦り始めた。
「しこしこ〜……♡やっば、音声作品みたいなシチュエーションしてるぅ……♡私の手の中でぴゅっぴゅしちゃお?ね?♡諦めて、私専属の『マンカレ』になっちゃお?♡」
「やめて……くださいっ……♡」
女性の扱く動きが段々早くなっていく。
耳元で優しく囁かれ、ゾクゾクとした感覚が興奮の快楽を上乗せさせる。
周りの女性達もザワザワと騒ぎ始めた。
「オカズ決定……♡」
「録画しててよかった……♡」
そんな小さな声が聞こえ始める。
僕は必死に快感に耐えようと歯を食いしばる。
しかし女性は僕をどうしてもイかせたいのか、カリを親指で刺激し始める。
「君の恥ずかしい姿、ネットにばら撒かれちゃうかもね……♡ばら撒かれちゃったら、君はもう女達の格好の獲物……♡脅されて、毎日エッチ三昧……♡怖いねぇ、怖いよね……♡」
そう言いながら扱く手を止めない女性。
僕はイキそうになりながら、必死に耐え忍ぶ。
しかし限界を迎えそうになってしまう。
「手が我慢汁でべっとべと……♡やっべ、手洗えね……♡ザーメンで私の手汚せッ♡ 早くしろよッ♡ こっち向け、キスさせろッ♡ 」
脅迫めいた怒声に僕は恐怖しながら後ろを向く。
すると女性の唇が僕の唇を奪う。
獣の様にがっつかれるキスに、僕は恐怖のあまり涙を流してしまう。
舌を無理矢理絡ませられ、唾液を流し込まれる。
歯茎の裏や様々な場所を舌で蹂躙され、僕の全てを嬲られている様な感覚だった。
キスされている最中にも女性の手は止まらず……僕は限界を迎えてしまった。
びゅくっ、びゅくくっ♡
どぷっ……♡どぷぷ……♡
女性の手の中にありったけの精を吐き出してしまう。
やっと唇が離され、女性は歓喜に満ちた顔を浮かべた。
「男の子の精液ッ♡んれろぉ〜っ……♡やっべ、うっま♡ クッソ、もう駅止まんのかよッ……♡ おい、逃げんなッ!♡ 」
駅が止まった瞬間、僕は涙目で必死に学校の方面へと走り出した。
学校では、いつも通りの親友達と先生が待っていると信じて。
ある種の異世界転移は……最悪な展開を迎えて始まった。
これから僕は一体、どうなるんだろうか。
それはもう、誰にもわからない。
こわいねぇ