※この作品はR-18です。

魔女と淫魔とキノコの森   作:丸山ノリオ

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第一話IF 淫魔のペット①

「――ひゃっ!?」

 

 突然、背後からふに、と柔らかい感触が背中に走った。反射的に立ち上がり、振り向こうとしたその瞬間――左右から白い腕が伸びてきたかと思えば、レイナの胸に収まった。

 

 「え……っ!? ちょっ……!?」

 

 驚きに目を見開いたレイナ。

 胸を乱暴な仕草で揉まれている。身を捩って逃れようとするも、熟練した技術で拘束されている。

 パニックに陥っていたレイナだったが、急に半回転させられた事で、状況を理解されるに至った。

 目の前には妖艶な表情を浮かべた美女の顔があり、その唇が迫っていた。

 唇が重なり――そこで事態の深刻さに気が付いた。何かが、吸われている。自分の中に流れていた魔力が、唇を伝って引き抜かれていくような、奇妙な感覚。

 

「……こ、この!」

 

 怒りの感情に任せるように叫ぶ。

 それから魔力を叩きつけようと試みるが、相手の方が一手早かった。

 

 息を吐き出したレイナの隙に、美女のどろりとした唾液が流し込まれる。

 

「……!?」

 

 彼女の唾液の味を認識した瞬間、強烈な衝動に理性が押し流された。気付いた時にはレイナは自分から舌を絡ませ、唾液を求めていた。

 

 脳内では警鐘が激しく鳴っていた。

 目の前にいる美女の正体は一つしかない。淫魔――サキュバスに違いなかった。

 だとすれば体液を摂取するのは危険。淫魔の体液には媚薬効果があるという知識が脳裏を掠める。

 

「ぢゅるるるる♡ んは♡ ぢゅるるれろれろ♡」

 

 焦燥感は募る。

 だけど、もはや手遅れに違いなかった。気付けば、レイナは自分から淫魔の首に腕を回して、強引に唾液を強請っていた。

 

「ぷは♡ んぢゅるる♡ ぢゅるるぁあ♡」

 

 完全に堕落したレイナの様子を見て、淫魔は目を細めて嗤った。

 それから、淫魔はレイナから魔力を奪い、代わりにレイナは淫魔から唾液を貰う。

 彼女達の淫らな等価交換は――日が暮れるまで続いていた。

 

 

◇

 

 

 

 獣の声が聞こえて、意識が引き戻される。脳に霧がかかったように、意識がぼんやりとしていた。

 

「おっ♡ おっおっおぉ♡ んあぁぁああ♡」

 

 再び獣の様な叫びが聞こえ、どこから聞こえたのかを考えて……レイナは唖然とした。

 今、発されたのは獣の声ではない。間違いなく自分の口から発せられた音だったのだ。

 それから股間走る甘い刺激を覚えて、何があったかを思い出した。

 

「っ♡ あぁ! 淫魔め……」

 

「あ、気がついた? よかった♡ 心配したんだよ、吸いすぎて壊れちゃったかなって♡」

 

「あぁぁぁぁ♡」

 

 淫魔は椅子に腰掛けて、レイナの実験室を、まるで我が家であるかのように寛いでいた。

 その態度に怒りが湧き上がるが、快楽の波が押し寄せてきてそれどころでは無かった。

 

 事態は非常に深刻だ。

 レイナは裸に剥かれており、革製だと思われる手錠で後ろ手に固定されていた。首元にも何かを装着しているようだ。ゴワゴワとした感覚から、同じく革製の首輪が嵌められているのだろうと推測出来た。

 

 下半身は触手生物に跨ぐように座る形で固定されており、秘所に絶えず刺激が与えられていた。

 そして何より……レイナ自慢の魔力が、体から欠片も感じられなかった。

 

「ああぁぁ♡ そ、そんな……」

 

 レイナは絶望の声を漏らす。

 それを見た、淫魔は嬉しそうに微笑むと、椅子から立ち上がってレイナの傍に近寄った。

 それから膝立ちになって、レイナと視線を合わせる。両手でレイナの乳房を優しく弄びながら、彼女の耳元で誘惑するように囁いた。

 

「あなた……素敵よ。こんなに美味しい魔力は初めてだったわ。

 身体もとっても魅力的だし、媚薬漬けにしても正気でいられる精神力も素晴らしいと思うわ」

 

 淫魔はうっとりとした表情で賛美する。まるで心の底から尊敬している様な丁寧で優しい言葉だった。

 

「だから……私と契約しましょう。私は貴方をペットとして一生大切にすると約束するわ」

 

 淫魔の指に魔力が集約していく。

 

「ヒッ……」

 

 レイナは思わず恐怖の声を漏らす。

 淫魔の使おうとしている術は、契約の魔術だ。お互いに定めた約束事を強制的に履行させる為の魔術。

 

 もし一方的な不平等な約束事でも、この術を使用して契約したならば、守らざるを得なくなってしまう。

 

「い、嫌だ……!」

 

 レイナは思わず叫んでいた。

 そんなレイナの様子を見て、淫魔は嬉しそうに……そして少しだけ寂しそうに微笑んだ。

 

「……そう。だったら、契約したくなるようにしてあげるわ」

 

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