ONE PIECE - 淫色の航路(ハーレム・ルート) - 作:heatmajin
玉座、と呼ぶには些か乱れすぎていた。
新世界のどこか、俺のハーレム船団の旗艦『エンプレス・ラヴァー号』の主船室。その中央に鎮座する巨大なベッドの上で、俺、カイン・D・エロスは、女たちの肉体という、生温かい玉座に身を沈めていた。
絹のような黒髪が、俺の胸元をくすぐる。かつて「悪魔の子」と呼ばれ、世界政府から追われていた考古学者、ニコ・ロビンだ。
褐色の肌に絡みつく白い腕は、かつて九蛇海賊団を率い、海賊女帝と謳われたボア・ハンコックのもの。彼女はその完璧な顔(かんばせ)を俺の腹筋に擦り付け、猫のように喉を鳴らしている。
そのしなやかな肢体の下腹部には、一様に同じ紋様が、所有の証として妖しく浮かび上がっている。革ベルトに固く拘束されたハートから、一本の鎖が伸びる淫紋。俺に心臓(すべて)を捧げた女だけに許される、隷属の刻印だ。
「エロス様…」
甘ったるい声で、俺の名を呼ぶのは、オレンジの髪を持つ元・泥棒猫のナミだ。その隣では、アラバスタの王女であったビビが、俺の指を自分の唇へと運び、恍惚の表情を浮かべている。
「(…いい眺めだ)」
世界有数の美女たちが、ただ俺一人の寵愛を求めて競い合う。これこそが、俺が望んだ全て。俺がこの手で創り上げた、俺だけの楽園(ハーレム)。
ふと、鼻腔をくすぐる潮の香りと、微かな酒の匂いに、俺の意識は全ての始まりとなった、あの東の海の片田舎へと誘われる。
そうだ、全ての始まりは、あののどかで、退屈な村だった。
そして最初の獲物は、熟れた果実のように優しく、純粋だった――あの女だ。
◇
東の海の最も平和なフーシャ村。
俺が、カイン・D・エロスとしてこの世界に生を受けた時、物心ついた頃には二つの事実を自覚していた。
一つは、ここが前世で読み耽った漫画『ONE PIECE』の世界であること。
そしてもう一つは、俺が生命のホルモンを支配し、他者を快楽の奴隷に変えるというとんでもない能力を、生まれつき持っているということだ。
快活な麦わら帽子の少年は、この世界にはいないらしい。
ならば、この物語の主役は俺だ。
俺の視線は、自然と一つの場所に定められた。村の酒場「PARTYS BAR」。そして、そのカウンターの内側で、慈愛に満ちた笑みを浮かべる女主人、マキノ。
彼女のその優しさが、純粋さが、無垢な魂が、俺の支配欲をどうしようもなく掻き立てた。
この女を、俺の色に染め上げ、堕とす。それが、この世界で俺が最初に為すべき、祝祭の儀式。
俺は「人懐っこく、大人びた、不思議な魅力のある少年」の仮面を完璧に被り、彼女の母性をくすぐりながら、無意識に放つフェロモンで「エロスがいると安心する」という刷り込みを数年かけて行った。
計算された接触のたびに、極微量の快楽ホルモンを彼女の身体に流し込み続けた。
…彼女の脳と神経に、俺との接触こそが至上の心地よさなのだと、ゆっくり、確実に刻み込んでいく。
そして、俺が十二歳になったある夜、最初の実験を開始した。
営業が終わり、二人きりになった「PARTYS BAR」。手伝いと称して居残った俺は、カウンターを拭くマキノの後ろから、その肩に手を置いた。
「マキノさん、疲れてるでしょ。肩、揉んであげる」
「あら、エロス君、ありがとう。でも…」
「いいから」
俺は有無を言わさず、その華奢な肩を揉み始める。そして、能力を解放した。
まずは、極微量のホルモン。彼女の呼吸が、ほんの少しだけ深くなるのを確認する。
(…閾値はこの辺りか)
徐々に出力を上げていく。彼女の身体が心地よさで弛緩していくのが、指先を通して伝わってくる。
「ん…エロス君、マッサージ上手ね…なんだか、身体がぽかぽかするわ…」
「どこが一番気持ちいい?」
俺は無邪気な子供の声で問いかけながら、指を首筋へと滑らせる。彼女の身体が「ビクッ」と跳ねた。
(ビンゴだ)
俺は執拗にその一点を攻め立てる。彼女の口から、吐息とも喘ぎともつかない、甘い声が漏れ始めた。
「んん…っ…エロス、くん…そこは…」
「ここ、好きなんでしょ?」
この日から、営業後の酒場は、俺だけの実験室となった。
肩、首筋、耳、背中、腰…。俺は彼女の身体を使い、女体のどこを、どうすれば、どんな反応を示すのかを徹底的にデータとして蓄積していった。彼女自身も知らなかった性感帯を開発し、そのたびに漏れる甘い声と、潤んだ瞳を観察するのは、何よりの娯楽だった。
…そして、俺が十三歳になった時、次の段階へと移行した。
その夜、いつものように彼女の身体をマッサージしていた俺は、不意にその耳元に唇を寄せ、囁いた。
「ねぇマキノさん…もっと気持ちよくなりたい?」
長年の刷り込みとフェロモンで思考を鈍らされた彼女は、罪悪感に濡れた瞳で俺を見つめながら、無意識に、こくりと頷いてしまった。
それが、合図だった。
その日から、店の裏にある彼女の居住スペースが、俺の「修練場」となった。
今夜の課題は「舌」。女の身体が、指先とは違う、より柔らかく、湿った刺激にどう反応するのか。それを、この生きた教本で確かめる。
「マキノさん、脚を開いて」
命令は、簡潔に。
彼女は、シーツを固く握りしめながら、恥じらいと恐怖で震える脚を、ゆっくりと開いた。その白い太ももの間に隠された秘所は、既に俺が与えた快感の記憶で、うっすらと湿っていた。
俺は、その花芯に顔を寄せる。熟れた果実と、彼女自身の甘い香りが混じり合い、俺の征服欲を煽った。
「ひっ…!だめ、エロス君、そんなところ…!」
俺は彼女の悲鳴を無視し、まずはその蕾に、舌を這わせた。
「んんッ…!ぁ、あぅ…!」
マキノの身体が、弓なりに跳ねる。指とは全く違う、粘膜同士が触れ合う生々しい感触。その反応は、俺の予測通り、いや、予測以上に劇的だった。
俺は舌の先端に意識を集中させ、硬く閉ざされた蕾を、執拗に、ねぶるように刺激する。一突きごとに、彼女の腰がビクン、ビクンと揺れ、甘い蜜がじわりと溢れ出してくる。
「あ、あ、いやぁッ!やめてぇ、ごめんなさぃ、ごめんなさぃ…ッ!」
口では謝罪を繰り返しながらも、彼女の身体は正直だ。俺の頭を両手で掴み、引き離そうとするが、その指には全く力が入っていない。むしろ、もっと深い場所を求めるように、俺の頭をその蜜壺へと押し付けていた。
(…よし。次は、リズムと強弱の変化だ)
俺は一度、ゆっくりと舐め上げ、蜜の味を確かめるように味わう。そして次の瞬間、吸い付くように、強く、深く。緩急をつけた刺激に、マキノの思考は完全に焼き切れたようだった。
「あぐぅッ!んく…!イク、いっちゃうからぁッ!!」
絶頂の波が、彼女を襲う。全身が激しく痙攣し、その秘所からは、熱い潮が迸った。俺は、その全てを顔で受け止め、彼女の体液の味を確かめる。
(なるほど。これが、女の絶頂か)
俺は、まだ痙攣を続ける彼女の身体を見下ろし、冷徹に分析する。
この快感、この屈辱、この背徳感。これこそが、女を支配するための最も強力な武器になる。
その夜から、俺は毎晩のように彼女の身体を隅々まで貪った。
舌だけでなく、指の使い方、唇の這わせ方、そして俺自身の、少年から男へと変わりつつある肉体の使い方。どうすれば女は声を上げ、どうすれば理性を失い、どうすれば涙ながらに懇願してくるのか。その全てを、俺はマキノの涙と、彼女の絶叫にも似た喘ぎ声を聞きながら、その白い身体で完璧にマスターしていった。
「これはおれたちだけの秘密だ」
「マキノさんが教えてくれるから、おれはもっと強くなれる」
「マキノさんは、おれが世界で一番気持ちよくしてあげる」
罪悪感と快楽の間で板挟みになった彼女は、やがて思考を放棄した。俺に身を委ね、与えられる快楽に溺れることが、彼女にとって唯一の救いとなったのだ。
そして、俺が十七歳になり、この村からの船出を決意した夜。
最後の仕上げとして、俺は彼女に「儀式」を施した。
快楽の絶頂で意識を飛ばしたマキノの、白く滑らかな下腹部。俺はそこに指先を当て、凝縮させた能力を流し込む。
「あッ――――!」
短い絶叫と共に、彼女の白い肌に、二度と消えることのない紋様がじわりと浮かび上がった。革ベルトに固く拘束されたハートから、一本の鎖が伸びる、淫紋。俺の最初の所有物であることの、永遠の証。
涙を流し、恍惚の表情で自身の下腹部に刻まれた紋様を撫でるマキノ。それは彼女にとって、奴隷の烙印であると同時に、彼に選ばれたという至上の名誉の証となっていた。
◇
翌朝、俺は小さな船でフーシャ村の港を後にした。
村人たちが、別れを惜しんで手を振っている。
「エロスー!達者でなー!」
「マキノさんも、エロス君のこと、よろしく頼むよ!」
俺の隣で、マキノが村人たちに笑顔で手を振り返す。
「ええ、任せてください!」
その完璧な笑顔の下で、彼女がもはや村の看板娘ではなく、これから始まる快楽帝国の、忠実にして最初の奴れ…いや、クルーであることを知る者は、この世に誰もいない。
完成された性技と、絶対的に忠実な最初の女を手に入れた俺は、万全の態勢で大海原へと乗り出す。
次なる獲物は、誰だ?
金棒を振り回す醜い女海賊か。金に汚い泥棒猫の航海士か。それとも、正義を振りかざす初心な女剣士か。
「(…ああ、そうだ。全員だ)」
俺は不敵な笑みを浮かべ、まだ見ぬ獲物たちに思いを馳せた。
カイン・D・エロスの、淫色の航路(ハーレム・ルート)が、今、幕を開ける。