ONE PIECE - 淫色の航路(ハーレム・ルート) - 作:heatmajin
オレンジタウンの広場。
俺の前に立つオレンジ色の髪の少女――ナミは、警戒心と、そして隠しきれない期待の色をその瞳に浮かべ、俺を睨みつけていた。
背後では、つい先ほどまで彼女を追い回していた“道化の”バギー率いる海賊団が、アルビダ一人の手によって、文字通り塵芥のように転がされている。
「どうだ?これでも、おれの力が信じられないか?」
俺の問いに、ナミはぐっと唇を噛む。
この男の力があれば、あるいは。あの、絶望の象徴である魚人――アーロンにすら、届くかもしれない。そんな、抗いがたい希望が、彼女の心を蝕んでいく。
俺は、そんな彼女の心の揺らぎを見透かし、決定的な一言を投げかける。
「お前のその瞳の奥にある憂い…金か?あるいは、もっと根深い、力の絶望か?どちらにせよ、おれが全て払ってやる。その代わり、お前の全てを、おれに捧げろ」
その言葉が、最後の引き金となった。
「…わかったわ」
やがて、彼女は覚悟を決めたように顔を上げた。
「あなたの船に乗る。最高の航海士になってあげるわ。その代わり、私の憂いを払うっていう約束、絶対に守ってもらうから!」
その瞳には、まだ「この男を利用し尽くしてやる」という、気丈な光が宿っていた。
俺は、その生意気な猫の態度を、心の底から愉しんだ。その光が、やがて絶望と快楽に濁っていく様を想像するだけで、たまらなく興奮する。
「契約成立だな」
俺は笑みを浮かべ、彼女を俺たちの船、「ミス・ラブ・ダック号」へと導いた。
彼女はまだ知らない。その一歩が、二度と後戻りのできない、快楽の檻へと足を踏み入れるものだということを。
◇
ミス・ラブ・ダック号での航海が始まった。
航海士として働き始めたナミは、すぐにこの船の異常さに気づき、日々困惑していた。
まず、クルーがエロスと、マキノさん、アルビダ、そして彼女自身の四人しかいない。それも、女は全員、エロスの愛人であるようだった。
「もう、エロス君はしょうがないんだから♡」
昼日中から、甲板でマキノさんがエロスに甘える。その光景は、倒錯的で、どこか現実感がない。
そして、その足元では、アルビダが絶対的な服従の姿勢で、エロスに仕えている。時折、船室の奥から聞こえてくる、彼女への過酷な「調整」の声と、それに反する悦びの喘ぎ声。
ナミの倫理観は、この歪んだハーレム空間の中で、少しずつ、確実に麻痺していった。
だが、最も不可解なのは、エロスが彼女に一切手を出してこないことだった。
他の女たちとは、昼夜を問わず睦み合っているというのに。
(なんなのよ、あの男…。私には興味がないってこと…?)
それは、ある種の屈辱だった。そして、同時に安堵でもあった。
しかし、彼女の身体は、その安堵を裏切り始めていた。
この船に乗ってから、どうも身体の調子がおかしい。
夜もなかなか寝付けず、理由もなく身体が火照る。特に、エロスのことを考えると、胸の奥がざわつき、下腹部が奇妙な熱を帯びるのだ。
俺が放つ、常人には感知できない微量のフェロモンが、彼女の身体を無意識のうちに発情させていることなど、彼女は知る由もなかった。
「おい、ナミ。ここの海流の読み方はどうなってる?」
俺は、海図を広げる彼女の隣に立ち、その肩に手を置く。
「ひゃっ…!」
ナミの身体が、大げさに跳ねた。
「な、なによ!急に触らないでよ!」
「うるさいな」
俺は、彼女の抗議など意にも介さず、その肩を掴む力を緩めない。そして、指先で海図をなぞる。その指が、偶然を装って、何度も彼女の手に、腕に、触れる。
その度に、俺は極微量の『ホルホル』の能力を使い、彼女の身体の感度を、本人に気づからないレベルで少しずつ高めていく。
「なんなのよ、この感じ…こいつに触られると、心臓が変にドキドキする…」
ナミは、赤くなる顔を隠すように俯きながら、そんな身体の変化に戸惑うしかなかった。
彼女の身体は、着実に、俺の快楽を受け入れるための準備をさせられている。甘い毒は、ゆっくりと、しかし確実に、その全身に回り始めていた。
◇
その夜、ナミは自室のベッドで寝返りを打っていた。
この船に乗ってからというもの、どうにも寝付きが悪い。フェロモンの影響で常に身体が火照り、心がざわついているせいだ。
(なんなのよ、本当に…集中できない…!)
明日の航路のことを考えようとしても、なぜか頭に浮かぶのは、昼間に触れられたエロスの指の感触や、彼の低い声ばかり。
その時だった。
壁の向こう側――おそらく、エロスの船室から、微かな声が聞こえてきた。
最初は、何かを話しているのかと思った。だが、それはすぐに、甘く、切なげな、女の喘ぎ声へと変わっていった。
「んっ…ふふっ…エロス君、だめよぉ…そんなところ…♡」
マキノさんの声だ。
その口調は、いつもの優しいお姉さんのもの。しかし、その声に含まれた熱と、途切れ途切れに聞こえる湿った水音は、そこで何が行われているのかを、ナミに嫌でも想像させた。
ナミは、咄嗟に両手で耳を塞いだ。
(聞きたくない…!こんなもの…!)
しかし、壁一枚を隔てただけの声は、その指の隙間から、容赦なく彼女の鼓膜を震わせる。
「あ、あぁッ!アルビダさんも、見てるのね…♡ エロス君の、すごいの…んくっ…!」
(アルビダも…!?あの部屋に、三人で…!?)
ナミの頭は、混乱で真っ白になった。
信じられない。理解できない。あのプライドの高そうだったアルビダも、優しいだけだと思っていたマキノさんも、あの男の前では、ただの雌になってしまうのか。
嫌悪感で吐き気がした。
しかし、同時に、彼女の身体は、正直に、そしてどうしようもなく反応してしまっていた。
昼間に高められた感度。フェロモンで疼く身体。そして、壁の向こうから聞こえ続ける、二種類の「悦び」の声。
「あぁんっ!エロス様…!もっと、私を、道具のように…!」
アルビダの、屈辱に満ちた隷属の喘ぎ。
「ふふっ…♡ エロス君、上手よぉ…お姉さん、またいっちゃう…」
マキノの、愛情に蕩けた甘い嬌声。
その二つの音が、ナミの脳を直接嬲り、彼女がまだ知らない「快楽」という未知の世界を、鮮明に想像させてしまう。
(やめて…やめてよ…!)
心でどれだけ拒絶しても、彼女の身体は、正直に熱を帯び、下腹部の中心が、きゅぅぅっと疼き、じわりと湿り始めるのを感じてしまった。
「…っ、ぅ…」
ナミは、シーツを固く握りしめる。このままではおかしくなってしまう。この疼きを、どうにかして鎮めなければ。
彼女の指が、まるで自分の意志ではないかのように、そろそろと、自身の太ももの間へと伸びていく。
(だめ…!何してるの、私…!)
理性が、最後の抵抗を見せる。しかし、壁の向こうから聞こえてきた、ひときわ大きな絶頂の声が、その理性の糸を、ぷつりと断ち切った。
指が、湿った下着の上から、熱く硬くなったその場所に触れる。
「…ひっ…!」
身体が、ビクンと跳ねた。ただ触れただけなのに、背筋を電流のような快感が駆け上る。高められた感度は、もはや異常なレベルに達していた。
ナミは、涙を滲ませながら、ゆっくりと、恐る恐る、その場所を擦り始める。
聞こえてくる嬌声をBGMに、自分以外の女を抱いている男を想像しながら、自分の身体を慰める。これ以上の屈辱はない。これ以上の背徳はない。
「ん…っ…く…ぁ…」
声を出さないように、唇を固く噛みしめる。
しかし、指の動きが速くなるにつれて、その口からは、マキノやアルビダのものとはまた違う、押し殺したような、幼い喘ぎ声が漏れ始めていた。
そして、数分後。
「んんーーーッ!!」
ナミの身体が、大きく、激しく痙攣した。生まれて初めて知る、強烈な絶頂の波。頭の中が真っ白になり、思考が溶けていく。彼女は、シーツに顔を埋め、声にならない声で嗚咽を漏らしながら、自身の身体から迸った熱い雫に、ただ打ち震えることしかできなかった。
◇
翌朝、隈のできた顔で海図に向かう彼女に、エロスは、まるで昨夜のことなど何も知らないかのように、何でもないことのように、告げた。
「ナミ、次の目的地だ。針路を、この島に取れ」
彼が指差した海図の先。そこには「シロップ村」という、穏やかな名前が記されていた。
ナミは、エロスの顔をまともに見ることができなかった。
彼に、全てを見透かされているような気がして。
昨夜、自分が犯した「罪」を知られているような気がして。
彼女はまだ知らない。それすらも、全てが彼の計画通りであったこと。
そして、彼女自身の心が、快楽の檻へと、もう後戻りできないほど、深く、深く、足を踏み入れてしまったことを。