【R18】ハーレムで毎日エッチする倫也の夏休み【イラスト付き】 作:きりぼー
感情をコントロールして要点を抑える恵とでは少しずつ差がつく
気が付いた時には手のひらの上。
評価・応援コメントでもいただければ。
5人以上じゃないと反映されないので
なにとぞ、あと3名様のご協力をお願いしますm(__)m
【挿絵表示】
ブロロロロッ・・・とエンジンをふかせて帰ったのが20時過ぎ。
後には魂の抜かれたように口を開けて真っ白になった英梨々と、ヤムチャのように廊下にうずくまって憔悴しきった詩羽先輩が残った。
「やっと去ったな・・・」
「楽しかったんじゃないですかね?」
「出海ちゃんどこにいたの?」
「不穏な空気を悟って隠れてました」
「たいした危機察知能力だ」
「えっへん」
別に威張れたことでもないが。一方、紅朱企画からは降りたはずの詩羽先輩は、そんな本人の意向は無視され、朱音さんに呼び出されて英梨々と一緒に巻き込まれた。
ちょっと意見を聞かれて答えたのが運の尽きで、反論、挑発、論争、論破と発展していき、いつの間にか企画書を押し付けられる結果になった。
企画書を俺が読んだ限りでは、霞詩羽の名がすでに散見されるので事前に決まっているようにしか思えない。頭は切れてもコミュ症の詩羽先輩が、コミュお化けの朱音さんに勝てるわけもなく、すべては手のひらだったということになる。
「倫也くん・・・夜はどうするの?」
「イベントか・・・無理そうだな」
「それなら英梨々のケアを兼ねて天体観測でいいんじゃないかな。それなら屋上で星空眺めているだけだし」
「そうするかぁ・・・」
「あとね・・・」
恵がモジモジしている。どうもエッチがしたいらしい。順番的には英梨々だと思うが、恵にせがまれたら断れるわけもなく。
「わかった。今日の寝室は恵を選ぶから夜行く」
「うん・・・待ってるね」
男の性欲は尿意と同じように時間経過とともに溜まってくるものだが、女の性欲はいささか勝手が違うようだ。その時のバイオリズムと精神状態が大きく反映される。
「んじゃ、あたしと出海ちゃんはパス」と美智留がいった。
「そうですねー。澤村とお二人でどうぞ」
「ふむ・・・じゃあ、詩羽先輩のケアは任せた」
「知りませんよ。ほっとけばタフな人ですから勝手に回復するんじゃないですか」
見渡すと美智留はすでに逃げている。
「倫也くん。霞ヶ丘先輩はこっちでケアしておくから」
「悪いないろいろと・・・」
「ううん。あとでね」
「あとで」
そういうわけで家庭科室で真っ白になって魂が抜かれた英梨々をお姫様抱っこをして運ぶ。
なんとか美術室前まで運び終えたが、俺の体力が持たない。多少の筋トレをしているとはいえタフではないのだ。
「無理するからよ」
「起きてたのか」
「そりゃ起きてるわよ」
英梨々が立ち上がった。今日は英梨々のトレードマークの1つであるデニムの繋ぎ服を着ている。作業時の制服みたいなものだ。
「夕食はどうする?」
「あとで屋上でおにぎり食べる」
朱音さんとのノンストップの議論に食事をする間もなかった。俺に抱かれてしおらしくなっていた朱音さんも英梨々や詩羽先輩と話をしているうちに本調子に戻っていた。
「わかった。運んでおく。俺は先に天体観測の準備するから、シャワー浴びるなり、服を着替えるなり、終わってから屋上に来てくれ」
「・・・」
「なんだ?」
「レディーを誘う時はもう少しロマンチックにしなさいよ」
「ふむ・・・」
さっきまで呆けていた奴が偉そうだ。とはいえ一理ある。
「そろそろ旧暦の七夕だからな。織姫と彦星がよく見えるぞ」
「ふーん」
「ペルセウス座流星群には少し早いけどな。流星も見えるかもしれん」
「ふーん」
「隣に英梨々がいてくれたら嬉しい」
「ふーん」
「・・・」
「なによー」
「一緒に天体観測しませんか?」
「別にいいわよ。ふん」
英梨々が満足そうに笑った。八重歯が少し見える。メンタル回復にはもう少し時間がかかりそうだが、シャワーでも浴びて星空を見れば小さいことは忘れるだろう。
「じゃ、後でな」
家庭科室に戻る。英梨々と詩羽先輩が食べなかった分を恵が分けていてくれていた。俺はそれとドリンクをもって屋上に小さい宴会場をセッティングする。クーラーバックに氷をいれて酒とペリエとコーラを入れて冷やす。
天体望遠鏡はけっこういい品で、小型自動車が買えるぐらいの値段がする。俺のささやかな贅沢の1つだ。足場のセッティングに少し時間がかかる。
この程度の天体望遠鏡で遠くの星を観ても光る点にしか見えない事が多い。見て面白いのはやはり惑星や銀河だろう。
土星を探し当ててリングを確認すると、これがなかなか感動する。知識が増えればその距離や大きさもわかってくる。実感として遠くの惑星を感じることができるのだ。
英梨々を待っているというよりは、一人で趣味の時間を楽しんでいる。すると恵がつまみをもってきてくれた。
ピリ辛に炒めたモツとニンニクの芽である。精力の尽きそうな食材に露骨な期待を感じてしまう。
恵が天体望遠鏡をのぞいた。
「うん。綺麗な輪っかだから、天体観測日和かな?」
「そうだなー」
ぷしゅっ~と缶ビールを開けて飲む。大人の夏はこれよこれ。
「あんまり飲み過ぎないでね。ここのところ毎日飲んでるし」
「気を付ける」
そういって恵は戻っていった。
天体観測は望遠鏡をのぞくのもいいが、直接見るのも楽しい。屋上で横になって満天の星空を眺める。今日もいろいろあったし、明日もいろいろあるだろうけど、毎日をなんとか切り抜けている。星を眺めるときは明日のことなんか考えずに眺めて、頭をからっぽにする。悩みすぎても解決できない事の方が多い。
※ ※ ※
「・・・ともや・・・とーもーや」
呼ばれた気がする。目を開ける。どうやら少し寝てしまったようだ。
「夏でもこんなところで寝ていると風邪ひくわよ」
英梨々が俺を覗きんでいる。笑った顔がとても可愛い。ちゃんとドレスアップしていた。
【画像23 英梨々ドレス 】
英梨々はお姫様のような青いドレスを着ていた。どこかの高級ブランド品だ。何かのコスプレというわけでもないらしい。
「んしょっと・・・」
「掛け声がおっさんくさいわよ」
「年の割に苦労しているからな・・・」
同期がまだ大学生でバイトやら合コンやらで盛り上がっている年頃だ。その点で起業してしまった俺は目まぐるしい毎日を送っている。大学生活の継続を早々に見切った俺に対して、美智留以外のみんなは大学もちゃんと通っている。一応休学扱いなので俺も大学生ということになるのかもしれないが卒業できる気がしない。
「ご飯食べるから、解説しなさいよ。聞いてあげるから」
「天然プラネタリウムか」
英梨々がビーチチェアに寝そべりながら、おにぎりを一個掴んだ。行儀が悪いことこの上ない。ピリ辛炒めを箸でつまんで食べて、「辛い・・・」と言った。舌がおこちゃまのままだ。
「あっちが東で、こっちが西。南があのあたり」
英梨々は首を振って眺めるが、返事はしない。モグモグとおにぎりにかじりついている。
「だから、北極星は反対側の・・・あのあたり」
まだ小さいライトが点いている。英梨々の食事が終わったら消す予定で、そうなると真っ暗闇になって星以外は何も見えなくなるはずだ。
「北極星の見つけ方は・・・」
俺の講義はいつも似ている。工夫もあんまりしていない。英梨々があんまり覚える気がないのか、覚えても気にしないのか、ただ黙って聞いてくれる。
それは子供の頃からずっと変らない。夏の大三角形ぐらいは流石に知っているようだが、どれがベガで、どれがアルタイルかと聞かれたら迷うぐらいの知識のようだ。デネブいたっては名前が出てくるか怪しい。歌がヒットしたのでさすがにそれぐらいはわかるのかな。
その後は星座を解説していく。俺が夜空を指で示しても英梨々からは見えない。それでもそうやって線を結び、それからギリシア神話のエピソードを加え、珍しい星があったら星の知識も付け加える。プラネタリウムよりもずっと丁寧だ。
「あの赤いのがアンタレス。さそり座の心臓だな。なせあんなに赤く見えるのかというと・・・」
いったい英梨々に何度この話をしただろう?小学生の時からか、もしかしたら幼稚園の時かもしれないから10回以上は確実だ。よくも飽きずに聞いてくれるものだと思う。
みんなと一緒に天体観測もしたことがあるが、どうにも調子がでなかった。質問されると解説が止まってしまう。出海ちゃんなどは知っていることを話たがる。もちろんわいわい天体観測するのはそれはそれで楽しいのだが、英梨々は苦手だったようだ。
恵もいいパートナーになれそうだが、同じ話をずっと聞いてくれるかはわからない。知っている話を聞くというのは退屈なものだ。もしかしたら相手が恵の場合は俺の解説もステップアップしていったのかもしれない。そんな気がする。
英梨々はどうも落語を聞きに来る客に似ている気がする。話の内容は知っていて、上手下手を楽しむのだ。あるいは本当にぼーとしていい息抜きになっているのかもしれない。
少なくとも寝てしまったり、聞いていないということはないようだ。
「ちと、休憩」
喉が渇いたので飲みかけのビールを飲んで、モツ炒めを口に頬張って食べる。口がニンニク臭くなるのでは・・・と思わなくもない。
「今日は天の川見えるのかしら」
「あの辺が薄っすら明るいだろ?」
「どこよ」
「ベガとアルタイルの間」
「わからないんだけど」
なぜ夏の大三角形がわからないのだ。
「だからだな・・・」
俺は英梨々の後ろに回って手を取ってやる。
「人差し指出して」
英梨々が人差し指を出した。俺は英梨々の手をもって方向を示す。
「あれがベガ。あっちがアルタイル。で、あれがデネブ。3つ結んで夏の大三角形」
英梨々は何もいわない。
「だから、あの星と、あの星の間あたり、このラインが天の川。少し明るい気がしないか?」
「わからないわね」
「なら、電気消すか」
「・・・うん」
微かに灯っていたオレンジ色のライトを消す。
「目が慣れるのは10分ぐらいかかるからな。だんだん星空が増えてくるぞ」
今日は雲もなくて快晴だ。今年の8月は上限の月から始まって満月になっていく。月の光が強いので明るい夜なはずだが、都会人の俺らには月のあかりだけでは周りが見えない。
それでも目が慣れると地面の影が揺れるのがわかる程度には明るい。
英梨々が立ち上がった。
「土星は見える?」
「見えるぞ。さっき綺麗な輪っかが確認できた」
俺は天体望遠鏡で土星をまた探して映した。一度探してしまえば再びみつけるのは簡単だ。
「ほれ」
英梨々の手をつかんで、ゆっくりと誘導して天体望遠鏡を覗かせる。英梨々はしばらくじっとみている。
「次」と言った。
いくつかの惑星をうつし、それからいくつかの星雲を探して映す。
「毎年変り映えないわよね」
「人間に比べたら永遠のような時間を生きてるからな」
「あたしたちが短いのかしら?」
「どうだろうな・・・」
そうこうしているうちに30分ぐらいは時間が経過する。目もすっかり暗闇に慣れたはずだ。
「どうだ?銀河が見えるだろ」
「ああ・・・うん。白っぽいわね」
写真でみる綺麗な銀河の写真は特殊な方法で撮影されたものだ。肉眼でみる銀河はぼんやりと白い。英語ではミルキーウェイというのもうなずける。
英梨々が俺の前に立っている。匂いと気配でわかる。目が慣れると揺れる影でもなんとなくわかる。
俺の手をとって英梨々がぎゅっと前で握った。
「あのね・・・倫也」
「どうした?」
「優しくハグして。へ・・・変なところは触らないでよ」
「ん・・・」
よくわからないが、英梨々がデレデレモードなようなので、後ろから優しくハグした。
「ちっ・・・また恵にやられてわね」
「なにが?」
「あんたニンニク臭いわよ」
「ああ・・・なるほど」
英梨々のシャンプーの香りがする。あと英梨々の日向ぼっこのような柔らかい匂いがした。
「今日ね・・・珍しく紅坂朱音に褒められたのよ」
「へぇ・・・」
美術室の中でどんな喧々諤々があったのかは想像に難くない。詩羽先輩が燃え尽きる程度のやりとりはあったわけで、その中でも褒められることもあるらしい。
「キービュアルの明るい絵。主人公とヒロインが出会う場面なんだけど、本当は絶望的な状況だけど、明るくしたじゃない?」
「うん」
「その解釈がとても良かったって。だから、王道的なダークファンタジーの暗くて重いキービジュアルと明るいキービジュアルを併用するかもしれないし、内容や構成に修正がはいるかもしれないんだって」
「そっかそっか」
「すごくない?あたしの絵があんなに大きなプロジェクトに左右するなんて」
「そうだな。英梨々はずっとすごいけどな」
「もう少し上手に褒めなさいよ」
「英梨々はすごいよ。絵をずっと描き続けて、そんなに上手いのに今も猛勉強してて」
「ふふんっ」
暗闇にドヤ顔が浮かぶようだ。
「まっ、ニンニク臭いのは残念だったわね」
英梨々が俺の手を振り解いた。ニンニク臭くなかったらその後があったんだろうか。英梨々とはずっとこんな感じの夏の夜を過ごしているので、ロマンティックな星空というのがよくわからない。
「倫也~!よーく歯を磨いて、マウスウォッシュ飲み干してから、今夜はあたしの部屋にきなさいよ」
「ん?」
「そしたら・・・」
「そしたら・・・?」
「来てのお楽しみね」
・・・これがどっちの意味か迷うところだ。もしかしたら俺とキスでもしてくれるのだろうか?
それともキービジュアルの続きを描いてくれるのかな。
けどすでに先約が入っている。流石に恵は断れない。すべては釈迦の手の平の上。
「ごめん。恵に呼ばれてて」
「・・・あら・・・そう。ニンニク臭いのに読み間違えたわね。悪かったわ」
「・・・いや、いいんだ」
あたりが暗くて良かった。きっとしょんぼりしている英梨々の顔はみたくない。
(了)