※この作品はR-18です。

吊るされた男   作:聖夜竜

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クレヨンしんちゃんって需要あると思うんだよね。

この作品でこういうエロが読みたい!でも探しても見つからない……そうだ、自分で書けばいい!

主人公は昔懐かしのあのキャラです(笑)


モテないチャラ男~人生の変え方~

 

 ──埼玉県春日部市に位置する長閑な町を歩く一人の若い男がいた。

 

 男は今日もまた若い女性に手当たり次第次々と声を掛けては、全く相手にされずに肩を落として悄気返る事を繰り返す。それでも男は大の女好きらしく、もう何日もナンパを続けていたのだが、はっきり言って成果と呼べる物は全く得られていなかった。

 

(“狙った女は必ずモノにする”──それがこの俺、須毛駒志郎(すけこましろう)のポリシーだ。なのに……なんでこうも上手くいかない!?)

 

 彼の名は須毛駒志郎(すけこましろう)──22歳の大学生で顔だけ見たら男前のイケメン更にはイケボの持ち主である。その日も一人の若い女性に狙いを定め、クールな笑みを浮かべながら声を掛けた所までは良かったものの……あえなくドン引きされて逃げられたその帰り道での事。

 

「もし……そこの若いお兄さん。あんた、随分と落ち込んでいる様だねぇ?」

 

 唐突に声を掛けられ驚く志郎であったが、声を掛けられた方に振り向いてみると……薄暗い路地裏の一角に、いかにも怪しげな占い師らしき老婆が店を構えているではないか。

 

 その路地裏は別に交通量の多い道路に面している訳でもなかったし、時間帯も平日の夕暮れ時と言うのもあってか、そこはまるで志郎と老婆以外に誰も入り込めない不思議な空間の様であった。

 

「ん? ……なんだよ占い屋かよ」

 

 志郎は訝しみながらも声を掛けられたんだからと律儀に老婆に近付いて行き、彼女の目の前まで来て足を止める。占い師らしき身形の怪しい老婆は長い白髪に隠れた前髪の隙間から志郎を値踏みする様に見つめ、それから徐に口を開き始めた。

 

「あんた……哀れむほどに女難の相が出ているねぇ」

 

 いきなり失礼極まりない言葉を志郎に投げ掛けた老婆。だがその発言の内容自体は中々に的を射たものであり、事実これまで彼が女性から向けられて来た視線はどれもドン引きするか、或いは嫌悪や軽蔑の視線ばかりであったのだから……

 

「な、何が哀れむほどにだよっ!? 俺は別に……そ、そうだ! あの女共が見る目ないってだけで──」

 

「やれやれ……そんな言い訳が今更通用するとでも思っているのかい? あんた、今まで女絡みの事で散々な目に遭わされた事だろう?」

 

「……っ!?」

 

 志郎の弁明など聞く耳持たずとでも言わんばかりの態度で、老婆は彼の心を見透かすかの様な言葉をぶつける。その発言には一切の反論を許さぬ様な威圧感があり、思わずたじろいでしまう志郎。言い返そうにも、心当たりがあり過ぎて上手く言葉に出来ない志郎は渋々黙り込み、老婆の言葉を受け入れるしかなくなってしまった。

 

「だったら……だったら俺にどうしろってんだよ。何すりゃあいいんだ!?」

 

 占い師の老婆に何もかもを見透かされた志郎は、藁にも縋る思いでその老婆に教えを請う。すると老婆はニタァと不気味に口角を吊り上げて囁く。

 

「なぁに、簡単な事さ。悪い運気を断ち切るには、お前さん自身が変わらなきゃあいけない。だが、そうさね……“切っ掛け”くらいは与えてやってもいいかもしれない」

 

「切っ掛け……? そんなのが本当にあるのか?」

 

 老婆は志郎にそう告げるなりニヤリと笑みを浮かべる。その笑い方からどこか妖しい雰囲気を感じ取った志郎は老婆の言葉に胡散臭さを感じ、その“切っ掛け”とやらに疑念を抱く。すると老婆は志郎の前に白い指輪を差し出しながらこう言った。

 

「これは『ワンダーリング』──この白い指輪には不思議な力が宿っていてね。持ち主にどんな願いでも叶える力を授けてくれるんだ」

 

「はぁ? なんだよ婆さん……俺に偉そうな事言って来て、結局ただの神頼みって奴か? そんな訳わからん胡散臭い代物を俺に買わせようってか?」

 

 志郎は目の前の老婆が碌に効果もないであろう粗雑品の指輪を売り付けようとしているのかと思い、呆れて溜息を吐いた。しかし彼の皮肉に対して老婆はまるで動じる様子もなく、飄々とした態度で更に言葉を継ぐ。

 

「──嘘だと思うなら、ちょいと試してみりゃあいいさ。なぁにお金は要らないよ? それであんたの可哀想な女運が好転するか否か……全てはあんたの選択次第さぁ……!」

 

 老婆は不敵な笑みを浮かべながら志郎に『ワンダーリング』を差し出し、彼は少し迷った末にそれを受け取ってしまうのであった。

 

(……普通ならこんな胡散臭い婆さんの話なんか無視して指輪を叩き返す所だが……)

 

 手のひらに乗せた小さな白い指輪をまじまじと見つめながら志郎は内心呟く。占い師の老婆曰く、この指輪には本当に不思議な力が宿っていてどんな願いでも叶えてくれると言うが……正直な話、本当かどうか怪しい所だ。

 

 しかし専門の人間にそう言われてしまうと、たとえ胡散臭い物だと頭では分かっていても、その噂話に賭けてみたくなってしまう馬鹿な男心があるのも否めない訳で……

 

「なぁ、婆さん。ちょっと──って、あれ!? 婆さん!? おい! くそっ、あの婆さんどこ行ったんだよ!?」

 

 老婆から渡された『ワンダーリング』を数秒ほど観察した後、ふと視線を前に向けてみると……つい先程までそこにいたはずの占い師の老婆が開いていた店ごと忽然と姿を消しているではないか。

 

 志郎は吃驚しつつ周囲を見渡して彼女の姿を急いで探すも、夕暮れ時の路地裏には最初から自分以外誰もおらず、まるで狐に摘まれた様な気分になった彼は呆然と立ち尽くしてしまう。

 

(な、何だったんだあの婆さん……?)

 

 それから数分後……ようやく我に返った志郎は消えた老婆から確かに受け取った白い指輪『ワンダーリング』を自分の指に嵌めて、そのまま自宅へと帰る事にした。

 

(まぁいい……どうせこんな物ただの指輪だろうしな。タダでくれるって言うんだし、アクセサリーがてらしばらく付けておくか)

 

 

 

 

 

 その翌日──志郎は大学での講義が早めに終わった後、少し早い昼休みに一人の若い美女と遭遇した。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 大原ななこ──志郎が通う大学では二年後輩の美人女子大生だ。モデル顔負けの抜群のスタイルや容姿と清楚な人柄から、大学では男女問わずに人気を集める才色兼備の大和撫子である。

 

(おっ……! ちょうどいいところにめちゃくちゃ俺好みの可愛くてエロそうな女が……! よし、今日の獲物はあの可愛い子ちゃんにするか……)

 

 さっそく狙いを見定めた志郎を尻目に、黄色い半袖シャツに膝下までの白いスカートという、着飾らなくとも清楚な服装を着たななこが人目を忍ぶ様に人気が少ない中庭の隅へと歩いて行くではないか。

 

(へへっ、モテモテ美人のくせに男を知らなさそうな女……ありゃ絶対に彼氏もいない処女に違いない)

 

 志郎は下卑た笑みを浮かべながらななこに気付かれない様に尾行する。対するななこは昼休みの大学生達で賑わう中庭の喧騒から少し離れた場所に設置されたベンチに座って、自身のスマートフォンを弄り始めた。

 

 志郎がこっそりななこの座るベンチに忍び寄る中、彼女は手慣れた様子でスマホの画面を操作しては時折小さく溜息を吐くなどしている。その仕草一つ一つがどこか色っぽい雰囲気を醸し出し、男心を大いに擽るものであった。

 

(近くで見るとやっぱ可愛いな……スマホで誰と連絡してるんだろ?)

 

 長年鍛えた女性専門の観察眼から、ななこが彼氏ではなく女友達とでも連絡を取っているのではないかと推察した志郎──意外な事にその勘は当たっていた。

 

「もぅ……忍ったら、この後一緒に買い物行くって約束だったのに……はぁ」

 

 ななこは手に持つスマホを見下ろしたまま小さく独り言を呟く。その口振りから察するに、どうやら彼女は友達と待ち合わせをしていたらしいのだが……肝心の忍という人物が未だに姿を見せない様だ。

 

 志郎はななこの様子を見てそう推察し、これはチャンスだと内心でほくそ笑む。今までのナンパは唐突に声を掛けていた事もあってか、女性達はいかにもチャラ男という感じの志郎に驚き逃げてしまうのだが……

 

 今回はななことの待ち合わせに現れない忍なる人物が未だ来ないのをいい事に、ななこが合流してしまう前にこちらから然り気なく声を掛ければいいのではないか……

 

 そう考えた志郎は小さく深呼吸すると、中庭のベンチに座るななこに然り気なく近寄りながら自分の黒いスマホを耳元に当て、友達と電話しているフリをし始める。

 

「そんな……どうしよう、困ったなぁ……」

 

 これでさもスマホ越しに誰かと話している装いを出しつつ、ななこが志郎の接近に気付くタイミングを上手く調整する。

 

「あっ──」

 

 するとその狙いは見事成功し、志郎がスマホで通話しているフリをしているとは露とも知らず、ななこの視線が彼の方へと向けられたではないか。

 

(よし……!)

 

 彼女のリアクションを見た志郎は内心でガッツポーズを取りながら彼女の座るベンチの前で立ち止まり、いかにも困っていますという悲しげな表情を作って小さく溜息を吐いて見せた。そして……

 

「あの……どうかしましたか? 何かお困りの様ですけど……」

 

 スマホを片手にななこがベンチから立ち上がり、志郎の元へと近付いて来る。そうだ……それでいい。今までのナンパは全て志郎の方から声を掛けた為に警戒され、逃げられてしまう事が多かった。

 

 ならば逆に女性の方から声を掛けさせる様な状況を演出し、その流れでまんまと思惑通りに声を掛けて来た女性の方から自然と話し易い雰囲気を作ってやる──これこそが昨夜占い師の老婆から『ワンダーリング』を受け取った志郎が、今まで失敗続きだったやり方を思い切って変えてみようと考え着いた新しいナンパ術である。

 

「ん……? あぁ、えっと……ごめん。今の電話、もしかして聞こえちゃってたかな?」

 

「あ、いえ……私は偶々あなたが困った顔で立っているのを見掛けて──」

 

 ななこは志郎の作戦など全く知らぬまま、純粋に彼の事を心配してくれている様だ。今までは自分が気に入った若い美女を手当たり次第にナンパしようとしていた志郎からすれば、考えられないくらい悪知恵が効いたせこいやり方に思えるかもしれないが、これがななこの優し過ぎる性格を上手く利用した作戦であった。

 

(よ~し、この調子で俺の必殺技『母性本能をくすぐる眼差し』を使えば──)

 

 志郎はななこに心配されているのをこれ幸いと、伏せ目がちに彼女を一瞥すると、その母性本能をくすぐる様なキラキラと潤む寂しげな眼差しでななこを射抜いた。

 

「あっ……」

 

 すると案の定ななこはその愛らしい顔を不安げに曇らせ、更に心配そうな表情で志郎の事を見つめてくるではないか。

 

「(……やだ、この人何だかすごくかわいそう)……ねぇ、もし良かったらこの後私とお茶にでも行きません? 私、大学の近くにいいお店知ってるんです」

 

 そう言うと、ななこはまるで志郎を慰める様に彼の手を取って優しく微笑み掛けて来た。彼女の屈託のない笑みにドキリと見惚れた志郎はつい素の感じで頷いてしまう。

 

「え……? あ、あぁ……じゃあそうしようかな? でもいいのかい? 君も彼氏とデートの待ち合わせしてたんじゃ──」

 

「えぇっ!? やだもぅ……私、お付き合いしてる彼氏なんていませんよ?」

 

 志郎のわざとらしい指摘に照れ隠しのつもりか、ななこは恥ずかしそうに頬を赤らめながら志郎に答える。その乙女な反応がまた何とも可愛らしくて、志郎はついニヤけてしまいそうになるのを必死に堪えた。

 

「そうなの? だってさっき、“忍”がどうとか──」

 

「あっ──もしかして、それで彼氏と勘違いしちゃったんだ? ふふっ、大丈夫ですよ♡ 私がさっき独り言で言った“忍”は、同じ大学にいる女友達の事だから」

 

「な、な~んだ……そうだったんだ」

 

 ……やはり“忍”という謎の人物は男ではなく女だったらしい。ななこの第一印象から見るに、あまり男とは関わった事がない女子高育ちのお嬢様系だと思っていたので、彼氏がいないと知った志郎は小さく安堵の溜息を吐いた。

 

「でも忍ったら、さっきメールで急な下痢に襲われて待ち合わせに来れないって──ほんとに呆れちゃう。朝からご飯大盛り三杯も食べるからお腹壊しちゃうのよ」

 

「へ、へぇ……君の女友達って大食いなんだね」

 

 忍という女友達に対するななこの愚痴を聞きつつ、志郎はやや引き攣った顔で相槌を打つ。心配になるほど痩せ過ぎよりかは沢山食べて健康的にむちむちぷりっぷりのやらしい身体付きの女性が好きな志郎ではあるが……それでも朝から三杯もご飯をおかわりする様な女性には、流石にちょっと引いてしまう。

 

「ふふっ、忍は大学でプロレス研究会に入ってるの」

 

「プロレス研究会!? それはまた、何というか……個性的な子なんだね? ハハハ……」

 

 志郎はななこの口から語られた忍という女友達の個性的過ぎる情報に驚きながらも、すぐに落ち着きを取り戻して内心愚痴る。

 

(チッ……こんな可愛い子ちゃんの女友達ってくらいだから、上手い事この娘を口説き落としたら紹介してもらって、そのままセフレ2号にでもしようかと考えてたのに……)

 

 まさかプロレス研究会所属の女子プロレスラー志望だったとは……あまりにも予想の斜め上過ぎた為か、志郎はななこに狙いを定めた時点である程度思い描いていた自身の計画に早くも修正を入れる。

 

(まぁでも大食いのプロレスラー志望って事だし、どうせこの娘に引っ付くだけのただのデブスだろ……俺が手出しする前に正体知れて助かったぜ)

 

 志郎は心の中で危うく忍にも身体目当てでナンパしてしまうという最悪の未来を回避できた事に胸をほっと撫で下ろしつつ、これから自分がすべき最善の行動について思考を切り替えた。

 

「そ、そう言えば俺達まだ自己紹介もしてなかったよね? ごめんよ? 俺は須毛駒志郎。この大学に通う22歳の四年生なんだ」

 

「すけこま、し……? あっ、やだごめんなさいっ! 私ったら……えっと、名前は大原ななこです。20歳で、今年この大学に入ったばかりで──」

 

 ……意外な事に志郎がナンパした相手はまさかの後輩だったらしい。一方でななこも同じ大学に通う先輩後輩の関係であった事に驚きを隠せない様で、慌てて姿勢を正し自己紹介をする。

 

 それから志郎とななこは互いに軽く談笑した後で大学近くの喫茶店へと移動し、そこでしばらくの時間お喋りを楽しむ事に……

 

 

 

 

 

「──いやぁ、ななこちゃんと知り合えてほんとに良かったよ。俺の男友達もさっき電話した時に急用で来られなくなっちゃったみたいだからさ。今日は一人で寂しく暇を持て余す羽目になるかと思ってたんだ」

 

「そうなんですか? まぁ、ふふっ……私とおんなじ♡」

 

 お洒落な喫茶店の二人用テーブルに座った志郎の言葉を受けて、ななこはクスッと楽しそうに微笑んだ。志郎のナンパが偶々上手くいったのか、それとも彼女の性格なのかは不明だが……どうも彼女は初対面な志郎の事を段々と気に入り始めたらしく、喫茶店に来てからは会話の中に自然な笑みを見せる頻度が明らかに増えている。

 

 ……これは志郎にとって、またとないチャンスであった。大勢の女性客で賑わう昼下がりの喫茶店にて、その店大人気という小さなパンケーキを食べながら楽しく談笑する二人──傍から見れば美男美女のお似合いカップルに見えなくもないだろう。

 

(は、初めて女をお茶に誘えたぜ……今まで俺がナンパした女は数知れず……だがまさか、ここまで俺の望む展開通りに事が進むとは……!)

 

 志郎は長い時間失敗続きだったナンパがようやく成功し──しかも最初の相手が今をときめく20歳になったばかりの清楚で優しい性格の巨乳美女である事に内心興奮していた。

 

(これもあの胡散臭い占い師の婆さんがくれた『ワンダーリング』とかってモンのおかげか……?)

 

 志郎は昨日占い師の老婆から半ば押し付けられる様に貰ったインチキ臭い不思議な指輪を自身の指に嵌めたまま、目の前に座ってコーヒーを飲むななこの胸を凝視した。飾り気の無いラフな黄色いシャツの上からでも、その豊満な乳の膨らみが一際存在感を放っているのが見て取れる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「あのぅ……志郎さん? そんなに近くで見つめられると、その……私も恥ずかしいです」

 

「あっ……ご、ごめんよななこちゃん! 俺ってばつい……」

 

 いつの間にか志郎に胸を見られている事に気付いたななこが恥ずかしそうに頬を赤らめると、志郎はバツの悪そうな顔をしつつ慌てて視線を逸らす。

 

「……私の胸、おっきいですよね……? やっぱり男の人って、その……胸もお尻も大きい方が好きなのかしら……」

 

「え? あぁいや、それは人それぞれなんじゃないかな? 俺はそこまで女の子の胸の大きさとか気にした事ないし……はは」

 

 ななこからの唐突な質問に一瞬面食らった志郎であったが、彼女自身の豊満な身体へのコンプレックスを感じ取ったのか即座にフォローする。

 

「あっ……ごめんなさい! 私ったら、いきなり変な事聞いちゃって──」

 

 ななこも志郎の返答を聞いて、自身の身体に対するコンプレックスを初対面の男性にあっさりと晒してしまった事に気付き思わず赤面する。それからは互いに顔を見合わせて小さく笑い合った後──ななこがふと話題を変えるかの様にこんな提案を口にした。

 

「──あっ、そうだ! 志郎さん、もし良かったら今度のお休み、二人でピクニックに行きません?」

 

「ピクニック?」

 

「はい! あ、でも別に深い意味は無いの! ただその……私、休みの日にお出掛けしたりお料理するのが好きで──」

 

 ななこの思い掛けないデートの誘いに対し、志郎は待ってましたとばかりに二つ返事で了承する。

 

「もちろん行くよ! こう見えて車の免許持ってるから、俺が車出すよ? 何ならちょっと春日部を離れて遠出してみようか?」

 

「やったぁ♡ じゃあ次の日曜日に待ち合わせでもして──」

 

 それから二人は今度の日曜にピクニックに行く約束を交わし、喫茶店を出た後にその場で連絡先を交換してから別れた。

 

(はははっ! まさかいきなりナンパが上手くいくとは……この指輪をくれたあの婆さんに感謝しねぇとな……!)

 

 ななこと別れ一人になった志郎は指に嵌めた『ワンダーリング』をニヤニヤと眺める。最初は怪しい占い師から押し付けられた胡散臭い代物とばかり思っていたが、今の志郎からすればこの指輪はまさに女性をモノに出来る魔法の道具であった。

 

 本当に不思議な魔力が宿っているのか、はたまたこの指輪を手放したいと企んだ占い師の虚言なのか……それは生憎分からないが。

 

(クククッ……こんなにあっさりななこちゃんの連絡先もゲットしたし、この調子で日曜はドライブデート終わりにななこちゃんをラブホにお持ち帰りしちゃって、あのエロい唇と身体、そして心も全て頂いてやる……っ!)

 

 志郎は次の日曜日、ななこを自分の車に乗せて遠出するデートの光景を想像しながら一人ほくそ笑む。こうして、ななこに一目惚れした志郎は怪しい占い師から貰った奇妙な指輪の効果を信じて疑わず……そのまま下心全開で日曜日のピクニックデートに臨むのだった。

 

 

 

 

 

 そして当日。志郎は朝早くに自宅を出て真っ赤な外国産の高級スポーツカーに乗り込むと、待ち合わせ場所の駅前に派手な車を停める。

 

「ななこちゃん、いるかな……?」

 

 志郎は駅前の広場にななこが待っている事を期待し、車から降りて周囲を見渡してみる事に。すると──いた!

 

 この前と同じく清楚な黄色いシャツと白いスカートに身を包んだ黒髪セミロングの巨乳美女が、ベンチに腰掛けている姿が目に映る。だがしかし……

 

(ん? ななこちゃん、隣の子供となんか話してるみたいだな……知り合いか?)

 

 志郎が遠目にななこの様子を窺ってみると、どうやら彼女はベンチに腰掛けた幼稚園児くらいの小さな坊主頭の男の子と何やら話し込んでいる様だ。

 

(なんだ……あのガキは?)

 

 これからデートの待ち合わせをしているというのに、自分ではない他の男と楽しげに話しているななこに志郎は内心苛立ちを覚える。実はその数分ほど前の事……志郎よりも一足先に待ち合わせ場所に到着していたななこ。

 

 ななこが朝早くに起きて作ったピクニック用の弁当やレジャーシートが入った手提げバッグを持参して来ており、今にでも遠出するぞと言わんばかりの気合の入れ様である。そしてななこが駅前のベンチに座って志郎を待っていると──約束の時間よりも少し早く、何処からか声を掛けられた。

 

「おぉ~! そこにいるのはもしかして……な、ななこおねいさん!?」

 

 ふと声のする方に目をやると、ななこの前にいたのは坊主頭の小さな男の子。子供らしく赤いシャツに黄色い短パン姿の彼は純真無垢な眼差しですぐ目の前にいるななこを見上げているではないか。

 

「あら……? しんちゃん!?」

 

 ななこは驚いた顔で男の子の名を呼ぶと、ベンチから立ち上がって優しく頭を撫でる。

 

「こんなところでどうしたの? しんちゃん一人? みさえさんかひろしさんは?」

 

「ん~~、母ちゃんは家でゴロゴロ昼寝中。父ちゃんは接待のゴルフに行ってるゾ」

 

 ななこの質問に対して小さな男の子──野原しんのすけは答えた。どうやら暇潰しがてら春日部の町並みを一人で散策していたらしい。幼稚園児だというのにどこか年不相応な言動を取るしんのすけをななこが微笑ましく思っていると、しんのすけはななこが座っていたベンチに腰掛け、興味深そうに彼女が手にしている手提げバッグへと目を向ける。

 

 今度は幼稚園児らしい好奇心を覗かせながら見てくるしんのすけに対し、ななこは少し困った様に笑いながら手提げバッグの中身を見せてあげた。

 

 中には彼女が作った手作りの美味しいお弁当やレジャーシートが入っている事を説明すると、しんのすけは目をキラキラと輝かせて自分もピクニックに行きたいとせがみ始める。

 

「オラも行きたいオラも行きたいッ!」

 

「えぇっ!? もぅ……しょうがないなぁ」

 

 しんのすけはまだ5歳児でありながら現役女子大生のななこに本気で恋していた。将来的にはななこと結婚したいと願うほどには冗談抜きで本気で好いている。

 

 ななこの方もそんなしんのすけの幼い初恋を子供だからという理由で決して無下にはせず、彼の真っ直ぐな気持ちに内心では気付いていながらも今の二人の関係をこれ以上進ませようなどとは考えず、ただ親しい近所のお姉さんでありたいと思っていた。

 

「ん~……じゃあ今からお姉さんのお友達が迎えに来るから、しんちゃんの事聞いてみるわね?」

 

 そう言って若干困った様子のななこがスマホを取り出してLINEを起動すると、志郎にしんのすけも一緒にピクニックに行っていいかとメッセージを送ろうとする。それから数分も経たぬ内に二人の座るベンチの近くに真っ赤な外国産のスポーツカーが停車し、左側の運転席から志郎が降りて来た。

 

「あっ、来たみたい! 志郎さん、こっち~!」

 

 待ち合わせ場所に現れた志郎にななこが嬉しそうな顔で手を振る中、志郎はななことしんのすけの関係が気掛かりで、車から降りてすぐ二人の下へと近付いて行く。

 

(頼むぜ、『ワンダーリング』……俺に都合の良い展開になってくれよ……?)

 

 志郎はななこと親しげに話して嬉しそうにしているしんのすけを怪訝な目で見つめつつ、ベンチの前で足を止める。

 

「やぁ、ごめんよ。待たせちゃったかな?」

 

「ううん。私もついさっき来たとこなの。それより志郎さん、この子の事なんだけど……」

 

 ななこはしんのすけを志郎に紹介しようとすると、志郎の方も口を開く。

 

「知り合いの子?」

 

「えぇ……しんちゃんって言って、私の数少ない友達の一人なの。それで、この子が今日どうしても私達のドライブに付いて行きたいって言うから……ほら、しんちゃん。このお兄さんにちゃんとご挨拶して?」

 

 ななこが優しく促すと、しんのすけはぴょんっと小さくベンチから飛び降りて元気よく挨拶をする。

 

「ほほ~い。オラ、野原しんのすけ! ななこおねいさんのお知り合いで~、ふたば幼稚園に通う5歳の男の子だゾ!」

 

(って、やっぱ幼稚園児じゃねぇかこのマセガキぃ……っ!)

 

 いやまぁ薄々分かっていたけども……と内心思いながら、志郎は微かにイラッとしつつも自分の自己紹介をする事に。

 

「……や、やぁ。はじめまして、しんのすけくん。俺は須毛駒志郎。ななこちゃんと同じ大学に通う先輩で、今日は前もってピクニックに行くって話してたんだよ」

 

 志郎は笑顔だがその黒い瞳は笑っておらず、どうやってこの小さな邪魔者を排除出来るか考えている模様。するとそこにななこが申し訳なさそうにしながら口を挟む。

 

「その事なんだけど……志郎さん、ドライブする前に一旦この子の家に寄ってほしいの。そこでしんちゃんのママに許可を貰って、一緒に連れて行けそうだったら……ね? いいでしょ?」

 

(はぁ!? おいおい冗談じゃねぇぞ! なんで俺がこんな図々しいガキを連れてななこちゃんと遠出しなきゃならねぇんだ……っ!)

 

 せっかくナンパが上手くいって、これからななこを自分の車に乗せてドライブデートという最高に幸せな一日が始まるというのに、こんな邪魔者を連れて行ける訳がない。

 

(クソッ……まぁいいさ! このガキの母親に頼んで邪魔な荷物はお留守番させちまえばいいんだ……!)

 

 志郎は内心で強く思うも……ここで口悪く断れば少しずつ蓄積してきたななこの自分に対する好感度が低下してしまうと焦り、仕方なくこの場は承諾する事にした。

 

「……うーん、そうだね。でもこの子の親がダメって言ったら、その時は悪いけど連れて行けないからね? 二人とも分かったかい?」

 

 しんのすけに言い聞かせながらななこにも確認を取ると、彼女は「もちろん」と言って志郎の意見を了承する。

 

「じゃあそろそろ行こうか。二人とも、俺の車に乗りなよ」

 

 それからは志郎の先導でななことしんのすけは赤い外国産のスポーツカーの後部座席に乗り込み、ドライブ前に野原家に向かう事となるが……

 

「えへぇ~……ななこおねいさぁ~ん♡」

 

「ふふっ、甘えん坊なしんちゃん♡ かわいい♡」

 

 後部座席に腰掛けたしんのすけはななこの膝上に座っており、短い足をだらんと左右に広げながら道中揺れる背後の柔らかい乳袋をクッションにして子供らしく甘えていた。

 

(くっ、ガキのくせに羨ましいぜ……ちょっと予定外の展開だが、まぁいいさ。このガキを母親に預けちまえばこっちのもんだ)

 

 車内左側にハンドルのある運転席に座る志郎。バックミラー越しに後ろの席からチラチラ見える二人の楽しげな様子に内心苛立ちを覚えながらも、明らかに厄介そうなしんのすけをどうななこから引き剥がして排除するか……その事だけを考えて車を走らせる。

 

 それから数分ほどして車はななこの正確な道案内で野原家に到着して停車した。

 

「さ、着いたよ。しんのすけくんの家だ」

 

 志郎がななことしんのすけを降ろすと、ななこに頼まれてしんのすけは家の中に居るはずの母親を呼びに走り出す。

 

(さてと……ガキがガキだし、一体どんなやべぇ母親が出てくるか)

 

 自宅前の道路を走るしんのすけの後ろ姿を黙って見送り、志郎は隣に立っているななこに見えない様にニヤリと黒い笑みを浮かべ、これから現れるであろう野原みさえなる人物を品定めする事に。

 

(頼むぜ指輪……俺の思い通りに働いてくれよ……っ!)

 

 志郎はしんのすけとななこの仲睦まじい様子に激しい嫉妬心を抱き始め、無意識に手の中に嵌めている白い指輪『ワンダーリング』を擦る様に力強く握り締める。そして待つ事数分──しんのすけが連れて来たのは意外な人物であった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「あら~、ななこちゃん♡ 久しぶりね~。ウチのしんのすけを送り届けてくれてありがとね?」

 

「お久しぶりです、みさえさん。そんな……私達、駅で偶々会っただけですから」

 

 しんのすけの母親と思われる女性はななこに笑顔で挨拶し、その後ろから付いて来たしんのすけは逸る様子で彼女のデニムジーンズをクイクイっと引っ張ってはデート同行の許可を催促してくる。対する志郎は目の前に現れたみさえという子持ち人妻の優れた容姿と元気溢れる若々しさに驚きのあまり固まってしまう。

 

(おいおい、マジかよ……っ! この母親、5歳の子持ちとは思えないくらい若ぇぞ……っ! 見た限り服装と髪型はイマイチだが、ななこちゃんと同じ大学の先輩って言われててもおかしくねぇし。バカでけぇ乳も尻もななこちゃんに負けず劣らずのドスケベボディだし、なんつーエロい人妻なんだ……!)

 

 みさえの容姿に見惚れてしまったのか、志郎はどうしても目が離せない。確かにななこの方が若くて美人で良いのだが、それと比べてもこのみさえという人妻はまた違った魅力があった。

 

「実は俺達、これからドライブに行こうとしてたんです。そしたらこのガキ──あぁいや、しんのすけくんがどうしても一緒に行きたいとせがんできまして……」

 

 志郎は得意のイケメンスマイルでみさえに説明するも、その様子はいかにも困っていますという雰囲気を出しており、早く息子を引き取ってほしいと遠回しにアピールしてくる。するとみさえは志郎の気持ちを読み取ったのか、しんのすけに向かってぴしゃりと言い放つ。

 

「あら~、そうだったの? いい、しんちゃん? ななこおねえさんはこれからこのかっこいい人と車でおデートするの。だから今日は邪魔しないでママと一緒にお留守番しましょうね~?」

 

「えぇ~!? オラそんなのやだぁ! ななこおねえさんと一緒がいい! 一緒に行く!」

 

 みさえの言葉にやはり納得いかないのか、しんのすけは駄々を捏ねる様にその場で地団太を踏み始める。見慣れた光景とは言え、困った様子で溜息を吐くみさえを見兼ねてか、意外にもななこが助け舟を出す。彼女はしんのすけの近くまで歩み寄るとその場でしゃがみ込み、しんのすけの耳に甘い息を吹き掛けては小声で囁く。

 

「ねぇ、しんちゃん……? もしママの言う事ちゃんと聞けたら、今度会う時に私が“何でも一つ”しんちゃんの好きなお願いを叶えてあげる♡ だから今日は大人しくママと一緒にお留守番してて? お願い……ねっ?」

 

 囁きながらななこはしんのすけの方に目を向けて優しく微笑みながら片目で可愛らしくウィンクし、黄色いシャツ越しに膨らむその大きな乳袋を揺らしてしんのすけの小さな身体を抱き寄せ、「いい子いい子♡」と言って触り心地の良い頭を優しく撫でる。

 

 すると……まるで魔法にでも掛けられたかの様に、それまでの駄々を捏ねる子供らしさが途端に鳴りを潜め、しんのすけは大人しくなるではないか。あぁいや、というより……

 

「ん……? しんちゃん? しんちゃんってば……っ! あっ、やだ……この子、立ったまま鼻血出して気絶しちゃってる……!」

 

 驚いた事にしんのすけはななこの乳圧と甘い囁きを受け、鼻から大量の血を垂れ流して気絶していた。どうやら彼の性癖をドストライクな刺激が襲ったらしい。

 

「あの……奥さん。しんのすけくんっていつもこうなんスか?」

 

「え、えぇ……まぁ……」

 

 ドン引きした志郎の問いに対し、みさえは少し困った様に苦笑いを浮かべながらも肯定するしかなかった。とは言え、ななこのおかげで今ならしんのすけも動けないだろう。

 

(やれやれ……5歳児のくせにとんでもねぇマセガキだが、こいつのおかげでななこちゃんの他にも良い女と知り合えたんだ……感謝しねぇとな!)

 

 志郎は野原家の玄関先で立ったまま気絶したしんのすけの鼻穴に持っていたティッシュを小さく丸めては突っ込んでいくななこの様子を眺めると同時に、改めて野原みさえなる女性をマジマジと見つめていく。

 

「可哀想に……奥さんもあれじゃあ毎日子育て大変でしょう?」

 

「あ、あの……志郎くん? そんなに見つめられると、その……おばさん照れるわ……♡」

 

 志郎からの熱い眼差しにみさえは頬を赤らめて少し恥ずかしそうに呟く。しかし満更でもなさそうなところを見るに、イケメンには滅法弱いタイプらしい。

 

(くくっ……思った通り、チョロそうな人妻だぜ。今のうちに唾くらいはつけとくか。とりあえず、ここはいつものやり方で──)

 

 志郎はしんのすけが立ったまま気絶している隙にさり気なくみさえの元に近寄り、至近距離で得意の『母性本能をくすぐる眼差し攻撃』を仕掛ける。

 

「ぁ……♡」

 

 するとみさえはドキドキした様子で忽ち表情を蕩けさせ、志郎による暗示を受けた暗く虚ろな目にぼんやりと灯るエッチなピンクハートを宿す。

 

 一度こうなってしまえば女は誰であろうと志郎を甘やかして可愛がりたいと思い込み、自分を志郎に尽くす雌だと認識してしまう。それは今のみさえも例外ではなく……目の前に立つ志郎に対して何の警戒心も抱く事なくされるがままであり、どこか浮ついた様子で彼の全てを受け入れていた。

 

「フッ……奥さん。今度この自宅まで来てやるから、その時に俺とゆっくり……な?」

 

「は、はいぃ……ぁんっ♡」

 

 志郎はみさえの耳元で甘く囁き、彼女の着ているピンクのシャツ越しに膨らむたわわな乳を片手で鷲掴み、同時にもう片方の手で彼女の穿くジーンズの上から股間の真ん中辺りを痴漢宛らのいやらしい手触りでつぅ……と優しく撫で上げる。

 

「ひゃぁん♡ だ、ダメよ志郎くん……ゃんっ♡」

 

 それから志郎はみさえのジーンズのボタンをプツッと外し、ジッパーをジジジジ……っと焦らす様に指先で器用に下げていき、徐々に露わになる彼女のピンク色のセクシーなショーツを目視で確認する。

 

「おぉ、すっげ……スケスケパンツじゃん。なぁこれ、勝負下着ってやつ?」

 

 みさえの穿いているピンク色のショーツは布面積がかなり小さく、少しズラせば簡単に陰毛や秘部が見えてしまうほど際どく透けた何とも破廉恥極まりないデザインだった。

 

「いやぁ……見ないでぇ……!」

 

 志郎にお気に入りのエッチな下着を見られてしまい、みさえは恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら両手で股間を隠そうとするも……志郎は邪魔だとばかりに彼女の手をパシッと退けて囁く。

 

「……なぁ奥さん。イケメンの俺と遊びたいってんならさ。次会うまでにこのぼうぼうのだらしねぇマン毛、つるつるになるまで全部綺麗に剃っとけよ?」

 

「あぅ……は、はぁぃ……♡ 剃るぅ……♡」

 

 みさえは志郎の母性本能をくすぐる眼差しに見つめられる事によって完全に彼の虜にされてしまい、志郎に命令された通りに長い間伸ばし放題になっていた陰毛を綺麗に剃り落とす事を想像するとそれだけで興奮し始め、無意識に股間から甘いお汁がとろぉ……っと垂れて薄く透けたショーツを濡らしていく。

 

「よし、いい女だ……んじゃ俺はななこちゃん連れてドライブデートだからさ。奥さん──っと、名前なんだっけ?」

 

「み、みさえですぅ♡」

 

 みさえはすっかりメロメロなハートの瞳を蕩けさせた甘え声で答える。ななこ相手にはここまで強い効き目は無かったが、志郎の眼力──というより彼の言う事を何でも聞いてあげたいと思う“母性本能をくすぐられたい欲”がみさえの中で強く刺激されたのが原因らしく、それが独身のななこと違って子持ちの人妻であるみさえに対してはより強い効果を齎している様だ。

 

「──みさえちゃん、ね。後で携帯の連絡先教えてやるから、俺からのメッセージにはすぐ反応しろよ? もちろん、旦那や子供の世話より俺への連絡と奉仕が優先な? 俺の許可なく勝手なエッチも禁止だぜ?」

 

「ぁ……うん♡ わかったぁ……志郎くん♡」

 

 みさえは志郎の言う事に何の疑問も抱く事なく素直に頷く。これでななこ同様みさえも志郎の事を母性本能で甘やかしたい大切な相手だと認識するだろう。

 

「フッ……じゃあな、みさえちゃん。また来るぜ」

 

 クールに言いつつ志郎は最後にみさえの真っ赤に染まった耳元をふぅ~……っと軽く吐息で撫でてから片目でウィンクをし、そのまま野原家の玄関前から後ろに下がって道路脇に待機中のななこの元へ戻る。すると……

 

「んもぅ……私がいるのに人妻を口説くなんて……ねぇ志郎さん、早くデートに行きましょ?」

 

 志郎とみさえの一連の行動をばっちり覗き見ていたななこがジト目で彼を見つめ、少し呆れた様子で溜息を吐く。しかしその表情とは裏腹に彼女の瞳はどこか寂しげに揺れており、その事を見逃さない志郎はニヤリと笑いななこを片手で抱き寄せる。

 

「ははっ、ごめんよ。あっ……ところでななこちゃん。あの邪魔くさいガキはどうなった?」

 

「しんちゃん? しんちゃんなら……ほら、あれ♡」

 

 志郎にしんのすけの事を尋ねられたななこはチラッと道路脇の方に目を向けると、そこにはだらしなく開いた口元から涎を垂らして白目を剥き、左右の鼻穴に赤く染まりつつあるティッシュを丸めて詰めたしんのすけの哀れな姿があった。

 

 一般的な5歳児よりも大人の知識豊富とは言え、まだ異性に対する性欲を完全には実感してないであろう幼くピュアなしんのすけ。自分の大好きな憧れの美人お姉さんに乳圧で顔を挟まれ、泣きじゃくる赤子をあやす様に優しく抱き締められた事はあまりにも刺激の強い内容だったのかもしれない。

 

「あらま……随分と幸せそうな気絶面だな。その隙に大好きなおねえさんと美人のママは揃って俺に惚れ込んでるってのに」

 

「くすっ♡ 志郎さんったら。相手はまだ5歳児なんだから……ねっ♡」

 

 誰もが振り向くほどの大和撫子な巨乳美女を腕に抱いて勝ち誇る志郎の軽口に対し、ななこは満更でもない様子で妖艶な笑みを零す。既に彼女の中では家族付き合いで親睦の深いしんのすけの事より、先日出会ったばかりで女目当てのチャラ男に過ぎない志郎の方が何倍も大切な存在に上書きされてしまったのだろう。

 

「っと、悪い悪い。んじゃガキが起きてこないうちにさっさと行くか。ななこちゃん、今度は助手席にどうぞ」

 

「ぁ……うん、ありがとう志郎さん♡」

 

 志郎はななこを助手席にエスコートし、彼女を車内に入れた後で運転席に着いてからエンジンを掛ける。そこでふとみさえの様子が気になり、志郎は真っ赤な外国産のスポーツカーの車窓を開けてちらりと玄関先を一瞥する。

 

 相変わらず気絶したしんのすけの横に立つみさえだが……先程の短い痴漢行為で大胆にもデニムのジーンズのボタンを外され、ジッパーを下ろされた破廉恥極まりない格好のまま、完全に蕩け堕ちた淫らな雌の顔を晒していた。

 

 もじもじと下半身を忙しなく震わせ、スポーツカーに乗り込む志郎と目が合ったみさえは彼を熱っぽく見つめながらぽつり呟く。

 

「い、イッてらっしゃい……志郎くん♡」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 じゅわぁぁ……っと濡れ透けたピンクの卑猥なショーツを自身の愛液で見る見るうちに染みさせたみさえ。その様子を左側の運転席に座ってニヤニヤと眺めていた志郎は片手でサムズアップをみさえに送り、そのまま愛車を走らせていく。

 

 志郎の駆る真っ赤なスポーツカーが住宅地の狭い道路を走り去って行くまでの間、みさえはハートの浮かぶ恍惚の眼差しで恐らく将来的な浮気相手になるであろう志郎を想って見送り続けるのだった。

 

 




元ネタ紹介(覚える必要はぶっちゃけないけど、まぁ一応……)

『ワンダーリング』
アニメにて登場。アニメ内ではマサオが偶然拾った白い指輪だが、その日からマサオの周りで次々と不思議な事が起こる。
マサオはワンダーリングを使って幼稚園のいじめっ子達に仕返しをしようとするが、実は指輪には何の力もなく……?
本作で須毛駒志郎が手に入れたワンダーリングが本物か、それともアニメ同様ただの偽物か……それはまだわからない。
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