ー習志野駐屯地にてー
習志野駐屯地の娯楽施設にて九条一は暑さに喘いでいた。
「あっちーな…」
「仕方ないですよ小隊長…クーラー壊れちゃったんですから…お水をどうぞ。」
「だな…すまんな鷲尾兵長。貰うわ」
鷲尾兵長は軍に入って2年のぺーぺーである。水を受け取るとすぐに飲み干す。
「お前今日当直?俺は残留だ。」
「いえ、同じく残留です。」
「そうか…いー加減残留もなくしゃいいのに…ま、お上に愚痴ってもしょうがねーか」
「ですね。」
時計を見る。さっき食事したから1300であった。
(走れるな…)
「どうだ?鷲尾兵長、一緒に走るか?」
「え!?いいんですか?」
「おう、暇だしな。汗だくだし着替えて走ろうや」
「はい!お供します!」
当直士官に運動する旨を伝える二人で走り始める。休日だからというわけではないが軽くジョギングをする。
「所で鷲尾。お前彼女とはどうなった?」
「うぇ!?その…非常に言いにくいんですが…」
鷲尾兵長は一瞬驚いた顔をするがすぐに困った顔をした。それを見た。一は不味いこと聞いちまったかなと心のなかで思う。
「なんだ?別れちまったのか?」
「いえ、そうではなく…プロポーズしてOK貰いました。」
「おお!!やったじゃねえか!おめでとう!後は結婚までまっしぐらだな!?」
一は鷲尾の背中を叩き自分の事のように喜ぶ。
「痛いですよ小隊ちょー」
「すまんすまん。しかしめでたいな!結婚式に呼んでくれよな!」
「もちろん呼びますよ!」
そんな他愛もない話をしつつ二人で走り続けた。すると違和感に気付く…そう何かがおかしいのだ…具体的には道端で何かが光った。その瞬間嫌な予感がした。
「ん?鷲尾止まれ!!」
「はい?」
(やべえ!)
鷲尾をドロップキックして吹っ飛ばし自分は転がるすると光っていたものが…爆発した。
「小隊長!?」
爆発に巻き込まれた一は一撃でふっとばされた。
「小隊長!しっかりして下さい!小隊長!小隊……」
(鷲尾が無事だったのが行幸か…しかし…部下庇って事故死とは笑えねえぜ……)
ゆっくりと意識を手放した。後で分かったことだが爆発したのは、88ミリ迫撃砲砲弾であった。この事故で九条一は意識不明の重体となってしまった。
ー某所にてー
「……ハッ!」
意識が覚醒し周りを見渡すと…なんと真っ白い空間であった。
「なんだここ…俺は爆発に巻き込まれて死んだはずだが?」
運動してたにしては重い体を見る。
「おいおいこいつは…」
特殊作戦群の装備一式を着込んだ。自分の体を確認して唖然とした。
「なんじゃこりゃ。フル装備じゃねえか。しかも四眼の暗視装置まで鉄パチについてら…背嚢の中身は?」
衣類一式、弾薬、食料、サバイバルキット…そして…MP17が入っていた。
「うん、知ってた。」
そう言いながら腰の弾帯、防弾ベストを外し防弾ベストの中を確認する。
「……レベル4か…どうりで重いはずだ。弾薬は…セオリー通り徹甲弾…拳銃もあるし…」
19式の動作確認をし、初弾を叩き込む。そして装備一式を付け直して装備する。軍刀は…抜かなくても分かるので放置。
「小銃がねーな…ん?」
10メートルくらいの所にあった20式小銃を拾う。そして弾倉を抜く。
「弾は…入ってんな」
再度弾倉を差し込み、こちらも初段を叩き込む。そして銃の状態を確認する。
「……なるほどレーザーサイト、ライト、小型のライフルスコープ…フォアグリップ…オーソドックスなマークスマンってか?ま、いつも通りだな…。」
「やあ、一君。はじめまして?」
その声に反応しその人物に銃を突きつけ粋呼する。
「誰か!?」
「ぼく?神様だよ?」
「あ?神様が俺に何のようだ?」
「落ち着いて聞いて?君は陸軍病院で昏睡状態だ。」
「だろうな?」
「驚かないんだ?」
「馬鹿野郎状況判断ができねえ軍人なんていねーよ。」
「ふうん?」
「で?何させようってか?」
「いや、特に何もしてもらわなくていい。ただこちらの不手際で昏睡状態だからね。君の世界の時間は停止させてもらった。その間に君は異世界で遊んできてよ。肉体はそのままのものを用意させてもらったから。」
「そうかよ」
身体と顔をもう一度確認する。明らかに顔がおかしい。
「……明らかに身体はともかく顔が17歳なんだが?」
「気にしたら負けだよ」
「そうか。考えるのは辞めだ。」
「理解が早くて助かるよ。君の武器だけど通常通り使えるから。後弾薬の供給については安心して?マガジンポーチに刺しとけば勝手に補充されるから。それとナイトビジョン、ライト、レーザーサイトは魔力で使えるようにしといた。」
「……妙に羽振りがいいな…」
一怪訝そうな顔をした。
「お詫びってやつだあと君の魔力量だけど…その世界の最強の存在と同レベルだから。ま、頑張って?」
そして一を亜空間に放り込んだ。
「ちょっと待てや!そりゃどういう!」
「健闘を祈る!」
かくして一は異世界に飛ばされた。