「おっ、おおっ、産むっ、おおおっ、おおおおおおおっ!!!」
私、高町なのはは魔王に捕らえられてからというもの、魔族の子供を孕み、産む毎日を過ごしていた。
魔族は受精してから1日で大きくなり、すぐに生まれてくる。
そのせいで妊娠期間が1日しかなく、すぐに次の子供を孕むことができる。
人間の私からすれば恐ろしく早い生殖サイクル。
他の生物がどうやって増えるのかなんて、今までは知識として知るだけで、そうなんだと簡素な言葉しか出でこなかった。
でも。
今この時、私は魔族の生殖サイクルを、己の身を持って知ることになった。
「もう、やめて」
「次は俺だ。俺の子供を産ませる」
「待てよ。こいつの股からは強い魔力を持った子供が生まれる。俺は後五人くらい産ませる予定なんだからな!」
体中をビリビリとした出産後の刺激が駆け回る。
私は出産でイキながら頭上で繰り広げられるどうでもいい会話を聞いていた。
犯され、イカされ、孕ませられて、出産する。
ひたすらにこれの繰り返しだ。
ゴブリン、オーク、鳥から、植物や触手まで、何かスライムのような魔法生物までも出産した気がする。
「俺の子を孕め!魔力の強い子供を産め!」
「ひっ、ううっ、んおっ、おおっ、イっくううううううっ!!!」
そして次だ次だと膣内に射される。
卵子を守るはずのバリアは最初の方で快楽を倍増させるクスリの効果で使えなくなってしまった。
魔法で抵抗しようとしても今はレイジングハートを取り上げられいるし、肉体の強さでは魔族に敵わない。
この四肢を縛る肉壁の拘束すら自分には解くことができないのだ。
「はぁ・・・はぁ・・・」
そのようなことがずっと続いた。
最近ではもう、気持ちよけばいいやと思うようになってきたし、色んなことがどうでもよくなってきた。
自分という存在が壊れていくのを感じる。
体力のほとんどを魔力生成と出産に費やしてしまうため、考えることも億劫になっている。
考えることは疲れる。
ならもういっそのこと、魔族を生み出すだけの存在になればいい。
きっと、私の体にも限界がきて、どこかで出産ができなくなる。
そこまでの辛抱だ。
いつかは解放される。
それまでに壊れてしまうかもしれないが、それはそれで解放されたことにもなる。
悪夢は終わるのだ。
なのに。
私の前にフェイトちゃんが現れた。
綺麗な黒のネグリジェを纏って、心底使命を全うするために生き生きとしていて。
体が変化しているなんて些細なことだ。
でも。
なんで私がここまでの辱めを受けているのに、フェイトちゃんは人生の最盛期みたいな顔をしているの?
フェイトちゃんの身に何があったのかは知らない。
でも。
許せないよ。
絶対に許せない。
私の卵子を奪っておいて、幸せを謳歌しようだなんて。
私だって幸せになりたかったのに。
己の中に暗い炎が灯る。
「お?いつもより積極的だな。いいぞ、そういうのもいいーーぎゃあああああああああ、こいつ俺のイチモツを食いちぎりやがった!」
にゃはは。
「これ、まっずいの」
にゃは、は。
「これは私が産んだものだし、私のものだよね」
「ひいっ、こいついま自分の股から出てきた魔族を食いやがった!」
「うう、おえええっ」
当然ながら食った魔族の体がそのまま栄養になるはずもなく、体はそれを異物とみなして吐き出そうとする。
「ううっ、うええええ、ごくっ、ごくっ、ごくん」
それでも無理矢理に体の中に押し込んだ。
「俺たちに逆らえばどうなるか最初に教えてやったよなあ?」
にゃはは。
「どうなるの?教えてよ」
殴りかかってきた魔族に風穴を空けた。
「うん。こんな肉でも少しは魔力が戻るみたい」
毎日のように出産を続けたことで私の体も魔族を受け入れるようになったのかも。
それから。
私は出産するフリをしてその個体を自らの体内に取り込んでいった。日に日に出産を繰り返すたびに私の体は強くなり、魔族のものに近づいていく。
私に種をつけた魔族も私の糧になってもらった。
そして。
「ふぅ。ようやく出られた」
最後に目の前で私を犯そうとした魔族を背中から生えた触手で喰らう。
今の私はデバイスがなくても戦える。
「まあ、美味しくはないね。にゃはは。うーー」
頭がガンガンする。
自分の中に色んな声があってうるさい。
黙れ。
しずかにしろ。
私にはやることがあるのだから。
「フェイトちゃん、どこ」
私から卵子を奪っていったフェイトちゃん。
許せない。
友達なのに、どうして。
私は問いたださなければならない。
フェイトの友達、高町なのはとして。
早く。
早くフェイトちゃんに会わないと。
あ、ああ。
体の中から溢れちゃう。
早くしないと。
「――、アレ? 私は誰だっけ。ねぇ教えてよ、フェイト、ちゃん」
私が壊れてしまう前に。
「ソんなとコろで、なに、ヤってるのカなーーフェイトちゃン」
「なのはっ!?」
部屋に入ってきたのは、なのはだった。
その姿は魔族の特徴を多く露出させ、もはやどの種族なのか判断ができないほどに歪な変化をしていた。
高町なのはというガワの中に押し込められた多くの魔族の魔力を感じる。
しかし変わり果てたとはいえ、その人が高町なのは本人であることに間違いはなかった。
私にはわかる。
長い年月を積み重ねてきたのだ。
間違えるはずがない。
「にゃハは。フェイトちゃん、みーつケたっ」
壊れたように笑いながら、やけに嬉しそうに、こちらへと近づいてくる。
その歩みは状態をゆらゆらと揺らしながらで、真っ直ぐにすら歩けていない。
「何の用があってここにきたの? 門番は?」
「んー? ここマデくるのに邪魔してきたヤツらはー。食べちゃっタ」
そう言って自らの腹部を指差す。
そこにはまだ生きたままの魔族が直接取り込まれ、なのはの体内に囚われていた。
「それデね〜」
今のなのはの様子はおかしい。
まともな精神状態ではないことは明らかだった。
「フェイトちゃンにね〜」
私は魔王様が生まれるまで動けない。
今も膨らんだ己の腹部からは、中で成長する魔王様の脈動が伝わってくる。
魔王様を守らなければいけない。
「まって」
「ンン?」
私はなのはの言葉を遮って先に口を開いた。
相手のペースに乗ってはいけない。
なんとか会話を誘導しなくては。
魔王様を出産できるまでの時間を稼ぐのだ。
「他の機動六課のみんなはどうなったの?」
「サぁ〜知らナい。ワタしが捕まっていたときには、モウ誰もいなくなっテたよ」
「そう。じゃあ私がなのはいたところから出て行った後は?」
「ニゃはは。ああ、たくサん食べたんだぁ。あれはフェイトちゃんにも見せたかったなぁ〜。ワタしを犯してきたやつの性器を食いチギったあの瞬間の顔、堪らなかっタ〜」
なのははとても楽しそうに笑っている。
命を奪ったことをとても愉快だというように。
なのはの笑顔はとても恐ろしく、怖かった。
「デ」
不意にその笑顔がぴたりと止んで、なのはの目が見開かれた。
「ナんでフェイトちゃんダけ、報われてイるの?」
「えっ」
それはこちら息を忘れてしまうようなほどに冷たい、凍てついた目だった。
「なんデ、なんでフェイトちゃんだけナの。ずルい、ずるいヨ」
「私は」
最初は自分が犠牲になるつもりで。
「・・・」
そんなことは言えなかった。
今の私は、全てにおいて魔王様を優先する魔王様の奴隷だ。
機動六課のみんなのことを裏切った。
目の前のなのはを裏切った。
そして。
魔王様に快楽を与えられて喜んでいる。
もはや自分が犠牲だとは言えなかった。
「フェイトちゃんのことが羨ましイ。ワタし羨ましいノ。だからワタし、こんなカイブツになっちゃったんダから」
なのはの体内では混ざりきっていない生物の混合物が蠢いていた。
先ほどの門番も溶かされて取り込まれ、今ではピンク色の器官に成り果てていた。
多くの魔族がなのはの一部になっている。
それは、高町なのはという人間のカタチをした生物の集合体だった。
「なのは、その状態はもう」
なのははもはや手遅れの状態だった。
人間という生物の枠組みを超えてしまっている。
この状態は長く保たない。
「ソう! そうナの! ワタしは死んじゃう!」
そのような状態で。
それを自分で理解しながら。
自分の死を自覚しながら。
なのははけたけたと笑っていた。
確かにその異常さは怪物と言っていいのかもしれない。
「にゃはは」
なのはの真意を推し図ることが私にはできなかった。
だから彼女がこれからやろうとすることも、全く予想ができず、対処できるはずもなかった。
「ダから〜、ワタしが魔王になるの」
「あ」
私が気づいた時にはもう、なのははバネのように跳躍していて、私に覆い被さったところだった。
「コレが魔王なんだね。すごい魔力。このチカラ、もらうネ」
「ひっ」
なのはが私の腕を掴んでベッドに押し付けると、彼女は自分の下腹部――膣の入り口を私の膣に擦り付けた。度重なる交わりと出産の準備のために広くなっていた膣となのはの膣が密着する。
「あっ、ああっ、いや、やめてなのはっ」
なのはの膣から何かが私の中に入ってくるのがわかった。
何本かの触手が膣から膣を伝って中に侵入してきている。
その目的。
それがなのはの言葉通りならば。
まさか。
「うぐっ、ううううう」
「ほらホラ、どうシたのフェイトちゃん。もっとしっカリ抵抗しないト、すぐニ引き摺り出しちゃウよぉ?」
「いやあああああ、やめてええええ」
なのはは私の体内の魔王を引き摺り出そうとしていた。
魔族がすぐに生まれることができるとはいえ、私のお腹にいる魔王様はまだ生まれる段階ではない。
すでに赤子の形はできているが、まだまだ入念に時間をかけるべき段階だった。
いまはまだ、母体から離れるには早すぎる。
それを無理矢理引っ張って出そうというのだ。
魔王様のお体にどんな影響が出るかわからない。
「もう、やめて」
「やめナい。フェイトちゃんはワタしから奪った。だからワタしも、フェイトちゃんカラ奪うの」
「ああ、ああ、ああっ」
なのはが残り僅かな私の魔力とともに魔王様の体を取り込もうとしている。
私の乳を吸い、お腹を撫で、性感帯を刺激する。
「いやあ、魔王様を、やめて」
お腹の中の魔王様が徐々になのはの元へ引っ張られていく。
魔王様は私のお腹から出ていく。
だめ、お願い。
やめて。
「アア、くるっ。強い魔力くルっ。ワタしの中にくるっ」
「やめてええええええええええええええ」
ごぷんっ。
「おっ、おおおおっ、おおおおおおおおっ」
魔王様の体がなのはの膣に入り始めた。
あまりに強い魔王様の魔力に、なのはも簡単には取り込めないようだった。
「ワタしの、もの、幸せに、なり、たいッ!!!」
「いやああああああああああああああああ」
強い衝撃とともに魔王様の体が私のお腹から引き抜かれ、なのはの腹に収められた。その衝撃でなのは膨らむお腹を押さえつけるのに必死だ。
両腕を押さえつけていたなのはの拘束が解除される。
なのはが動けない今が好機。
しかし私は動けなかった。
魔王様を取り出された虚脱感で指先ひとつ動かせない。
私はなのはのお腹に取り込まれていく魔王様を見ていることしかできなかった。
あまりに悔しくて、情けなくて、私は泣いていた。
「おっ、オオっ、ううンっ。あっ、ああっ、体が、し、進化する。あっ、ああっ、変わる、ワタしっ魔王の力で進化しちゃうっ」
魔王を取り込むことでなのはの体が変化していく。
強力な魔力がなのはに溶け込んで一つになる。
今まではぐずぐずでアンバランスな存在だったものが安定して、見た目は普通の人間に戻っていた。
きっと人間の姿こそがなのはの求める理想の姿なのだろう。
傷ひとつない白い肌、オレンジ色の髪をポニーテールにまとめて、いまも蠢くお腹に触れる。
「にゃはは」
「そん、な。魔王様」
魔王様の体が完全になのはのお腹へ溶け込んだ。
安定したなのはが再び私の体にのしかかり、押し倒すような格好で私を見下した。
「あ〜美味しかった。私はこれで生きられる。幸せになれるんだ。人間の姿に戻れてよかった。これから私が魔王にでもなって世界を支配するのもいいかな〜にゃはは」
綺麗な人間の皮の下には、魔王の力で制御された魔族の群れがひしめいていた。
その全てはなのはの力として血肉として機能する。
「か、かいぶつ」
「それフェイトちゃんがいう〜?」
まあいいけど、そう言ってなのはが再び私の乳に口をつける。
「ひゃっ」
「おかえし」
なのはが私の乳を貪るように吸っている。
残り少ない魔力の全てを持って行く気だ。
「こっちもね」
「えーーあ、ああっ」
嫌らしい音が聞こえたかと思えば、それはなのはの手が私の膣を弄ぶ音だった。
くちゅくちゅと嫌らしい水音が響き、なのはの膣からはまた触手が入ってくる。
「まさか、私の卵子を」
「せ〜いか〜い」
なのはの触手が私の子宮を刺激する。
「ほら出して〜は〜い〜ら〜ん〜」
だめだ。体に力が入らない。
魔力も乳から吸い取られている。
もう抵抗なんてできるはずがない。
「魔王様、ごめんなさい。あなただけの卵子だったのに」
「あっ、きたっ。んんっ」
耳元でごちそうさまと告げてから、なのはは私を自由にした。
最後に乳を強く吸われ、子宮と膣に強い刺激を受けた私は無様に絶頂した。
「はー。はー。ふう、ふう」
「がんばったねフェイトちゃん。がんばったから許してあげる。だってこれでおあいこだもんね。魔王は私の中で生かしてあげるから安心して。それじゃあね」
そう言ってなのはは部屋を出て行った。
ひどく重い静寂が世界を満たしていた。
私が守るべき全てが奪われた。
仲間を捨てて魔王様を失った。
私にはもう、何もない。
何も残っていない。
あれだけ魔王様の寵愛をいただいたのに。
何も返せないまま終わりだなんて。
虚無感に包まれた私は、失意の中で意識を闇に落とす。
この世界は新たな魔王となったなのはに支配されるだろう。
全てが終わったのだ。
さようなら世界。
さようなら魔王様。
さようならーー
「なあ。一人で全部諦めるのには、はやいのと違う?」