「うっ・・・」
眩い光に意識が覚醒する。
「目覚めましたか、八神はやて」
開かれた視界の中に人影が見える。
その顔は強すぎる光源のせいではっきりとしない。
「こ、ここは・・・」
「ここは魔王城の中ですよ。そして私の実験室だ」
光源の光が収まって、周囲の光景が明らかになる。
「どうです? 古臭い城のような場所よりも、あなたたちには馴染みがあるのでは?」
目の前の空間を多く占めるのは潔癖な白で、病院や研究所に連想される手術室や無菌室を思わせる。
そんな場所で私は施術台に寝かされ、拘束されていた。
「あんたは、だ、れ」
目を瞬かせながら相手を見る。人影は部屋と同じく潔癖な白を纏っていた。白衣を纏い眼鏡をかけ、皮膚が鱗のような光沢を見せている。
魔族、か。
「うっ、体が」
「動かないほうがいい。あなたは今、身籠もっているのだから」
こいつはなんと言った?
確かに体に違和感が・・・。
「なにを、いうて・・・」
自分の体を見る。
そのお腹は大きく膨らみ、命が息づいていた。腹部には大きなベルカ式の魔法陣が刻まれており、微かに明滅を繰り返している。
そんな。
私は孕まされた。
目の前の男に。
寝てる間に全てを奪われた。
「どうです?母になった気分は」
魔王との戦いで敗北した。
そこまでの記憶はある。
だがその次に目を覚ましたらこれだ。
意味がわからない。
私は子供をお腹に宿している。
だが、こんな短期間にここまで成長を?
魔族の生殖のことはわからない。
最悪だ。
私は最悪な現状を理解して、その他の疑問を解消することに努める。
他のみんな。
フェイトは。
なのはは。
私たちのデバイスは。
なんでわたしだけがこの場所にいる?
そもそもこの男は一体・・・?
「ふふ、疑問で頭がいっぱいなようですね。私のことはドクターとでも呼んでください」
「ゲス野郎・・・」
「おや、妊娠させたことを言っているのですか? これも生命の探求、その一環ですよ。あなたもすぐに理解するはずだ」
「馬鹿なこといわんといて。ここから解放しーーぐうっ」
「暴れないほうがいい。あなたにはお腹の子供に魔力を注いでもらわないといけないですから」
体に力を入れようとするが上手くいかない。
魔力がお腹の子に流れているらしい。
「ふふふ、生まれてくるのが楽しみだ」
男が私の膨らんだお腹を愛おしそうに撫でた。それだけで怖気が走るが、わたしはお腹に魔力を吸われてそれどころではない。
しかし。
なぜかはわからないが、自分もお腹から生まれてくる存在に愛おしさを感じていた。
これが女の生まれ持った特性なのだろうか。
たとえ孕ませられたとしても子供を産むことには愛を覚えてしまうのだろうか。
屈辱を感じながらも命の誕生に愛を覚える自分の心に戸惑う。
「ううう、お腹の中で動いてっ」
お腹に刻まれたベルカ式の紋様が輝きを増す。
それに応じてお腹の中の子供が私の魔力をさらに吸い上げていく。
「この紋様が気になりますか。教えてあげてもいいですが見た方が早いかもしれませんん」
「なに、をーーぐうっ?!」
だめだ。
子供が生まれようとしている。
お腹から出ようとしている。
だめだ。
魔族に孕まされて出産までしてしまう。
魔族の子供を、産まされるっ。
「いやや、ううっ、いやああああああああああああ」
出産したときの刺激で私は絶頂してしまった。
盛大にイッて潮を吹いた。
「ああっ、ああ、ああああああああああ」
そして私のお腹から出てくる。
それはきっと魔族の子供でーーえ?
光に包まれて生まれたのは白銀だった。
わたしはその光をよく知っている。
私が一番、知っている。
「リィン・・・?」
「そう、彼女こそ私が求めた存在――闇の書管制プログラムだ、さあこれを」
男は容器に入れた液体を生まれたばかりのリィンに飲ませる。
どうせろくでもないものに違いない。
「やめえ! リィンに何を飲ませるきや!」
「これは私の精液です。これで彼女の魔力を補充してあげるのですよ」
生まれたばかりのリィンが目の前に差し出された液体を魔力源として認識して飲み込んでいく。
男の精液(魔力)でリィンが満たされていく。
「私の魔力を使えばええやろ!」
その光景に耐えきれなくなったわたしは手を伸ばそうとするが、拘束されているせいでそれは叶わなかった。
「んっ、んっ、んっ」
「いい子だ。キミのために静液を貯めた甲斐があったよ。さあ闇の書よ。お前のマスターは誰だ?」
「なっ」
その言葉にわたしは男の目的を理解した。
そうか、そのために。
でも、すでにその理解は手遅れだった。
「はい。私のマスターはドクター、あなたさまです。闇の書管制プログラムはあなたに従います」
魔力を補充して大人の姿に成長したリィンフォースが男に跪いた。体に取り込んだ魔力の情報から自分の主人と認識したのだろう。
「よろしい。ではあなたをリィンフォースと命名します、いいですね」
「了解しました。私の名前はリィンフォースです」
「あたしに対するあてつけか」
この子があのリィンではないことはわかる。
それなのにこの気持ちはなんだ?
「戸惑っていますね? 自分の中からリィンフォースが生まれたことに。いいでしょう教えます。これはーー」
「古代魔法やろ」
「おや、気づいていましたか。説明しようと思いましたが、その必要はなさそうですね」
「そして魔王を復活させたのもお前やな、ドクター」
「ああ、そこから気づいたのですね。さすがは最後の夜天の書の主人といったところですか」
「あんまり舐めんといてもらおうか。思えば魔王の襲撃はあまりに急すぎた。そもそもが今まで存在しなかった、そんな風に感じた」
魔族が最初から一つに結束していたなら、それほどの規模の軍隊を見逃すはずはない。
やつらは突如として現れたというほうがしっくりくる。
「ええ、魔王たちは私が召喚しました。古代魔法によってね」
「あれはあんたの妄想がなにかを具現化したんか?」
「ふ、妄想とはいただけない表現ですね。あの王は存在しました。まあ遙か太古の時代のことですがね。なので復活は不完全になってしまいましたが、許容範囲でしょう」
「魔族の台頭を恐れたベルカに滅ぼされた・・・」
「おや歴史にも詳しいようで。では私がなにをしたいのかわかりますね?」
「魔族の生き残りであるあんたは魔族を復活させ、復讐をしようとした。だがベルカはもうない。だからミッドチルダを狙った」
「ええ、そしてそこにはベルカ式を使うモノたちがいた」
「わたしたちへの復讐ってわけなんか」
「我々の世界を滅ぼした罪は重い、魔王の復活と闇の書、これであなたたちへの復讐といたしましょう。ああーー」
そこで。
男はニヤリと笑った。
それはとてつもなく下卑た笑みで。
「あなたにはこれの方が効果的ですかねぇ。八神はやて」
そう言って男は下卑たチンポをリィンに押し当てる。リィンは特に動じることもなく、そのチンポの臭いを嗅いでいる。
「こ、こいつ・・・」
「リィンフォース、これはチンポです。あなたに魔力を与えることができる。感謝してしゃぶりなさい」
「はい、了解しました」
リィンは何の抵抗もなく命令を受け入れ、男のチンポを舐め始めた。
「リィンになんてことを。やめぇ!」
「いいですよリィンフォース、あなたに魔力を注ぐチンポを愛でなさい。敬って、丁寧に、奉仕しなさい」
「ふぁい、れろ、ちゅ、ちゅむ、れろ、れろ、ん」
リィンが男のチンポを愛おしそうにしゃぶる光景はわたしの胸に深く刺さる。自分の大切なものを汚された感覚、踏み躙られた感覚、奪われた感覚が私を襲った。
「なんでこんなことするん、もうええやろ・・・」
「あなたには世界の命運よりも家族を傷つけられたほうがより効果的でしょうから。ご友人たちもそうでしたからねぇ」
「友人・・・?」
「ああ、そういえば伝えていませんでした。フェイト・T・ハラオウン、高町なのはの二名のことです。ご覧になりますか?」
男はリィンにチンポをしゃぶらせながら、機械を操作する。
すると宙空に映像が現れ、二人の様子が映し出された。
「なのは、フェイト!」
わたしは映し出された映像に言葉を失う。フェイトは自分を犠牲にして魔王を生み出す母体となり、なのはは体も心もぐちゃぐちゃにされてしまっていた。
「ほらリィンフォース、根元まで咥えなさい。ペニスの全体に奉仕するのです」
「んごっ、ふごっ、んんっ」
だめだ。これからどうすればいい。
最悪の現状、それでも動かなければ、さらに状況は悪化していく。
「くそ、なんでこんな」
「あなたたちに苦しみを与えるためです。さぁリィンフォース、出しますよっ」
「んぶっ、んぐっ、んっ、ごくっ、ごくっ」
リィンの口に男が射精する。
リィンの頭を引き寄せて、奥に射精している。
精液がリィンの喉を通って体内に収められるのを見せつけられる。
最悪だ。
自分は何もできない。
「リィンフォース、口内を確認します」
「はい、マスター」
「よろしい、全て飲み込んで口内を見せなさい」
「はい、んぐっ、んっ。んあ」
全て私に見せつけるように行われる行為、確かに効果的だ。
嫌になるほど、効果的だ。
「魔力の補充、完了。全ての精液を魔力に変換して体に循環させます」
「よろしい。さて、そろそろ次のフェーズに移りますか」
「勝手にしい、わたしはもう用済みなんやろ」
「そうですねぇ。あなたはここで私が世界を支配するのを眺めていればいい。八神はやての記憶からリィンフォースを取り出し、産ませることができた。これだけの偉業を古代魔法は為せるのです。あなたは勝ち目がないと理解したでしょう」
「ああ、そうやな」
「物分かりがよくて助かります。では行きましょうリィンフォース」
「はい、マスター」
男はリィンを連れて部屋を出て行った。
確かに今までの行為はとてつもなく効果的だった。
私にーー全てを犠牲にしてでも男の目的を壊すと決意させるほどには。
そして男の言う通り、わたしに勝ち目はない。
そう。
わたし、一人だけなら。
こうしてわたしは一人で行動を開始した。拘束から逃れるのに時間がかかったが、フェイトのいる場所になのはが向かったことを突き止める。
そしてわたしは二人に合流すべく、その部屋の扉に手をかけた。