応募の方も変更しましたので、良かったら皆様、お願いします。
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エロゲーハンターの朝
「……あ゛っ」
意識がゆっくりと浮上する。
ずきずきと脳髄を抉るような痛み。まるで後頭部をハンマーで叩かれ続けているみたいだ。喉の奥がひりつく。唾を飲み込む度に胃袋から酸っぱい液体が逆流してくる感覚。
「…………頭痛ぇ…………」
ぼやけた視界に映るのは天井——ではなく豪奢なレースのカーテンが幾重にも垂れ下がる天蓋だった。寝返りを打とうとして身体を捻ると、
ギシィ……
柔らかい何かに触れた。
人肌の温もりが掌を通じて伝わってくる。薄っぺらいシルクの生地越しに感じる張り詰めた弾力とその下にある確かな質量。
反射的に手を引っ込めるが時すでに遅し。その物体の形状を完全に把握してしまった。この丸く滑らかな曲線。決して偽物ではありえない、生々しい体温と鼓動を備えたナチュラルバストの感触。
(…………嘘だろ)
冷や汗が背中を伝う。まだ夢の中なのか? それともこれは現実なのか?
おそるおそる上体を起こそうとした矢先——
「んぅ……?」
左側から艶っぽい吐息と共に微かな衣擦れの音が響く。同じく右側からは規則正しい呼吸音。どちらも間違いなく女性特有の穏やかな寝息だ。
視線だけ動かして左右を確認すると——
右には漆黒の長い髪がシーツに広がり、無防備な寝顔を見せているのは——紛れもなく天音永久。整った顔立ちに僅かに赤みが差した頬。規則正しい呼吸と共に上下する薄い胸元。だが問題は彼女の格好だ。ほとんど紐みたいな極細ストラップのネグリジェ一枚。鎖骨から乳房の谷間へ続くラインが透けて見える。豊かな双丘の頂点にほんのり突起が……いやもう見るな!
対して左側には——桜色のショートヘアをシーツに散らばらせた斎賀百。こちらもほぼ半裸同然。スポーツブラとパンティという防御力ゼロ装備。長い脚を惜しげもなく投げ出し、薄桃色の頬をぷっくり膨らませている。寝返りを打つたびに甘ったるい匂いが鼻腔をくすぐり、その香りだけで酔いが増幅しそうだ。
そして、タオルで隠しきれない程のとんでもないのが見える。
「……は?」
思考停止。数秒間の空白が訪れる。
天音永遠……? 斎賀百……? この二人が? 俺の両サイドで? しかもほぼ裸で?
そんな馬鹿な! あり得ない!
だってこいつらは——
『幼馴染』と『腐れ縁』であって——
恋愛感情なんて微塵もないはずの——
二次元ヒロインどころか三次元で最も忌むべき存在と俺の脳が認識しているあの二人が——?
「…………どぅああああああああああ!?」
次の瞬間、大きな声を出しそうになるのを、なんとか枕で塞ぐ。
やばい。本気で記憶がない。昨夜一体何があったんだ? 飲み会?いやいやそんなレベルじゃ済まされないだろ。ていうかなんでこんな高級そうなスイートルームに? まさかホテル? しかも全員服が……え…脱がされたのか? 自分で脱いだのか? 断片的な記憶がフラッシュバックする。
「(待て待て落ち着け要! まずは深呼吸だ! ステイプルズセンターの試合前の俺に戻れ!)」
慌てて思考回路をフル稼働させている間に。
「んぅんっ、五月蠅いなぁ」
斎賀百の瞼がゆっくりと開いた。その瞳がぼんやりと要の顔を捉える。焦点が合うまで数秒──そして次の瞬間。
「えっ……? 要……!?」
百の声が裏返る。その声には戸惑いと驚愕と恐怖が同時に含まれていた。視線が要の裸体を這うように上下する。ついで自分の体を見下ろし──さらに目を見開く。
「わっ!? 私……何これっ……!!」
羞恥で真っ赤になった顔が今度は青ざめる。状況を理解できない困惑と恐怖が渦巻く中で理性が弾け飛び──
「うぉりゃあぁぁぁぁっ!!」
突如繰り出される平手打ち。空気を切り裂く鋭い音。頬に炸裂する衝撃に要は呻き声を上げる。
「いったぁ……! お前何し……!」
「だってだってだってぇぇぇぇぇ!! わっかんないけどムカつくんだもぉぉぉぉんっ!!」
涙目で要を見下ろす百の姿は完全に錯乱していた。右手を振り抜いた勢いでバランスを崩し、そのまま要の胸元へ倒れ込む形になる。俺が避けようと腕を伸ばすが間に合わない。
「ちょっ……落ち着けって……!」
「落ち着けるわけないじゃないですかぁぁぁぁぁ!! 昨日の記憶が飛んでてなんでこんなことになってるのかわからないんですけどぉぉぉ!? でも一つだけわかるんです! 要と一緒にお泊まりしてる時点で私の方が合法なんですよぉぉぉ!!」
泣き喚きながら俺の首を掴み激しく揺さぶる。俺の頭がぐらんぐらんと揺れる。まるで交通事故現場のように混乱した空気が漂う室内。そして百は唐突に動きを止めると──
「……あれ? これってチャンスなのでは?」
ぽつりと呟く声には妙な冷静さがあった。先ほどまでの恐慌ぶりは何処へやら。代わりに浮かんでいたのは仄暗い微笑。
「だって今誰も見てないし……ね? 二人っきりだし……うん。そうだよね? 天使様のお許しってことでいい」
「きゃはははははは!あぁぁ!面白いぃ!!」
そう、俺達が混乱している間に、聞こえた笑い声。
それに、俺と百は無言となり、ゆっくりとその声の主を振り返れば・・・
「面白すぎ!」
そう、無遠慮に腹を抱えて笑っている幼馴染みがいた。
「ちょっと。要も百ちゃんも固まってないでよ」
天音はベッドに腰掛けたまま足を組み直す。裸体を惜しげもなく晒し、それでいて気品すら感じさせる所作だった。
「状況整理しないと進まないでしょ?」
「進みたくねぇんだよ……!」
要が声を荒げるも、天音は涼しい顔だ。
「まあまあ。そもそもどうして三人が同じベッドで目覚めたと思う?」
「知るかそんなもの!」
「私と百ちゃんが協力したのよ」
天音が得意げに告げる。
「協力……?」
「そう。あなたのことが大好きな私達二人が力を合わせて、あなたを手に入れようって計画したの」
「頭おかしいだろ!」
要が悲鳴じみた声を上げる。
「というよりも!だったら百!お前、共犯なのにどういう事だ!」
「・・・いや、私も記憶ないんだが」
百の言葉に対して、俺は思わず首を傾げる。
その答えを知る為に永遠を見ると。
「だって、百ちゃんは普通に言ったら協力しないから、酒を飲ませて、酔った所で協力させたんだ」
その答えを聞いた俺と百は真っ青となる。
「ちょっと待って!じゃあ私が同意したのって全部酒の勢いで……!」
「さぁ?どうでしょうね?」
天音は意味深に微笑む。
「とにかく今は同じ穴の狢同士仲良くしましょうよ」
「できるかァァ!!」
要が怒号を放ち、ベッドから降りようとする――が。
「離れないで!」
百が要の腕を掴み引き寄せる。そのまま要の胸に飛び込んでくる。
「ダメ!ずっと一緒だって言ったじゃない!」
「言ってねぇよ!」
「嘘つき!」
「俺がいつそんな約束したんだ!」
俺が抗議の声をあげると、天音が横から口を挟む。
「そうよね。要は約束なんて守らないもの」
天音は妖しく笑いながら百をなだめ始めた。
「百ちゃん落ち着いて。要は私たちを捨てたりしないわ」
「……ホント?」
「えぇ。だってもう逃げられないもの」
天音の言葉に要の背筋が凍る。
「どういう意味だ?」
「文字通りよ」
天音は要に近づき、耳元で囁いた。
「この部屋には特別な仕掛けがあるの。監視カメラはもちろんのことGPS発信機も。警察沙汰にしようとしても無駄よ?」
「犯罪臭しかしねぇぞお前ら!」
要が叫ぶと、天音は肩をすくめた。
「酷い言い方ね。私達はただ愛されてほしいだけなのに」
「その方法が間違ってるんだよ!」
もしシャンは連載版あり?
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