※この作品はR-18です。

クソゲーハンターの兄は狙われている   作:ボルメテウスさん

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宴会を終え

控室に戻ると、百はふぅっと大きく息を吐いて、その場にぺたんと座り込んだ。

深紅の着物がふわりと広がり、さっきまでの凍てついた威圧感が嘘のように抜け落ちていく。

 

「……っ、もう無理。ああいうの、ほんっとダメ……

 なんであんなに寄ってくるの……胸ばっか見て……」

 

扇子を放り投げ、ぐでんと畳に倒れかける。

俺が咄嗟に支えると、百はその腕にすっぽり収まるように身体を預けた。

 

「ちょ、ちょっと百……胸、当たってる……」

 

「知ってるわよ……わざとじゃないわよ……もう疲れたの……」

 

弱音を吐く百は珍しい。

その反動か、隅に置かれていた徳利を手に取った。

 

「飲む……今日くらい飲ませて……制裁後のご褒美……」

 

「百、ちょっと待て、これ強いぞ」

 

「うるさい。今日は飲むの。ずっと我慢してたんだから……」

 

くい、くい、と辛口の酒を口に流し込む百。

頬が一瞬で紅潮し、瞳がとろんととろけていく。

 

「……ん……っ、はぁ……」

 

色っぽすぎる吐息が漏れ、俺は思わず視線を逸らした。

 

「……要」

 

「な、なんだよ」

 

「さっき……救われた」

 

百はぽす、と俺の肩に頭を載せ、指先で俺の袖をつまんだ。

 

「“お前の怒りじゃなくて隣にいてくれればいい”……って、言ったでしょ」

 

「言ったけど……」

 

「……あれ……ずるい……。ああいうの……反則……」

 

頬が真っ赤だ。酒だけじゃない。

 

百は俺の胸元に額を押しつけるように寄りかかってきた。

 

「……緊張して、怖くて……でも、隣に立ってほしくて……

 ちゃんと言ってくれて……わたし……ちょっと泣きそうになった……」

 

弱い声だった。

完璧超人の彼女が、こんな小さな声で本音を零すなんて。

 

「百、酔ってるだろ……」

 

「酔ってるわよ……。酔ってるから言えるのよ……」

 

百が俺の胸を指先で軽く叩く。

 

「ねぇ……要……。私のこと……どう見てるの?」

 

「ど、どうって……」

 

「今日の着物も……胸元も……見てたじゃない……」

 

「み、見てない!」

 

「見てたわよ。ずっと。怒ってるのに。必死なのに。

 それでも……見られたら……ちょっとだけ安心したの」

 

百は俺の横に膝立ちになり、俺の目の前に顔を近づけた。

 

「……ねぇ、要。私……怖いわ」

 

「何が?」

 

「怒るのも……牽制するのも……全部、自分ばっかりで……

 それで“女として見られてないのかも”って……

 ずっとずっと……思ってたの」

 

「……百」

 

「だから……今日みたいに……少しでも私を見てくれると……

 変に安心しちゃうの……。おかしいでしょ……?」

 

そう言って百は弱く笑う。

普段なら絶対見せない、揺れた笑顔。

 

「ねぇ……要。

 もし……もしよ? 今日の続きが……どこかに繋がるとしたら……」

 

百が俺の着物の襟をそっと掴む。

 

「……隣にいるだけじゃ、もう足りないって……言ったら……どうする?」

 

喉が鳴った。

百は俺の手に自分の手を重ね、指を絡めてくる。

 

「……ねぇ、要。

 酔ってるけど……これは冗談じゃないの。

 今日……あなたに言ってほしかった言葉、全部聞けたから……

 今……ちょっとだけ……弱くなってるだけ」

 

百の吐息が触れる距離。

唇が震え、胸元の布が上下する。

 

「……怖いけど……“女として見られるの”、嫌じゃなかった……

 むしろ……」

 

百はそこまで言って、俺の肩に顔を埋める。

 

「……もうダメ……これ以上言ったら……戻れなくなる……」

 

腕に抱きついてくる百の指が、俺の背中をぎゅっと掴んだ。

もしシャンは連載版あり?

  • あり
  • なし
  • タイトルでバンされる可能性あり
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