戦乙女の黙示録 (Apocalypse of the Valkyries) 作:redhot
朝鮮半島の東海岸に設けられた演習場は、緊張と静寂に包まれていた。
絶対防衛線構築の契約後、日本帝国は死を呼ぶ戦乙女(Death-Calling Valkyries)の実力をさらに検証すべく、訓練試合を提案した。
BETAの脅威が迫る中、貴重な時間を割く価値があるかは疑問だったが、私は影から指示を出し、姉妹たちに任せた。
代表として選ばれたのはモードレッド。
彼女のヴァルシオーネRは、近接剣とブースターをカスタムした機体。
金色の髪をポニーテールにまとめ、ライトグリーンの瞳に闘争心を燃やす彼女は、パイロットスーツの胸元からヴァルキリーマーク――翼付きヘルムに槍を交差させたエンブレムと「2」の刻印を輝かせ、機体に乗り込んだ。
「ふざけんなよ、こんなお遊びで終わるかよ!」
彼女の野性的な声が、通信越しに響く。
対する帝国近衛軍は、一個小隊の12機の瑞鶴。
マブラヴ世界の第三世代戦術機、青い装甲に帝国徽章を施した機体群。
近衛のエースたちが操る。
大和や武蔵が観戦席から鋭い視線を送る。
試合は模擬戦形式で、エネルギー兵器は非致死モード、撃破判定で終了する。
演習場の空気が張り詰める中、開始の合図が鳴った。
12機の瑞鶴が一斉に跳躍、ミサイルとガンポッドを構え、モードレッドのヴァルシオーネRを包囲する。
だが、それは一瞬の幻想に過ぎなかった。
モードレッドの機体がブースターを全開に。
ヴァルシオーネの優美な曲線美を保ちつつ、ヴァルシオンの強靭な構造が圧倒的な加速を生む。
剣が閃き、一機の瑞鶴の腕部を模擬切断。
続く機体へエネルギー波を放ち、シールドを貫通。
瑞鶴のバッテリー駆動では追いつけない速度で側面を回り込み、次々と判定撃破を積み重ねる。
性能の差は天と地。
ヴァルシオーネRの火力、耐久性、機動性は、戦術機を圧倒した。
わずか十数秒で、12機すべてが「撃破」表示。
演習場は静まり返った。
近衛軍のパイロットたちはコクピットから降り、呆然と立ち尽くす。
声も出ない。大和が穏やかな表情を崩し、武蔵が眼鏡を押し上げて息を飲む。
観戦席の帝国軍関係者も、凍りついたようにモードレッドの機体を見つめていた。
観戦席には、帝国軍の技術者たちが集まっていた。
ウリバタケセイヤは、29歳とは思えぬ老け顔にメガネをかけ、帝国の作業服――灰色のジャンプスーツに工具ベルトを巻いたマッドエンジニア。
シバシゲオは、陽気な笑顔の「眼鏡越しに好奇心を覗かせる中年男性、
同じく作業服姿。榊清太郎は、白髪交じりの厳つい顔立ちに帝国の技術者用コートを羽織ったベテラン。
ウリバタケが、興奮気味に口を開く。
「おいおい、なんだあのヴァルシオーネR! エネルギー出力が戦術機のバッテリー駆動の次元じゃねぇ! まるで未知の動力炉だぜ。BETAのレーザー級にも耐えそうな装甲と火力……こりゃ、戦術機なんて相手にならねぇよ!」
シバシゲオが、陽気に笑いながら続ける。
「ははっ、ビックリだ! あの機体の動き、戦術機の限界ぶっちぎってるぜ。整備の観点から見ても、完璧すぎる。瑞鶴じゃ歯が立たねぇ。天と地の差だよ、おやっさん!」
榊清太郎が、重厚に頷き。
「ふむ……整備士の俺が言うのもなんだが、あれは別次元の技術だ。戦術機のバッテリー駆動とは比較にならん。エネルギー源、構造、制御システム……すべてがオーバーテクノロジーだ。BETA駆逐の鍵になるかもしれんが、こんなものを傭兵が持ってるなんて、背筋が寒くなるな」
彼らの指摘は的を射ていた。
ヴァルシオーネRは私の能力で生み出されたもの。
この世界の戦術機の枠を超え、BETAを殲滅する怪物だ。
モードレッドが機体から降り、八重歯を覗かせて笑う。
「ふん、楽勝だったぜ。お父様、見てたか? こいつら、弱すぎ!」
近衛軍の沈黙は、畏怖へと変わった。
大和が、静かに呟く。「
……近衛の誇りが、こんなにも簡単に」
武蔵が、悔しげに拳を握る。
「くそっ、俺が乗ってもあの機体には勝てねぇか……!」
私は影から満足げに観察。
死を呼ぶ戦乙女の力は、帝国に深く刻み込まれた。次の戦いへ、準備は整っている。
整備士のみなさんもどこかで見た名前です。
名前考えるの難しい。
では、また次回。