戦乙女の黙示録 (Apocalypse of the Valkyries) 作:redhot
限定的な協力が成立した後、私は影からセルベリアに指示を出した。
香月夕呼のAlternative IV計画に、六姉妹全員を派遣せよ。
ヴァルシオン六機に加え、随伴機としてモビルドール制御のエウリード36機とデュラクシール36機を横浜基地へ。
これで「こちらはこれだけの戦力を貸したぞ」という意思表示をし、BETA由来の技術を信用するなと警告を伝える
。原作の悲劇を知る私にとって、BETA由来のものは決して使わない。
それが、私のポリシーだ。
横浜基地――日本帝国の心臓部に位置する要塞は、厳重な警備の下にあった。
夕呼のラボは基地の地下深く、量子因果論の研究施設として機能していた。
六姉妹は、ヴァルシオンを率いて空から降臨。
青い強靭なボディに角のある頭部、肩部キャノンと巨大な拳を備えたヴァルシオンが、六機並んで着陸。
バイザーを装着した彼女たちのパイロットスーツが、基地の照明に輝く。
随伴機のエウリードは、青い超魔装機のシルエット――全高42.8メートルの巨体に、オリハルコニウムの装甲が青く輝き、フルカネルリ式永久機関が静かに唸る。
流線型のボディにエネルギー兵器を搭載した36機が、虚空から現れ、基地周囲を警護する陣形を取った。
デュラクシールは、白と黒のコントラストが美しい超魔装機――全高50.1メートルの重厚なフレームに、フルカネルリ式永久機関を動力源とし、誘導ミサイルや高出力ビームを備えた36機。
カトキハジメデザインの洗練されたフォルムが、BETAの影を払うように展開。
美甘ネルがリーダーとして、ヴァルシオンのコクピットから降り立ち、バイザー越しに赤い瞳を光らせる。
「ふざけんなよ、こんなところで待たせんな!」
彼女の苛烈な声が響き、他の姉妹――一之瀬アスナの明るい笑み、角楯カリンのクールな視線、室笠アカネの穏やかな佇まい、飛鳥馬トキの機敏な動き、リオの知的な眼鏡――が続く。
夕呼は、ラボの入り口で待っていた。
長い紫色の髪を後ろでまとめ、鋭い紫の瞳が好奇心を宿す。
白いラボコートの下に、帝国科学者の制服が曲線美を際立たせる。
「ふん……予定通りね。六姉妹とこれだけの機体……ヴァルシオン、エウリード、デュラクシール。オーバーテクノロジーの見本市か」
彼女の口調は、冷徹で分析的。
ネルが、胸のヴァルキリーマーク「13」を撫で、伝える。
「お父様の意志よ。これだけの戦力を貸したんだ。Alternative IVに協力する証拠さ。だが、警告だ。BETA由来の技術を信用するな。あんなもん、悲劇を呼ぶだけだ。お父様は一切使ってない。計画に組み込むなら、覚えとけ」
アスナが、明るく加わる。
「みんなでBETAをぶっ飛ばすわよ! お父様の為にね」
カリン、クールに。
「性能は証明済み。使え」
アカネ、穏やかに。
「お父様の指示通り、支援します」
トキ、機敏に。
「指令確認。待機」
リオ、知的に。
「論理的ね。共同で勝利を」
夕呼は、紫の瞳を細め、機体群を一瞥。「ふん、警告は受け取ったわ。BETA由来の技術……確かにリスクはある。だが、私の計画は完璧よ。この戦力、有効に使う。首領――お父様か――に伝えておきなさい。失敗は許さない」
彼女の声に、操縦的な響きが混じる。
六姉妹は、ヴァルシオンに乗り込み、エウリードとデュラクシールの群れを従え、基地に留まる。
意思表示は明確だった。これで、夕呼の計画は加速する。
だが、私の警告は、悲劇を防ぐためのもの。
影から観察し、すべてを掌中に収める。