15歳の高槻セイジは、その日家出をした。
彼の母親は最近新しい男と再婚をした。
だが、母と再婚した男はもっとひどかった。
セイジはことあるごとに継父から殴られ、暴言をはかれた。
父ですらそういうことはなかった。
母は新しい父に夢中だ。
何をやっても父を擁護する。
学校もろくでもない場所だった。
毎日上級生や体育会系に殴られいじめられる。
セイジはようやく家を出る決心ができた。
深夜、雨の中セイジは一人で家を抜けてきた。
「はあ…はあ…はあ…」
セイジは走って抜けてきた。
やがて、セイジは走る事にも疲れてきた。
ふと、かれはとあるマンションの前にたどり着いた。
確かここは最近立ったばかりのタワーマンションだ。
「・・・・ああ・・・。」
お腹が減ってしまった。
空腹だ。
何も食べていないんだった。
母さんも新しい父さんもろくに飯をくれなかった。
彼は思わず気絶しそうになった。
その時だった。
「ちょっとさ、キミさぁ!こんなところで何やってんの」
セイジがふとみると、そこには女性がたっていた。
随分と派手な女性だ。
金髪に染め上げた髪の毛、そして派手なメイク。
「え!?」
「いや、ここはマンションの人以外入っちゃいけないんだけど…!」
「え、ああ‥」
セイジはバツが悪そうに地面をみつめた。
「っていうか、アンタ10代のガキじゃん。なんでこんな時間にうろついてるの!」
「・・・・すいません、でていきます。」
セイジは振り返り出ようとしたその時だった。
女性は手をつかんできた。
「・・・っ!?」
「待って!」
セイジはドキッとして振り返った。
すると女性は優しそうな顔をしていた。
「家出でしょ、キミ」
セイジはその優しい顔と笑顔にドキッとした。
「いいんだよ…私もそうだったから。あがりなよ。雨振ってるし風邪ひくよ、ほら。」
「ありがとうございます、お名前は」
「エリカ、あなたは?」
「セイジです。」
「よろしく、セイジ。」
女性は、セイジの手をつかむと家にあげてくれた。
彼はエレベーターホールの前に来た。
そこだけでも、学校の教室の何倍以上に大きかった。
天上にはシャンデリア。
そして、赤いカーペットがはられていた。
「うわあ…」
セイジの子供らしい反応に女性はクスと優しい笑顔を向けた。
二人はエレベーターに乗った。
やがて、エレベーターは18階まで上がっていった。
どうやら、ここに住んでいるのはかなり金持ちが多いみたいだ。
セイジとエリカはやがて、部屋の前に到着した。
「ついたよ」
エリカはセイジをドアの前に待たせると、鍵を開けた。
「ようこそ。」
そこには、高そうな冷蔵庫やソファー家具が並んでいた。
リビングをみた、セイジは話しかけた。
「あのソファー、座っていいですか」
「はあ?何それ座っていいに決まってるじゃん。そんなのきいてどーすんのさ。」
エリカはあっけにとられ驚いていると、セイジは少し「ごめんなさい」と小声で謝罪した。
彼女はこの少年は内気なのだとわかると、微笑んだ。
彼女より背が低く痩せた少年の背を抱きしめると、エリカは頭を掻き撫でた。
「いーのいーの、気にしない。」
セイジは久々に触れた暖かい肌を感じ、少しうれしく感じた。
「あのさ、あたし料理下手だからさ…総菜と冷食しかないけどいい?」
「はい!」
「お、元気になってんじゃーん♪」
エリカは嬉しそうだった。
彼女はコンビニの弁当をチンした。
本来は彼女が食べる分だったが、彼にあげることにした。
「食べなよ」
「はい!」
セイジは、椅子に座ると、テーブルの上に盛り付けられたコンビニ弁当を食べた。
エリカはカップヌードルにした。
彼女は食べながら聞いてみた。
「キミ、明日学校じゃないの?」
「学校行きたくないんです」
「どうして?」
「‥‥‥‥いじめられてるから。」
エリカは呆然とした。
彼女は話題を変えることにした。
「父さんや母さんは?」
「父さんは、浮気して逃げちゃった。母さんは新しい男と再婚して、その男は僕が邪魔なんですよ。だから…いつも殴ってきて。」
セイジは服を脱いだ。
そして、シャツだけになった。
そこには肩や胸のあたりがあざだらけになっていた。
「・・・・・・・・そうか。」
エリカは優しく微笑んだ。
「学校にも、家にも居場所ないんだね。」
「はい」
「女の子だとシェルターとかあるんだけど、男の子はないもんね…」
エリカは彼の隣に座った。
「私もそうだったんだ、私の場合はママが新しく付き合った男にレイプされそうになって、やり返したらママとその男に追い出されて…もう10年あってないかな。そんで、シェルターに逃げて。そこも抜け出して気が付けば風俗嬢になってたんだ。」
セイジは黙って聞いていた。
エリカはそんな彼をみると、何かを決意するように立った。
「ね、キミさ。ここにいなよ。気が済むだけずーっといていいからさ。」
セイジは微笑んだ。
「わかった。」
ようやく少年は居場所をみつけた。