※この作品はR-18です。

範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ)   作:贋海王

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反撃

 雨が降り出した。

 ポツポツと、疎らに細かい雨が降り、いつしか激しい豪雨となっていた。

 

 夜も既に深い。

 月は陰り、雨雲は夜の空に厚く残っている。

 だが、真冬がいる“倉庫”では、雨音一つ聞こえなかった。

 内外の音を遮断する防音設備。

 倉庫に囚われた少女の泣き叫ぶ声は、外部へ決して洩れ出すことは無いのだ。

 

 真冬は毛布一枚すらない、固いベッドに横たわっている。

 まる一日休む暇無く凌辱され、漸く休む事を許されたのだ。

 

 白い肌の此処彼処に、夥しい痣や傷が見られる。

 ただ犯されていただけではない。

 激しい暴力にも晒されていた。

 両足の親指と小指が赤黒く腫れ上がり、異様に捩る様に曲がっている。

 骨が折れているのではない。

 粉砕されているのだ。

 蒙将龍との三度目の取り組の結果だ。

 指を粉砕しながら、凌辱を続けた。

 

 横になりながらも、眠りには落ちていない真冬の耳に男達の笑い声が届く。

 静寂の中、その声はよく響いた。

 その内の一人の声は覚えている。

 名前は知らないが、あの男だ。

 膣口にガスガンを挿し込み、BB弾を大量に撃ち込んだあの男──竹内嘉信である。

 聞きたく無い笑い声だった。

 

「おや、坊ちゃん。ご友人と一緒にどうなさったんですかい?」

 悪樓の言葉に、嘉信は下卑た笑みを返す。

「遊んでやるんだよ、真冬ちゃんと。楽しいゲームでな」

 嘉信は、持っていた段ボール箱を悪樓へと手渡した。

「そいつは、ガムテープで封してるだろ?開けずに見守っていてくれ」

 

 嘉信がそう念を押すように言うと、他の男達は笑った。

 そして、小さなケージを投げ捨てた。

 すると、ケージ内にぶつかり、痛みを訴える仔犬の弱々しい鳴き声が聞こえた。

 

「……ぇ」

 真冬はびくりと身体を震わせた。

 ここにポチタロは居ない。

 上体を起こし、犬の鳴き声が聞こえた方へ顔を向ける。

 別の仔犬だろうか。

 プラスチック製の持ち運び様のケージが転がっていた。

 前面の入り口は金属製の柵状になっているが、そちらは真冬から見て逆を向いており、内部を伺い知る事は出来なかった。

 

「よお、真冬ちゃん、起きてたのか」

 

 嘉信の他に、男が五人いる。

 彼らはベッドの上にいる真冬を取り囲んだ。

 段ボールを持った悪樓は6mほど離れて立っている。

「こいつ、今日何回中出しされたんだ?」

「五十回以上は確実じゃね」

 

 携帯電話の画像を幾つか見ながら、柳田と新谷が真冬を指差し笑った。

 指先は真冬の下半身に向けられている。

 狂気に魅入られた彼らは、既に真冬を人間扱いしていないのだ。

 ラブドールやオナホール以下の存在と捉えていた。

 

「真冬ちゃん、ゲームしようぜ」

 

 真冬の虚ろな双眸は彼らを見てはいなかった。

 彼女の視線の先はケージがある。

 そして、それはケージを見ているのではなく、中に居るであろう仔犬の存在を意識し感じているのだ。

 昼間、この倉庫で唯一の命だった蜚蠊を悪樓に殺された。

 どれだけ懇願しても、蜚蠊は潰され、あまつさえ自分の膣に塗り込まれたのだ。

 無論悪樓も真冬が蜚蠊の命を重んじ、叫んでいるとは考えていなかった。

 

 単にそれを潰し、真冬の膣に破片や体液を塗り込む事が楽しかっただけだ。

 その行為を心底嫌がり、怯えているのだろうと嘲笑っていたのだ。

 

 真冬は、新たに現れたこの命がどうなるのか、気掛かりに思っていた。

 失われて欲しくないと、真冬は強く願うが、それも悪樓次第であろう。

 真冬は、自身がどれだけ抵抗してもこの男には絶対勝てないと、理解していた。

 それは諦めに近い。

 もはや、自身の強さに信頼を置いていないのだ。

 

「真冬ちゃん、お前、犬好きだよな」

 

 嘉信は真冬の顔を覗き込む。

 が、一向に反応を返さない真冬に苛立ち、右拳を握るや、それを彼女の頬へ振り抜いた。

 打たれた刹那、真冬は無意識のままに衝撃を殺した。

 直撃する前のほんの一瞬、顔を僅かに拳に寄せ、皮表面に拳が触れるとその後は後ろに顔を引いた。

 そして頬骨で一瞬、押し返し、拳の威力と速度を完全に殺し衝撃を逃がしたのだった。

 意識すらしていない。

 それを、ごく自然に行った。

 

 恐らく、嘉信は頬を打った感触が無かった筈だ。

 まるで羽毛やビニール袋を殴ったように感じただろう。

 あまりに気持ちの悪い感覚だった。

 故に、自身の拳を見てしまう。 

 勿論、真冬が何かしたのだと、それさえ理解出来ていない。

 まるで……そう、ここにいるのは幽霊なのでは。

 などと、一瞬、ぞくりと冷たい怖気を感じた。

 この倉庫の怪談も聞いたことがある為か。

 解体された少女が歌う『かごめかごめの替歌』の話しだ。

 

 真冬は既に死んでいてここにいるのは幽霊なのか……!?

 だが、その恐怖を振り払うように深く息を吐いた。

 

「おい、そいつ頼むぜ」

 嘉信が木村に声をかけると、ケージを持ち上げた。

 そして、真冬の目の前に持ってくる。

 真冬の耳に届く、か細い悲痛な仔犬の鳴き声。

 軽い金属が擦れ合う様な声で、仔犬は苦痛と恐怖を訴えている。

 ケージを開けると、仔犬は奥へと引き下がる。

 より、悲鳴が強くなった。

 木村の腕がケージの奥へ入り込み、仔犬の首を掴んだ。

 

 呼吸が洩れる様に喉の奥を仔犬が鳴らす。

 ずるりと仔犬を引き摺り出し、ケージを落とす。

 

「ぁ……ゃめて下さい、苦しんでいます……そ、それにその子……熱が高い……病気ですから……」

 

 震える声で真冬が言った。

 男達は唖然とした。

 熱が高い──どういう事だ。

「あぁ、そっかあの爺、医者に連れてく途中だったのかもな、このケージに入れて持ち運ンでたからよ」

「ヨッちゃん、パクったんだよな、その糞犬」

「いや、なんで、こいつ、この糞犬が病気ってわかったんだよ……」

 

 男達は、各々顔を見合わせた。

 そして気味が悪そうに真冬へ視線を送る。

「よし、じゃあこうしよう」

 

 嘉信が真冬に仔犬を見せる。

「こいつを助けたかったら、真冬ちゃん、てめえでてめえの尿道口に彫刻刀をブッ刺してみな」

「あぁ、そうそう」

 

 そして木村は真冬のポーチを見せて、そこから彫刻刀と釘を三本取り出した。

「で、この糞犬の尻穴とキンタマ二つに釘をブッ刺したら、お前のレイプ地獄から解放してやるよ、なぁ、犬助けるか、自分が助かるか、選んでみな」

 

「ぇ……」

 一瞬、尿道口と言う単語が理解出来無かったが、言葉を反芻してみると直ぐにどこを指しているかは思い至った。

「ほら、選べよ、クソガキ」

 

 嘉信は仔犬の耳を掴み、捻り上げた。

 一際甲高い鳴き声が仔犬から上がった。

 

「ゃ……ゃめ」

 

 真冬に彫刻刀と釘を投げて寄越す。

 嘉信は、仔犬の首を掴んだまま仔犬を突き付けた。

 

 真冬は、釘を取った。

 そして、目を瞑り歯を強く噛み締める。

 少し体勢を変えて、脚を広げた。

 

「へ……」

 山村が気の抜けた声を出した。

 男達の想像だにしなかった行動に真冬が打って出たのだ。

 彫刻刀を握りしめ躊躇いなく、一気に尿道口へと突き刺したのだ。

 

 尿道口を深く傷付け、刃が皮膚と肉を突き破っていた。

 彫刻刀がスルリと外尿道口に挿入などされないだろう。

 ただ、彫刻刀は周囲の肉を巻き込み突き抜けているのだ。

 夥しい血が、溢れている。

 

「う……嘘だろ、キチガイかよ、このガキ」

 若松の声は恐怖で震えていた。

 まさか、仔犬を刺さず、自身を刺すなどと想像出来なかったのだから。

 少なくとも自分ならやらない。

 絶対に仔犬を刺している。

 

「そ……その子を、びょぅ、いんに、連れていってあげて……下さい」

 苦しげに何度も息を継ぎながら、真冬は懇願する。

 

「糞犬ゲーム!結果発表ッッ」

 嘉信は大笑いしながら叫んだ。

 嘉信の笑い声を聞き、恐怖に我を忘れかけていた男達も、正気に戻る。

「いやあ、スゴいわお前。信じてたよ、俺は」

 

 嘉信は悪樓を呼び、段ボールの封を開けさせた。

 そして、それぞれが予想結果を書いた紙を開いていく。

 

 笑う嘉信以外は、皆腹立たし気に真冬を見ていた。

 誰も、真冬の姿に憐憫を掛けることは無かった。

 

「俺以外、糞犬に突き刺すでしたーッッ」

 そして、紙を見せる。

 

「……え、スゴ」

「クソガキ、糞犬に刺してりゃ、俺ら一人に百万円ずつ山分けだったのによおっ!」

 若松が怒鳴り、嘉信から仔犬を引ったくる。

 

「おう、ヨッちゃん、糞犬ゲームは終わりダッ、次はクソガキレイプの時間だろうが!」

 

 そして、仔犬を床に叩きつけた。

 ギャウッと太い声で鳴き、仔犬は転がった。

 更に蹴り上げた。

 ボールが跳ねる様に仔犬の体が宙を舞った。

 

「ぁ……なん……どぅし」

 真冬が呟く。

 

 転がる仔犬を追って、若松と山村が走った。

「やっぱ、一発目はヨッちゃんだろ、俺らは糞犬サッカーでもやってるから、ヨッちゃんはヤッてろよ」

 

 下品に笑いながら、サッカーボールを蹴る様に、脚をスイングする若松。

 その時だ──

 突然、若松が軸足としていた右足から鮮血が迸った。

 

 脹ら脛から、凡そ10cm程度の木製の棒が突き出ている。

 

 違う。

 これは、彫刻刀の持ち手だ。

 若松の脹ら脛に深々と、刃渡り1.5cmの刃となる金属が突き刺さっており、持ち手だけが伸びているかのように見えたのだ。

 

 若松は仰向けに転倒し、後頭部を床に打ち付けた。

 

 その彫刻刀は──

 無論、今しがたまで、真冬の尿道口に突き刺さっていたものである。

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