※この作品はR-18です。

範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ)   作:贋海王

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陵伽の闘氣

 

 ──呉リョウガは、身長138cm体重32kgの少女である。

 年齢は今年で十二歳になる。

 正確には十一歳だ。

 十二歳のなかでも、小柄な部類に入るだろう。

 

 対して、當之(たぎの)馬厳(ばげん)は身長183cm体重97kgの三十四歳である。

 

 普通ならば、格闘技の試合など成り立つ筈が無い両者だ。

 女性と男性であるとの性差は言うに及ばず。

 

 体格差が余りにもあり過ぎる。

 身長は45cm体重は65kg、リョウガは劣っている。

 少女である故に、筋量などどれだけ劣っているのだろうか。

 

 そして、そんな二人だが、現在、馬厳がリョウガへと馬乗りになっていた。

 リョウガの腹の上に、馬厳が跨がり尻を乗せているのだ。

 

 衆目に晒される中で、この異様な闘争が行われていた。

 闘争──これは、試合ではない。

 ルールは何一つ決められていないのだ。

 目突き、噛みつき、睾丸への攻撃……そうした物も禁じられていないのだ。

 現に、リョウガは、右肩を噛みつかれ、そこの肉がごそりと噛み千切られ、夥しく流血しているのだった。

 

 武器の使用すら許されている。

 中華包丁に、リョウガの右頬は裂かれていた。

 

 闘争ですら無いのかも知れない。

 これは、とどのつまり、殺し合いである。

 

 野次馬達は、どんな反応をすれば良いのか分からなかった。

 例えば通報だ。

 だが、この亜細亜街は神室町の中でも、外国人が犇めく一画である。

 その中には海外のマフィアも潜んでいると聞く。

 幼女に跨がる男は、明らかにそうした手合いの人物だ。

 警察に通報などすれば、恨まれる可能性がある。

 単純に、報復が怖いのだ。

 通報し、捜査協力のための証言で、拘束されるのが面倒だと思うものもいた。

 誰もが、自分が一番可愛いものだ。

 この闘争を楽しんでいる者だっている。

 幼女と達人然とした辮髪の男がやり合う、ミックスファイトなんて、無料で観られる物では無いからだ。

 裏社会なら、そうした物も有るだろうが、観戦には法外な金額が必要なのだ。

 無論神室町には、そんな非合法な格闘技を観戦出来る場所がある。

 女性対女性の賭け試合、女性対男性の物もある程だ。

 そうした試合を楽しむことが出来ない一般人にとって、今夜のこの焼き肉屋で繰り広げられているミックスファイトは最高のショーであった。

 しかも、命の取り合いという側面も見られるのだ。

 もしかしたら、幼女がレイプされるのではと、考えている男もいた。

 故にそうした幾つもの理由があり、誰もが傍観しているのだった。

 

 だが、ただ一人、谷村正義だけは、何かしら行動を起こそうと考えていた。

 だが、下手なタイミングで動けば、幼女が今より危険な状況に陥るかも知れないのだ。

 必要以上にでも、慎重にならざるを得ないのである。

 

 凄まじい音が響いた。

 馬厳の蟷螂手(とうろうしゅ)が、リョウガの左側の顳顬(こめかみ)を打ったのだ。

 眼窩の骨が軋み、罅が生じた音でもあった。

 

 真上から蟷螂手で打たれる。

 そして、顳顬を再び打つ為に右腕を馬厳が振るった。

 それを下にいるリョウガは頭を振って躱した。

 躱すのと同時に、その右蟷螂手へと、左手を握り締め、手の甲で弾く様に払い打ち付けた。

 

 その時、僅かだが馬厳は眉間に皺を寄せた。

 一瞬不快そうに、鼻を鳴らしていた。

 揃えられた三本の指ではなく、握られた薬指と小指を、リョウガが放った裏拳は打っており、馬厳は小指を痛めたのである。

 恐らく、第二関節付近の骨に罅が生じただろうと、彼は気付いていた。

 

 そうした打ち合いの中で、馬厳の内で生じている、ふつふつと熱湯へと煮えたぎる様に沸き立つ興奮は、奇妙な物だった。

 幼女の柔らかい腹の上に跨がり、顔面へと拳を落としていると、自身の陰茎が如実に膨張していくのだ。

 闘争による、既に武術から逸脱した暴力と、幼子の肉──その二つに心が躍り、異様な迄に昂っているのである。

 

 肛門を蟷螂手で掻き回され、その苦痛によって流した涙で今も濡れている顔を見ると、悍ましい嗜虐心が湧いて来るのだ。

 悲鳴もまだ耳に残っている。

 あの悲痛な声がまた聞きたい。

 そして、叫ばせたいのだ。

 

 なる程、確かに女との闘争は別種の愉しさがあると、馬厳は考えていた。

 友人が参加しているようなミックスファイトに自分も出てみても良いかも知れないなどと、リョウガを打ちながら、そうした闘技場へ思いを馳せるのだ。

 

 七代目源王会女性専門賭け闘技場『麗縁慕恥(れいえんぼち)』

 そして、それの真の姿である──

 ──七代目源王会女性売買専門賭け闘技場『隷艶姆痴(れいえんぼち)』である。

 

 奇妙な湧き上がる快感は、ともすれば、あいつらの様な衆目に晒されて、拳を振っている事も影響しているかも知れない。

 連中の前で、自身の腕力で女を蹂躙するのは、良い気分であった。

 あいつらは、実の所、羨望の眼で自分の暴力を眺めているのだ。

 馬厳は、それが、悪い気分では無かったのである。

 

 そして、小指の骨に罅を入れて来た事への返礼をする様を、あいつらに見せてやろう──と、最大の速度で、蟷螂手を振り下ろした。

 

 蟷螂手が、リョウガの乳頭中心を正確に打ち抜いた。

 揃えられた三指が、それらの先端よりも小さな乳頭を圧し、潰し、めり込んでいく。

 そのインパクトから一拍程置いたあと、馬厳が聞きたかった絶叫が、空気を裂いた。

 喉を絞め押し潰されたような、呼気と恐ろしい擦過音が擦れ合う、地獄の責め苦に喘ぐ亡者の絶叫であった。

 乳管口に、五寸釘を打ち込まれそれを勢い良く打ち付けたあと、乳頭に突き刺さった釘が膨張した──リョウガの脳裏に、自分の乳首が弾け飛ぶ瞬間が過る激痛であった。

 

 それを左右。

 責め苦が二度──リョウガの意識は、脳から外へと追い出されていた。

 凄まじい痙攣と共に、またも失禁し、なんと糞まで放(ひ)りだしたのである。

 血の混じった糞便が、彼女の下着に溜まった。

 

 大勢の野次馬が、その糞便の臭いに気付き、嘲笑を浮かべた。

 女性の乳房は、男性の睾丸同様に急所である。

 それへの打撃は非常に危険なものなのだ。

 一瞬で意識を刈り取られる、そんな激痛が与えられる。

 女子ボクサーが胸にプロテクターを着けて乳房を保護するのは、男性の格闘家が股間にプロテクターを着けるのと同様だ。

 それは、乳房への打撃が危険な事であるとはっきりと示す例である。

 

 愉悦に揺れる目で、リョウガの鳩尾辺りに親指を添えて、腋の下部辺りの横腹を残りの四指で掴み、そのまま上にスライドさせていく。

 胸の肉を集める様に──肉を追い詰める様に乳房の裏を持ち上げていった。

 リョウガは、まだ十二歳になろうとしている幼子である。

 大人の女性のような膨らみはまだない。

 だが、大人になる前の、膨らむ確かな、幼い肉があった。

 それを絞るように握り締める。

 万力が締め上げるような圧力で、形を変え潰していく。

 衣服の下で、どの様に幼い乳房が悲鳴を上げているかは隠れているため、分からない。

 

 その時だ──

 発砲音が軽く空気に擦れた。

「そこまでだ、女児から離れるんだ」

 

 谷村正義が、拳銃を構えて、そう告げた。

 火器を使うのも已む無しと、谷村は判断したのだ。

 今の絶叫が、谷村の身体を動かした。

 銃身長50mm強の回転式拳銃である。

 

 声をかけられ、馬厳は、鼻を鳴らし、顔だけを谷村に向けた。

 銃口が向けられている。

「神室署のもんだ、離れて、手を頭の後ろに組めっ」

 

 馬厳の口角がつり上がった。

 眉を顰めて、爬虫類の様な感情の無い冷たい視線を谷村に向けた。

「刑事さん、寧ろあんたがな、ここから離れなよ。馬鹿みたいな正義感は身を滅ぼすことになるんだ」

 

 そう普段と変わらぬ仄暗い声で、谷村へ語りかけつつ、リョウガの胸元を引き裂いた。

 朱く乳房が染まり、乳首は充血し、先端から出血も見られた。

 蟷螂手の形で、三本の指で小さなその先端を摘み、捏ねるように捩る。

 それは、谷村に見せ付ける様な行動だった。

「ガキに教育してやってんだよ、この娘が何したか、おまえは知らんだろうが、な」

「黙れっ」

 

 またも発砲。

 これは当てるつもりであった。

 が、陽炎のように揺らめき馬厳が立ち上がると、まるで弾丸はすり抜けていくように、彼から逸れてしまった。

 

 ──躱しただけだ。

 

 谷村が、冷たい物を感じた。

 すると、馬厳が既に眼前に居たのだ。

 蟷螂手が、肩に振り下ろされた。

 しかしそれは、背後にステップし躱した。

 そして、馬厳の背後に回ろうと、円を描くように移動する。

 が、突然、腹に何かが炸裂したように感じた。

 馬厳の右足刀が、鳩尾に突き刺さり、そのまま何と左脚が跳ね上がると顎を蹴り上げられていた。

 

 更に蟷螂手が右足に絡み、顎が跳ね上体が天を仰ぐ様に傾くと、その足を捕られたまま倒されたのだった。

 

 そして、駄目押しの足刀が、喉に落ちる。

 

 ──事は、無かった。

 

 背後から『氣』が刺して来たのだ。

 馬厳は、咄嗟に、氣をぶつけて来た何者かへと振り返り、そして間合いを広げる為に後退していた。

 

「誰か知らんけどありがとなあ、お兄さん、お陰で息も意識も整えられたわ」

 

 谷村のお陰で、数秒休めたのだ。

 何より、谷村が自分の上に乗っている馬厳が離れる切っ掛けになってくれたのだ。

 あのままのし掛かられていると、どれだけ休めても反撃は困難だったろう。

 無論、外していれば、どうとでもなる。

 しかし、あの状態では、すぐに外す為の集中は行えなかった筈だ。

 とは言え、もう外した。

 その証拠に、顔にも、引き裂かれた胸元にも、異様に太い血管や神経が浮き上がっていた。

 

「ウンコ漏らしてもうたわ、恥ずかしいなあ!糞!」

 

 何と、脱糞を自ら嗤い、それを話しのネタの様に扱ったのだ。

 異常な、凄まじい精神性であった。

 

「鬼哭勁脈──外し100%で行くで、ボケナス。楽に死にたかったら、倉庫の場所、早よ言えや」

 

 力の温存など、もう考え無い。

 ここを切り抜けられなければ、どちらにせよ真冬を救出できないのだ。

 

 劉星龍を打ち破った外しは、開放率53%の外しに加えて、範馬の遺伝子を使い、背に鬼を哭かせた物である。

 

 今は、外しの開放率が100%であった。

 更に鬼も哭いている。

 

「死ねやボケナス」

 

 リョウガは、右手の五指を揃えた。

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