※この作品はR-18です。

範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ)   作:贋海王

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水子粥

 貸倉庫群の中で、番号が振り当てられている棟が、竹内政信専用の倉庫である。

 番号は、1から8番まであり、真冬が、囚われている棟が4番棟だ。

 これら8棟の“倉庫”には地下が存在しているのだ。

 獠は、剛志から伝えられた4番棟へと急いでいた。

 

 かなり離れた所から、ブローニングM2重機関銃が、連射される音が響いている。

 二ヶ所からだ。

 海坊主と井森である。

 井森のM2は、ジープの銃架に車載されている。

 井森とユウヤも交戦を開始しているようだった。

 

 豪雨の中、貸倉庫の屋根から一人飛び降りて来た。

 その源王会の極道は、着地するやいなや、獠目掛けて、つるはしを振り抜いた。

 駆けていた獠だったが、眼前に突如現れた男のその一撃を躱す。

 そして、かなりの速度で通り過ぎたつるはしの柄を、左腕で払った。

 極道は一瞬バランスを失う。

 そこで、獠の膝が極道の鳩尾に突き刺さっていた。

 くの字に折れ、崩れていく極道の後頭部へ、追い討ちで肘を叩き込んだ。

 銃の腕だけではない。

 シティーハンターこと、冴羽獠、体術にも精通しているのだ。

 

1.

 185cm128kgの蒙将龍──

 184cm125kgのカツアゲ坊主剛志──

 

 剛志は、嘗ての横綱と並んでも、遜色無い体躯を誇る11歳であった。

 

 全盛期の蒙将龍の体重は168kgだったが、大きく減っていた。

 減ったのは、脂肪分だ。

 それは、筋肉に変わっている。

 一時期、100kg近くまで減らした体重を、更に128kgまで増やしたのである。

 ざっと100kgの筋肉を手に入れたのだ。

 体重は減ったが、膂力は大幅に上がった。

 太く、堅く、そしてしなやかさを合わせた重い筋肉により、打撃のスピードや、全力で動く為のスタミナも上昇している。

 土俵際の勝負など、もはや不要だった。

 力士ではなく、完全に、実戦屋としての肉体になっていた。

 

 真冬に敗北し、鍛え直したのだ。

 

 二度と小娘風情に敗北しない。

 真冬に小指を噛み千切られ、指詰め(エンコ)力士などと不名誉な渾名で、極道達に呼ばれた憎悪が、彼を強くしたのだ。

 

 ──真冬を三度レイプした。

 ──両足の親指と小指の骨も砕いてやった。

 ──三度のレイプを録画し、画像や映像をネットにも流した。

 ──何ら抵抗出来ず、泣き叫ぶだけだった幼女の膣内に、幾度も欲望を吐き出したことで漸く溜飲も下がり、完全に真冬を破った蒙将龍は、闇の横綱に返り咲いたのだ

 

 だが、もう一つ、真冬を屈服させる為にやりたい事が残っている。

 ──何度も犯し孕ませる事だ。

 しかも、それが終着点ではない。

 堕胎、或いは流産させるのだ。

 

 竹内政信が、性欲処理人形が子を孕んだ時行う遊びがある。

 

『水子雑炊』

『水子粥』

 政信が考案した料理が“倉庫”に存在している。

 これは“水雑炊や水粥”に加えて“玉子雑炊や玉子粥”と『水子』を掛けた名称である。

 流産した胎児や胎盤、羊膜、臍の緒などを具に、性欲処理人形の眼前でその粥を調理し、女に喰わせるのだ。

 

 望まぬ相手、行為、そうして身籠った子をどう思うか。

 愛せるのか?憎むのか?

 それはその女次第であろう。

 だが、どちらにせよ、無理矢理に堕胎、流産をさせられるのは、苦痛を伴う筈だ。

 故に、性欲処理人形が狂っていなければ、政信にとって、非常に楽しめる余興となるのである。 

 

 これを、政信は過去に幾度も、数多くの幼い少女に行っているのだ。

 しかも、一人の少女につき、一度ではない。

 少女が、不妊の身体になるか、絶命するまで何度も行われるのだ。

 

 蒙将龍は、この鬼畜極まりない悪行を、真冬で試したいのである。

 

 この目の前に現れた謎の男──真冬を救出に来たらしい。

 こいつを血祭りにあげ、今夜は、その死体の横で真冬をレイプしよう。

 蒙将龍は、そう考えていた。

 

 鼻頭を引き千切られても、向かってくる男。

 非常に面白い。

 投げて、倒した。

 表の相撲ならもう終わっている。

 だが、鼻孔に指を突き入れ投げ倒す。

 そんな決まり手など相撲には無い。

 寧ろ、プロレスリングの裏技に近い技だ。

 そして、今やってるこれは、闇相撲──いや、殺し合いである。

 投げて、転ばせて、それで終わりではない。

 この男との勝負は始まったばかりなのだ。

 

 剛志が、前に出る。

 真っ直ぐ踏み込み、距離を縮め、一気に詰め寄った。

 剛志の太い腕が疾った。

 ──アナコンダだ。

 太いアナコンダが、牙を剥き、素早く迫り襲いかかって来る──そんな豪腕だ。

 ともすれば、意思を持った丸太かも知れない。

 

 蒙将龍は、裸に相撲褌(廻し)……ではなく、当然、普通に服を着ている。

 長袖のスウェットに、よれた長ズボン、足下はスニーカーと言ったラフな格好だった。

 特別、戦闘は想定していない服装である。

 

 蒙将龍は、蹲踞の体勢で待っていた。

 そして、剛志の手が触れる──その瞬間、蒙将龍も潜り込むように踏み出した。

 

 ──相対する山。

 剛志と蒙将龍、互いに、聳え立つ大山である。

 

 そして、その山は活火山だ。

 ぶつかり合う、両火山の噴火は、破局噴火宛らであった。

 

 ほぼ、同時に破局噴火が起こっていた。

 肉が肉を打つ凄まじい轟音が、両者から発せられた。

 

 剛志は、右手を硬く、強く握りしめていた。

 そして、左手は、その右拳を覆う様に添え、掴んでいる。

 プロレスリングで言う所の『ダブル・スレッジ・ハンマー』だ。

 それが、蒙将龍へと振り下ろされたのだ。

 

 一方、蒙将龍は蹲踞の姿勢から、飛び込む様に加速していた。

 繰り出したのは、相撲的な技では無かった。

 蹲踞の姿勢は、文字通りのポーズ──見せ掛けの物であった。

 右拳を、剛志の顎へと突き上げたのだ。

 

 スレッジハンマーを蒙将龍の顔面に。

 アッパーを剛志の顎へ。

 両者は、同時に、ぶつけ合ったのである。

 

 示し合わせたかのような、相打ちであった。

 蒙将龍の鼻の軟骨が潰れ、剛志の顎骨に亀裂が生じた。

 

 蒙将龍の鼻孔から、どろりと赤黒い血が溢れた。

 剛志の顔は上向きに跳ね上がった。

 そして、僅かに蹌踉めき、転倒せぬ様、地面を強く踏み締め堪えたのだ。

 

 ──両者の口から小さく呻き声が洩れる。

 その相打ちから、即、次なる行動へと移ったのは蒙将龍だった。

 地面を踏み締める──2ミリ秒程度だが、それが、剛志の行動の遅れとなった原因だろう。

 

 ミシミシと、まるでそんな音が聞こえるかと言うほどに、蒙将龍の腕の筋肉が膨れ上がった。

 肘を曲げ、弓を引くように振り上げられた上腕二頭筋が、恐ろしく肥大していくのだ。

 どれ程の力を秘めているのだろう。

 

 そして、この筋肉は、魅せる為の筋肉ではない。

 海外のプロレスラーが、例えば何らかの薬などを用いて肥大化させた様な筋肉でも無い。

 鍛え上げ、人体を破壊するために作られた筋肉なのだ。

 

 蒙将龍の右拳が、剛志の顳顬へと放たれた。

 更にほぼ間を置かずに左拳が、右顎を掠め、そこから更に剛志の下顎へと右拳が突き上げられたのだった。

 

 右と左のフック、そして、アッパーと、蒙将龍の三連撃は、もはや力士と思えぬ打撃である。

 だが、大きく顔面を跳ね上げられた剛志だったが、僅かに蹌踉めく物の転倒せず、後退する事すら無かったのだ。

 

 しかも、その一撃一撃を喰らってなお、嗤っていた。

 

「……お前、真冬に勝ったって言ってたよな」

 

 徐に、剛志はそう言った。

 顎に手を置き、首を二度鳴らした。

「あ?あぁ、三回な」

「可笑しいな……俺とヤった時の真冬の戦闘力を考えると、真冬が、お前程度に負けるとは、到底思えねぇがな」

 

 その剛志の言葉に、相当怒ったのか、蒙将龍の目が鋭く吊り上がる。

 元から細い目が、吊り上げられ細められると、平らな石の面に一筋、刃物で線を入れた様な、不気味な目付きになっていた。

 

「俺を倒した真冬が、お前なんぞに、負けるかって言ってんだよ、元横綱さんよぉ」

 

 剛志は、当然、蒙将龍が有名な横綱であることを知っている。

 多くの不祥事により、角界を追放された事も。

 

 剛志が踏み出す。

 そして、ズボンの腰回りを両手で掴んだ。

 抱きかかえるようにも見える。

 それは、力士が、立ち合いの際に廻しを掴むような形であった。

 

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