範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ) 作:贋海王
2. 武術家は見た
うむ、出来ることなら、初っぱなから見たいと思わせた喧嘩じゃったよ。
身の丈にして凡そ六尺一寸五厘──
目方は恐らく優に二拾六貫を越えていようか。
片方はかなりの立派な体躯を誇る少年じゃったよ。
無論、六尺を越える者など、今時の日本になら多く見られようものじゃが、驚くべきは肉の厚みじゃな。
何処を見ても太い。
首も腕も脚も胴も胸部もな──
其奴、まるでドラム缶の様な体躯でのう。
暴れ牛と力比べで勝ちそうな腕をしておったわ。
そして、特筆すべきはその首回りか──
例えば、そこいらの力自慢が其奴の顎を金づちか何かで殴り付けたとしよう。
しかし、その重い一撃をいとも容易く吸収してしまうであろう頸椎──
間違いなく、奴は、その一撃を食らったとしても揺らぎ一つせんじゃろうて。
弟子に迎えたい、そう思わせる少年だったのう。
いや、儂自身が立ち会いを挑み拳を交えたくなる相手でもあったわい。
うむ、戦国期より伝わる我が古牧流古武術は
師と弟子が立ち会うのも互いの修行の一貫となるのじゃよ。
儂には愛弟子が居ってな。
うむうむ、お主もよく知っておるじゃろう、“堂島の龍”こと“桐生一馬”じゃ。
桐生とあやつが立ち会い、どう転ぶかは分からぬが、会わせてみたいのう。
何にせよ、
片方は、そう、お主が知りたがっとる白い少女じゃよ。
真冬ちゃんじゃ。
──む、何じゃ、その気味の悪い者を見るような目で見おってからに。
何?“ちゃん”付けで呼ぶとは思わなかった?
か、構わんじゃろう。
あれほどの幼い
そ──それにじゃ、儂には宗介と言う孫がおるんじゃが、生意気な男でのう──
欲しかったもんじゃ、真冬ちゃんの様な可愛いらしい孫娘が……。
──まぁ、それは、置いておけ。
真冬ちゃんは、誰がどう見ても幼く、その年齢の中であっても小柄な四尺にも満たぬ背丈で、目方のほうも九貫程度と武術家として心許ない軽さじゃ。
そんな二人が拳を交えとる。
普通、勝負など端から見えておる。
お話にもなりゃせんじゃろう。
しかし、な。
真冬ちゃん──ありゃあ、化けもんじゃよ。
うむ、儂が出来る全ての武を、あの子に伝えたい。
そう思わせる娘じゃった。
桐生を暫く見ておらんからのう。
そろそろ新しい弟子が欲しかったんじゃよ。
そこで、見付けたのがあの二人じゃ。
真冬ちゃんを弟子に、そう思わせる最大の理由もあってな。
あんな技、どこで覚えたのやら。
じゃが、あの子の事を考えるに、儂の古牧流よりももっと適した流派もあろうなぁ。
ん?どういう意味じゃと?
うむ、真冬ちゃんのそれは、まさしく、殺法と言うべきものじゃろう。
──その技術をより一層磨く為、強いて言うならば
ん?空手道神心会館……?
うむ、彼処なら真冬ちゃんも、格闘士としての更なる研鑽を積むことが出来よう。
じゃが、真冬ちゃんは無手の技術だけではその身に眠る真価を発揮できんじゃろうな。
故に──
マスター国松の──“大日本武術空道”
本部以蔵の“本部流実戦柔術”
鎬昂昇の“斬撃空手”
空道と本部流はな──
刀や槍は言うに及ばず、鎖、鎌、棍などなど
更に西洋の武具や忍の暗器、果ては煙玉や火縄などの火薬や火器類まで──
そこに、素手の格闘術を加えた流派じゃよ。
鎬の斬撃空手は、読んで字のごとく、素手で相手を切り裂く流派じゃ。
真冬ちゃんの場合、色々面白い切り裂き方を見せてくれそうじゃわ……。
──あの子が使う空掌や紐切りを見てみたいのう。
だが……この現代の世の中、流石に、そうそう武具を持ち歩く訳にも行くまい。
ならば、あの子が見せたあの技──
無手の技術にこだわり、あれを踏まえて鑑みるなら……。
須久根流なども良さそうかも知れんの。
尤も、彼処が真冬ちゃんを弟子として迎え入れてくれるわけは無いだろうが、な。
『仕切り直し、没ネタエピソード』は削除し、残骸置場に入れた方が良いですか?
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そのままで良い
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残骸置場行きが良い