※この作品はR-18です。

範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ)   作:贋海王

18 / 139
幼女の黒タイツ

  

 陥没したブロック壁の中に押し当てられ、未だその左脚を抱え込まれている真冬──

 今しがたの威力には、勝利を確信させるような手応えがあったと剛志は感じた。

 とは言え、ここで止めるつもりは無い。

 

 油断による敗北程、下らないものはない。

 完全な勝利の上にカツアゲをしたいのだ。

 

 垂直に抱えられた脚のせいで、真冬のミニスカートは完全に捲れてしまい、それに気付いた野次馬達の目が、僅かに卑猥な色へと染まり、淫靡な情欲の熱を帯びつつあった。

 ミニスカートの奥から覗く彼女のナイロン製の黒タイツ。

 薄いナイロンのそれは黒く透けている──

 当然、薄い布地にはその下の白いショーツが見て取れた。

 剛志の体が邪魔になり、それを見られない者は兎も角、偶然にもはっきりと彼女のミニスカートの奥を目撃した者は携帯電話のカメラを向けた。

 

 今しがたまではカツアゲされた恨みから、まるでこれまでの鬱憤を晴らすかのように、真冬に声援を送っていたにもかかわらず、手のひらを返した幾人かは剛志の次なる攻撃に期待の眼差しを向けていた。

 流石にこの場所で強姦は始まらないだろうが、そうした期待が彼らの中には在るのだろう。

 強姦では無くても、ちょっとした性的な暴行──そんな物が見たいのだ──

 

 1988年頃、劇場前通りの雑居ビルにキャットファイトを催している特殊な賭場があった。

 真冬がセクハラ行為をされることに期待している様な男達が、その賭場に足繁く通っていたのだ。

 いつの世にも似たような趣味嗜好の持ち主は居る。

 しかし、そのキャットファイトの賭場にはいれる者は極々一部の富裕層だけであった。

 そして、更に──その賭場にはもう一つの顔が有ったことを知るものは少ない。

 富裕層の中でも限られた権力者や、富豪のみが立ち入ることが許されたミックスマッチを観戦できる闘技場である。

 キャットファイトで人気が出た女性がそちらに送られ、試合をする。

 当事、堂島の龍こと桐生一馬もたまにキャットファイトの賭場に顔を出していたが、そのミックスマッチの闘技場の存在を知ったなら、そこは閉鎖の憂き目にあったかも知れない。

 ミックスマッチを催しているその闘技場では、敗者となった女性はそこで強姦されてしまうからだ。

 確実にその闘技場は、桐生一馬の怒りを買ってしまうだろう。

 だが、実は今もこのミックスマッチ専門の闘技場は現存している。

 そこでは、賽の河原地下闘技場において出場資格のない女性でも参戦できるのだ。

 骨が軋み、腱が千切れ、鮮血が飛び散る賽の河原地下闘技場──

 毎夜毎夜、美しい女性の悲鳴と嬌声、嗚咽が途切れる事無く、響き、聞こえるミックスマッチ専門闘技場──

 主催者、そして観客の目的は、それぞれ地下闘技場と言う共通の場所でありながら、全くの別物である。

 

 真冬の背後にはブロック壁──正面には肉の壁。

 しかも、剛志は左脚を抱え離そうとしない。

 一撃、二撃──

 真冬はこの明らかに不利な体勢から、肘で剛志の腕を打つ。

 だが、逃れる為の攻撃に移るにしても、ブロックと肉の壁に挟まれたそこはあまりに狭い。

 肘打ちにも威力がどうしても乗らなかった。

 

 剛志は真冬の左脚を更に彼女の胴体と密着させ、同時に抱え上げた。

 そして、そのまま、真冬の後頭部をブロック壁へと叩き付ける。

 さしもの真冬も息を吐き、呻き、目を見開いた。

 カヒュっと、奇妙な嗚咽を洩らした真冬は、一瞬、呼吸が止まったかと錯覚した。

 

 刹那にも充たないだろう──だが、確かに真冬の意識はその時、脳の外へと飛んでいた。

 

 嗚咽は剛志の耳にも届いていた。

 漸く彼女の左脚と胴体とを解放する。

 が──

 突然の解放に、真冬の身体は先程の意識を失った一瞬も災いし僅かに揺らぐ。

 その彼女の隙を突くように、剛志の額が、真冬の顔面中央に落ちてきた。

 

 遥か上空から岩石が降ってきた。

 そんな想像が適切な、頭突きだった。

 

 鼻骨へのダメージだけでなく、前歯が数本粉砕されてしまっていた。

 美少女の顔面へと向けられる、容赦が全く無い攻撃を目の当たりにした周囲の野次馬から、言葉が失われる。

 

 普通なら、多少の躊躇もあろうと言うものだ。

 無論、その美少女も剛志の鼻孔に錐を突き刺しているのである。

 少女とて、まともな精神の持ち主では無いのは明白だ。

 

 よろめきながらも真冬は体勢を整え、左手をブロック壁に添え、何とか身体を支える。

 

「まだ……やるか?金出したら許してやるぜ」

「……お金……無いですから、出せません」

 

 ユラリ、と

 陽炎の様な、幽霊の様な、水のような──

 何処か捉えどころが無い感覚が、真冬から見えた。

 冷気と霊気──

 真冬の冷たい闘氣が冬の大気をも凍てつかせる、そう、思わせた。

 

「そうかい、まだ、遊べそうだなッッ」

 

 心底嬉しそうに、牙を剥くような破顔──

 剛志はまだ、壊しても壊れないこの少女を痛め付け、そして、自身の力を奮える事がただ純粋に愉しかった。

 

『仕切り直し、没ネタエピソード』は削除し、残骸置場に入れた方が良いですか?

  • そのままで良い
  • 残骸置場行きが良い
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。