範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ) 作:贋海王
少女の紅い瞳に、恐怖の色は無い。
しかし、視線は男から咄嗟に逸らされた。
単にかかわり合いになりたくない。
少女の心に有ったのはそれだけである。
怒声を張り上げ、周囲を威嚇するかのような男達は五人いた。
少女は、五人以外にも胴着を着た三人組の存在が有ることにも気付いている。
胴着を着た者達が先にコンビニエンスストアから出てきて、別の五人組に怒鳴られたのだろう。
具体的な状況は把握しては居ない。
「おい!クソガキ!何見てるんじゃ!?あぁ!?」
大人げない──
そんな怒声だ。
コンビニエンスストア店内にいるバイト二人、数人の客も、この光景を見ていた。
元々、コンビニエンスストアPOPPO内で、この五人組は胴着を着た三人に絡んでいたのをバイトも含め大抵が知っている。
白い少女はバッティングセンターの周辺やホテル街方面をうろうろとしていただけで、POPPOへは一瞥したばかりで、中での出来事にまで気が回ってはいなかった。
白い少女は、怒声にも動じる事なく、小さく息を吐いた。
そして、五人組の──
先程、自分に怒鳴り付けて来た男ではなく、胴着を着た三人組の胴着へと視線を向ける。
白い少女の紅い瞳──
その紅玉のような瞳に──
白い少女に見られると、胴着を着た男の一人が息を飲んだ。
幽鬼──
見られた瞬間、悪寒が走ったのだ。
白い少女の周囲を舞う雪がどこか異様に、歪んだ空間に消えていく──
寒さが単なる冬の寒さでなく、氷の刃が、氷の隕石が降るような冷たい錯覚──
アスファルトの、硬い安定した場所に立っていながら、両足は薄氷の上に居るような感覚さえも脳裏に過る。
薄氷が氷の隕石に砕かれ、薄氷の下の冷たい氷水に浸かってしまう──
尋常ならざる幻想を、心象風景を、白い少女の紅い瞳から、彼の心理は抱いてしまった。
見目だけではない。
人ならざるものの恐怖を、その紅玉の瞳に感じられた。
(本部神心会)
本部は横書き
神心会は縦書き──
上衣の左胸部辺りにその文字が見受けられた。
聞いた事がある。
空手道神心会──
(強いのはこっち、かな)
戦力を計る。
白い少女の脳内で、見掛けからは想像だに出来ない様な思考と判断が繰り広げられているなど、五人組も神心会門下生の方も気付いてはいなかった。
気付く筈も無いだろう。
「シカトこいてんじゃねぇぞ!」
しかし、門下生の一人は、白い少女の姿に不気味な錯覚を覚え、何かを察しかけてはいたが、白い少女に怒鳴り付けた当たり屋達の一人には何も察せず──
そうして、門下生に絡む者と白い少女に絡む者に分かれていた。
五人組が何故にこうも猛っているのか。
数日前の事だ。
彼等は所謂、当たり屋だ。
肩などがぶつかると、おう痛ぇじゃねぇか!肩が外れたぞ!慰謝料出せや、それで勘弁してやる──
などと宣う輩である。
そして、この男達は現在の五人組から三人組──
複数名でそうした当たり屋行為を行う連中だ。
数日前にもPOPPOからバッティングセンター周辺にて、当たり屋行為で稼いでいたのだが、ある晩に不運が訪れた。
猿芝居──
当たり屋達に絡まれた男がそうあっさりと切り捨て、金を払うことなく、彼らをあっさりとのしてしまったのだ。
最初は三人、その後五人で掛かろうと、更に騙し討ちをしようと、その男──
グレーのスーツを着た極道風の堅気に返り討ちにされたのだった。
日がどれだけ経っても逆恨みとしか言いようがないその怒りは治まらず、当たり屋達は今日も今日とて当たり屋に精を出しては、誰かれ構わず喧嘩を吹っ掛けて居たのだ。
その時に丁度良く当たり屋達の目に入ってきたのが、件の神心会の文字だ。
有名な空手の達人。
彼らを数の暴力の上なら問題なく痛め付けられるだろうとの浅知恵だった。
『仕切り直し、没ネタエピソード』は削除し、残骸置場に入れた方が良いですか?
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そのままで良い
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残骸置場行きが良い