※この作品はR-18です。

範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ)   作:贋海王

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児童公園

 神室町の北西──

 七福通り西にある児童公園

 

 深々と雪が降る肌寒い聖夜だった。

 児童公園と言っても、夜は児童ではなくホームレスの姿がその公園にも何人か見られた。

 

 神室町は日本有数の歓楽街であり、多くの人で賑わう華やかな街である。

 しかしだ。

 だからこそ多くの闇が存在している。

 

 その中の代表格に、まず、ホームレスが挙げられるだろう。

 彼らが暖を取れる様にか、夜の児童公園にはドラム缶の焚き火が用意されている。

 その焚き火に当たるホームレスの一人が、児童公園にやって来た者達に気付いた。

 

 神室町は危険な街でもある。

 当然、そんな街で生きるホームレス──

 何となくであっても危うきを事前に感じる力があった。

 

 彼は現れた五人組にどこか嫌な予感を覚えた。

 

 明らかにチンピラ然とした男達だ。

 相手が老人であったとしても、ホームレス狩りを何の良心の呵責も無しにやってのける様な連中だろう──

 

 そして、男達の他にもう一人。

 白い、少女だ。

 少女……いや、女児と言った方が適切なくらいに幼い見目である。

 そんな少女を連れているチンピラ連中だ。

 どう考えても、ろくな物ではない。

 ホームレスは早々に此処を離れたいと言う焦りと、チンピラへの恐怖、少女に起きている不幸への同情心に苛(さいな)まれ──

 

 しかも、離れたくとも、児童公園の出入口は、男達の現れた方向に一つあるだけなのだ。

 ここから離れようにも、逃げ出す行動を起こすのは難しいだろう。

 幾つかの渦巻く思考の中で、ホームレスは慎重に、様子を窺い続けた。

 

2.  

 

 白い少女の紅い瞳──

 それと一瞬、刹那、視線が合った。

 

 長い髪は真っ白だ。

 紅い瞳が栄える白い肌に、髪。

 何処か虚ろな人形のような目は、自分の視線とが交わるや咄嗟に逸らされたのだ。

 

 何故か、それは非常に癪に障った。

 

 男は別段ロリータ趣味では無い。

 しかし、どういう訳か白い少女には不思議と興味が湧いていた。

 

 この当たり屋達は、実の所、金銭目的だけの当たり屋と言う訳ではない。

 例えばホームレスを襲うときは金を巻き上げる為ではなく、ただ暴力を奮いたいから、当たり屋をする。

 

 今回、神心会の門下生達に絡んだのはこの暴力を奮いたいと言うどうしようもない妙な欲求からだ。

 神心会門下生は強い──

 その事をこの当たり屋達だって知っている。

 

 会員数日本全国合わせて100万人──

 

 勿論、それだけ居れば、実力はピンからキリまでとなる。

 絡んだ三人が実力者(ピン)か一般人(キリ)どちらに近いかは分からない。

 

 だが、日本最大の空手道集団の三人である。

 ある程度の実力は持っている筈だ。

 そんな男達を数の暴力で圧倒し、痛め付け、叩きのめす。

 この当たり屋達にしてみれば、かなりの快感となるだろう。

 数日前、当たり屋達はグレーのスーツを着た極道の様な堅気に、こてんぱんに負けた。

 その時の鬱憤を晴らしたい。

 そんな暗い欲望が、一層、暴力を奮うための当たり屋稼業に精を出す事となっていた──

 

 その極道風堅気に意趣返しをしたいと言う思いも有るにはあるが、彼に対しては、それは無理と完全に心が折れているのだ。

 故に、自分達より弱い者、数で劣る者へ拳を向ける──

 その小物臭さこそ、彼らがチンピラと呼称される所以だろう。

 

「おいおい、千葉ちゃん、何よ?こいつ、このおちびちゃん、なんかやらかした?」

 

 白い少女に怒声を浴びせていたのが千葉ちゃんと呼ばれた男だ。

 千葉に声をかけてきた眼鏡の男は白い少女を見て、首を傾げつつ、彼女を指差した。

 

 この当たり屋達の目的なのだが──

 金銭、暴力

 その二つの他にもう1つあった。

 

 それは彼らが当たり屋をホテル街近くで行っている理由となる。

 ホテル街には経営不振で廃ビルとなった建物も幾つか存在している。

 その付近は彼らのテリトリーである。

 

 当たり屋達はラブホテル街周辺のカップルを品定めし、好みの女が居れば当たり屋稼業の始まりだ。

 男にぶつかり、因縁をつける。

 そして、反抗すれば痛め付ける。

 女を置いて逃げればそれで男は勘弁してやる。

 後は、廃墟で好きなように女を強姦するだけだ。

 

 今夜は神心会門下生相手に暴力で鬱憤晴らしの予定だ。

 

 だが、千葉と呼ばれた男の興味は白い少女に向いたようだった。

 

「……ねぇ、あの、あっちの公園は西公園ですか」

 

 白い少女が、まるで幽霊の様なか細い声を出した。

 蚊の鳴く様な──

 

 当たり屋達はそれほどこの言葉が適切な声は初めて聞いた気がする。

 容姿そのもの、見目が幽霊なら声も幽霊だった。

 

「……どこの公園だい?」

 

 近くの公園

 西公園と勘違いしてるとするなら、児童公園だ──

 

 神室町に明るい彼は、白い少女が言う公園がどこを指すか直ぐに察した。

 

 彼処(あそこ)は夜は薄暗く、案外人気も少ない。

 居てもホームレスが数人。

 

 いつも強姦(レイプ)は廃ビルだが、たまには公園も乙なものではないか?

 しかも、幼女を“児童”公園でレイプ等と洒落が利いていて中々面白い趣向ではないか?

 

 千葉の頭の中は、白い少女を強姦することだけが、現在多くを占めていた。

 神心会門下生へ暴力を奮いたい欲求など彼は既に失っていた──

 

「なぁ、松井、俺達平和主義だからさ、空手マンと喧嘩するより、女の子を公園にエスコートしてやろうや?」

 

 西公園──

 ではなく児童公園へ──

 

 悪夢が開始(はじ)まる。

 

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