範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ) 作:贋海王
1. 本部流柔術花田純一
お、取材の方っスか。
記者の青木さんっスよね。
ははは、俺も取材慣れしてきたっスからね、何でも聞いて下さいよ。
ん?
えぇ、ちょっと前も別んところの方から、別の人の取材受けましてね。
そん時は、小説家さんからの取材だったかな。
神奈村狂太の取材受けたんです。
今回も神室町での話何すよね。
神奈村さんの話題も神室町での出来事だったんで、神室町ってほんと話題尽きない所だなぁって思いますよ。
──白い少女ね。
真冬ちゃんっスよね。
知ってますよ、勿論。
神奈村さんの件より結構後の話ですね。
あの
ノムラ君──
あ、ノムラ君と言うのは、うちの本部流柔術の門下の人でね。
本部先生の弟子の中じゃ、多分一番腕の立つ人っスね。
その、ノムラ君は自衛隊の人何ですけどね、非番の日でね、道場に顔出してたから、たまの息抜きがてら、神室町での夜遊びに誘って、二人して神室町まで行ったんですよ。
デボラってクラブハウスでの話です。
デボラは知ってますか?
劇場前広場にある。
──あぁ、青木さん、神室町の事なら、俺よりよっぽど詳しいですもんね。
それは説明するまでも無いか。
ノムラ君とね、デボラに居たんです。
そこで、真冬ちゃんを初めて見た。
──印象?
俺ね、一応最初に言っときますけど、ロリコンじゃないっスよ。
でもね、可愛い娘だなってのが、第一印象。
儚げなね。
全体的に細くて、髪も長いのに野暮ったくなくて。
あの時、十歳くらいだったかな。
十代後半にでもなったら、皆ほっとかないだろうなって一目見て思うほどの美少女だった。
今は真冬ちゃん、13くらい?
え?写真あるの?
──おっ、今も可愛いね。
いや、それは置いといて。
可愛いとは思ったけどね、俺は別にあの子から、とんでもない戦闘力とかは微塵も感じなかった。
そりゃあ、そうっスよね?
普通、あの子を見て、そんな殴る蹴る何て言うもんは連想出来ない。
でも、ノムラ君はね。
顔が強張ってた。
あの時、多分ノムラ君は、ノムラ君じゃなかったんじゃないかな。
あぁ、ノムラ君はね、多重人格何スよ。
もうひとつ、ガイアって言う、主に戦闘的な物を担う人格があるんスけどね。
そっちの人格が出始めてた。
ノムラ君は一目で真冬ちゃんの戦闘力の高さを読み取っていたんだろうね。
ノムラ君、たまに道場で
先生相手でもガイアの人格が出ることなんて無いって言っても良い。
そんなノムラ君の裏人格を引き出そうってもんだから、ヤバイっすよね、真冬ちゃん。
多分、ノムラ君も真冬ちゃんと
あ、でね──
デボラのダンスホール中央で、一人の外人と向かい合っている真冬ちゃん。
その姿だけで、ノムラ君は真冬ちゃんから何か、ヤバイ物を感じたんだろうね。
俺も、真冬ちゃんを見掛けた頃にはもうプロレスやってたんすけど、ノムラ君みたいに真冬ちゃんの戦闘力は見抜け無かった。
──えぇ、真冬ちゃんと対峙してた外人ね。
そいつの事は、当時から知ってましたよ。
俺ね、デボラの常連だったっスから。
デボラの用心棒のリチャード・フィルス。
デボラに出入りしてるとね、神室町あんな街でしょ?
結構な頻度でヤバイ客が来るんスよ。
そんなヤバイ客相手にね、豪腕奮ってるのをね、よく見ましたよ。
リチャード・フィルス、元々はシカゴのバーやクラブで用心棒やってた男でね。
デボラで見る前から噂は聞いてたっスよ。
噂でも聞いて、実際の殴り合いも目撃した。
そんな奴と向かい合ってるんスよね、真冬ちゃん。
リチャード・フィルスの事は、俺以外の客もよく知ってる。
だからね、リチャードがダンスホール中央にやって来た時は、デボラ店内、騒ぎになってたなぁ。
バウンサーが喧嘩を始めるぞって。
でもね、じゃあ、その相手って誰だ?ってなるっスよね?
ノムラ君だけじゃないかな。
おっぱじまる前から、リチャード・フィルスの喧嘩相手がこいつだなって──それが、真冬ちゃんだって──小さな女の子とやりあうんだろって気付いてたのは。
そもそもね、何で二人がやり合うことになったかって、そんなの誰も、俺だって、普通に想像も出来ない。
で──
ゴングも鳴らない
行司もいない
誰も開始の合図は出さない──
そんな、喧嘩が、いきなり始まった。
何て言うかね。
俺とノムラ君ね──
そろそろ、デボラ出て、シャイン──キャバクラにでも行こうかなって思ってた所だった。
でもね、デボラを出るのが少し遅れて良かったっすよ。
この真冬ちゃんの喧嘩、見ることが出来たからね。
よーいどんの合図も無しに、それでも示し合わせた様に二人は同時に動いた。
ノムラ君、その瞬間、両手の拳を握り締めててね、興奮の熱気が隣から伝わって来たっスからね。
リチャード・フィルスは真っ向から殴りかかった。
技術なんかありゃしない、テレフォンパンチって奴。
リチャードって男は格闘技を学んだ事は無いらしいっすね。
全部、実戦の中でだけ鍛えた肉体。
それで殴る。蹴る。掴む。
あれね、単純なフィジカルやタフネスは多分、プロレスラーのマウント斗羽さんや、横綱の零鵬を凌いでるんじゃ無いかなぁ。
打たれる覚悟をしたレスラーや力士は倒れない。
でもね、あの男はそれどころじゃない。
多分、刺されても撃たれても倒れない。
シカゴの喧嘩師──用心棒──
そんな所でそんな仕事してたら、相手は刃物どころじゃない、
リチャード・フィルスはそんな連中相手に、素手で喧嘩するんスよ。
記者さん、知ってるよね?
東京ドーム地下闘技場で開催された徳川さんのトーナメント。
その時の選手控え室でね、リチャードのそんなタフネス加減の片鱗を窺い知れる様なパフォーマンスを、俺も見たんスよ。
筋骨隆々な手下達に、バットで殴らせるってね。
それでもリチャード・フィルスはノーダメージ、逆にバットがへし折れちまったんだよ。
そんなとんでもないフィジカル野郎だから出来る、防御何て考えてない攻撃一辺倒のテレフォンパンチ。
驚いたのはね、年齢一桁の女の子がね、そんな奴に殴り掛かられてるのに全然ビビった様子が無いところだった。
時期的には例のトーナメントの前の話だけどね。
どう見てもリチャードがヤバいって、その女の子も気付いてる筈なのに、ね。
リチャードの拳が振り抜かれたのとほぼ同時に、真冬ちゃんも動いた。
ゆらゆらと全身を揺らめかしてた真冬ちゃんは、ゆっくりと右手を上げたんスよ。
──何?
と、思ったら右手でリチャードの拳を受けた。
受けたのは掌で、だった。
後でノムラ君に聞いたらね、掌で受けたと同時、真冬ちゃんは肘を曲げた──と、そして、ほんの少し手首の
そして、手の甲を自分の額で押した。
真冬ちゃんの足元ね、でっかいクレーター出来てたのにも驚いたね。
床ね、何の素材かは知らないけど相当固い。
真冬ちゃんの脚ってどうなってるだろうね……。
で、リチャードの拳は……腕が大きく弾き返されていた。
どういう
そうだ、記者さん、一回ね、渋川先生とこにも取材行ったらどうかな?
渋川先生もね、多分、真冬ちゃんの戦闘を見てるからさ。
でね、この時のリチャード対真冬の喧嘩はそこまでだった。
喧嘩──じゃなかったからね。
なんかさ、合格だのなんだの言ってたからね。
テストか何かだったんだろうね。
でもさ、本気でヤバいのは真冬ちゃんスよ。
打った筈の、リチャードの拳がね、血塗れだったっスから。
その正体不明の真冬ちゃんの攻撃も、合格の理由の1つ何だろうね。
──あぁ、うん、二人の本格的な死闘は別の日だったよ、確か。
その時の話もいつかまた、しようかな?
『仕切り直し、没ネタエピソード』は削除し、残骸置場に入れた方が良いですか?
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そのままで良い
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残骸置場行きが良い