※この作品はR-18です。

範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ)   作:贋海王

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戦闘員

 石炭の塊を金剛石(ダイヤモンド)に変えてしまう10万気圧の(と言われる?)握力──

 握力計では計れない、本気で固められたなら、拳がブラックホールと化してしまう(様な)超握力──

 青竹を簓にしてしまい、更には人体で素振りを可能とする人並み外れた握力──

 

 

 握力と聞いて、まず思い出すのが、この三つの生きた伝説だろう。

 そして、それは絵空事では無いのだから、超肉体の持ち主である化け物達は恐ろしい──

 言わずと知れた──

 二代目 野見宿禰

 花山組組長 花山薫

 稀代の超剣豪 宮本武蔵

 ──この三人の話だ。

 

 ──彼ら三者の握力を語らずして握力は語れない。

 そんな超握力を持つ三人の男が存在している。

 

 そして、この──ロリータ専門アダルトビデオ制作チーム“四十八手章治郎”の黒タイツ男『電マ人間ローターックル』の一人“ジェロニモン・富士岡”の握力は、確かにこのような超握力の化け物達と比べたなら、ちょっとした人外止まりであろう。

 とは言え、人間の枠組みで考えられる握力ではない。

 花山薫の握力は、握力計で計れない。

 ──のだが、それは富士岡の握力も同じである。

 

 富士岡は、人骨を肉体もろともに握り潰せるのだ。 

 その尋常ではない握力、ひいては腕力に彼が気付いたのは、いつだったか──

 

 ──富士岡は、沖縄琉球街の一角に存在する歓楽街、初町で生まれた。

 しかし、その出生がそもそも恵まれた物ではなかった。

 母親は日本人であるが、父親は在日米軍のアメリカ人だ。

 初町の安キャバレーに勤めていた母親は、ある夜、客として店にやってきた米軍兵の男と出会った。

 

 軍人と言っても、まともな人物では無いその男は、国では窃盗や傷害で何度も警察の世話になるような男だったのだ。

 女絡みでもだらしが無かった。

 

 初めは羽振りの良い上客を演じていた。

 高官を気取り、安キャバレーで働く女を巧みに口説いていく。

 しかし、当然遊びでしか無い。

 ジェロニモンを身籠った頃には、既にアメリカ軍人は、早々に国の方へと引き上げてしまっていた。

 いずれは共に国へ戻ろうと言ってはいたが、嘘偽りでしかない。

 そんな──父親が居ない状況で、ジェロニモンは産み落とされたのだ。

 

 貧しい暮らしを強いられるジェロニモンは、周囲の子供からも浮いていた。

 そんな生活の中で、11歳になる西暦1971年のある日、更なる苦境に立たされる事となったのだ。

 

 あだ名を付けられた。

 “ショッカー”と言うあだ名である。

 その年から放送が開始された、特撮テレビドラマ『仮面ライダー』に登場する悪の秘密結社の名称だ。

 何故、ショッカーなのか──

 ジェロニモンの父親は黒人で、当然その血を引いたジェロニモンは日本人離れした黒い肌の色であった。

 ショッカーの戦闘員は全身を黒タイツで覆っている。

 ──つまりは、そう言う事だ。

 

 しかも不運なことに漢字こそ違うものの、ジェロニモンの名字が、仮面ライダーの主演俳優と同じ読み方だった。

 そうした事が重なり、クラスメート達はショッカー戦闘員を見て、ジェロニモンを連想してしまったのだ。

 正確にはショッカー戦闘員と呼ぶべきだろうが、それでは長すぎる。

 ショッカー辺りが呼びやすく、からかうのにも適切な短さとなる単語だった。

 

 最初は番組を観ていたごく少数が言い出しただけだ。

 だが、人気番組となった特撮テレビドラマは視聴していない子供の方が僅かとなり、当時の子供達の殆どが観る様になるにつれ、クラスメート中にそのあだ名は、パンデミックの如く拡がって行くのだ。

 この時分の子供なら、大概最初は、軽い冗談で付けたあだ名が虐めへと発展していくのだろうが、性質《たち》の悪い事に、ショッカーと呼び出した子供はジェロニモンを、最初から虐めのターゲットに仕立てるべく、あだ名した事だ。

 

 ──ライダーキック

 二人掛かりで、ジェロニモンを蹴りつける。

 まだ、仮面ライダーが1号2号と二人居ない時の話だった。

 それでも、悪役を一人用意する事で、ごっこ遊びの要領で虐めを助長出来たのだ。

 

 ジェロニモンは現在、身長が198センチメートルで、体重は105キログラムある。

 アメリカ人の血を引いている彼は、小学生の頃から他の児童よりも大柄だった。

 ジェロニモンへの虐めを焚き付けた少年──賢太郎はこの大柄なジェロニモンを一人で虐めることには手に余った。

 ──故に、大勢で虐める手段を思い付き、それに至ったのである。

 

 小学五年六年と虐めは続いた。

 そして、中学に上がる頃には多少の変化が見られた。

 ジェロニモンは、より背丈が高くなり、筋肉が厚くなり大きくなった。

 特別、何か運動や格闘技をやっていたわけではない、天性の物だったが、同学年の誰よりも、教師陣といった大人よりも余程巨大であった。

 

 男子生徒からは未だ虐めのターゲットだったが、その容姿から女子生徒達に人気が出始めたのだ。

 ショッカーと呼ぶ女子生徒は居なくなり、寧ろ、その外見的な黒人特有の格好よさが功を奏したのか、来日し日本で試合した事が記憶にも新しい、名プロボクサーである『モハメッド・アライ』と重ねられ、モハメッド二世等と呼ばれ出したのである。

 無論、モハメッド・アライとジェロニモンには何の関係もなく、後々来日し範馬刃牙や愚地独歩達と死闘を繰り広げるアライJr.との因果関係は存在せず、女子中学生達が好き勝手にあだ名を付けただけの話である。

 

 そして、女子に人気が出る。

 それは──ジェロニモンの周囲にとって良い変化であると同時に──男子からは一層煙たがられる要素となっていくのだった。

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