※この作品はR-18です。

範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ)   作:贋海王

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ジェロニモン

 

 琉球街──

 古めかしい商店街にある公設市場の二階──

 

 中学に上がると、ジェロニモンへの虐めは、加速度的により酷い物へとなっていった。

 その一番の切っ掛けは、女子から人気が出た事が原因として挙げられるのだが、それに加え、この現場を目撃されたからだ。

 

 何て事は無い。

 ──同学年で人気がある女子から告白されていたのだ。

 虐めのターゲットに向けて、更なる妬みの念が加わった瞬間である。

 

 そして──

 ジェロニモンの性的欲求が、歪にねじ曲がる要因へと進展してしまったのだ。

 いや、もしかしたら、ねじ曲がったのではなく──それこそが彼の本性だったのだろう。

 それまでは、心の奥底に在りながらも、異質で歪な蛇は、鎌首を擡げる事なく眠っていただけなのであった。

 

1.  ゴブリン春日、ジェロニモンを語る

 

 取材だぁ?

 俺はもう、プロレスラーでも無いんだぜ?

 そんな俺に何を聞きたいんだって。

 ──あぁん?ジェロニモン・富士岡?

 

 俺の事聞きたい訳じゃあ、ねぇのかよ。

 ……まぁ、良いさ。

 取材料、気を利かせてくれりゃあ、吝かじゃねぇぜ。

 ──ゆうえんちにまた入りてぇしよ。

 

 あぁ、ジェロニモンな。あいつは俺の後輩だったよ。

 勿論、プロレスの。

 俺が、極東(きょくとう)プロレス立ち上げる前、マウント斗羽の大日本プロレスん所に居たときの後輩だよ。

 まだまだガキみてえな面(つら)してたっけな。

 故郷(くに)出たての芋臭ぇ奴だったよ。

 あいつを連れてきたのは大日本プロレスのスポンサーだった藤木組の極道者(もん)でな。

 故郷の沖縄で色々やらかして、上京──

 その後、暫くは藤木組で世話になってたそうだぜ。

 

 外人の血を引いてるからか体格(ガタイ)の方もスゴくてな、パッと見、斗羽よりでかく見えちまったんだ。

 いや、勿論、ほんの少しばかりだが、斗羽の方が背は高いぜ。

 斗羽は209センチだからな。

 あいつはあいつで、200センチはあったか。

 ──でもなぁ、初顔合わせン時、それよりも、ずっとでかく見えたんだなぁ。

 

 ──故郷出てきた理由?

 

 奴さん、向こうでも極道者と関わりあってな。

 極道者と繋がる切っ掛けが傷害だったんだよ。

 

 ──自分の女、輪姦(マワ)した同級生を半殺しよ。

 虐めの一環だったみてえだな。

 夜に学校へと呼び出されてよ、強姦の真っ最中を見ちまったんだ。

 ──あぁ、わざわざ見せつけるため呼び出したんだよな。

 そんで──あいつはキレた。

 

 レイプ現場だった教室が、一気に惨劇の場所に早変わりだ。

 相手は八人いたそうだけどな──ジェロニモンにとっちゃ何人いようが関係無ぇ。

 教室にゃ、夥しい鮮血と一緒に肉片や骨が飛び散ってたそうだぜ。

 

 こいつは、奴さんが中1ン時の話だ。

 やべぇよな。

 で、補導──

 ──は、されなかった。

 匿われたんだよ、沖縄の極道組織『琉道(りゅうどう)一家』に。

 で、一年程度、琉道一家に世話になってから本州にやってきた。

 

 上京してからは藤木組に拾われて、斗羽ん所に紹介されたって訳だ。

 あいつも半分外人だけどよ、当時の大日本プロレスは言うことの聞かねぇ、跳ねっ返りの外人レスラーがいっぱい居てよ。

 俺はそいつらを制裁するポリス役をやってたんだ。

 ワケの分からねぇ輩が道場破りの真似事してくる事もわりとあってな──

 そんな輩や外人レスラーを叩きのめす番犬役として、藤木組の極道者(もん)はジェロニモンを連れて来たんだよ。

 

 あいつは半分外人の癖に外人嫌いでよ──よく働いてくれたもんさ。

 ヤバかったよ。

 ブックのねぇ、あいつの試合、いや、喧嘩は──

 

 兄ちゃん、信じられるかい?

 ──掴んだ腕の骨ごと握り潰す握力

 辞書をつまんで引き千切るピンチ力を──

 そう。

 ──教室の肉片や骨片は、その化け物染みたクラッシュ力が為せる技だった訳だ。

 番犬になってからも、そいつは遺憾無く発揮されてたよ。

 

 身の上聞いてからは、俺も妙に情が湧いてな、可愛がったもんさ。

 ──でもな、あいつ大日本プロレスを追い出されちまった。

 女癖の悪さが目立ってな。

 いんや、単なる女癖の悪さ位じゃあ追い出されねぇよな。

 

 試合で外人レスラーぶちのめした時に限って、あいつは、妙に興奮しててよ。

 そんな時は街に繰り出すワケだ。

 神室町の風俗通いは日常だったんだがよ、興奮してどうしようもない夜は、あいつの性欲はヤバい方向に向けられちまう。

 中房ン時にてめえの女、レイプされてるの目撃してから、なんかやべえもんに目覚めたのか──

 あいつは、神室町で夜遊びする女や風俗女を強姦して回ってるんだよ。

 あれな──世話になってた琉道一家をな、出る切っ掛けも強姦事件だったくらいだしな。

 しかもよ、犯っちまった女が東城会幹部の情婦(イロ)でな。

 藤木組としても、斗羽にしても置いておくわけにゃいかなくなった。

 ほらよ、あれだ。

 後々藤木組は源王会との抗争時に、近江連合から突っ突(つっつ)かれねぇ様、後ろ楯にする為、東城会と盃交わしてるだろ。

 神室町でも、藤木組と源王会の抗争がよく見られた時期があったよな。

 そんな抗争以前から藤木組は、東城会との仲を悪くしたくなかったんだろうな。

 

 ──それからあいつがどうなったかは、俺は知らねぇ。

 もしな、そんなことがなけりゃあ、俺の極東プロレスにも誘ったんだがなぁ。

 

 ──でもよ、兄ちゃん、何でジェロニモンの事なんか聞きたがったンだい?

 あ?當之(たぎの)真冬?

 そいつの伝記本執筆してる?

 そんで、そいつが九歳程度の頃からの、過去に対戦した相手の記録も追って、取材してると。

 ──オイオイオイ、誰だよ、そいつ。

 ──あ?武術省から海王相当に認められた中国拳法会初の女にして鬼(オーガ)の娘だぁ?

 

 なんだそいつぁ、やべえな。

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