※この作品はR-18です。

範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ)   作:贋海王

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電マ人間

 

 例えるなら──

 ──鉄球

 ──超一流の“ハンマー投げ”選手が

 ──金メダルを狙う勢いで、鉄球を振るいながら入室して来た様な

 ──身の危険

 

 そう静かに嘯(うそぶ)いた男は、當麻蹴速(たいまのけはや)だ。

 勿論、遥か神話の域にある歴史の中に、名を残す彼(か)の人物の事ではない。

 現代日本に生きる蹴速である。

 そしてこれは、その目で──脳で──全細胞で感じ取り、凄まじい衝撃を覚えた人物、地上最強の生物についての印象を、徳川光成へと向けた返答だった。

 

1.

 真冬の細い腕を、口元も開いた黒い目出し帽を被った全身黒タイツの男が掴んでいる。

 嘗て“大日本プロレス”のプロレスラーであったジェロニモン・富士岡だ。

 宛ら、肉食獣が獲物に食らい付く、そんな速度でジェロニモン(以降零号)は、真冬の左手首を捕らえていた。

 

 無数のアナコンダを束ねたような太い腕が、真冬を引き抜く様に持ち上げた。

 真冬の体重は20キログラム程度だ。

 零号の腕力をもってすれば、重さを感じる体重では無い。

 

 真冬は小さく、呼気が洩れる様な悲鳴をあげた。

 廃墟の闇の中へと、悲鳴が溶けていく──

 それは、恐怖や苦痛からの悲鳴ではなかった。

 手首を掴まれる。

 肌の触覚に異常がある──と、真冬は考えた。

 ぞわりとした、奇妙な感覚に身体が震える。

 本来ならば掴まれた瞬間に──中指に繋がったアラミド繊維と連動している、バネ仕掛けの超小型の弓とも言える暗器“袖箭(しゅうせん)”を操作し発射していただろう。

 だが、ゴスロリ服の袖越しに掴まれた左手首……零号の握力に圧されそして、布が肌に触れ擦れ──真冬にとって、耐え難い不可解な感覚が手首から全身に波紋のように拡がり、腕から一切の力が失われ身体が痺れた。

 故に発射の操作が出来なかったのだ。

 

 一瞬、足が床から離れた真冬だったが、浮遊感を覚えたとほぼ同時に、背中からベッドに落とされた。

 ベッドは、今でこそ薄汚れダニでも湧いていそうな代物だったが、本来は質の良い物だ。

 故にベッドのマットは柔らかく、衝撃事態は痛みも無く大したことは無かった。

 

 しかし、荒くなりつつある呼吸のせいで、舞い上がった埃を吸い込んだ。

 すると、普段なら何でもないが、感覚が何倍も敏感に研ぎ澄まされているからか、それだけで咳き込んでしまった。

 

 衝撃は軽いとは言え、ベッドに放り投げられるかのように叩き付けられた為に、ゴスロリミニスカートが捲れてしまい、白いドロワーズと透明の様な血管が透けて見える程に白いアルビノ肌の太股が露となっていた。

 細く伸びた脚には白いフリルとレースがふんだんにあしらわれた黒いニーソックス。

 そこには白と黒のゴシック&ロリータの小さな花が咲いている様だった。

 

 故に、零号の情欲がそそられる。

 ──小さい花を踏みにじり散らしたい、そんな暗い炎が目に宿っていた。

 

 乱れたスカートの裾を直そうと上体を起こし、右手を伸ばそうとした真冬の左手を、零号が引っ張る。

 

 再び仰向けにベッドへと真冬が倒れると、彼女の右手を別の目出し帽タイツ男──電マ人間一号が掴んだ。

 零号と一号により両手を封じられる。

 

 続けて、もう一人の電マ人間二号はスカートを更に捲り、左足首を掴む。

 

 真冬がこの元高級ソープランド“桃源郷”の一室に足を踏み入れた際、注射器を弄りながら真冬に媚薬入りビールを飲ませたのが一号で、電動式マッサージ機やピンクローターなどの怪しげな器具を点検していたのが二号である。

 

 パンチパーマの男──森本はビデオカメラを構え、撮影を開始する。

 まずは足元、そして、ビデオカメラはゆっくりと真冬の脚を映していきニーソックスに包まれた膝元まで上がっていく。

 捲れたミニスカートとドロワーズをレンズは捉え、徐々に近付き、また引いていく。

 

 ロン毛のカメラマン──野木は持っているカメラのシャッターを切り続けていた。

 真冬は、こんな状況下にあっても、いつもの虚ろで幽霊のように気迫な表情と様子を崩していない。

 恐らく、真冬を知るものならいつも通りだと思い、真冬を知らない者なら“心を壊しているのか──恐怖を感じていないのか”と不気味に思うだろう。

 だが、野木は真冬の変化に気付いていた。

 緩やかながら、荒い息──

 薄く赤色よりも桃色に近い、紅潮した白い肌──

 ──見える範囲の肌は汗ばんでおり、熱を帯びている。

 瞳は潤み、真冬は自身の身体の変化に戸惑い、理解が追い付いていないのだと、野木にはレンズ越しにて、ハッキリと見て取れたのである。

 

 丸坊主の浅黒い男──石坂は軟膏の様な薬品を持ち出し、木製のヘラで小皿に移し練っていた。

 これも媚薬の一種であり、特殊な興奮剤だった。

 先端創薬開発センターと言う様々な最先端医療の薬品を開発する機関で開発された薬品である。

 日本で認可が下りず、研究資料や結果なども全て破棄される予定だったのだが、とある研究者が源王会等の広域指定暴力団に横流しした物だった。

 源王会を後ろ楯に、ロリータ専門アダルトビデオで稼ぎ、源王会が活動する資金源の、稼ぎ頭の一つとなっている彼らだからこそ、その薬品を与えられているのだ。

 

「よーし、電マ人間、撮影開始しようか。真冬ちゃんもね、自由に『演技』してね。シロートなんだから失敗とか気にせずノビノビとねッッ」

 

 石坂が声を張り上げた。

『仕切り直し、没ネタエピソード』は削除し、残骸置場に入れた方が良いですか?

  • そのままで良い
  • 残骸置場行きが良い
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