※この作品はR-18です。

範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ)   作:贋海王

59 / 139
真冬のAV撮影開始

 パンチパーマの男、森本はその髪型からも想像出来るが極道者である。

 パンチパーマ即ち極道とは安直かも知れないが、森本自身極道に憧れ、源王会と盃を交わす前日に気合いを入れる意味合いも込めてでパンチパーマにしたものだ。

 若い頃から喧嘩自慢で、小学校の時に初めて補導された。

 中学時代は登校することは稀で、蒼天堀に脚繁く通っては、喧嘩に明け暮れたのである。

 

 転機が訪れたのは、1988年の頃となる。

 蒼天堀川に掛かる毘沙門橋を北に向かい、蒼天堀通り西にある高級店キャバレー『グランド』での出来事だ。

 

 ここで、グランドの支配人である眼帯の男に喧嘩を売り、人生初の敗北を知ったのだ。

 キャバレーの支配人とは言え、眼帯だ。

 見た目からしてカタギとは思えない。

 極道だろうと、森本は考えた。

 眼帯の男の強さに憧れた森本は、ただ街で闇雲に喧嘩をし、単純な暴力を奮うだけでなく、極道になり、より強者と拳を交えることが夢となった。

 ──その眼帯の男とは誰あろう“嶋野の狂犬”の異名で呼ばれる真島吾朗その人である。

 無論、真島吾朗と言えば東城会に所属している人物であったが、源王会あるいは近江連合の極道と勘違いした森本は、源王会の門戸を潜り、盃を交わす事になったのである。

 源王会入りし、真島吾朗とは会えず仕舞いだったとは言え、極道としての活躍も目覚ましかった。

 藤木組内花山組との抗争などで、幾人もの組員を打ち破った物だ。

 抗争当時の花山組組長“花山景三”とは残念ながら直接の対決は無かった。

 しかし、命こそ奪えてはいないものの藤木組の幹部を一人仕留めている。

 現在は、五代目藤木組No.5統括委員長であり、当時も藤木組の幹部だった長尾竜臣(ながおたつおみ)──

 顔面傷だらけの彼だが、特に目立つのは鼻が無い事だ。

 長尾竜臣のそれを奪ったのは、この森本である。

 無造作に、もぎ取ったと言うのだから、恐ろしい。

 

 ロン毛の男、野木は、極道ではない。

 この中では比較的若い部類に入る彼は、所謂“反グレ”である。

 野木は極道に入るのは面倒だと考えていた。

 極道には、多くの縛りがある──上下間のしがらみがある。

 それは彼にとって面倒事でしかない。

 極道者の使いっぱしりはする。

 極道と付かず離れず、そうしながらも甘い汁は吸わせて貰おうと考えているのだ。

 だが、そんな打算的で小狡い彼も、カタギでありながら腕力的にかなりの化け物だった。

 極道である森本やジェロニモン、源王会に覚えの良い石坂と極道社会に関係する者とつるんでいるだけあり、野木はカタギであっても、当然源王会に顔が利く。

 

 野木が極道者の間で名が広く知れ渡ったのは、源王会が近江連合とある酒宴があった時の事だ。

 元々、腕力自慢である程度知られていた彼は、その会合に、余興として呼ばれる事になった。

 彼を呼んだのは、“五代目近江連合直参千石組”組長『千石虎之介』である。

 近江四天王の一人で、西の極道組織の大物だ。

 

 酒宴の席での余興──

 それは、千石虎之介が用意した猛獣との試合だった。

 千石虎之介はペットとして虎を二頭飼育している。

 しかし、この時はその虎との試合では無かった。

 ──羆(ヒグマ)だ。

 しかもただの羆では無い。

 羆は、巨大な物でも3メートル弱だ。

 千石虎之介が北海道から取り寄せたこの羆は、体長5メートル体重1.5トンの化け物だったのだ。

 北海道には、ヤマオロシと言う名の人食い熊の伝説がある。

 千石が用意したこの羆も、そのヤマオロシには劣るものの恐るべき巨大熊であろう。

 

 野木はこの余興に参加する様に千石に命令された。

 普通ならこんな無理難題を吹っ掛けられてもどうしようもない。

 が、野木は羆を前にしながら事も無げに、倒したら幾らくれるのか──と、千石に言ってのけたのだ。

 千石はその野木の言葉に心底喜び、二千万円を提示した。

 ──そして、野木は見事に二千万円を手にしたのである。

 

 その二人、森本はビデオカメラの野木はカメラの──それぞれのレンズ越しに真冬の“黒い息”を目の当たりにした。

 その異様な光景に、レンズから目を離し肉眼で真冬を見る。

 それでもやはり、真冬の吐く息が黒い。

 呼気に色が付いている。

 冬に息が白くなることは誰にでもある。

 しかし、黒い息など聞いたこともない。

 

 いや──裏社会に身を置く者なら何度も耳にする男がいる。

 それは黒い漢だ。

 髪も肌も着ている服も靴も下着も全身が黒い。

 その男は声や思考、流れる血液さえ黒くても不思議ではない男で、息までも、見るものに黒く思わせた。

 

 暗器の重明──

 久我重明である。

 

 一見して、石坂、野木、森本は真冬の黒い息から、その名前を連想した。

 零号ことジェロニモンもだ。

 だが、現実問題として息が黒くなる筈が無かった。

 この現象は余りにも奇妙であった。

 見間違いか。

 二度三度とレンズ越しにと肉眼でと、見直すがやはり真冬の吐く息は黒かった。

 

 その時だ。

 黒い息が掻き消えたのだった。

 何が起きたのか。

 黒い息に気付いていない二号がドロワーズに手を伸ばしたのだ。

 

 ──なまじ、この奇妙さに気付いた故に、四人は、戸惑いを隠せず、動きが鈍ったのであるが、却って、この奇妙さに気付いていなかったことが二号の幸運だったのだろう。

 

 ドロワーズ越しに、真冬の陰部を探るように、二本の指でなぞり、擦り、掻いたのだ。

 この行為が、真冬の黒い呼気を打ち消したのである。

 勿論、まだ黒い息の正体が解らぬ彼らにその相互関係を意味することまでには思い至っていないのだが。

 

 黒い息の代わりに、真冬の口から吐き出されたのは嬌声だ。

 断続的に吐き出される吐息に混じり、九歳の幼女の嬌声が、ロリータ専門アダルトビデオのクリエイター達の耳に届いた。

 ──黒い息を阻んだのは偶然の産物だ。

 

 二号は真冬の左足首を掴み、ヘラヘラ嗤う。

「石坂さん、このロリ、良い声で鳴くっすねぇ」

 

 石坂もまた、気を取り直したのか、電マを真冬に近付けた。

 左足首を掴まれた真冬は、脚を広げられ逃れる術がない。

 振動音を立てながら迫るその脅威だが、真冬自身はそれが脅威なのか理解は出来ていなかった。

 

 ──それが、真冬の幼い陰部に宛がわれるまでは。

『仕切り直し、没ネタエピソード』は削除し、残骸置場に入れた方が良いですか?

  • そのままで良い
  • 残骸置場行きが良い
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。